THE JACK WILSON QUARTET FEATURING ROY AYERS (ATLANTIC)

JACK WILSON (1963)

THE JACK WILSON QUARTET


【パーソネル】

ROY AYERS (vib) JACK WILSON (p) AL McKIBBON (b) NICK MARTINS (ds)
【収録曲】

CORCOVADO / JACKLEG / BLUES WE USE
HERBOR FREEWAY / DE CRITIFEUX / NIAVANA 〜 DANA

【解説】

 いよいよスキー・シーズンが近付いて来ました。いや、今年は早かったですな。つい先日まで川でウインドしてたと思ったら10月末に“仙石杯ソフトボール大会”があって、熱を出して寝込んだと思ったら、東海北陸道では早くもチェーン規制のニュースが聞かれるようになりましたもんね。奥美濃方面では例年“ダイナランド”が600メートルくらいのチンケな人工雪ゲレンデで11月下旬にオープンし、昨シーズンからは“ウイングヒルズ白鳥リゾート”が1000メートルくらいのゲレンデで対抗するようになったんですが、今年は“白鳥高原スキー場”というところが例年より1ヶ月も早く10月中頃には天然雪で滑れるようになりました。もっともこのスキー場は根がゴルフ場でありまして、恐らく“ゴルフボールが適当な感じで転がっていく程度の斜度”しか無いに違いないので、まったくソソられるものがありません。ほら、僕って“八方尾根”のリーゼンスラロームだとか、“志賀高原”の東館山だとか、ある程度の斜度のあるロングコースじゃないと満足出来ないカラダになっちゃったしー。あ、コブは駄目ですけどね。いや、“白馬五竜”の下のほうのゲレンデの斜度5度くらいのところに練習用のモーグル・コースが作られておりまして、近所のガキらしき10歳児(推定)が実に楽しそうにピョンピョンと滑っておりましたので、「これならだいじゃぶだろう。」と思ってチャレンジしてみたんですが、いきなりバランス崩してコケそうになって、とんだ恥さらしでありました。…というくらいコブには弱いのが僕のネックなんですが、そういえば昆布青年はどこへいっちゃったんですかね?

 あと、ジャンプ系も駄目ですな。これもやはり“白馬五竜”なんですが、バンクみたいなのとか小さなジャンプ台なんかを設えたコースがありました。で、最初のうちは恐る恐る“自然に飛び上がって着地するだけのジャンプ”を試みていたんですが、それに何度か無難に成功すると、次第に“欲”というのが出てまいります。で、「もうちょっと派手に跳んでみたい。」などと余計なことを考えたのが間違えでした。ジャンプの時ちょっと足に力を入れて、今までよりも推定で5センチほどは高く空中に浮遊したかな?…といった程度の飛翔だったんですが、それでも駄目でした。思いっきりコケました。とんだ恥さらしでした。ジャンプというのは思ったよりも難しいものであるなぁ。…と練習の必要性を痛感した次第でありますが、ジャンプの練習と言えば桑名にちょうどいい施設が出来たんですよね。K−airというウォータージャンプ場がそれなんですが、そもそもウォータージャンプというのはどういうものかというと、スキー(もしくはスノーボード)で斜面を滑って、ジャンプして、プールに飛び込むと。ま、そういった競技らしいんですけどね。着地に失敗しても…というか、着地という概念がなくて水に落ちるだけだから怪我をする心配もなく、思い切ってエアーの技術を磨くことが出来、モーグル選手の夏場の練習にぴったりだね♪…ということらしいんですが、同じような施設は白馬の“さのさか”だとか、あとは東北のほうとかにもあるようです。で、“K−air”は日本発の都市型ウォータージャンプ場ということでありまして、いや、桑名の深谷のはずれのあたりを果たして“都市”と呼んでもいいのか?…という疑問はあるんですが、ま、確かに“さのさか”あたりと比べれば“都市”ですけどね。東名阪の桑名東ICを降りて3分と交通の便もよく、名古屋から30分、大阪からでも2時間。…と、どうやら関西方面からも人を呼び込もうという魂胆のようでありますが、果たしてこんなマニアックな施設、来年の夏まで持ちこたえることが出来るんですかね?オープンしたと思ったら、半年もしないうちに店じまい。…という引き際の鮮やかさが印象的だった『ヴァイキング桑名』の二の舞にならないことを祈るしかありません。

 ちなみにウォータージャンプに用いる板やブーツは普通に雪の上で滑るものと同じでいいそうです。ただ、どう考えても水でびしょびしょになるに違いないので、道具はレンタルしたほうが無難…とのことでありました。で、問題は服装でありますが、これもどう考えても水でびしょびしょになるに違いないので、スキーウェアではなくて、ウエットスーツを着用…ということになるようです。しかし、どう考えてもブーツと板を履いたままプールを泳ぐというのは無理がありませんかね?スキーのモーグルに関してはプロ級なんだけど、“かなづち”で泳げないのぉ。…という人も中にはいると思うんですよね。華麗なエアーをばっちり決めて着水し、そしてそのまま2度と水面には浮かび上がってこなかった。…といった悲劇が懸念されるわけでありますが、そのためライフジャケットの着用も義務付けられているようです。プールサイドにスタッフが待機して浮き輪を投げ入れるというサービスも実施しているようです。さ、これでもう安心ですね。今度の週末あたり、ちょっと飛び込んでみるぅ?…って、ウォータージャンプをするにはちょっと冷え込みが厳しすぎるような気がしますけどね。せっかく治りかけた風邪がぶり返すのは必至で、冬場はプールの水を温泉にするなどの改善が求められる次第であります。…って、思いっきり湯冷めしますかい?

 で、今日はスキーの各種目について考えてみたいと思うんですが、“モーグル”というのは分かります。雪の斜面というのは圧雪せずにそのまま放置しておくと、どうしても勝手にコブコブになっちゃうもののようでありまして、そのコブコブの斜面をいかに早く滑り降りるかというのは、競技の発想として実に自然なものですよね。ただ、今ひとつよくわからんのが、何故に途中で2回“エアー”を入れるのか?…ということなんですが、これは恐らく偶然というか、なりゆきというか、誰かが滑っていて、大きめのコブでバランスを崩して体が浮いちゃったと。滑っている本人は大いに焦って手でバランスを取ったりして、なんとかコケることだけは免れたわけでありますが、それを傍から見ていた人は、「おお、すげぇ!」と思ってしまったわけであります。“華麗な演技”と“失敗寸前の必至のリカバリー”というのは、見ているほうからすれば紙一重ですからね。で、かねてから「ただコブ斜面を滑り降りるって、何だか今ひとつ盛り上がらない?」と、口には出さなくても心の中で思っていた関係者一同、「コブ斜面を滑り降りる途中、必ず“エアー”を2回入れること。」という新ルールを設けたのでありました。…って、いや、これはあくまでも推測なんですけどね。

 で、続いては滑降回転大回転スーパー大回転パチンコ屋新装開店等の競技でありますが、これもまあいいでしょう。基本的にはスキーで山の斜面を滑り降りるだけのものでありまして、どこにも無理や無駄のない自然な発想から生じた競技だと思います。クロスカントリーも、まあいいです。 果たして、やっていて面白いのか?…というのと、少なくとも見ているほうはあまり面白くないぞ。…といった2つの問題点に関しては今後の改善が求められる次第でありますが、少なくともロシア人は「やって面白く、見ていても結構エキサイトするよね?」といった競技であると思っている。…といった可能性も捨てきれないわけでありまして、ま、他民族がとやかく言う筋合いはありませんよね。本人達が幸せなら、それでいいと思います。で、今ひとつ競技発祥の意図がわからないのがノルディックスキーのジャンプというヤツでありまして、あれはいったい、何がやりたいんでしょうね?…って、遠くに飛びたいに決まってんぢゃん。…というのがその答えなんですが、コトの発端はちょっと意外なところにありました。わりと有名な話なので知っている人も多いと思いますが、あるいは“塩通”のどこかにネタとして書いたことがあったかも知れませんが、“犯罪者に対する嫌がらせ”というのがジャンプ競技の起源だそうでありまして。

 犯罪者→けしからん→懲らしめてやるぅ!→スキーの板履かせてジャンプさせてやるぅ!

というのがそもそもの始まりのようなんですが、ま、確かにいきなりラージヒルの台で飛べ!…とか言われたら、あまりの恐ろしさに「先生、俺、もう “ピンポン・ダッシュ” やめるよ!」と、悔悟の心が芽生えたりするかも知れませんよね。もっとも、たかが“ピンポン・ダッシュ”くらいでラージヒルというのはちょっとやり過ぎで、怪我でもさせたら特別公務員暴行辱虐致傷か何かに問われるんじゃないか?…という気もするんですが、ちゃんとテレマーク姿勢とかも教えた上で飛ばせてるんですかね?よしんば教えたとしても、飛び出した瞬間に頭が真っ白になって、思い出せなくなっちゃうという事態も考えられます。空中で「あれ、ナニ姿勢だっけ?」と考えているうちにランディングバーンが近付いてきて、着地ぎりぎりになって、「そうや、ベルマーク姿勢っ!」…と間違ったことを思い出してワケのわからんベルみたいな姿勢を取って、バランスを崩してコケる。…といった事態も考えられます。間違って思い出すのが“ベルマーク姿勢”ならまだいいんですが、これが“ミルメーク姿勢”となると問題はより深刻です。「ミルメーク姿勢っ!…って、ほら、子供の頃の給食に出た牛乳に溶かすと安っぽいコーヒー牛乳みたいな味になる粉末…」などと長々と説明しているうちに着地姿勢をまったくとれないまま、そのままどーんと地面に墜落。だいたい“ミルメーク姿勢”って、どういう姿勢をとればいいのか皆目見当がつかないですもんね。ま、いずれにせよ犯罪には厳罰がつきものでありまして、悪いことをしてはいけません。…というのが今日の結論です。

 ということで、今日はジャック・ウィルソンのアトランティック盤、『ザ・ジャック・ウィルソン・カルテット・フィーチャリング・ロイ・エアーズ』というのを紹介したと思います。これはどういうアルバムなのかというと、ジャック・ウイルソンのカルテットで、ヴァイブのロイ・エアーズをフィーチャーしたものでありますな。…ということがタイトルを見ただけでわかるようになっておりますが、それ以外のことは皆目わかりません。僕の買った輸入盤はフランシス・ウエイン(誰?)の『ザ・ウォーム・サウンド』というアルバムとカップリングされた“2in1CD”なんですが、聴いてみたら前半のフランシス・ウエインのほうはギャル系のボーカル物でありました。どうしてこんなのをジャック・ウイルソンと抱き合わせで販売しようと思い立ったのか、その意図がまったく理解できませんが、少なくともアメリカ人は「絶妙の組み合わせぢゃん?」と思っている。…といった可能性も捨てきれないわけでありまして、ま、他民族がとやかく言う筋合いはありませんよね。ちなみにこの『ザ・ウォーム・サウンド』というアルバムはバラード中心のしっとりとした仕上がりでありまして、思わぬ拾いものだったんですけどね。少なくとも僕はヌリア・フェリューの可愛げのない歌いっぷりよりは遥かにタイプでございます。で、本命のジャック・ウイルソンのほうも期待に違わぬ出来でありまして、結果的にこの2枚は「絶妙の組み合わせぢゃん。」という感じなんですが、では早速、ロイ・エアーズをフィーチャーしたジャック・ウィルソン・カルテットの演奏に耳を傾けてみることに致しましょう。

 1曲目はボサノヴァの「コルコバード」です。出だし、ウィルソンの弾くメロディが何だかちょっとズレたような感じで、どうも今ひとつかな?…といった懸念が広がったんですが、でもだいじゃぶ。ロイ・エアーズが登場して透明なヴァイブの音色を聞かせるようになると、立ち直ります。いいですよねぇ、透明なヴァイブの音色、略して透明ヴァイブ。テーマの前半をウイルソンのピアノで、後半をエアーズのヴァイブで聞かせるという趣向も好きだね。…と、僕の友達のシュコースキーくん(37歳)も言っておりましたが、確かになかなか洒落たアレンジですよね。で、ソロ先発はウィルソンです。とってもいいソロを展開しております。そんだけ。いや、この人のスタイルって、何だか言葉では説明しにくいんですよね。パウエル派とかエバンス派といったジャンル分けするのも困難だし、「黒い」とか「赤い」とか「緑色い」などと色で表現するのも簡単ではないし、「アホっぽいか、そうでもないか?」と言われれば、それほどアホっぽくないタイプに分類されると思うんですが、「リリカルか、シニカルか?」と問われれば、リリカルにしてシニカルでもあり、お菓子なんかに入っている乾燥剤はシリカゲル。…と答えるしかないような独特のスタイルなわけでありまして。…って、ほら、無理に説明しようとすると余計にワケがわかんなくなっちゃいましたね。特に最後のシリカゲルがいけませんね。全然関係ないですもんね。で、ここでのウィルソンのソロに敢えて解説を加えるとすれば、軽めのボッサのリズムに乗せて、軽快にして叙情的な演奏が繰り広がられている。…ということになりますか。いや、敢えて書くほどのことでもなかったかな?…と思わずにはいられないほど内容が空虚でしたが、エアーズが出てきて、テーマに戻って、おしまい。全体的に「ギャルに受けそう?」といったイメージの強い、素晴らしい演奏でありました。

 はい、2曲目です。ここからはすべてウイルソンのオリジナルになりますが、まず手始めは「ジャックレグ」という曲でありますな。「ジャックの脚」といった意味でありましょうか?いや、まったくソソされるものがありませんな。いや、僕はジャック・ウィルソンの生アシを直接見たことはないんですが、だいたい想像がつきますよね。ザウルスのゲーム「バグ・スカッシュ」に登場する実写版の“腕”。アレを“脚”にしたようなものだと思っておけば、まず間違いはないでしょう。いや、僕はいりません。ちなみに僕のタイプは“太股がぽっちゃりしていて、サワりごたえのある脚”でありますが、そんなことはどうでもよくて「ジャックレグ」ですね。アップ・テンポのギャル心に今ひとつピンとこない曲でありまして、「もしかしてこのアルバム、最初の1曲だけか?」という懸念が広がったんですが、でもだいじゃぶ。いや、この曲だけはどうにもならんのですが、3曲目以降は立ち直りますので、その言葉を信じて今はただただ耐えましょう。いや、耐えると言ってもヴァルド・ウィリアムスみたいに“存在自体が苦行”というわけでは決してありませんので、それほど心配することはないんですけどね。根はバップ。ということで、ジャンル的には根・バップに属する曲だと思われますが、ピアノとヴァイブのユニゾンでテーマが演奏されます。AABA形式の“Bの部”は前半をエアーズ、後半をウィルソンと弾き分けて、で、ソロ先発はウィルソンですな。超アップ・テンポで破綻のないプレイが展開され、立派です。スタイル的には極めてオーソドックスで、あるいはパウエル派というくくりでもいいかもしれません。で、中間にちょっとしたアンサンブル・パートを挟んでロイ・エアーズのソロになります。超アップ・テンポで破綻のないプレイが展開され、立派です。スタイル的には極めてオーソドックスで、あるいはミルト・ジャクソン派というくくりでもいいかもしれません。で、テーマに戻って、おしまい。決して素人ウケのする演奏ではありませんが、悪くない演奏だよね。…と、何回か聴いているうちに素人でない人なら思えるかも知れないね。…といった演奏でありました。

 ということで3曲目です。「ブルース・ウイ・ユーズ」。これまた、実にわかりやすいブルース・ナンバーでありますな。アーシーというほどでもないんですが、トラディショナルにコテコテ。略して“トラ・コテ”といった感じのオーソドックスな仕上がり具合は恐らく“わざと”でありましょう。仮面ライダー・ワザト。そんなヤツはいませんね。ピアノとヴァイブのユニゾンでテーマが演奏され、ソロ先発はジャクソンです。いや、ウィルソンです。たまにジャックとウィルソンが一緒になって、略してジャクソンになっちゃうんですが、しかしなんですな。このCDの原文ライナーはジャック・ウィルソンの経歴とかばかりが長々と書いてあって、肝心の曲解説がひとつもなくて、引用でお茶を濁すことが出来なくて、書くことがなくて、いけませんアンソニー・コルベットの猛省を促す次第でありますが、ウィルソンは実にわかりやすいブルース・プレイを展開しております。それほど陽気でないウイントン・ケリーというか、シニカルなケニー・ドリューというか、書くことがないから適当でありますが、前半はシングル・トーンで、後半には若干のブロック・コードも交えて、実にグルーヴィなプレイを展開しております。とってもいいと思います。で、ソロ2番手のロイ・エアーズは実にミルト・ジャクソンですな。ヴァイブにおけるブルース・プレイのお手本のような感じでありまして、特に途中、倍テンポになるところが実に盛り上がっておりまして、いいです。で、アル・末期本の地味なベース・ソロがあって、テーマに戻って、おしまい。以上、とってもわかりやすい1曲でありました。

 4曲目は「ハーバー・フリーウェイ」です。港のフリーウェイ。いいですねぇ、族の溜まり場になりそうで。で、これはBN盤『サムシング・パーソナル』に入っていた「HARBOR FREEWAY 5 P.M.」と同じ曲であります。やっぱり港のフリーウェイは午後5時だよな。…と自分的にはすっかり納得していたんですが、ウィルソン自身は別に午後5時には何のこだわりもなかったんですね。ちなみに『サム・パー』にもロイ・エアーズが参加しておりますので聴き比べてみるといいと思いますが、BN盤のほうがかなりゆったりしたテンポとなっております。録音年でいうとアトランティック盤のほうが数年早いんですが、こちらのほうはかなり速いテンポで演奏されております。ピアノとヴァイブのユニゾンでテーマが演奏されますが、メロディの合間に聴かれる「ぴゃらららららら♪」という“合いの手フレーズ”がとってもウィルソンらしいですね。で、テーマが終わるといきなりドラム・ソロになって、お、ちょっと考えたな。…といった感じでありますが、ドラム・ソロが終わるといきなりテーマに戻って、そのまま終わってしまいました。心に残るなかなかいいメロディの曲だけに、じっくりウィルソンやエアーズのソロを聴きたかったところでありますが、ま、欲求不満は『サム・パー』のほうで晴らしてくださいね。で、5曲目は「デ・クリティフェウクス(?)」です。すいません、読めません。ミディアム・ファストのナンバーなんですが、何ともミステリアスなムードでありますな。イントロの部分の不可思議サウンドは何やら東洋的な怪しさを秘めておりますが、テーマ後半のメロディからはパリジャン的なコチジャンぢゃん。…といった小粋さも伝わってまいります。ボッサ的なリズムも登場します。で、ソロ先発はウィルソンですね。とってもいい演奏です。本アルバムでもベストと呼べる出来ではないですかね?そんだけ。続くエアーズもとってもいいソロを展開しております。そんだけ。

 はい、ラストです。「ニアヴァーナ&ダーナ」「ニアヴァーナとダーナ」という曲ではなくて、「ニアヴァーナ」「ダーナ」という曲が続けて演奏されると、そういうシステムになっております。「ニアヴァーナ」のほうは、アレですな。涅槃です。BN盤『イースタンリー・ウインズ』でも演奏されていた曲です。いかにも涅槃らしいオリエンタルな情感を湛えたナンバーでありまして、マクリーン、リー・モーガンといった豪華メンバーを揃えたBN盤の演奏も無論悪くないんですが、こうしてヴァイブをバックにしっとりと演奏される涅槃というのも、これまた一層ニアヴァーナ。 ワルツのリズムが可憐なムードを演出しておりますが、涅槃はやっぱりワルツでありましょう。いや、意味はよくわかりませんけど。で、ウィルソン、エアーズと快調なソロが続き、BN盤にはなかった涅槃的なアンサンブル・パートとドラムスの絡みがあって、テーマに戻って、おしまい。…にならずに次の「ダーナ」へと流れていくんだな、これが。こちらはアレです。しっとりバラードです。ビル・エバンスを思わせるようなリリシズムが泣けます、鮭鱒、サツキマス。長良川で獲れます、サツキマス。で、ロイ・エアーズとの絡みも絶妙です。ギャルに受けます。それも、わりと性格の暗いギャルに受けるような気がします。髪の長い女で、いきなり夜中に電話をかけてきて、「私、今、手首を切ってるのぉ。。。」…というようなタイプの女って、アトランティック盤が好きですからね。いや、何となく。根拠はありません。ということで、とっても無難にまとまった小品なのでありました。おしまい。

【総合評価】

 ジャック・ウィルソンって、何となくBN盤でデビュー。…という印象があったんですが、アトランティックで世の中に出てきた人だったんですね。で、ロイ・エアーズとのコンビネーションは相当に双頭コンボ。…と言っていいほど相性もバッチリで、鯖寿司もバッテラ。…といった感じでありまして、とってもいいと思います。いいですなぁ、ジャック・ウィルソン。あとは『ソング・フォー・マイ・ドーター』のCD化を待つだけですな。


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