IN TRADITION (DREYFUS)

FRANCK AVITABILE (1998/1/19,20,21)

IN TRADITION


【パーソネル】

FRANCK AVITABILE (p) RICCARDO DEL FRA (b) LUIGI BONFDE (ds) LOUIS PETRUCCIANI (b)
【収録曲】

GETTIN' THERE / TEMPUS FUGIT / TOPSY TURVY / TIME WAITS / CELIA / WILLOW GROVE / TROIS GROS
THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU / AUGUST IN PARIS / BURT COVERS BUD / WAIL / KENNY
BUD'S BUBBLE / SILENCE

【解説】

 君は買い物が好きかな?僕はそれほどではありません。それほど好きではないし、どちらかというと苦手な分野に入ります。若手ではあるが、買い物は苦手。そういうキャラクターであるわけなんですが、どうして買い物が苦手なのかというと、人と接することがあまり好きではないんですよね。ほら、僕ってシャイで無口でタイ人恐怖症…って、いや別にタイ人に限ったことではないんですが、対人恐怖症的なところがありますしー。で、買い物となるとどうしても、多かれ少なかれ人と接点を持つことになるんですが、それがどうも煩わしいんですよね。例えば八百屋で買い物をする場合を考えてみましょう。店に入るとまず、八百屋のおじさんが声をかけてきますよね。八百屋というのは愛想のよさが売り物でありまして、いや、八百屋の売り物は野菜とか果物とか乾物とか缶詰とかタマノイのパーポーなんかが主流なんですが、八百屋のおじさんというのは愛想のよさが売り物でありまして、必ず馴れ馴れしく声をかけてくるもんなんですね。「へい奥さん、らっしゃい。何にいたしやしょう?」とか。「奥さん、今日はいい茄子が入ってますぜ!」とか。えーい、うっとうしい!僕は茄子よりもゴーヤのほうが好きなんだってば。あのイボイボが、なんとも。。。だいたい僕は“奥さん”ぢゃないっ!…と文句のひとつも言いたくなりますよね。いや、さすがにそうやって声を掛けられたことはないんですけどね。

 …というような人が増えてきたからなのか、近頃ではなるべく人と接することなく用を足せるシステムというのが大はやりですよね。不況による人件費の削減という一面もあるんでしょうが、例えばサラ金業界では“無人契約機”というのがごく当たり前になってきました。いろいろな業者が様々なネーミングで広告合戦を繰り広げておりますが、中でも秀逸なのは何と言っても“むじんくん”ですよね。そのまんまぢゃないか!…という気がしないでもないんですが、その“そのまんま”なところがいいですよね。“むじんくん”はどこでしたっけ?アコムですか?ま、いずれにせよ“むじんくん”の大ブレイク以来、この業界では「とりあえず“〜くん”を付けときゃ、エエっちゅうもんやろ。」…という流れが趨勢になっておりまして、例えばアイフル“お自動さん”ですか。あ、これは「〜くん」じゃなくて「〜さん」でしたね。この業界では「とりあえず“〜くん”とか“〜さん”を付けときゃ、エエっちゅうもんやろ。」…と訂正しておきますが、この“お自動さん”というネーミングはあまりよくありませんな。いや、自動地蔵と引っ掛けると発想はワカランでもないんですが、イコー(どこ?)の“ねずみ小僧 自動吉”同様、“自動”がらみではあまりいいネーミングがありませんね。いっそのこと、アップル(どこ?)の“全自動くん”みたいな何の工夫もない名前のほうがすっきりしていて、すがすがしいスガシカオ。…といった気がします。

 “自動”が駄目となれば、残された道は“無人”路線しかないわけですが、これも“むじんくん”の出来があまりによかった…というか、最初にこれを出されたら、後の人が困るじゃないか!…というようなところもあって、軒並み苦戦を強いられております。例えばオー・シー・エス(どこ?)の“夢じん御殿”なんて、ほとんど無理矢理ですよね。社内の企画会議で「うちの自動契約機の愛称は“夢じん御殿”にしよう!”という案が出されたとき、反対する社員はいなかったんですかね?あるいはワンマン社長(編集部注:ハゲている)の“ツルの一声”で決まってしまって、社員一同に「“ハゲの一声”じゃ、しょうがないやぁ。。。」という諦めムードが漂ったのかも知れません。いや、オー・シー・エスの社長が本当にハゲているかどうかはサダカではないんですが、あえて社長の意見に反対してクビになって、食うに困ってタカラ(宝産業株式会社・大阪(どこ?)の“むじんでド〜モくん”のお世話になったりするのもアホらしい話ですしね。

 で、“自動”や“無人”に頼らず、第3の道を選んだ業者も少なくありません。“円”とか“マネー”といった言葉に絡めて、何かいい名前はないものだろーか?…という道を方策する流れでありますが、その代表的なものが武富士(どこ?)の“¥en(えん)むすび”でございます。お、やっとメジャーなところが出てきましたね。わざわざ(どこ?)と括弧書きしなくても話が通じるのは久し振りのような気がしますが、“円に関する契約を結ぶ”という観点からしても、実によくデケた名称であると思います。さすがは業界ナンバーワンといったところで、「“円関係”はこれで終わったな。」…という秋風にも似た気配すら漂っております。が、これで終われないのが後続業者でありまして、最後の悪あがきとしか思えないような作品も少なくありません。カトレア(どこ?)の“楽¥en(らくえん)”なんて、“¥en”の表記からして、まんまパクリですよね。いや、もしかしたらカトレアのほうが元祖で、武富士のほうがパクったのかも知れませんが、この業界は“名前が知れたもん勝ち”ですからね。もし、同じ自動契約機コーナーに“楽¥en”“¥enむすび”が並んでいたとしたら、僕だったら間違いなく“¥en(えん)むすび”のほうで借りちゃいますね。何となく信用できそう?…という感じがしますもんね。で、武富士の返済がニッチもサッチもどうにもこうにもブルドック♪…という状態になってはじめて、隣の“楽¥en”から金を借りて“¥enむすび”の借金を返すということになって、ま、確かにその瞬間は刹那的には“楽園”であるかも知れませんが、その先に底知れぬ“地獄”が待ち受けていることは言うまでもありません。ご利用は計画的にねっ♪…ということで、今日はおしまい。

 

 今日の前半はとってもあっさりしてましたね。で、今日の後半はあまり気がすすみません。フランク・アビタブレです。いや、読み方が違うかも知れませんが、どうだっていいです。「あきらジャズまつり」の時に*師匠から頂いたものでありまして、その素性はよくワカランのですが、酢醤油というのはさっぱりしていていいもんですよね。僕はわりと騎乗位が好きなんですが、酢醤油というのも悪くありません。時折、酢にむせたりするのもなかなかオツなものです。ということで、今日はおしまい。…というわけにもいかないので、あまり気は進まないんですが、とりあえず1曲目から聴いてみることにしましょう。えーと、まずは「ゲッティン・ゼア」です。このアルバムはパウエル曲集と言ってよい選曲となっておりまして、どうやらミシェル・ペトルチアーニがプロデュースしているのが味噌なんだそうです。味噌といえば酢味噌というのも悪くないですよね。ウドの酢味噌和えとか。酢味噌好きの人のことを「スミソニアン」と言ったりしますが(編集部注:言ったりしません)、ミシェルの実兄(だっけ?)のルイス・ペトルチアーニもゲストで参加しているようです。

 で、1曲目の「ゲッティン・ゼア」です。タイトルだけではあまりぴんと来ないかも知れませんが、曲を聴けばわかります。あ、これは『ザ・シーン・チェンジズ』というアルバムに入ってた曲だよね。…ということがわかります。『ザ・シーン・チェンジズ』と言われてもあまりぴんと来ないかも知れませんが、「クレオパトラの夢」の入ってるやつと言えばわかりますね。あのアルバムの特にA面は“クレ夢”を始めとする日本人好みのマイナー・チューンが目白押しなんですが、いきなりこの曲を持ってくるなんざ、アビたんもなかなか捨てたもんじゃありませんな。で、演奏を耳にした瞬間、「悪くないぢゃん。」と思ってしまいました。いや、僕はとってもオトナだから「黒くなければ駄目。…」とか、「死んでなきゃヤだ。…」といった偏見はまったくなく、いいものはいいと素直に認める、とってもフレキシブルな性格なんですよね。で、何がいいかというと、90年代モノなんですがまったく奇をてらったところがなく、素直にハード・バップしてるところがいいと思います。さすがにビ・バップとまでは言えませんが、若いにもかかわらず、随分オーソドックスなプレイをするんだね。…というところに好感が持てるし、共感も出来ます。朝刊だって配達しちゃうし、ヨウカンだってカジっちゃいます。えーと、この曲に関して僕が言いたいのは、そんだけ。

 はい、2曲目です。アビたんはここで「テンパス・フュージット』を持ってきました。これはもう、無謀のそしりは免れません。よりによって”テン・フュー”とは。…と絶句されても仕方のないところでありますが、それを承知の上で敢えてチャレンジしたというのなら、なかなか見上げた根性をしておりますな。好きな麺類は“かまあげうどん”とかなんですかね?いや、ぜんぜん関係ないですね。で、演奏のほうはというと、鬼気迫る感じがパウエルと比べると、どうもなあ。…などと書くだけ野暮というものです。”鬼気”なんてものは普通の人間がそう簡単に出せるものではありません。毎日3時間「黒ひげ危機一髪」をやったって駄目です。そのうち飽きると思うし、それに大体、ぜんぜん関係ないと思うしー。で、アビたんのプレイは概ね健闘しているのではないかと思います。特にテーマの部分は「よくやったね。」と誉めてやってもいいと思います。演奏が始まった瞬間、「おおっ!」と思ってしまいましたもんね。アドリブだって悪くないと思います。ただ鬼気が希薄なだけで、邪気は充分に感じられますもんね。ということで、3曲目です。「トプシー・ターヴィ」というのは僕はあまりよく知らんのですが、パウエルのオリジナルのようです。ミディアム・テンポのなかなか印象的なメロディのナンバーであります。特にキメのフレーズのベースとピアノのユニゾンがばっちり決まっております。アビたんのプレイもこれくらいのテンポがいちばんオイシイんじゃないですかね?イシイのミートボールもかなりオイシイですけどね。ハンバーグ関係では日本ハム製品がけっこう好きなんですが、今度の不祥事で店頭から姿を消しちゃいそうなのが残念でありますな。ま、いざとなったらマルシンハンバーグで飢えを凌げばいいんですけどね。あれはハンバーグだと思うから駄目なわけであって、まずいハンペンのようなものだと思って食べれば、それなりに食えないものでもありません。

 …と、ここまでかなり順調に推移してきましたが、さてここでバラードの登場です。アビたんのバラード・プレイの実力はいかほどのものか?もしかして、イカ程度のものなんじゃないか?…という若干の危惧もあったんですが、結論から申し上げましょう。悪くないです。寿司ネタに例えると、中トロ…とまではいかないまでも、イカよりは上です。赤貝程度ぉ?…って、あまり変わらないような気もしますが、「タイム・ウェイツ」というのはおそらく、同名のBN盤に入ってるんでしょうな。いや、あまりよく覚えてないんですけど。聴いてみると確かにどこかで聴いたことのあるような曲なので、何かのアルバムに入っているのは間違いないです。で、アビぴょんの演奏はしみじみとしております。好きな貝汁は“しじみ汁”といったところですかね?しじみ、しじみ、しじみ〜、しじみを食べると〜、腎臓、腎臓、腎臓〜、腎臓がよくなる〜♪「おさかな天国」の節で歌ってくださいね。いや、腎臓、腎臓、腎臓〜♪…のところがちょっと歌いにくいんですけどね。よくなるのは腎臓じゃなくて肝臓だったかも知れないしー。

 で、5曲目は「シリア」です。個人的にはパウエルの作品の中ではフェイバリット・チューンなのでかなり期待してたんですが、期待が大きかった分、ちょっと期待はずれでしたかね?テーマの処理にちょっぴりもたついた感があるのが残念ですね。アドリブも全体的にちょっぴり軽すぎです。で、さしたる盛り上がりもないまま、終わってしまいます。はい次。「ウィロウ・グルーヴ」というのはアビタブレのオリジナルでしたっけ?今、手元に資料がないのでよくわからんのですが、あるいはパウエルの曲かも知れません。シンプルなリフ・ブルースで、アビタブレのソロも大いに盛り上がっております。で、7曲目の「トリス・クロス」というのはアビタブレのオリジナルではなかったかと。いや、違うかも知れませんけどね。知ったかぶりをしない。それが僕のポリシーであります。いや、ただ無知なだけなんですけどね。で、演奏のほうはアップ・テンポで大いに盛り上がっておりますが、次第に書くことがなくなってきましたな。わははははは。とりあえず笑っておきましょう。

 えー、8曲目は歌モノです。「ゼア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー」です。ベースとのデュオです。バラードで始まり、テーマの最後のところからアップに転じます。アビタブレのスインギーなピアノが満喫出来ます。ベースのピチカート・ソロも聴けます。以上。うん、シンプルでいい解説でしたね。よく考えると、曲解説なんてものはこれくらいの情報があれば充分という気がしますね。いや、手抜きとかそういうことではなくて。で、9曲目は「オーガスト・イン・パリス」という曲です。「パリの8月」「パリの4月」をもじったアビタブレのオリジナルではないかと思われますが、“パリヨン”より、よっぽどいい曲ですよね。何というか、パリ北駅着・印象って感じぃ?で、次第に盛り上がっていく感じのアドリブも秀逸です。はい、次。お、これは「ビーン・アンド・ボーイズ」ですかね?あ、「バート・カバード・バド」という曲なんですな。とてもよく耳にする曲です。もう、これさえ弾いておけば安心?…みたいな。アビたんもとっても無難に仕上げております。何でもいいけどこのCD、曲数が多すぎぃ。。。いい加減メゲてまいりましたが、えーと、次は「ウェイル」ですか。はあ、そうですか。で、その次は「ケニー」ですね。昆布は毛にいい。そういう曲だと思います。しみじみとしたバラードです。ケニーというと僕の場合、『静かなるケニー』の思い切り間のびしたドーハムの顔、あるいは自慰好きのサックス奏者、ケニー・Gのあまり爽やかでない髪型が脳裏に浮かんでくるんですが、そうした印象とは裏腹にとっても綺麗な演奏に仕上がっております。ただ、長すぎて後半になると嫌気が差してくるのがちょっと嫌けぇ。…という気はします。で、「バドズ・バブル」。バドの代表曲のひとつです。で、ラストの「サイレンス」はバラードです。バラードはもうエエちゅうねんという気がします。おしまい。

【総合評価】

 出だし快調、後半ダラダラ。そういった感じですね。いくらCD時代になって70分くらいまでは大丈夫…ということになっても、聴く身にしてみれば緊張感が持続するのは30分そこそこが限度。…という気がします。思い切って8曲くらいに絞ったほうが全体としてのインパクトは強くなったんじゃないっすかね?いや、解説を書くのが面倒とか、そういうことではなくて。


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