MEDITATIONS (PRESTIGE)

ELMO HOPE (1955/7/28)

MEDITATIONS


【パーソネル】

ELMO HOPE (p) JOHN ORE (b) WILLIE JOES (ds)
【収録曲】

IT'S A LOVERY DAY TODAY / ALL THE THINGS YOU ARE / QUIT IT / LUCKY STRIKE
I DON'T STAND A GHOST OF A CHANCE WITH YOU / HUH / FALLING IN LOVE WITH LOVE
MY HEART STOOD STILL / ELMO'S FIRE / I'M IN THE MOOD FOR LOVE / BLUE MO

【解説】

 エルモ・ホープ『メディテーション』です。日本語にすると『瞑想』ですかね?ジャケットも「まさに瞑想室のドアを開けんとするエルモ・ホープ」といった構図になっておりますが、ということで本日は 『瞑想便槽』 というテーマでお届けしたいと思います。

 便槽と言えばかれこれ1ヶ月ほど前のことになりますが、ある人からミヤリサンの効用に関するメールが届きました。差出人の名前をここでは仮に宮入さん(仮名)としておきますが、「引用可」の許可が得られておりますので、ここで簡単に紹介しておきしょう。


> 以前

> http://www17.tok2.com/home/shiosaba/jazz15/jazz1510.html

> でミヤリサンの効能のお話を書かれておりましたが、
>
> なぜ便秘と下痢のどちらにも効くのか?と。
>
> これはミヤリサンがウンコをやわらかくしたり固くしたりするのではなく
> ウンコを作る腸の機能を正常化する効能なのです。
>
> 腸の中にはいろいろな菌が住んでいます。
> いいものもあれば体に悪い影響を及ぼすもの(大腸菌などもこれです)ありまして
> これらのバランスが保たれていると「ちょうどいい感じ」のうんこが出てきます。
> このバランスが悪くなるとそのバランスによって下痢になったり便秘になったり
> します。

 ( 後 略 )

 これを読んで僕は「うん、これは!」と思ってしまいました。「目からウンコ」とはまさにこのことでありましょう。「ミヤリサン」というのはてっきりウンコを硬くするためのクスリだとばかり思っていたらそうではなく、「悪い菌」「いい菌」と「インキン」とのバランスを取って、“ちょうどいい感じのうんこ”を出すための薬だったんですな。ちっとも知りませんでした。すばらしいお薬ですな。ちなみに「ミヤリサン」の親戚で、下痢に特化した「ミヤリッチ」というのもあるそうです。今度下痢になったら是非試してみようと思っているんですが、そういう時に限って“ちょうどいい感じのうんこ”が出てくるんですよねぇ。世の中、なかなか思い通りにならないものですなぁ。。。

 ということで瞑想便槽です。瞑想のほうはどうでもいいので、便槽に特化した話になると思いますが、一口に便槽と言っても色々な種類があるということをご存知でしたか?僕は知りませんでした。たかだか便を溜めるだけの槽にもいくつかの種類があって、ちゃんと名前がついているとでも言うんでしょうか?槽猛とか槽茂とか、そういった名前が付いているとでも言うのでしょうか?…と思って調べてみたところ、さすがにそういう名前はついておりませんでした。「普通便槽」とか「無臭式便槽」とか「水漏れ便槽」とか「くみ取り式水洗便槽」とか、そういうわりと普通の名前が付けられておりました。「普通便槽」というのはおそらく普通の便槽のことでしょう。そして「無臭式便槽」というのはおそらく臭くない便槽のことでしょう。臭くない便槽というのは画期的な発明だとは思うんですが、それはそれでちょっぴり寂しいような気がしないでもありません。「臭くなければ便槽ぢゃないっ!」みたいな。

 で、「くみ取り式水洗便槽」というのは今ひとつよくわかりません。「くみ取り式なのか水洗なのか、はっきりしろっ!」…と文句のひとつも言いたくなっちゃいますが、ま、恐らくは「簡易式水洗もどき@ぼっとん便所」のことだと思うんですけどね。伊勢志摩地方のあまり小綺麗でない旅館で体験したことがあるんですが、見かけは普通の“ぼっとん和式便器”なんですが、本来あるべき便投下口のところに蓋のようなものがあるんですよね。そして便器の前には水をためるタンクのようなものがあって、便器の横のところには足踏み式のペダルが設けられておりました。そして便器にしゃがみこむと、目の前には「用を足す場合は下に紙を敷いてください。」と書かれた紙が。一見するとぼっとん便所なのに、ペダルを踏むと水が流れる水洗便所なのかぁ?それにしても下に紙を敷けというのは、いったいどういうことなのか?…と不思議に思いつつも、いつまでも考え込んでいたところで事態は一歩も前には進まないので指示にしたがって便器の底に紙を敷き、しかるのちにブツを投下して、最後の仕上げとして足元のペダルを踏んづけたところ、思いもよらない事態が発生しました。ペダルを踏めば当然、勢いよく水が流れてウンコを流してくれるものだとばかり思っていたんですが、出てきた水はほんのわずかでありました。本当にもう「ちょろちょろ。。。」といった感じでありまして、これではいかん!…という危機感を抱いた僕はさらに勢いよくペダルを踏み込んだわけでありますが、すると今までウンコを乗せていた便器の底の蓋が斜めに下がって、便を乗せた紙がするすると下のほうに落ちていくではありませんか。僕は思わず感動して、「おおっ!」と声を出してしまいましたね。

 …という話を前にもどこかに書いたことがあるような気がするんですが、「くみ取り式水洗」というのはおそらくそういったタイプの便槽なのでありましょう。いや、ぜんぜん違うのかも知れませんけど。で、もうひとつよくわからないのが「水漏れ便槽」というやつなんですが、便槽から水が漏れちゃうんですかね?そんなことでは便所の廻りがウンコ水まみれになっちゃうんじゃないか?…と人事ながら心配になってしまいますが、あるいはウンコに含まれる水分だけが外に漏れて、便槽の中にはウンコの絞りかすだけが残るという、そういうシステムなのかもしれません。下痢気味の日が3日も4日も続くと通常時よりも容積が増えて、思わぬ早い時期に便槽がオーバーフローするという恐れがあるんですが、水漏れ式なら安心だね♪…って、いや、ぜんぜん違うのかも知れませんけど。

 とまあ、くみ取り式便所というのは今ひとつ時代の最先端からはかけ離れている印象があるんですが、くみ取りの料金体系というのは意外にも携帯電話やインターネットのプロバイダーの料金体系と共通するものがございます。いや、これは自治体によってまちまちなんだと思いますが、「定額制」「従量制」のどちらかを選択できるシステムになっている市町村もあるみたいですね。「定額制」というのは1人あたりの平均ウンコ量と1日あたりの平均ウンコ回数から1ヶ月平均ウンコ総量を算出して、それに人数を掛けた分だけくみ取り料金を徴収するというシステムです。プロバイダーに例えると「出し放題コース」というヤツですね。一方、「従量制」というのは昔からある「出した量に従って料金を徴収する」というシステムです。一般的に「定額制」を選んだ家庭では下痢に、「従量制」を選んだ家庭では便秘になりやすいという傾向があるようですが、ちょうどいい感じのうんこにするために、この2つのシステムを併用している自治体もあるようです。携帯電話に例えると「無料ウンコ2500円分を含む、くみ取りライトコース」といったところでしょうか?そして「出し放題」がもはや常識となったくみ取り業界において、顧客獲得の切り札は「速さ」である言われております。いかいにして素早くウンコをくみ取るかというのがポイントでありまして、その技術は日進月歩で目覚ましい発展を遂げております。つい最近までデジタル・バキュームカーを用いた“ISDN”(「いいぞ・凄いぞ・どえりゃあ・ナイス」の略)が凄いっ!…と騒いでいたと思ったら、今では専用バキュームカーを使った“ADSL”(「あさり大好き、最高、るんるん♪」の略)が主流ですもんね。そのうちに「いちど便槽に溜めてから汲んでいるようでは遅い!」ということになって、肛門直結式バキュームカーなんていうのが登場するかも知れませんね。

 いずれにせよ便槽は下水道の普及により、日本の家屋から急速に姿を消そうとしております。今から10年もすると、その頃の子供達はこんな名前で呼ばれているかも知れませんね。「便槽を知らない子供達」と。

 ということでエルモ・ホープ『メディテーション』です。日本語にすると『瞑想』ですかね?ジャケットも「まさに瞑想室のドアを開けんとするエルモ・ホープ」といった構図になっておりますが、本日は屋外プレイ執筆でございます。木曽川@マカイゲレンデにて、うちの近所のミスタートンカチで買ったサマーベッドに寝転がってザウルスで原稿を書いております。いや、9800えんの白黒ザウルスは外でも画面が見やすくてよいですな。久し振りのペン入力はちょっぴり面倒なんですが、目の前ではアジア系らしきギャル3人組が川に向かって石を投げたりして遊んでおります。けっこう風が強いんですが、スパッツ、もしくはわりと長めのスカートを着用しているため、パンツが見えるには至っておりません。いや僕はここにウインドサーフィンをする為にやって来たのであって、決してパンツを見たいと思っていたわけではないので別にどうでもいいんですが、その肝心のウインドのほうもまだ道具のセッティングをするに至っておりません。というのもですね、すぐ近くに某ビッグ・ア○ランドのおっさんが来ているんですよね。僕の道具は基本的にこのおっさんの店で買ったものなんですが、今使っているセイルだけは違います。おっさんとは宿命のライバルである某ニ○ティで買っちゃいました。ちなみにこのニ○ティという店は拡大路線が裏目に出て潰れてしまいましたが、僕が買ったセイルもすぐに破れてしまいました。テープを貼って何とか騙し騙し使っているんですが、このザマをビッグ・ア○ランドのおっさんに見られたら何を言われるかわかりません。「ちゃんとした店で買わないから、こういうことになっちゃうんですよねぇ。」とか「こんなセイルを売ってるから潰れちゃうんですよねぇ。」とか、物言いはあくまでも丁寧なれど、妥協を許さない口調で言われちゃうことは必至でありまして。。。

 とか言ってるうちにおっさんは姿を消しちゃいましたので早速セイルを袋の中から出してみたんですが、おお!また違うところが破れとるやん!仕方なくそこをテープでリペアしてから張ってみたんですが、おお!また別のところが破れたやん!どうやらフィルムのところが経年劣化のためか、ものすごく脆くなってるようでありまして。。。仕方がないのでJAZZでも聴きましょう。エルモ・ホープ『メディテーションズ』です。ホープ自体かなり地味な存在なんですが、それに輪をかけて地味なアルバムでございます。今から10年ほど前でしたか、某FM局が「あなたが選ぶジャズピアノ名演・名盤」といった企画をやっておりまして、その結果は本にもなったんですが、かなり下位のほうではありましたが、この『メディテーションズ』が選ばれておりました。選ばれて「どうしてこんな地味なアルバムが選ばれたのだろう?」と書かれておりましたが、ホープというピアニストが不遇のまま若くして死んじゃったという日本人好みのストーリーと、スタンダード中心のわかりやすい選曲からして、それほど不思議ではありませんよね。いや、実際に聴いてみると、確かにかなり地味なんですけどね。サイドマンもジョン・オレ(誰?)とウィリー・ジョーンズという地味な人選だしー。ということで、とりあえず1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 1曲目は「イッツ・ア・ラブリー・デイ・トゥデイ」です。今日は何てラブリーな日なんでしょう♪…って、いや、そうでもないですけどね。セイルは破れるし、アジア系ギャルはパンツを見せることなく帰っちゃうしー。で、演奏のほうはMP3にしてCFカードに入れてきたのでザウルスで聴きながら原稿を書けるわけんですが、かなり速いテンポでやっておりますな。ホープは確かこの曲を、何とかという他のアルバムでもやっていたと思うんですが、そのバージョンよりも若干テンポが速いのではないかと。で、この人のスタイルって、今ひとつよくわからんのですよね。根はパウエル派なんでしょうが、バリー・ハリスほど「もろ」というわけでもないし、強いて言えば「ぼーっとしたデューク・ジョーダン」って感じぃ?オブラートに包んだかのようなボンタン飴的なタッチが特徴ですよね。いや、今のヤングはボンタン飴ポンカン飴だっけ?)と言われてもよくわからないと思いますが、おじさんは子供の頃、けっこう好きでした。飴というよりも“固めのモチ”といった感じでありまして、ちょうどキャラメルぐらいの大きさなんですが、紙ではなくてオブラートにくるんでありまして、そのまま食べるのがコドモ心にも「不衛生やん」という気がしたものでありますが、演奏のほうはピアノがちょっとせわしない感じ?わたしはもうちょっと落ち着いた感じのピアノが好きです。…と誰かのほ→むぺ→じに書かれているのをちらっと見ましたが、確かにそうかも知れません。

 その意味では2曲目の「オール・ザ・シングス・ユー・アー」は、いいわぁ。…と感じる人が多いかも知れませんね。個人的にこの曲のピアノによるベストはバリー・ハリス『ブレイキン・イット・アップ』か、ハンプトン・ホーズの『ザ・トリオ』(…の第何集かは忘れた。)だと思っているんですが、ここでのホープはどちらかというとホーズよりもハリスに近いっす。一聴すると何気ない演奏なんですが、よく聴くとそれとないです。地味な感は否めないんですが、中堅スーパーはいなげや。そういった演奏です。どうでもいいけど、「いなげや」「鼻毛や」はちょっとだけ似てますよね。で、地味ながらもよく聴くと美味しいフレーズが連発されているのは、“ミュージシャン好み”と言われているコード進行の賜物でありましょうか?いや僕はミュージシャンではなく、ただの通りすがりのコチジャン好きなので、よくはわからないんですけど。

 ホープという人は作曲家としても秀でたものがありまして、特にコンテンポラリーから再発された『エルモ・ホープ・トリオ』というアルバムは日本人好みの魅惑のマイナー・チューンが目白押しなんですが、この『メディテーションズ』にも半分くらい彼のオリジナルが入っております。で、手初めの「桑井と伊藤」はベースのピチカートで始まるブルースっぽいナンバーです。ブルージーな表現というのはブルンジ人の専売特許なんですが、アメリカ人の彼だって負けておりません。だいたいブルージーな表現がブルンジ人の専売特許なんていう話は一度も聞いたことがありませんもんね。で、アドリブ・パートに入ると少しずつテンポが速くなって、大いに盛り上がる…というところまではいきませんが、小さく盛り下がる…ということもなく、そこそこのところでちょっぴり唐突な感じで演奏は終了します。どうやら基本的にはテーマを設けない即興ブルースだったようですね。で、もう1曲彼のオリジナルが続きます。4曲目は「ラッキー・ストライク」という曲ですね。僕はボーリングが大の苦手で、掘り進んでも温泉が出た試しがなく…って、そのボーリングじゃなくて、タマを転がしてもピンが10本倒れた試しがなく、たまたま、タマがすべてのピンを倒したとしたらそれはラッキーとしか言いようがないんですが、アップテンポのバップ・チューンとも歌モノともとれるような曲調のナンバーです。悪くはないんですが、それほど日本人にウケるという感じでもないような気がするので、一般人はさっさと5曲目に進んだほうがいいかも知れません。

 「ゴースト・オブ・ア・チャンス」はヤングな作曲家、ビクター・ヤングの曲ではなかったかと記憶しております。もしかしたら違ったかも知れませんが、この曲には昔、「時々出る幽霊」という邦題が付いたことがあるそうですね。あまりにもよく出来た話なので、作ったものかも知れませんけどね。よく勝手に話を作りますからねぇ、おじさん。それが珍しく、たまたまちょっとウケたもんだから、繰り返して言っているうちにあたかも「本当にあった話」のようになっちゃったのかもしれません。それにしてもおじさんというのは、どうして何度も同じ話をするんでしょうね?普通、ウケると思って話したことが何の反応も得られなかった場合、「しまった。ハズしたか。。。」と反省するものなんですが、おじさんというのは相手に反応がないと「ウケなかった。」と思わずに、「どうも聞こえなかったらしい。」と勝手な判断を下すらしいんですよね。こういうおじさんをそのまま放置しておくと、いつまでも同じくだらない話を聞かされるハメになるので、「つまんないっすよ、ナガナワさん!」とはっきり言ってやったほうが本人のためにもなると思います。ちなみに演奏のほうはパウエル風の無伴奏ソロで始まるバラードでありまして、すぐにリズムが入ってきてパウエルっぽさは希薄になりますが、溢れる歌心は最後まで変わることはありません。『メディテーションズ』というタイトルからすると、この演奏がいちばん便槽的…じゃなくて、名僧的…でもなくて、瞑想的であるかも知れません。ちなみに曲名は正しくは「ほのかな望み」といった意味であるようです。

 はい6曲目。ホープのオリジナルで「HUH」という曲です。何と読むんですかね?「ふぅ」ですかね?こんなもん、辞書にあるのか?…と思いつつ調べてみると、あ、ちゃんと載っておりました。「ふん,へえ;えっ(驚き・軽べつ・質問などを表し,鼻にかけて発音する)」だそうです。鼻にかけて発音…というのが難しいですね。んにえーっ」という感じですかね?いや、字で表現するのは不可能ですな。ちなみに曲のほうはミディアム・テンポで軽快にバウンスするナンバーでありまして、鼻にかかった感じもなく、とっても快調です。はい7曲目。すでに後半も自主規定の分量に達しておりますので、後は軽く流しておきたいと思いますが、スタンダードの「フォーリング・イン・ラブ・ウィズ・ラヴ」です。出だしの部分が6曲目とそっくりなので、一瞬「別テイクか?」と思ってしまいましたが、テーマが始まるとちゃんと「恋に恋して」でありました。きゅーてぃ&らぶりぃという言葉がぴったりくるような乙女ちっくなナンバーでありまして、ちなみに乙女ちっくというのはチック症に苦しむギャルのことではなくて、「ぎゃるっぽい」というような意味ですよね。いや、わざわざ説明しなくてもわかるとは思いますが。この手の曲調はトミ・フラとかハンク・ジョーンズとか、その手のスタイルに合うような気がするんですが、いや、顔に似合わずマッコイ・タイナーあたりに弾かせてもいいかも知れませんが、地味なエル・ホーだって頑張っております。よく歌うフレージングは相撲甚句を彷彿させますよね。いや、させませんか。とにかくまあ、次へまいりましょう。

 8曲目のスタンダードです。「マイ・ハート・ストッド・スティル」はロジャース=ハートの作品ですね。「私の心臓は止まったまま」…って、心臓マッサージしてもらえよ!…と思っていたんですが、どうやら「心臓が止まるかと思った」という意味のようですね。出だしはパウエル風の無伴奏ソロでありまして、バラードか?…と思っているとリズムが入って一転、ミディアム・テンポの軽快な演奏と相成ります。和音を効果的に使ってブルージーなムードをうまく表出しておりますな。自然発生的に湧き出すようなフレーズがわくわく大涌谷で、とってもいい演奏だと思います。ただ、アドリブが佳境に入ってきたところで唐突な感じでテーマに戻ってしまい、どうもこのアルバムは1曲の演奏時間が短いのが残念ですな。おかげで11曲も入ってて、なかなか解説が終わらないしー。…ということで、あと3曲です。「エルモズ・ファイア」エルモの火です。火というのは燃えるものだとばかり思っていたら、エルモだったんですな。で、出だしの部分は「バド・オン・バッハ」です。パウエル風の無伴奏ソロです。が、すぐにリズムが入って、かなり速いテンポのプレイが展開されます。悪くはないとおもうんですが、にほんじんのこどもには、ちょっとむつかしいかな?というきがしないでもありません。で。10曲目。「アイム・イン・ザ・ムード・フォー・ラブ」は地味なジミー・マクヒューの曲です。あえて日本語の曲名をつけるとしたら「恋の気分で」といったところですかね?ジョン・オレをフィーチャーしたナンバーでありまして、ベースのピチカートによってテーマ・メロディが演奏されます。いいムードです。恋の気分です。恋の気分のままアドリブ・パートに突入して、そしてかなりねばります。この曲はベースで最後までいっちゃうつもりなのか?…という若干の危惧が芽生え始めた頃、すーっとホープのピアノにスイッチするところが絶妙です。んでもって、このホープのソロがよいですな。何というか「夢見るオトメ」って感じ?で、最後にもう一度ベースが出てきたりすると、ちょっとウザいな。…と思っていたんですが、ちゃんとラブリィなピアノのまま終焉を迎えました。よくわかってますね、ホープもジョン・オレも。

 はい、ラストです。「ブルー・モー」という曲です。「ブルマー」ではありません。なーんだ。じゃ、いいや。…という気分になってしまうのもワカランではないんですが、何もブルマーだけが人生じゃないわけだし、我慢して最後まで聴いてくださいね。ゆったりしたテンポのブルージーなブルースですね。Elmo は、美しく悲しい Blue Mo での問題の核心に触れる…と原文ライナーにもありますが、美しく悲しい問題の核心に触れる演奏であるな。…と僕も思います。アイラ・ギトラーとは意見があいますなぁ。ちなみに先ほどの曲で「目立つことの快感」を覚えてしまったジョン・オレがここでもピチカートでソロを取っておりますが、…えーと、この曲だけ6分40秒と長めの演奏になっておりまして、書くことがなくて、時間があまって、困りますね。とにかくまあ、そのような1枚なのでありました。おしまい。

【総合評価】

 小粋なスタンダードと地味なオリジナル曲が醸し出す絶妙のハーモニー。…とでも申しましょうか?ホープのオリジナルに「これ」といった極めつけのマイナー・チューンがないため、一般人からの人気は得られないでしょうが、地味フェチの人にはたまらんアルバムではないかと。よく聴くと結構いいフレーズを連発しているんですが、よく聴かないとわからないところが難点です。えーと、言いたいことはそんだけ。


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