VERGO VIBES (ATLANTIC)

ROY AYERS (1967)

VIRGO VIBES


【パーソネル】

ROY AYERS (vib) CHARLES TOLLIVER (tp)
JOE HENDERSON (ts) RONNIE CLARK (p) REGGIE WORKMAN (b) BRUNO CARR (ds) <#1〜3><Br> HAROLD LAND (ts) JACK WILSON (p) BUSTER WILLIAMS (b) DONALD BAILEY (ds) <#4〜7>

【収録曲】

THE RINGER / AYERLOOM / IN THE LIMELIGHT
VIRGO VIBES / GLOW FLOWER
MINE ROYD / NUMBER SEVEN
【解説】

 今日は…というか、今日も“座薬”について考えてみたいと思います。いや、せっかく“肛門に薬を挿入する”という貴重な経験をしたからには、2回くらいはネタを引っ張らないとモトが取れないかな?…と、根が貧乏性な僕としては思ってしまうわけなんですが、そんなわけで今日は“なるほど・ザ・座薬”というか“座薬の座学”というか、とにかくそういったテーマでお届けしたいと思います。

 えー、薬の歴史を世界史的に紐解いてみるとですね、その起源は遠くエジプトやメソポタミア文明にまで遡るようです。古代メソポタミア文明(BC4000年頃〜)の時代には“悪霊退散”の薬として動物のウンコを使った。…という記録があるそうですが、これは果たして“”と呼べるんですかね?ただの嫌がらせではないか?…という気がしないでもないんですが、そういえば今日の新聞には50過ぎのオバハンが中年の男から大便を投げ付けられ、怯んだ隙に金品を奪われた…というニュースが載っておりました。近年稀に見る凶悪な嫌がらせですよね。いくら50を過ぎたオバハンでも、これはさすがに怯みます。同じ金品を奪うにしても、もう少しクリーンな方法はなかったのか?…と、犯人に対する憤りを禁じることが出来ませんが、とにかくまあ、紀元前4000年くらいの薬は“動物のウンコ”であったと。で、これがエジプト時代ともなると、もうちょっとマシになってきます。800種の薬の処方、700種の植物・動物・鉱物薬の記録があるそうですが、病魔追い出しが最優先で、吐剤下剤浣腸の処方が多い…とのことでありました。とにかくゲロウンコが諸悪の根源である。…というのが当事のエジプト人の医学的発想だったのでしょう。とにかくゲロを吐かせてウンコさせて、体の中から悪いものを出しちゃえば、万事健康ぢゃん。…みたいな。いや、この考え方はあながち間違いではないと思うんですけどね。

 えー、薬の歴史は以上です。まったくタメにならない、ただの行数稼ぎだったな。…と思わずにはいられませんが、続いて薬の種類について考えてみましょう。世の中にはたくさんの種類の薬がありますよね。“飲み薬”と“塗り薬”。えーと、僕がすぐに思いつくのはこの2つでありますが、あ、特殊なところで“目薬”というのもありますか。で、その形態に違いこそあれ、薬が担っている役割というのは共通しております。何とかしてカラダの中に入り込んで、悪いヤツをやっつける。その一事に尽きるわけでありますが、“飲み薬”というのは口を通してカラダに入り込み、腸の粘膜から吸収されることを意図しているのでありましょう。いや、もしかしたら違うかも知れませんが、いずれにせよ薬効成分が吸収されるまでにかなり時間がかかってしまい、何ともまどろっこしい話でありますなぁ。…というのがネックでありますな。

 はい、そこで“座薬”です。口から腸に至るまでに時間がかかるというのなら、出口のほうから攻めちゃおう。…というのがその根本的な発想なんですが、何せ肛門を抜ければそこはもうですからね。もう、超簡単って感じぃ?ただ、大腸というのは小腸に比べると薬物の吸収能力には劣っているそうでありまして、ま、それはそうでしょうね。食べ物から養分を吸収する大切な器官である小腸と、そのカスから水分だけ搾り取って、とりあえずウンコが水っぽくなっちゃうのを防ぐことだけが任務である大腸とでは、おのずとその意気込みが違ってくるのは当然の話でありまして。で、薬の吸収能力は小腸の約半分であるというから、そのヤル気のなさが窺われますよね。その結果どのような弊害が起きるのかというと“座薬”は大きい。…といった問題が生じてまいります。吸収力が半分しかないから、倍の量で勝負しなければならなくなってくるわけです。なるほど、僕が“座薬”を見て「思ったよりも大きいぢゃないか!」と思ってしまったのは、そういう理由があったわけなんですな。「肛門の穴を大きくしようと企む、一種の嫌がらせぢゃないか?」と思ってしまったのは僕の単なる邪推でありました。この点では「申し訳なかった。」…と謝るより他ありませんが、ちなみに“座薬”というネーミングの由来は“座って飲む薬”ではなく、“肛門付近に座して薬効を生ずる薬”といった意味でありましょう。まさしく“止まってなおすプリザS”の発想でありますな。なるほど、痔には経口で服用するより肛門に直に突っ込んだほうが、はるかに効果的なんじゃないか?…という気はしますよね。もっとも、あれほどの容量のある“座薬”を突っ込んだりして、痔が切れたり、イボに悪影響を与えたりといった心配はないのか?…といった点が心配されるわけでありますが、最初はちょっと痛くて血が出たりしちゃうんだけど、何度も入れているうちに次第に慣れてきて、やがてそれが快感になっちゃうのぉ♪…ということなのかも知れません。いや、痔になったことはないので、よくわからんのですけど。

 で、最後に“座薬”の使用上の注意でありますが、保管場所としては必ず“冷暗所”でなければなりません。“霊安室”というのもわりとひんやりしているから大丈夫だと思いますが、ご家庭では冷蔵庫で保管するのが無難なようですね。何故なら“座薬”というのは肛門内の体温によって外側の蝋状の容器がとけるように出来ておりますので、温かいところに保管しておくと“夏場の遠足に持っていったアポロチョコレート”のようにドロドロになってしまいます。特に夏場は冷蔵庫で保管しなければならない所以でありますが、その際にもうひとつ注意しなければならないのは“冷蔵庫から出したてのものを使用しない”ということでありまして。いや、“出したて”のほうがひんやりしていて、挿入時に気持ちいいんぢゃないか?…という気はするんですが、その分“出したて”のものはまだ薬全体が硬くなっておりまして、肛門を傷つけちゃうことがあるそうです。冷蔵庫から出して、常温に1時間ほど放置したものを使うのがベストということでありましたが、痔が今にも切れそうで、とても1時間も待ってるだけの心の余裕はねえ!…という場合は、(1)股の間に挟んで、素股で温める (2)痛いのを我慢して出血覚悟で挿入する…の、どちらかの方法をとるとよいでしょう。血を恐がっていては世の中、何もよくはなりませんからね。との聖なる戦いは今、始まったばかりです。肛門から血の滲む覚悟で、とのハードな聖戦(ジハード)を戦い抜こうではありませんか。

 ということで、今日はロイ・エアーズです。いや、前回の『ジャックナイフ』はとってもいいアルバムでありながら、ほとんど書くことがなくて手抜きの極みで申し訳ない限りでありましたが、でも今日は大丈夫です。購入した時、期待度はまあせいぜい17%くらい?…という感じだったんですが、いざ実際に聴いてみると予想を遥かに上回る出来のよさでしたからね、『ヴァーゴ・ヴァイブズ』。で、このロイ・エアーズという人について僕はあまり詳しいことは知らんのですが、イメージでいくと“ボビ・ハチよりもひとつ若い世代のヴァイブ奏者”といったところでしょうかね?で、レア・グルーヴ系の間で根強い人気を誇っている…という話もチラっと聞いたことがあるような気がします。それを耳にして僕は「けしからんっ!」と思ってしまいましたね。いや、レア・グルーヴ系というのがどういう系列なのか今ひとつよくは知らんのですが、「レア・グルーヴ系に人気俗化している」という、あまり根拠のないイメージが僕のアタマの中に出来上がっておりまして。で、アトランティックの輸入盤CDは録音年月日などのデータが全然詳しくなくて、そこのところも購入する際には今ひとつ不安なんですが、この『ヴァーゴ・ヴァイブス』はサイドマンが素晴らしかったので、思わず買ってしまいました。ジョー・ヘンチャールス・トリヴァー(一部、テナーがハロルド・ランドに変わる)ですからね。これはもう、うまくいけばボビ・ハチのBN盤みたいなサウンドなのではないか?…と、僕の期待はいやが上にも高まるわけでありますが、いや、そのわりには期待度17%だったんですけどね。ということで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 まず最初は「ザ・リンガー」という曲です。日本名「振鈴装置」と翻訳ソフトでは出ましたが、そんな装置、世の中にあるんですかね?「ふりちん装置」なら聞いたことがありますが、いや、装置が何も必要ないところが“ふりちん”のいいところだと思うんですけどね。で、曲のほうはアレです。イントロを奏でるエアーズのヴァイヴ爽やかに、テナーとトランペットのユニゾンによるテーマは溌剌と。いや、後から調べてみたらどうやら1967年録音みたいなんですが、この頃のロイ・エアーズは実にストレート・アヘッドにジャズに取り組んでいたののだなぁ。…ということが判明し、まことに喜ばしい限りでありますなぁ。モードというよりハード・バピッシュという形容がぴったりくるナンバーでありまして、テーマの後半、ややジャズ・ロック調に身を持ち崩しそうになるんですが、でもだいじゃぶ。すんでのところで思いとどまっております。ちなみにこれ、チャールス・トリヴァーのオリジナルでありまして、そのうわべの複雑さにもかかわらず、Cマイナー、Aフラット13、G13の3つのコードだけから出来ているそうであります。なるほど。こうやって書くと、何だか曲解説がとってもソレっぽくて、いいですね。

 で、ソロ先発はエアーズです。何というか、1音1音をとっても大切にするタイプのヴァイブ奏者でありますな。いたずらにマレットを4本も6本も使ってテクニックをひけらかしたりしないところに好感が持てますね。時折、かすかに唸り声が漏れちゃったりするのはヴァイブ奏者特有の職業病のようなものだから仕方がないとして、とか言ってるうちにトリヴァーのソロになりましたな。『ジャックナイフ』のところにも書きましたが、僕、トリヴァー好きなんですよね。タリバンというのにも僕はわりと好意を抱いているんですが、“やり○ん”というのはいけませんね。とか言ってるうちにジョー・ヘンダーソンのソロになっちゃいましたが、いや、トリヴァーのプレイってとってもいいんだけど、あまり書くことがないのがネックでありまして。で、ジョー・ヘンは最初、独り言のようにぶつくさと似たようなフレーズを反復した後、次第にペースを掴んで “うねうね” とした長いフレーズに繋げていくあたりがとっても “らしく” って、いいじょー。…と僕は思います。で、続くピアノ・ソロはソニー・クラークならぬ、ロニー・クラークという人でありますな。線の細いタッチが特徴で、あまり特徴のないところがこの人の特徴かな?…という気がしますが、いや、コンピングでは結構派手にカマしたりしてるんですけどね。ちなみに原文ライナーには、ロニー・クラーク、ピアニストは、きらきらとオリジナルのスタイルを持つ牡羊座である。…とありました。なるほど、牡羊座でしたか。言われてみれば確かに「いかにも牡羊座だな。」…といった感じのプレイをする人ですよね。地味なリリカルさ。そんなところが持ち味ですかね?で、再び溌剌としたテーマに戻って、おしまい。いや、1曲目を聴いた時点で17%だった期待度は97%近い満足度へと変わっていったのでありました。いいぞぉ、ロイ・エア。

 で、2曲目の「エアールーム」が、これまたベタに日本人好みのナンバーでありまして、作曲したのはロイ・エアーズが恥垢好きのドラマー、チコ・ハミルトンと一緒に聴いたロイ・ノーマンと命名されたフルート奏者…とのことであります。ジョー・ヘンとトリヴァーの爽やかなユニゾンによるイントロで幕を開けますが、そのバックでピアノを弾くロニー・クラークはちょっぴりマッコイを思い起こさせますね。で、テーマ部はエアーズが奏でる主旋律に2管のハーモニーが絡む。…といったアレンジが施されておりまして、なんとも爽やかなムードに仕上がっております。ちょっぴり軽めのボッサのリズムが何とも日本人のハートのストリングスを揺るがせるよね。…とか思っていたら原文ライナーには「私は、あなたがこのパフォーマンスのスタイルをネオ‐ボサノバと呼ぶであろう、と推測する。」という一節があって、何だか嬉しくなってしまいました。僕と意見を同じくするレナード・フェザーはとってもいいヤツだと思います。が、「Joe henderson は、ここで少しジュニア・クックを私に思い出させる。」とあるのは、ちょっと同意しかねますな。これのどこがジュニア・クックなんすかね?どう聴いてもいつも通りのジョー・ヘンだと思うんですが、僕と意見を異にするレナード・フェザーはおそらく実にどうでもいいヤツなのではないかという気がします。続くロニー・クラークはイントロで感じた“マッコイらしさ”がソロに入るとまったく消えちゃうんですが、強いて言えば誰に似てますかね?戦艦ポチョムキン号?…って、そんなものに似ていたところで、いったいどうなるというんでしょうね?ま、いずれにせよ、続くチャールス・トリヴァーのプレイにフレディ・ハバードの影響を見るレナード・フェザーの意見には僕も賛成でありまして、ここでは短いながらも彼のベストと言えるパフォーマンスを披露していると言えるでありましょう。いや、あまり書くことはないんですけど。で、再びロイ・エアーズがリードするテーマに戻って、エンディング。いや、実に素晴らしい演奏でありました。

 で、3曲目の「イン・ザ・ライムライト」はジェラルド・ウィルソンのオリジナルとのことでありますが、これまたストレートに日本人受けのする曲でありますな。ジャズ・ロック的な雰囲気もあって、ベタ寸前…といった危うさを秘めてはいるんですが、哀愁味を帯びたメロディが、たまらんっ!…といった作品に仕上がっております。テーマはテナーとトランペットのユニゾンでありまして、で、ソロ1番手はエアーズですな。よく歌うフレーズがとってもいいと思います。…と、当たり障りのないことを書いておいて、ソロ2番手はジョー・ヘンダーソンです。吹っ切れちゃったかのようなストレートなブロウがとってもいいと思います。…って、次第に書くことがなくなってきましたが、彼にしては蓮っ葉な風情がなんだか楽しい。そんな演奏に仕上がっております。で、続いてはトリヴァーですな。この人の演奏って、よく聴いているとクリシェともいえるお得意のフレーズがよく出てくるんですが、ま、それもまた人生。一生懸命に吹いていれば、やがて報われる日もあるさ。…ということを信じてこれからの人生を歩んでいって欲しいと思います。で、続くロニー・クラークが何だかえらく張り切ってますな。さすが、伊達に戦艦ポチョムキン号に似ているわけじゃないですね。ということで、以上、ブルーノ・カーの派手なドラミングも印象的な楽しい1曲でありました。

 はい、4曲目です。このアルバムは元来、全5曲入りでありまして、ここまでくれば曲解説もあと一息だな。…といった感慨に浸れるわけでありますが、オマケ曲が2曲入っているので、それを考慮すると、これでようやく半分まで到達ということになりますね。先は長いですなぁ。。。で、ここから若干のメンバー・チェンジがあって、テナーはジョー・ヘンからハロルド・ランドに変わります。ええ、ランドぉ。…と不満に思う人もいるかも知れませんが、この人はボビー・ハッチャーソンと双頭コンボを結成していたこともあるくらいだから、ヴァイブとの相性はいいに違いないわけでありまして、恐らくは大丈夫でしょう、きっと。で、ピアノがロイ・エアーズの朋友、ジャック・ウィルソンというのが嬉しいですね。ベースにはバスター・ウイリアムス、ドラムスはドナルド・ベイリーと無難なところを揃えて、メンバー的には前半のセッションと何の遜色もないと言うことが出来るでありましょう。で、タイトル曲の「ヴァーゴ・ヴァイブス」はエアーズのオリジナルであります。翻訳ソフトにかけたら「乙女座雰囲気」と出ましたが、“VIBES”には“雰囲気”という意味があるんですかね?で、“VIRGO”は“乙女座”ですか。僕は最初、「双子座だったかな?」と思っていて、“双子座ヴァイヴ”って、“ツイン・ゴッド”みたいなものなんすかね?…というネタを用意していたんですが、それはともかく、曲自体はかなりベタな純正ブルースでありますな。 何だか、ただでさえ痰が絡んで苦しいというのに、聴いてるだけで呼吸困難になりそうなアーシーなナンバーでございます。3曲目までとはころっと雰囲気が変わっちゃいましたね。で、これのどこが「乙女座雰囲気」なの?…という気もするんですが、ジャック・ウィルソンのピアノによる導入部がとってもブルージーでよいですな。爽やか新種流派路線という印象の強い人なんですが、意外とブルースがうまかったりするんですよね、ジャック・ウイルソン。

 で、続いてロイ・エアーズが登場しますが、これはベタな形容ながら、ミルト・ジャクソン的なブルース・プレイと言うことが出来るでしょうか?で、続くテナー・ソロが幾分“うねうね”しておりましたので、ああ、ジョー・ヘンだなぁ。…と思って聴いていたんですが、ここからハロルド・ランドに変わったんでしたよね?一言でランドと言っても、いろんなスタイルで吹けるもんなんなんだね。…と、その間口の広さに改めて関心させられた次第でありますが、続くトリヴァーのトランペットが何だかブルー・ミッチェル的な響きを有しているのも面白いと思います。わははははは。で、ジャック・ウイルソンのブルージーなソロがあって、なんでもいいけど12分50秒もあって、正直なところ途中でちょっと嫌になってきちゃう瞬間もあるんですが、ま、これはプロデユーサーであるハービー・マンの提案によって自然にテープにとられたものだそうでありまして、プロデューサーの意向には誰も逆らえないやぁ。…ということで5曲目です。ロイ・エアーズのオリジナルで「愚弄・フラワー」。そうそう、これこれ。こういう世界を待ってたんだよね、僕。…と思わず嬉しくなってしまった、典型的な60年代新主流派風のナンバーでございます。ボビ・ハチとかジョー・チェンバースあたりが書きそうなリリカルなワルツ曲でありまして、ヴァイヴの響きが何ともいえず泣けます。チャールス・トリヴァーのトランペットがフレディ・ハバード的に響くところがポイントですかね?で、ソロ先発はエアーズです。前半は叙情的に、そして次第に熱く。とってもいい演奏だと思います。そんだけ。で、ソロ2番手はトリヴァー。やはりフレディ・ハバード的でありますが、彼よりは真面目そう。そういった感じがします。で、続くランドのソロがいいですな。ベテランの味って感じぃ?…って、曲解説も5曲目までくるとほとんど書くことがなくなってまいりますが、続くジャック・ウィルソンのソロもいいです。ロマンチックですね。いや、顔を見ると別にそれほどロマンを感じさせるようなルックスではないんですが、ピアノは顔じゃない。…ということを改めて教えてくれて、人生を生きていく上での教訓にしたいイカくん。(編集部注:イカの燻製のこと。)…といった1曲でありました。

 で、CDおまけ曲最初の「マイン・ロード」はウィルソンのオリジナルであります。タイトルは違いますがウイルソンのリーダー作『イースタンリー・ウインズ』に入っていた「オン・チルドレン」と同じ曲でありまして、そちらのヴァージョンより若干速めのテンポで演奏されております。トリヴァー、ランド、エアーズ、ウィルソンと、いずれも短めながらも充実したソロが繰り広げられ、アルバムに採用されなかったのが不思議なくらいの出来栄えなんですが、所詮はCDおまけ曲なので詳しくは触れません。とっても生き生きとした演奏なのでありました。…ということで、ラストです。「ナンバー・セブン」はロイ・エアーズのオリジナルで、エキゾチックというのか何と言うのか、ちょっと捉えどころのないメロディの曲でありますな。本採用を見送られたのも仕方がない?…という気もするんですが、ランド、エアーズ、トリヴァー、ウイルソンと、まずまずのソロが続きます。ということで、今日は以上です。

【総合評価】

 いや、よいですな。ジョー・ヘンとかフレディ・ハバードと共演しているボビ・ハチが好き♪…という人なら間違いなく楽しめると思います。無論、ハロルド・ランドやチャールス・トリヴァーと共演しているロイ・エアーズが好き♪…という人でも大丈夫です。ヴァルド・ウイリアムスの炸裂するネオ・フリー・バップ魂がたまらん♪…という人にはちょっと物足りないかも知れません。とりあえず、ロイ・エアーズでどれか1枚ということなら僕はこの『乙女座雰囲気』を推薦しますね。いや、他のアルバムは持ってないっすけど。


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