HERE AND NOW (MERCURY)

ART FARMER,BENNY GOLSON JAZZTET(1962/2,3)

HERE AND NOW


【パーソネル】

ART FARMER (tp,flh) GRACHAN MONCUR (tb) BENNY GOLSON (ts)
HAROLD MABERN (P) HERBIE LEWIS (b) ROY McCURDY (ds) 

【収録曲】

TONK / RUE PREVAIL / RICHIE'S DILEMMA / WHISPER NOT
JUST IN TIME / RUBY , MY DEAR / IN LOVE IN VAIN from "Centennial Summer" / SONNY'S BACK

【解説】

 今年も検便の季節がやってきました。るんるん♪いいですなぁ、検便は。検便はオイシイです。いや、検便自体はそれほどオイシイものではなく、というか、実際に食べてみたことがないのでよくワカランのですが、“愛子、検便食う”というアイク・ケベックに捧げた俳句は顰蹙を買ってしまいましたしね。が、検便検便という言葉だけで笑いを取れるという点で、僕たち物書きにとってはかなりオイシイ存在であると言えましょう。“健全な検便は健全な肉体に宿る”という有名な言葉もありましたが、検便と言えば先日、うちの事務所ではちょっとした検便ブームが巻き起こりました。というのも、某町の上水道施設の工事に着手するにあたり、検便を義務づけられたそうでありまして。ま、確かに住民の飲み水にかかわる問題ですからね。高校の学園祭の模擬店でさえ、責任者の珍道クン(本名)は、「検便出せって言われたぁ。。。」と嘆いておりましたが、いや、実際にフライドポテトを袋につめたりするのは、便所に行ってもろくすっぽ手を洗わない僕だったりするので、あまり意味がないような気もしたんですけどね。で、今回の工事は僕は担当者ではないので直接関係はなかったんですが、“腸内細菌検査”とやらをどこで受けたらいいのか、いろいろと調べていたようです。ハタから無責任な立場で見ている分にはなかなか楽しかったんですが、当人にとっては笑い事ではありません。その態度は至って真剣でありまして、そしてちょっと焦っていたんでしょう。病院に電話して、「検便の検査についてお聞きしたいんですけどぉ。」とか言ってましたもんね。そしてOLさんに「“検便の検査”っておかしいよねぇ。検便についてお聞きしたいんですけどぉ…とか、便の検査についてお聞きしたいんですけどぉ…とか。」などと言われておりました。

 で、インターネットで“最寄の検便スポット”について検索したりもしてたようなんですが、ちょっとヤバかったですな。というのも“検便”をキーワードにサイト検索した場合、“塩通”のどこかのページが引っかかってくる恐れがないとも言い切れませんもんね。つい先日もマンポン技士のマツムラ君(仮名)が、何やらマジな面持ちで「“塩サバ”に余計なこと書かないでくださいよー。」と言ってきました。何事かと思ったら“Yahoo!”で“マンホールポンプ 点検”をキーワードに調べていたところ“塩通”が出てきて、“一番楼”での会話に関して僕が何やら余計なことを書いたとかで、ウメムラ君(仮名)は「ムカつくぅ!」とか言ってしきりに怒っているんですよね。後でこっそり調べてみたところ、「ま、タ○ムラ君がマンホールポンプの点検で、ウンコまみれになって頑張っている努力は認める。」などと書かれたページがヒットしまして、個人的には「これくらい、いいぢゃん。」という気がしないでもないんですが、また本人に見つかるとうるさいので今回は仮名にしておきました。で、“検便検索”に関しても同じような問題が起きる恐れもあったんですが、今のところこれといったクレームは出ておりません。ちなみに“jazz giant”関連でサイト検索する場合、例えば“女子高生”というキーワードにAND条件で“パーソネル”という言葉を加えてやると、かなり的確な絞込みが出来るみたいです。暇な人は一度、試してみてくださいね。

 で、今年の検便です。今年の検便たって、ンなもん、毎年同じやろ?…とか思った人は読みが甘いです。今年から塩サバ物産(仮名)の岐阜営業所では健康診断を受診する医療機関として、名古屋の“マリンクリニック”と岐阜の“赤○字病院”のうち、好きなほうを選べるようになりました。どうして“赤○字病院”のほうだけ伏字になっているのかというと、後に名誉毀損にかかわる恐れのある発言が出てくるからなんですが、僕の場合は岐阜よりも名古屋に行くほうが近いので、例年どおり“マリンクリニック”で受けることにしました。10月18日(金)です。タケ○ラ君は先日“赤○字病院”のほうで受診したんですが、「最悪っすよぉ。。。」などと言っておりました。「ナースの質が、“ナースの質”と呼べるようなレベルじゃない」とのことでありました。いや、健康診断の質として、そんなことはまったく関係ないぢゃないか?…という気がしないでもないんですが、「今年も“マリンクリニック”にしといて、よかったぁ♪」と思いました。かわいい看護婦、多いんですよねぇ、マリンちゃん。で、“赤○字病院”の“検便の検査”がどのようなものであるか詳しくは聞かなかったんですが、“マリンクリニック”のほうは今年から少し変わっておりました。何が変わったのかというと“検便の容器”が変わりました。こんな感じです。

検便容器♪

 まず最初に、去年まで適当な感じで封筒に突っ込まれていた“正しい大便のとり方”の用紙がきちんとパッケージングされていることに驚きました。“検便容器”の入っている下部と一体になっておりまして、ミシン目の入ったキリトリ線から切り離すと用紙が取り出せるようになっていて、そして残った下半分は封の出来る“提出用袋”になるという、なかなか凝った作りとなっております。いや、“正しい大便のとり方”の用紙など、わざわざ半透明の袋に密封する必要があるのか?従来どおり適当な感じで封筒に突っ込んでおけば、それで済む話ではないのか?…という気がしないでもないんですが、検便容器業者には検便容器業者なりの、何か人には言えないような事情があるのでありましょう。で、検便容器自体の形状も変わりました。去年まではもっと細い鉛筆みたいな形でしたもんね。どうしてこのような大きめで平たい形状に変更したのか定かではありませんが、あるいは “肛門に刺さないでください” という注意書きがあったにもかかわらず、肛門に刺しちゃう被検者が後を絶たなかったのかも知れませんね。思わず肛門に刺してしまって、ちょっぴり出血して、それが便に混じった潜血と紛らわしくて、検査に支障を来たした。…といった事態は充分に考えられますからね。いや、いくら “肛門に刺さないでください” と言われても、思わず刺さずにはいられないような形をしてましたからねぇ、去年までの検便容器。これは刺しちゃった僕が悪いんじゃなく、思わず刺さずにはいられないような形の検便容器を作った業者が悪いっ!…と言われて、「うっせぇなあ。。。」とか思いつつ、しぶしぶ“あまり肛門に刺す気をソソられない検便容器”へと形状を変更した。…といった経緯があったのかも知れません。それが証拠に、今年から “肛門に刺さないでください” という注意書きが無くなってますもんね。

 が、苦心の末の改善策にもかかわらず、今年また新たな患者からのクレームが出されて、担当者の頭を悩ませるのでありました。すなわち、「大きすぎて、肛門に刺しにくいぢゃないか!」…と。

 ということで“ジャズテット”です。“ジャズテット”というのはアート・ファーマーベニー・ゴルソンが結成した双頭コンボなんですが、今ひとつ不人気ですな。不人気の原因はいくつかあろうかと思いますが、まず第一に“ジャズテット”という、分かりやすそうでいて工夫のないネーミングが今ひとつだった。…という点があげられようかと思います。僕がまだジャズに疎かった頃、「“ジャズテット”ぉ?何じゃそりゃ。」と思ってしまいましたもんね。いや、何となくなんですけど。カルテットとかクインテットというのは聞いたことあるけど、ジャズカルテットだかクインテットだから“ジャズテット”って、そりゃあんまりじゃないか?…という気がしました。いや、実際にはトロンボーンを入れた3管セクステットのコンボなんですけどね。で、演奏自体も黒人グループのくせにアレンジ重視で知的に迫るぜ!…みたいなところがあって、ジャズ的なスリルが著しく不足しているところが不人気の最大の要因ではないかと思われます。が、個人的には“ゲロ吐くほど嫌い”というほどでもないので何枚かアルバムを所持したりもしておりますが、ということで『ヒア・アンド・ナウ』です。マーキュリー盤です。僕はマーキュリーには特別な思い入れがございまして、あれは今から15年ほど前になりますか。僕は大学受験のため、東京は浅草橋の“ホテル・マーキュリー”というところに4日ほど泊まっておりました。“受験生パック”とかで2食付のプランだったんですが、このホテルには中華料理屋しかなかったので、とってもうんざりしました。僕のマーキュリーに対する思い入れというのは、以上です。

 ジャズとは何の関係もない話でしたね。で、この『ヒア・アンド・ナウ』というアルバムなんですが、僕はこのCDを“究極のダブり買い”しちまいました。先日、名古屋で1級電気工事施工管理技士(実技試験)の講習会があったんですが、あ、そういえば試験日は10月20日ですね。こんなことしてる場合ではないような気がしてきましたが、とにかくまあ、その講習の帰りに名駅の“たわけレコード”(仮名)に寄ったと。で、僕はいつも“”の棚から順にチェックしていくんですが、アート・ファーマーのところにあったこのアルバムが目に留まったので、とりあえずキープしておいたと。が、いろいろと漁っているうちに購入予定枚数が増えてきたので、「“ジャズテット”、ま、いっかぁ。。。」と思って放棄してしまったと。が、帰り際になって思い直して『ヒア・アンド・ナウ』を再び手にとり、そのままレジへと向かったんですが、家に帰って調べてみたら同じものが2枚ありました。放棄したつもりが、その時点で思いとどまっていたんですなぁ。。。いや、ジャズ・コーナーに珍しくギャル系の客がおりまして、「僕、ジャケットなんか見なくても、すべて分かってるんだ。」みたいな感じで、いかにも通っぽい態度で手持ちのCDをよく確かめもせずレジに向かったのが失敗でありました。レジの兄ちゃんも同じCDが2枚あって、「ん?」と疑問に思ったんでしょうが、「きっと何か深い事情があってのことに違いない。いちいち指摘してお客様を煩わせてはいけない。」と思ったのでありましょう。その心遣いが裏目に出ちゃったわけでありますが、そういうことでウチには未開封CDが1枚ございます。希望者がいましたら進呈致しますので、“塩鯖市場”無き今、直接メールにて連絡してくださいね。

 前フリが長くなりました。長すぎる前戯は、かえってその気を剃らせちゃう…って、剃毛している場合じゃなくて、その気を逸らせちゃう恐れがあります。本題に入りましょう。“ジャズテット”というグループは参加者にも今ひとつ不人気だったようで、リーダー2人を除くサイドマンがけっこう頻繁にメンバー・チェンジしておりますが、本作はトロンボーンがグラチャン・モンカー・ザ・サード(日本名:グラチャン・モンカー3世)で、ピアノがハロルド・メイバーンとなっております。ファーマー、ゴルソンとくれば、ボントロにはカーティス・フラーというのがいちばんピンとくるんですが、前衛派のグラ・モン3の参加はどんなもんですかね?ま、とにかく1曲目から聴いてみることにしますが、まず最初はレイ・ブライアントのオリジナルの「トンク」という曲です。どこかで聴いたことのある曲だと思ったら、アート・ファーマーが『パーセプション』という自己のリーダー作で取り上げているんだそうでありまして。調べてみると、確かにありました。ワン・ホーンの地味なアルバムで、良く言えば渋いんですが、やはり3管の“ジャズテット”版のほうが華がありますな。原文ライナーに“Church-influenced”とあるとおり、いかにもブライアントらしいファンキーな曲でございます。で、3管アレンジがあまりくどくないところがいいですね。ゴルソン・ハーモニーは度が過ぎると嫌味になっちゃいますからね。で、作曲者がピアニストだからなのかソロ先発はハロルド・メイバーンなんですが、この人のスタイルはブライアントにも相通ずるところがあるので、実によくハマってます。“やや下品なファンキー”といった風情で、大いに楽しませてくれます。ソロ2番手はファーマーで、フルーゲルホーンで抑制の効いたソロを聴かせます。3番手のグラ・モン3は「だいじゃぶか?」という僕の懸念を吹き飛ばすストレートな吹きっぷりでありまして、普通にやろうと思えば、出来るんぢゃん。…といった感じですな。ゴルソンもけっこう派手にブロウしておりますし、“ジャズテット”にしてはアドリブ重視の姿勢で、いいんじゃないですかね?ちなみに岡崎正通クンの日本語ライナーによればスタジオには作者のブライアントもかけつけて、彼らの演奏に聴き入っていたのだという。…ということでありました。

 2曲目の「ルー・プリヴェイル」はファーマーのオリジナルです。バラードです。3管の重厚なハーモニーが60年代的に重苦しいです。ファーマーの知性とグラチャン・モンカー3世の前衛性が悪いほうに出ちゃったなぁ。…という感じです。ま、「そういう時代だったんだ。」ということで諦めるよりほかありません。人生、時には“耐えること”も必要です。で、3曲目は一転、能天気なラテン・ナンバーでありまして、ハロルド・メイバーン作の「リッチーズ・ジレンマ」でありますな。タイトルの“リッチー”というのはバド・パウエルの弟で、クリフォード・ブラウンと一緒に交通事故で死んじゃったピアニストのリッチー・パウエルのことだそうです。で、タイトルはブラウニーのオリジナル、「ジョージズ・ジレンマ」をもじったもので、ちなみに山本譲二に捧げられた「ジョージズ・ジレンマ」という曲は『スタディ・イン・ブラウン』で聴くことが出来ます。アフロ・キューバンでマイナー調の“ジョージ”に対し、“リッチー”のほうは純ラテンで賑々しい感じですね。いかにも日本人好みのナンバーでありまして、1曲目の「トンク」「リッチーズ・ジレンマ」を聴くだけでもCDを2枚買うだけの価値はあるな。…といった感じですな。いや、無論、負け惜しみですけどね。買うのは1枚でいいような気はしますが、ファーマー(トランペット?)→グラ・モン→ゴルソン→メイバーン→ロイ・マッカーディと続くソロはどれも出色の出来でありまして、特にゴルソンのケレン味のない吹きっぷりと、テーマの雰囲気を巧みに取り入れたメイバーンのプレイが印象的です。エンディングもばっちり決まって、2曲目で落ち込んだ気分がすっきりと払拭される、そんな1曲でありました。

 はい、4曲目。“ジャズテット”で「ウィスパー・ノット」というのも、今さら…といった感じなんですが、口惜しいことに聴いてみるとやっぱり名曲なんですよね。ゆったりしたテンポの節度のある3管ハーモニーもばっちり決まっているし、で、ここではグラチャン・モンカーが実にいい味を出しております。ただの意味不明の“新主流派かぶれ野郎”だと思っていたら、ヤレば出来るんですな。ま、決してスムーズな吹きっぷりというわけではないんですが、この楽器には訥弁が似合います。血便は似合いません。関係ないですけどね。で、5曲目は歌モノの「ジャスト・イン・タイム」であります。何でもいいけど、このイントロのアレンジはやり過ぎですな。かなり意味不明です。曲自体がいかにも小粋な感じなので、ヘンに凝ったりせずに普通になったほうがよかったと僕は思います。ま、ヘンなのはイントロだけで、モンカーのトロンボーンがリードするテーマ部に入ると、まったくもって普通なんですけどね。で、ソロの先陣をきるゴルソンの吹きっぷりは、かなりくどいです。2番手のモンカーは、まあまあです。メイバーンのピアノと、フリューゲルを吹くファーマーは結構いい感じです。後半、ロイ・マッカーディと2小節交換になるところも洒落てます。で、ちょっと無理がある感じでテーマに戻って、エンディングはちょっと変です。ま、いいんだけどね、別に。

 5曲目はモンクの「ルビー・マイ・ディア」です。バラードです。ゴルソンがしみじみと歌い上げるテーマと、バックのアンサンブルとの絡みが絶妙です。サビのメロディを吹くモンカーも渋いです。2曲目同様、ひとつ間違えると“60年代的重苦しさ”に陥りかねないんですが、すんでのところで踏みとどまっております。で、アドリブ・パートに入るとテンポがちょっぴり速くなり、ゴルソンのテナーが大きくフィーチャーされます。この人のテナーはややもすると“くどくど”になりがちなんですが、ここではすんでのところで踏みとどまって、なかなかスケールの大きな吹奏を繰り広げております。全体として“瀬戸際の美学”といった感じでしょうか?悪くない演奏だと思います。はい、次。「イン・ラブ・イン・ヴェイン」には「はかない恋」という邦題が付いておりますな。いいですなぁ。僕は「(パンツを)穿かない娘(こ)」というのが嫌いではないんですが、「はかない恋」というのも悪くないと思います。ちなみにこれ、ジェローム・カーンが映画『百年目の夏』のために書いた曲だそうですが、きんさん・ぎんさんの記録映画か何かですかね?普通の年寄りではなかなかそう簡単には巡って来ませんからね、百年目の夏。で、曲自体はいかにも“小歌小歌した”感じでありまして、ゴルソンのテナーはくどくて、モンカーのトロンボーンは暗いんですが、残ったファーマーとメイバーンがうまくフォローして、なんとか小粋なナンバーに仕上げようと頑張っております。後半、アンサンブルによる洒落たアレンジが聴かれるあたりも、いかにもこのグループらしいところである。…と正通クンも書いておりますが、僕もそうだと思います。

 はい、ラスト。モンカーのオリジナルで「ソニーズ・バック」という曲です。雲隠れしてジャズ・シーンから遠ざかっていたソニー・ロリンズの復帰を祝して作られた曲なんだそうですが、シンプルでわかりやすい作風ですな。えーと、そんだけ。ということで、今日は以上です。

【総合評価】

 単なるブロウ合戦というわけではないし、“ジャズテット”にしてはアドリブに縛られて亀甲状態。…というわけでもないし、ハロルド・メイバーンの参加が、ある意味でこのグループを“軽く”したと言えるかもしれませんね。「あまりアホっぽいジャズはちょっと。。。あ、でも、ちょっとはスリルも味わいたいのぉ。」…といった趣向のギャルにはいいかも知れません。1枚あまってます。誰かいりませんか?


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