BLACK FIRE (BLUE NOTE)

ANDREW HILL (1963/11/8)

BLACK FIRE


【パーソネル】

JOE HENDERSON (ts) ANDREW HILL (p) RICHARD DAVIS (b) ROY HAYNES (ds)
【収録曲】

PUMPKIN / SUBTERFUGE / BLACK FIRE
CANTARNOS / TIRED TRADE / McNEIL ISLAND / LAND OF NOD

【解説】

 長島温泉へ行ってきました。全国的には長島温泉長島スパーランドではどちらが名前が通っているのか知りませんが、どちらも同じです。長島温泉というのは別にそのような温泉街があるわけではなく、長島スパーランドに湯が湧いているだけという、そういうシステムになっております。その長島温泉から温泉がなくなるという衝撃的な知らせが飛び込んできたのは、去年の夏でありましたか。いや違いましたか。あまりよく覚えていませんが、とにかくまあ、由緒ある長島温泉の大浴場が取り壊されてしまうと。長島温泉の大浴場というのは通称“千人斬り”、いや“千人風呂”と呼ばれる円形の大きな大浴場でありまして、それが真ん中で仕切られて男風呂と女風呂とに分けられておりました。かつて、その仕切りが水槽になっていたことがありまして、おさかな越しに女風呂が覗ける、カモ?…というので、純情な青少年たちは大いに大欲情したものでありますが、いや、僕は別に興味がなかったから覗きはしませんでしたけどね。奥飛騨温泉郷にある“荒神の湯”という露天風呂は岩の隙間から女風呂が覗けるシステムになっておりましたので、とりあえず覗いてみました。いや、別に興味はなかったんですが、せっかくそういうシステムになっているというのに覗かないというのは、かえって失礼かな?…という気がしたもんで。律儀ですからね、僕って。誰もいないことは分かっていたんですが、もしかして?…という淡い期待を抱きつつ覗いてみたところ、やっぱり誰もいませんでした。誰もいないと分かっていながら、ちょっぴりコーフンしました。あれは去年の秋のことでしたか。高山から平湯に抜ける道沿いに、コスモスが綺麗に咲いていました。

 で、長島温泉の大欲情…じゃなくて大浴場でありますが、ホントに取り壊されてしまいました。長島温泉から温泉が無くなったら、温泉の立場はどうなる?…と心配してたんですが、その跡地に新しい温泉施設が誕生しました。何のことはない、ただのリニューアルだったんですな。ただ、ぴんから兄弟殿様キングスたちが華麗なショーを繰り広げた大ホールは無くなってしまいました。名も知らぬおじさんが毎日ビート板で練習に励んでいた室内プールも無くなってしまいました。僕がバイトをしていた頃には毎日「春風のゆうびん屋さん」という歌が流れておりましたが、それも聴けなくなると思うと、ちょっぴり寂しいですね。ま、別にどうでもいいんですけどね。ということで、では新しく誕生した「湯あみの島」について、適当にレポートしてみたいと思います。えー、主催者の発表によりますと、コンセプトは「大自然露天風呂」をテーマに、巨岩石や樹木などを数多く配置した渓谷を持つ13種類の露天風呂を造成…とありますね。露天風呂全体の敷地面積は1万7160平方メートルで国内最大規模なんだとか。1万7160平方メートルと言われてもあまりピンときませんが、甲子園の1.2倍くらいの広さなんだそうです。いや、細かい数値は違ったかも知れませんが、とにかく甲子園というのは広いですよね。どれくらい広いかというと、野球が出来るくらい広いです。ま、男風呂と女風呂とに分割すると実質的には甲子園球場の0.6倍くらいの面積になろうかと思いますが、それでも広いです。三角ベースくらいは可能です。で、パンフレットの平面図を見ると甲子園球場の0.6倍くらいの面積の半分くらいが“水っぽい色”で塗られておりまして、これなら浴槽の長さが100メートル、幅も20メートルくらいはありそうですね。しかも男風呂は黒部峡谷、女風呂は奥入瀬峡谷(だっけ?)をイメージして作られているそうでありまして、恐らく温泉の湯は川のように岩場を流れ下り、時には滝となり、入浴者は一昔前のリポビタンDのCMの如くファイトと一発を持って露天風呂に挑むと。水流にタオルを流され、フリチンになっちゃうくらいのことは日常茶飯事。滑って転んでタ○キンを強打する者も1日で30名は下らず、滝壺に沈んで3ヵ月後に腐乱死体で発見される爺ィも開業以来3人を数え、いや、まだオープンしてから1ヶ月しか経ってないんですけどね。

 …とまあ、僕はそのようなワイルドな露天風呂を想像していたんですが、その実態はさっぱりでした。ま、その話はおいおい書くとして、まず最初に“湯あみの島”の料金について触れておくと、入場料は500えんです。思いのほかリーズナブルですよね。ただ“湯あみの島”の入口に至るためには長島スパーランドの入場券が必要となりますので、温泉だけ入ろうと思っても結局のところ2000円くらいは取られるような気がします。ウチはいつもタダ券を貰いますので、詳しいことは知りません。で、“湯あみの島”の入口は以前、大浴場や大ホールがあった建物の入口と同じところにありました。玄関を入ってすぐのところに下足用のロッカーがありました。かつては自分で脱いだ履物をビニール袋に入れて持ち歩くという、とっても前衛的なシステムが採用されていたんですが、これではまったく長島温泉らしくありません。いけません。で、受付のところで超ショートな靴下をくれました。最近、ヤングの間で流行の兆しを見せている“くるぶしの下までしか長さのない足袋的な靴下”であります。この靴下は“お持ち帰り可”ということなんですが、こんな嫌がらせのような靴下、僕はいりません。で、玄関から入ったところが3階になっているんですが、そこは畳敷きの大広間となっておりました。その他、うどん屋とラーメン屋、安永餅屋と地ビール屋、ゲームセンターと売店、喫茶コーナーと和風カフェテリアがありました。和風カフェテリアというのはアレです。“めしの里”や“ザ・めし屋”方式のお店です。棚に“奴豆腐”やら“だし巻き卵”やら“トリの唐揚げ”やら“トンカツ”やら“牛肉コロッケ”やら“塩サバ”やら“鰈の煮付け”やらが並んでいて、最後にゴハンと味噌汁を頼んでゼニを払う。…というシステムになっております。こういう店ではわりと人気なんですよね、サバ。おじさんがお盆の上に乗っけて嬉しそうに運搬している姿がよく見受けられます。どこが美味しいんでしょうね、あんな下劣なサカナ。で、料金は“めしの里”や“ザ・めし屋”の1.5倍という感じですな。「こりゃ、どうみても200円やろ。」というような物品に300円の値段が付けられております。普通に“A定食相当”のものを食べようとすると、軽く1000円を超えちゃいますね。しかし塩サバ一族は 「飲食物の持ち込み、絶対禁止。やむを得ず持ち込む場合には1個につき3000円頂きます。」 というお達しを無視し、おにぎりを18個ほど持ち込んでおりましたので、だいじゃぶです。申し訳程度に“唐揚げ”と“コロッケ”と“だし巻き卵”を頼んだのがせめてもの良心であると言えますが、1個のカウントの仕方によっては“おにぎり18個の持ち込み”というのは最悪5万4000円のペナルティですか。タダ券で入場した上での悪行三昧。とんでもない話だと思います。

 で、問題の風呂は1階にありました。ロッカーでパンツを脱いで外に出ると、いきなり外でした。フリチンで外に出たりして、ホントにいいのか?…と、ちょっぴり心配になったんですが、そういうシステムになっているようなので仕方がありません。で、実際に行ってみて分かったんですが、いや、ホントは行ってみる前に塩サバ2号に“ネタばらし”されて分かったんですが、甲子園球場の1.2倍くらいの広さといっても、その大半が無駄なスペースに費やされているんですよねー。平面図で“水っぽい色”に塗られていた部分というのは単なる水でありまして、露天風呂はその周辺に5〜6個くらい点在しているだけという、そういうシステムだったんですな。いや、悪くはないんですけどね。100円の“海津温泉”よりはマシ?…という程度には悪くないと思います。ただ、5〜6個くらい点在している露天風呂のうちの4個くらいはあまり代わり映えがせず、人工河川の周囲に設置された道をフリチンで歩き回るというのは人道的な見地からもどうかと思うし、冬の雪が降りしきるような日だったら、フリチンのまま凍死ですな、こりゃ。少なくとも“湯冷め”して縮こまっちゃうことは間違いなく、いや、“金冷法”の見地からするとそれは悪くないことなのかも知れませんが、あ、中国語サイトで何だか為になりそうなところがありましたので、とりあえずここでも読んでみてくださいね。ということで、“湯あみの島・体験レポート”は、そんだけ。

 ということで、今日はアンドリュー・ヒルです。略してアン・ヒル。何となくカッコいいですね。ダンヒルが似合う男。…といった感じがします。「あ〜ん、蛭ぅ。。。」だと、蛭に怯む可愛いギャル。…といった感じで、これまた悪くないです。あれは中学の同じクラスの娘(こ)でしたか。昆虫やら爬虫類やらにまったく怯まないクールなギャルがおりまして、周囲の女の子が蜘蛛とかが出てキャーキャー騒いでいるのに、一人まったく冷静なんですよね。顔色ひとつ変えずに手で追っ払ったりして。「なんて頼りがいのある。」と、見ていて感心してしまったんですが、ああいうタイプはオトコにはモテませんね。でも、媚びない態度が素敵っ♪…と、カマっぽいオトコにはモテるかも知れませんね。いや、カマっぽいオトコにモテたところで、迷惑な だけですけどね。で、アンドリュー・ヒルはアルフレッド・ライオンがぞっこん惚れ込んだ最後のオトコとして知られています。「ヒルをスターにすることが出来なかったのが、最後の心残りなんじゃ。」と、晩年のライオンがしみじみと語った。…というような記事をどこかで読んだような覚えがあります。そのライオンの寵愛を受け、ヒルという人は売れるアテもないのに結構な数のリーダー作を残していますよね。で、この『ブラック・ファイア』はヒルの記念すべき初リーダー作でありまして、いや、もしかしたら違ったかも知れませんが、いずれにせよジョー・ヘンのワン・ホーンを従えた、いかにも60年代BNらしい作品に仕上がっておりまして、僕は好きです。とまあそんなことで、では1曲目。「パンプキン」。いきなり、あまり蛭的でないタイトルの曲ですな。「カボチャ」ですからね。僕はカボチャを焦がすギャルは好きですが、カボチャ自体は好きでもなんでもありません。特にコゲたカボチャは嫌いです。苦いだけですもんね、コゲコゲ部。で、曲名はヒルらしくありませんが、曲自体はとってもヒル的です。もぉ、ヒルジン出まくりぃ。…みたいな。リチャード・デイビスロイ・ヘインズのコンビというのも個人的にはかなり好きなんですが、イントロの怪しい雰囲気からして、かなりいいです。そこにジョー・ヘンの“うねうねテナー”が絡めば、もう怖いものなしですな。いや、マッコイの顔は怖いですけどね。アンドリュー・ヒルという人も決してラブリーなフェイスというわけではないんですが、マッコイに比べればまだマシですね。が、ピアノのスタイルとしてはマッコイよりも癖があります。で、ハービーみたいに“スイカ路線”で大衆に媚を売るような器用さも持ち合わせておりません。結果、「ヒーローにしよう。」というライオン君の野望はあえなく潰えてしまうわけでありますが、ま、そりゃそうだろう。…という気が個人的にはするんですけどね。

 で、ジョー・へンが変則ハード・バップとでも言うべきテーマを吹いた後、ヒルのソロになるんですが、この人のスタイルというのは言葉で説明するのが難しいですな。だから説明しません。誰にも似てないから形容のしようがないんですよね。とりあえず日の丸でも揚げておくぅ?…って、国旗を掲揚したところで何の解決にもなりませんが、この人を語る上でよく言われるのが“特異なリズム感覚”というヤツであります。“ハイチの血”、略して“ハイ血”という言葉もよく使われますよね。「アルプスの少女・ハイ血」とか。何だか肺結核の喀血に苦しむ病弱な少女の物語みたいで、いいですね。アルプスの残雪と鮮血とのコントラストが絶妙でございます。ヒルに出血は付きものですしね。で、ヒルの特異なソロに続いて、リチャ・デビとロイ・ヘンの絡みみたいなパートがあって、ジョー・ヘンのソロへと流れていったのではないかと記憶しております。で、このジョー・ヘンが絶妙です。ジョー・ヘンに最もよく合うピアノはマッコイではないかと思うんですが、ヒルだって負けてはいませんね。そういえばジョー・ヘンのBN第2弾『泡寝具』のピアノはヒルでしたっけね?とにかくまあ、言葉で説明するのは難しいんですが、いかにもジョー・ヘンらしいヘンなソロで、僕はけっこう好きです。で、2曲目は「パンプキン」です。僕が持っているのはかなり古めの国内盤CDなんですが、別テイクが続けて出てくるのが難点なんですよねぇ。東芝EMIも当時は「これでいいんだ。」というか、「これがいいんだ。」と勝手に思い込んでいた節があるんですが、おかげで僕はこのアルバムに「何か、うっとうしい奴。」という印象を持つハメになってしまいました。関係者の猛省を求める次第でありますが、ちなみにこれ、別テイクが“take20”で、本テイクが“take27”くらいなんだとか。ヒルの曲は演奏するのが難しいことで有名らしいんですが、すべてが完奏テイクではないにせよ、よく27回も演奏して飽きませんでしたなぁ。僕だったら2回でヤメちゃいますけどね。2回できっぱりと諦めて、もっと簡単な「きらきら星」なんかでお茶を濁していたと思います。

 はい、2曲目。「サブターフュージ」は「ごまかし」とか「口実」とか「逃げ口上」といった意味なんだそうです。「愛」とか「恋」とか「ラブ」とか「ブラ」とか言い出さないところがヒルらしいですからね。60年代というのは“愛からの脱却”の時代でもありますからね。で、この曲はジョー・ヘン抜きのトリオで演奏されます。ジョー・ヘンという人は個人的には嫌いではないんですが、ちょっとくどすぎる嫌いがあるので、ここでの“1回休み”はちょうどいいかもしれません。で、ここでの「逃げ口上」は何と言うか、疾走感がありますな。ロイ・ヘンの「だだだだだだ♪」というリズムが実によく効いております。そしてそのリズムの上をヒルのピアノが独特のノリで駆けていきます。もう“かけ払いリーのビケ足場”も真っ青って感じ?いや、意味はよくわかりませんけど。で、個人的にはとってもいい演奏だと思うんですが、なんせ記憶だけが頼りのワーキング執筆だし、特に書きたいことも思いつかないので、ちょっと人様のサイトでも覗いてみますかね?「困った時の無断引用」という、ありがたい言葉もありますしね。こんにちは。オーストラリアのブリスベン出身のアンドリュー・ヒルです。1997年に日本に来ました。大阪に住んで4年になります。今までにいろんな楽しい人たちと出会い、幸運にもよい友達を作ることができました。いや、ハイチの出身だと思っていたら、オーストラリアだったんですね。しかも大阪に住んでいたとは知りませんでした。でも、よい友達を作ることが出来て、よかったと思います。

 はい3曲目。あ、別テイクも入れると4曲目になりますが、タイトル曲の「ブラック・ファイア」です。日本名「黒い炎」。アイ・アイ・アイ・ライク・演歌ぁ♪…って、それは冠二郎の「炎」ですか。“愛からの脱却”が60年代のテーマなんですが、“アイ”を歌ってますなぁ、二郎。ま、「炎」は60年代モノではないので別にいいんですけどね。で、ヒルの「黒い炎」のほうは、まったく日本人ウケしない曲でございます。これでは日本でのヒットは到底期待出来ませんね。ま、日本でウケようなどという気はさらさら無かったものと思われますが、そこが演歌のグローバリゼーションを目指して 「I , I , I Like 演歌♪」 という英語の歌詞を取り入れた冠二郎との違いであります。いや、どちらがエライとかそういった次元の話ではなく、人それぞれだと思うんですが、サビのフレーズは意外と悪くなかったりします。で、テーマからそのまま流れていく感じでジョー・ヘンのソロに突入するわけでありますが、ここでのヘンダーソンの蓮っ葉な吹きっぷりは傾聴に値するよね?…と、けいちょう先生も褒めておりました。…って、誰なんだよ、けいちょう先生。おそらく“校長先生”に掛けたんじゃないか?…という気はするんですが、それにしても「〜ちょう」しか合ってませんしね。ま、今の話はなかったことにして次の曲に進もうと思いますが、ちなみにこの「ブラック・ファイア」も別テイクが入っていて、何だかウザいです。はい、次。別テイクを除いて4曲目は「カンターノス」です。僕、この曲、好きなんですよね。日本語ライナーに「コルトレーンが書きそうな曲」というコメントがあったように記憶しておりますが、まさしくそんな感じです。Dドリアンを基調に、途中で半音上がってEbイオニアン…という、おなじみのパターンっすかね?「モード演奏というのはすべからくそういうものである。」というのが僕の認識ですからね。で、「ここでのジョー・ヘンはまさしくコルトレーン・ライクである。」というようなことも日本語ライナーには書いてありましたが、僕もそう思います。ジョー・ヘン好きの人というのは「あの、むさくるしいルックスが素敵♪」というマニアを除けば、その大半が“インパルス前期までのコルトレーン好き”と合致するような気がするんですが、その意味ではもっともノーマルに楽しめるのがこの曲ではないかと思います。モーダルなテーマからそのままヘンダーソンのソロへと流れていきますが、とってもいいソロだと思います。続くヒルのエモーショナルなソロもとってもよかったと思います。で、リチャ・デビとロイ・ヘンの短めのソロがあって、テーマに戻って、おしまい。無難にまとまっていて、とってもよかったと思います。

 いよいよ手抜きモード、全開バリバリだねっ。…とバリバリ君も言っておりましたが、いや、聖教新聞で連載していた4コマ漫画なんですけどね、バリバリ君。僕が子供の頃、隣に住んでいた人が学会員だったので半ば強制的に購読させられておりましたが、そのうちに引っ越していってしまったので、読むのをやめました。するとその家から火が出て、僕の家まで燃えてしまいました。バリバリ君の祟りかもしれませんね。…とまあ、そんなことはどうでもよくて、5曲目は「タイアード・トレード」です。「疲れた取引」とは、いかにもヒル的でありますな。「鯛はどう?とれとれだよっ♪」…と覚えるといいかと思いますが、ウキウキした気分が“疲れた取引”と乖離しているところがあまりよくありません。ま、どうでもいいんですけどね。で、演奏のほうはジョー・ヘンの抜けたトリオによるものでありまして、ヒル特有のピアニシズムを満喫することが出来ます。リチャード・デイビスとロイ・ヘインズのサポートも完璧ですね。以上、ほとんど内容がないに等しい曲解説でありましたが、6曲目は「マクニール・アイランド」です。今度はロイ・ヘンが抜けてテナー、ピアノ、ベースという変則トリオとなります。リチャード・デイビスの重厚な(←よく言えば)アルコをバックにジョー・ヘンが地味にテーマを歌い上げるバラード風のナンバーです。バラードではありますが、決して情緒纏綿とならないところが60年代的です。纏綿よりタン麺のほうが美味しいですからね、やっぱ。で、バラードにおけるヒルのリリシズムにビル・エバンスの影響をうんぬんする向きもあるようですが、ヒルとビル。ま、名前も似ていることだし、そういう一面もあるかも知れませんね。ただ“耽美的@タニザキ世界”を頭に描くとそれは大きな間違いでありまして、ヒルのピアノはあくまでも冷徹でシニカルであります。でもって、アルバムの最後を飾るのは「ランド・オブ・ノッド」。かなり変則的ではありますが、根はハード・バップといってもよさそうな曲調でありまして、ジョー・ヘンのテナーもいいじょー。とまあ、そういった1枚でありました。おしまい。

【総合評価】

 デビュー作にして、すでにヒルらしさ全開バリバリだねっ。…とバリバリ君も誉めておりましたが、あまり面白くないんだよねー。いや、このアルバムの話ではなくて、バリバリ君。どうせ、読んでるのは学会員ばっかりだしぃ。…という状況に甘えて、適当に書いているとしか思えないような漫画でありましたが、学会員を敵にまわすと後が恐いので、敢えて悪口は書きません。バリバリ君、最高です。で、ハービーと違って学会員の後ろ盾のないヒルでありますが、マニアの根強い支持があるから大丈夫でしょう、きっと。で、この『ブラック・ファイア』はヒルのアルバムの中でも分かりやすい部類に入りますが、決して一般ウケは望めません。ま、ジョー・ヘン好きなら結構楽しめようかと思います。


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