IN CONCERT (GNP)

CLIFFORD BROWN & MAX ROACH(1954/4,8/30)

IN CONCERT


【パーソネル】

CLIFFORD BROWN (tp) MAX ROACH (ds)
HAROLD LAND (ts) RICHIE POWELL (p) GEORGE MORROW (ds) <#1〜4>
TEDDY EDWARDS (ts) CARL PERKINS (p) GEORGE BREADSAW (b) <#5〜8>

【収録曲】

JOR-DU / I CAN'T GET STARTED / I GET A KICK OUT OF YOU / PARISIAN THOROUGHFARE
ALL GOD'S CHILLUN GOT RHYTHM / TENDERLY / SUNSET EYES / CLIFFORD'S AXE

【解説】

 “塩サバ物産(仮名)創立55周年記念旅行”の概要がまとまりました。来年の7月、行き先は沖縄だそうです。最近、うちの会社も業績の悪化が著しく、仕事もちっとも面白くないので、そろそろ脱サラして文筆業一本で食っていこうか?…と考えていたんですが、思いとどまりました。少なくとも来年の7月までは頑張ろうと思います。ただ年度末はクソ忙しくてうっとうしいので、1月から3ヶ月ほど休職して4月頃から職場に復帰しようかと思っています。いいですよねぇ、沖縄。まず第一に日本語が通じるのがいいです。ハワイとグアムはまずまずだったんですが、オーストラリアはさっぱりでしたからね。ま、ヒアリングとスピーキングは無理としても、書いてある字を読むくらいは何とかなる?…と思ってショッピングセンターの喫茶店みたいなところで“わいるど・たーきー・さんど”と“あいす・こーひー”を注文したんですが、想像していたのと違ったものが出てきたりしました。“わいるど・たーきー・さんど”のほうは想像どおり“ワイルドな七面鳥をサンドしたもの”だったんですが、いや、思ったほど美味しくなかったですけどね。で、問題は“あいす・こーひー”のほうでありまして、僕は「冷たいコーヒー」のつもりで注文したにもかかわらず、出てきたものは「コーヒーにアイスクリームがのっかったもの」でありました。ま、確かに間違いではないんですけどね。で、もっと問題だったのは韓国でありまして、ヒアリング&スピーキングはもちろんのこと、書いてある文字もハングルだから、さっぱりわからん。地下鉄ひとつ乗るのに、どえりゃあ苦労したでかんわー。といった状態でありました。幸いにも僕達が入った焼肉屋はメニューに「ガルビ」と片仮名が併記されておりましたので事なきを得ましたが、いや、言葉が通じないというのは何かと不便なものなんですよねぇ。

 …というのが「沖縄いいぢゃん。」の理由の第一点。で、何よりも「ウインド・サーフィンが出来そう」というのが個人的には嬉しいですね。ハワイでは紐付き、ゴールドコーストは冬だった為、仙石イエ子ちゃん(仮名)とちょっぴり海に浸かっただけで終わってしまい、グアムはまあ悪くはなかったんですが、道具はお世辞にも立派とはいえず、どちらかというと河童。そういった代物でありました。でも沖縄だったら大丈夫でしょう。いや、根拠はありませんが、何となく。で、沖縄でウインドと言えば、何といっても与論だよね。…ということで世論の衆目は一致しているわけでありますが、あ、与論島は沖縄ではなくて奄美ですかね?ま、いずれにせよ沖縄本島でもウインドサーフィンはわりかしメジャーであるに違いなく、器具のレンタル等に関しても何の危惧もない。…と事態をわりかし楽観していたんですが、本日配られた予定表によると、どうやらメインの滞在地は沖縄本島ではなくて石垣島なんですな。ンなとこ、何か見るべきものはあるんですかね?せいぜい八重山そば屋が2件くらいあるのが関の山なんじゃないですかね?

 えー、スケジュールをもう少し詳しく見てみると、朝の8時15分に名古屋を出発して、那覇に着くのが10時半と。那覇に着いた途端、「ナハ、ナハナハ!」と、せんだみつおの物真似をするヤツがどこの会社にも必ず一人はいるものでありますが、うちの会社の場合はヤツですな。何だか今からその光景が目に浮かぶようです。で、那覇出発が11時20分ということでありますが、1時間近くも何をしろと言うんでしょうね?やっぱり、せんだみつおの物真似ですかね?ま、5分くらいならその場の賑やかしにいいかも知れませんが、50分も「 ナハ、ナハナハ!」を見せられるのはちょっとツラいですなぁ。。。で、石垣島に着くのが12時15分と。 その後、「石垣島観光川平湾竜宮城鍾乳洞(昼食)」とあります。果たして“川平湾”とういうのは観光に値するような景勝地なんですかね?ただ「海が湾曲しています。そんだけ。」…というようなところである心配はないんですかね?ま、いずれにせよ本日のハイライトは竜宮城鍾乳洞ということになろうかと思いますが、ここでの昼食はやはり“タイのヒラメの活き作り”ですかね?で、若作りのおばちゃんがお茶とか入れてくれたりするんですかね?いずれにせよ、あまりソソされることのない企画でありますが、ご宿泊は“石垣全日空ホテル&リゾート”というところだどうでありまして、これは結構期待が持てるかも知れませんね。少なくとも“伊豆一碧湖オーナーズ・ヴィラ”よりはリゾート気分が味わえるのではないかと。

 で、2日目、3日目は終日フリープランです。“終日フリチン”というのは何だか心もとなくて、1時間もすると「そろそろ、ぱんつ穿くぅ?」という気分になっちゃうものでありますが、終日フリープランというのはいいですなぁ。で、石垣島というところはやはり、まる2日間もフリーで過ごせるほど観光資源に恵まれているところではないようでありまして、「西表島竹富島小浜島宮古島など」で、オプショナル・ツアーをお楽しみ下さい…というようなことが書いてあります。えー、与論島は〜?と言いたくなってしまいますが、恐らく与論島というのは石垣島からはかなり離れた位置になっちゃうんでしょうな。このあたりの地理はさっぱり検討がつかないんですが、あるいはハワイグアムくらいは離れているのかも知れません。しかしなんですな。西表島竹富島小浜島宮古島では、まるでソソられるものがありませんな。ンなとこ、何か見るべきものはあるんですかね?せいぜい八重山そば屋が2件くらいあるのが関の山なんじゃないですかね?あるいは“なんとか湾”という 、ただ海が湾曲しているだけのところと、鍾乳洞があるとか。…と思ってオプショナルツアーのほうをチェックしてみると、えーと、“仲間川”を遊覧して、“ザシキマスオウの木”を見学して、“水牛車”に乗ると。あるいは“ちゅらさんロケ地”と“古波蔵荘大岳展望台”と“細崎”を見学して、“水牛車”に乗ると。うーん、パーフェクトにソソられるものがありませんなぁ。。。で、後は“体験ダイビング”と“体験カヌー&温泉”と“半日シュノーケリング”くらいですか。ま、“シュノーケリング”というのは悪くない気もするんですが、半日もやっていると飽きちゃうような気がしますね。…とか思っている人はシュノーケルに関する認識が甘いと言わざるを得ません。シュノーケルというのは小道具ひとつで無限の可能性が開けるものでありまして、特にこれは日頃から気にくわないと思っているヤツと一緒にやっている時に効果を発揮するんですが、用意するものは“漏斗(じょうご)”と“”。そんだけです。やることも簡単です。日頃から気にくわないと思っているヤツがシュノーケリングをやっている時、そのシュノーケルの先にこっそり“漏斗(じょうご)”を付けて“”を流し込む。そんだけ。うーん、考えただけで楽しそうですなぁ。ま、それとて5分で飽きちゃうような気もするんですけどね。ということで、この続きは次回。

 さ、クリフォード・ブラウンです。ブラウニーと言えばマックス・ローチとの双頭コンボが相等に有名なんですが、ブラウン=ローチのアルバムはいけません。何がいけないって、ジャケットに人の顔がたくさん出過ぎているのがいけません。何もわざわざメンバー全員が演奏しているところをジャケットにしなくてもえーやろ。…と思わずにはいられません。おかげでこれまで、ブラウニーのアルバムと言えばBN盤の『メモリアル・アルバム』とか『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』など、“顔面大写し系”もしくは“ イラスト系”のジャケットのものばかり取り上げてきました。いけません。でも今日は大丈夫です。『ブラウン=ローチ・イン・コンサート』です。その手があったかぁ。…という感じですね。ただこのアルバム、前にも取り上げたことがあるような気がしてならんのですが、そういう些細な事情を差し引いてもこのジャケットは魅力的です。僕はジャズで使われる楽器の中ではトランペットとドラムが好きなんですが、何故なら絵を書くのが簡単だからなんですけどね。サックスは面倒です。こんな書くのが面倒な楽器、作るな!…と思わずにはいられません。ベースやギターは弦を書くのが面倒です。ピアノは鍵盤を書くのが面倒です。その点、トランペットとドラムはいいですなぁ。ただドラムの場合、複数の“ドラムス”になっちゃうとちょっと面倒なんですが、その点でもこのジャケットは秀逸ですよね。ということで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 このアルバムはみんなも知ってる通り、2つのセッションから成り立っているよね。レコードでいうことろのA面はハロルド・ランドリッチー・パウエルというお馴染みのメンバーなんだけど、B面のほうは録音日も古く、テディ・エドワーズにカール・パーキンスっていう、初期のメンバーになっているんだ。…って、意味もなく“妙に馴れ馴れしいキャラ”の人格で書いてみましたが、僕の持っているCDは“完全盤”なんだそうです。どこがどのように“完全”なのかは忘れてしまいましたが、恐らく、今まで不完全だったところを補完したという点で“完全”なんだと思います。実況盤なので音質的には決して誉められたものではないんですが、ま、我慢出来ない範囲ではありません。で、1曲目は「ジョードゥ」です。ジャズの世界にはわりと似たような名前の曲があって、フレディ・ハバードの「ジョド」やジミー・スミスの「ジュードー・マンボ」と間違えやすいんですが、これはデューク・ジョーダンのオリジナルです。いや、「柔道マンボ」には“マンボ ”という言葉が付いているので、まず間違える心配はないんですけどね。ハバードの「ジョド」(“浄土”の意味らしい)のほうはまったくもってマイナーだしぃ。で、ブラウン=ローチの演奏する「ジョードゥ」は、数あるこの曲のヴァージョンの中でも屈指の名演と呼ばれております。あとの2つは兼六園と後楽園です。で、聴いてみると確かに悪くない演奏ですな。ブラウニーのソロは例の如く歌心に溢れておりますし(←常套句)、ランドとリッチーも彼らなりに健闘しておりますし、で、やっぱりローチのソロが悪くないですな。この人の演奏はトシを取るにつれて理屈っぽくなってくるのが難点なんですが、この頃のプレイは“素直にスインギー”です。いいフレーズですね、“素直にスインギー”。田原俊彦の歌のタイトルに使えませんかね?(編集部注:使えません。)で、ローチが大いに盛り上げた後、tpdstsdsの4バースに入るんですが、どしょっぱつのブラウニーのフレーズがイケてます。この人はしみじみ4バース(8バース、16バース等を含む)がうまいんですよね。パンツも舐めると旨いですけどね。いや、舐めたことはありませんけど。で、テーマに戻る直前のローチのドラミングも絶妙です。アドリブからテーマに戻る時というのは得てして強引、あるいは無理矢理といった感じになりがちなんですが、さすがはローチだけあってツボを押さえておりますな。…といった1曲でありました。

 はい、2曲目です。バラードです。「アイ・キャン・ゲット・スターテッド」です。「言い出しかねて」です。ブラウニーのバラード・プレイというのはマイルスの“研ぎ澄まされたアンニュイ”に比べると、わりと普通です。いいフレーズですね、“研ぎ澄まされたアンニュイ”。田原俊彦の歌のタイトルになりませんかね?(編集部注:なりません。)で、ブラウニーの吹くバラードは一言で言うと“ハート・ウォーミング”、二言で言えば“ハートウォーミング”。とにかくトーンが温かいです。というか、ホット飲料の自動販売機のように「あったか〜い」です。ジョーンズ嬢に会ったかい?関係ないですね。で、この「言い出しかねて」はブラウニーをフィーチャーしたナンバーでありまして、ランドは最期のテーマのところにちょこっと絡んでくるだけです。とにかくひたすらブラウニーを聴く曲です。陳腐な表現ではありますが、“名人芸”ですな。もう、“名人芸・Z”(←“マジンガー・Z”の実弟)もびっくりって感じぃ?…ということで、次に参りましょう。3曲目はコール・ポーターの「アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー」です。“I Get A Kick Out of You”というのは「僕は君を蹴り出す」という意味ではなく、「君にこそ心ときめく」などという、たいへん小洒落た邦題が付いております。翻訳ソフトだと「私は、あなたからキックを得る」という訳文が出てくるんですけどね。なるほど、サドの歌かと思っていたら、マゾのほうだったんですな。蹴られて、あ〜ん♪…みたいな。で、曲自体はいかにもポーターらしい“翳りのないアーバン”みたいなナンバーなんですが、ワルツと4ビートが交錯するテーマ部の処理が山田耕筰的におもしろいですね。いや、決して日本人好みのする感じの演奏ではないんですが、アップ・テンポでのブラウニーの超絶的なソロを堪能できる作品に仕上がっております。ローチのソロもいいですねぇ。

 と、適当な感想を書いておいて、4曲目は「パリの目抜き通り」です。ここでピアノを弾いてるリッチーの実兄であるバド・パウエルのオリジナルです。しかしどうでもいいけど、“目抜き通り”はどうして“目抜き通り”と言うんでしょうね?何だか歩いているだけでむりやり眼球をくり抜かれそうで、よく考えるとかなりホラーなネーミングですよね。ま、おそらく「目を抜かれるほど華やかで賑やかな」といった意味なんでしょうが、ところで鬼太郎の親父って、ちゃんと“アイ・バンク”に登録してるんですかね?で、この曲はクリフォード・ブラウンとマックス・ローチの『クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ』という、誰のアルバムや?…と言いたくなるようなタイトルのアルバムにも入っていたのではないか?…という気がしないでもないんですが、そのバージョン同様、冒頭のところでブラウニーとランドがトランペットとテナーで車のクラクションみたいな音を出して、パリの目抜き通りの喧騒を形態模写しているところが洒落てますね。洒落てはいますが、かなり間抜けです。このアレンジのおかげで“パリジャン・ソロウフェア=おまぬけの公式”というのが僕の脳裏に刷り込まれてしまったんですが、よく聴くと、特にサビのフレーズなんか悪くないですよね。ちなみにこれ、「パリのアメリカ人」の第一楽章のモチーフを借りたものらしいですけどね。ただ、演奏自体はスタジオ・バージョンと比べるとブラウニー、ランドのソロとも、ちょっぴりまとまりがないような気がしないでもありません。ランドがソロの途中に「天国と地獄」を引用したりするところはご愛嬌ですね。ちなみにこの「パリジャン・ソロウフェア」という曲名がどうしても覚えられないという人は、「やっぱりじゃん、早漏上原、早いじゃん。」と覚えるといいと思います。

 はい、ここから後半ですね。後半ですが、録音はこちらのほうが早いじゃん。…ということは冒頭でも述べましたが、この“初代ブラウン=ローチ・クインテット”の演奏というのはあまり残ってないような気がするので、その意味では貴重ですよね。で、冒頭のメンバー紹介のところがいいです。まず始めにローチの名前が呼ばれて、タタタン、タタタン、タタタン、タタタン♪続いてベースのジョージ・ブラッドショーがブンブンブンブン、ブンブンブンブン♪とウォーキングで入って、カール・パーキンスがちゃらららら、らららら♪…という具合に、次第に楽器の数が増えていくところがとってもオシャレです。今後、ライブのメンバー紹介は、かくあるべきである。…と思ってしまうほど、ばっちり決まってます。で、短い曲の紹介があって、「オール・ゴッズ・チルン・ゴット・リズム」に突入します。邦題「神の子はみな踊る」って、いつ聞いてもなんかヘンな名前。…という気がしますね。1937年、マルクス兄弟主演の『マルクス一番乗り』の主題歌…と、日本語ライナーにありますが、『マルクス一番乗り』というセンスもどうかと思います。マルクス一番乗り、小槍の上で、アルペン踊りをさあ踊りましょ、らんららんらんらんらんらんらん、らーんららんらんらんらんらん♪…って、何だか語呂はいいんですけどね。で、曲自体もあまり日本人ウケするような感じではなく、アップ・テンポでのブラウニーの超絶的なソロを堪能できる作品に仕上がっております。テディ・エドワーズのソロもいいですねぇ。

 と、前に使ったフレーズのコピーで手を抜いておいて、6曲目はバラードです。故意か偶然か必然か、このアルバムはA・B面が似たような構成になっているんですよね。で、A面の2曲目同様、B面の2曲目「テンダリー」もブラウニーをフィーチャーしたバラードとなっております。はい、次。「サンセット・アイズ」はテディ・エドワーズのオリジナルでありまして、日本人ウケのするメロディという意味では本作随一でありましょう。ラテン…というか、アフロ・キューバンなリズムに乗ったファンキーなムードの佳曲であります。ブラウニー、エドワーズ、パーキンスのソロも快調です。いや、たぶん。さ、あと1曲ですね。アルバムの最期を飾るのは「クリフォード・アクス」。タイトルからもわかるようにブラウニーのオリジナルなんですが、「クリフォード・斧」というのは今ひとつ意味がよくわかりませんね。“アクス”というのはプロレス技の“アックス・ボンバー”の“アクス”と同義だと思うんですが、個人的には“あくす”よりも“あすこ”のほうが好きです。“あすこ”というのは、どこのことなのか?…と聞かれても困るんですが、ま、ウノ先生の作品でも読んで勉強してくださいね。で、曲自体は“アドリブの流れで適当に出来ちゃったー。”といった感じのものなんですが、それだけに各自のアドリブのフレージングもスムーズで、コンサートの最後を飾るに相応しい、寛いだ演奏に仕上がっております。いや、たぶん。ということで、今日はおしまい。

【総合評価】

 音質的には決して誉められたものではないので、決して初心者向きとは言えませんが、内容的には“安心”です。アドリブとは何ぞや?…という根源的な疑問に突き当たったとき、ブラウニーはひとつの明快な回答である…と言えるのではないでしょうか。いや、何だかよくわかりませんけど。


INDEX
BACK NEXT