KELLY GREAT (VEE JAY)

WYNTON KELLY (1959/08/12)

KELLY GREAT


【パーソネル】

LEE MORGAN (tp) WAYNE SHORTET (ts) WYNTON KELLY (p)
PAUL CHAMBERS (b) PHILLY JOE JONES (ds)

【収録曲】

WRINKLES / MAMA "G" / JUNE NIGHT / WHAT KNOW / SYDNEY
【解説】

 君には赤い血が流れているかな?僕には流れています。コドモの頃、鼻クソをホジっていてよく鼻血を出したものでありますが、鼻の穴に詰めたティッシュは確かに赤く染まっておりました。オトナになってからはあまりそういうこともなく、いや、鼻クソをホジることがなくなったわけではなくて、鼻クソをホジっても鼻血が出ることが少なくなったんですが、それでも赤い血は脈々と流れていることと思われます。ところで、血はどうして赤いか知ってますか?答えは簡単です。血液の中には赤血球という赤い血のタマのような成分が含まれているから赤いわけですね。では赤血球はどうして赤いか知ってますか?これも答えは簡単です。赤血球の中にはヘモグロビンという赤い色をした成分が含まれているから赤いわけですね。…と、ここまでは良識のあるオトナなら誰でも知ってる話なんですが、では筋肉はどうして赤いか知ってますか?結論から言うと、筋肉にはヘモグロビンとよく似たミオグロビンという成分が含まれていて、それがやっぱり赤い色をしているから筋肉は赤い色をしているんだそうです。ほぉ、それは知りませんでしたな。

 どうやら世の中の赤いモノには○○グロビンというのが含まれているようなんですよね。赤い赤い、赤い仮面の仮面ライダーV3にはカメグロビン、日本赤軍のメンバーにはゲバグロビン、そして赤まむしドリンクにはマムシグロビンビンという成分が含まれていて、そのおかげでビンビンになるんぢゃないか?…という気がするんですが、それはともかく、どうして筋肉にはミオグロビンなどというものが含まれているんでしょうか?そもそもミオグロビンとはいったい何物なんでしょうか?…と思って調べてみたところ、というか、酸欠作業主任者講習のテキストに載っていたんですが、ミオグロビンにはヘモグロビンと同じく酸素と結合する作用があって、しかもその結合力はヘモグロビンの何倍も強いんだそうでありまして。その結果、酸素が不足した状態ではカラダにどのような症状が現れてくるのでしょうか?

 結論から言いましょう。アホになります。酸素が不足した状態になると筋肉中のミオグロビンは血液中のヘモグロビンから酸素を奪い取ってまで、筋肉だけは生かし続けようとします。多少アホになることぐらいは犠牲にしてでも、心臓だけは止めないように頑張るわけでありますな。アタマに酸素がいかなくなって脳が死んでしまっても、心臓だけは動いているという、いわゆる脳死の状態が生じるのも筋肉に酸素を蓄える作用があるからなんですな。筋肉ごときに貴重な酸素を使われてしまってもいいのか?それより、どんどん脳ミソに酸素を送って、アホになることだけは避けるようにしたほうが賢明なのではないか?アホになってしまったら、元も子もないんじゃないか?…という気がしないでもないんですが、でもよく考えたら、いくら血液中に酸素があったところで心臓が止まったら、血液が体中に行き渡らないわけでありまして、やはり多少アホになることくらいは犠牲にしてでも心臓を動かし続けるほうが理に適っているわけでありますな。では、酸欠になってもアホにならずに生き続けるには一体どうしたらいいのかというと、これはもう脳ミソを筋肉にするしかありません。脳ミソが筋肉で出来ていれば、多少酸素が欠乏したところでミオグロビンの力で働き続けることが出来るわけでありまして、これでもう安心だねっ♪…って、ただ脳ミソが筋肉になった瞬間、人間はアホになっちゃうような気もするので、いや、世の中というのはなかなかうまくいかないものでありますなぁ。。。

 さて、そこで心肺蘇生法です。呼吸が止まっている人を発見したら人工呼吸、心臓が止まっている人を発見したら心臓マッサージであります。このとき、心臓マッサージと間違えてファッションマッサージを施してはいけません。そんなことをすれば一気に昇天しちゃう恐れがあります。ちなみに僕が長島温泉のジャンボ海水プールでアルバイトをしていた時には、心臓マッサージもやってはいけないと言われてましたけどね。シロートが心臓マッサージをやると、必ず肋骨を折っちゃうからなんだそうです。心臓が止まっているというのに、肋骨の1本や2本、気にしている場合か?…という気がしないでもないんですが、万一、蘇生しちゃった場合に「肋骨が折れちゃったぢゃないか!」とインネンを付けられたりしても困るので、ここはやはり大人しく見捨てておいたほうが賢明ではないかと思われます。となると、僕たちが手出し出来るのは「心臓は動いているけど、呼吸は止まっている患者」に限定されるわけでありますが、その場合は先述の人工呼吸でありますな。マウス・ツー・マウス つー奴です。日本語に訳すと「ネズミからネズミ」ですね。…って、そのマウスじゃなくて、「口から口」ですね。この時、人間なら誰しも「相手が女子高生だったらイイけど、オッサンオバハンだったらどうするんだ?」という疑問が沸き起こってくることと思いますが、その場合は迷わず見捨ててください。人間、誰しも自分の身を守る権利はあるわけです。…というような非人道的な行動は許されるハズがありません。例え相手がオッサンオバハンだろうと、口が臭かろうと、ゲロ吐いてようとマウス・ツー・マウス。それが真のヒューマニズムというものではないかい?…と星飛雄馬も言っておりましたが、いや、僕はやっぱり嫌ですけどね。

 さてここで問題です。もし事故現場に軽傷者と重傷者と死者がいたとしたら、誰から相手をするのが正しいと思いますか?正解は軽傷者ですね。以前、この講習会で受講生にこの質問をしたところ、「死んだ人から相手する。」という人がおりまして、その人の職業を聞いたらお坊さんだったんですけどね。…って、いやこれは講習会で日本赤十字社岐阜県支部のオッサンが言ってたんですが、話を作ってる上に、話がスベっていませんかぁ?無論、場内はしーんと静まりかえってお寒い空気に包まれたわけでありますが、いや、この講師は間違いなく通信講座で「ユーモア話術」を受講したな?…と確信した次第でありますが、ということで、酸欠講習のお話は次回に続く。

( つづく )

 ということでウイントン・ケリーです。ケリーは偉大です。ということで今日は『ケリー・グレイト』というアルバムを紹介しようと思うんですが、定番ですね。このコーナーは元来「それほど有名じゃけど悪くないアルバム」を紹介するというのを趣旨にしていたんですが、貝を重ねる…って、何だかいやらしい誤変換ですな。回を重ねるにつれて、そうも言っておれなくなってきました。ま、定番でも、骨盤よりはマシ?…と思って開き直るしかありませんが、ンなことで今日は定番の『ケリー・グレイト』です。ケリーは偉大です。前立腺が肥大したら医大病院にでも行って診てもらったほうがイイかと思いますが、それはともかくケリーは偉大です。「ケリーは煙草につける火のような存在だ。ヤツがいないと俺はうまい煙草を吸えない。」と、マイルスがうまいことを言っておりましたが、共演者をスイングさせるテクに関しては、素股で素陰具させるソー○嬢にもひけを取らないとさえ言われております。 素股で素陰具…って、今ひとつ意味がよくわかりませんが、この『ケリー・グレイト』はサイドマンもグレイトですよね。モーガン、ショーターのホーン陣に、チャンバース、フィリーのリズム隊とくれば、マイルス五重奏団のバックにジャズ・メッセンジャーズのフロントという図式でありまして、畳を敷きつめた部屋は座敷。でも便器は洋式。そういう家に私は住みたい。…って、勝手に住めばイイと思うんですが、ということで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 1曲目は「リンクルス」という曲です。「しわしわ」とか「ひだひだ」というような意味のようですが、何となくいやらしい響きですね、ひだひだ。ひだひだ高山の名物は「さるぼぼ」ですけどね。略して「ひだぼぼ」って、わざわざ略さなくてもいいですね。で、演奏のほうはケリーのピアノのイントロで幕を開けます。ヴィー・ジェイというレーベルは例えばリバーサイドなんかと比較するとかなり泥臭いイメージがあるんですが、そんなレーベル・カラーとよく近藤真彦した、アーシーな味わいのナンバーでございます。ジャニーズなのにバック転出来ないとか言われてましたけどね、近藤マッチ。ちなみに僕もバック転は出来ませんが、バックでは出来るので大丈夫だと思います。で、ケリーがそのままトリオでテーマを弾いて、…というか、イントロなしでいきなりテーマという感じなんですが、とにかくケリーのピアノに続いてリー・モーガンがミュートでみゅーっと登場します。で、問題はこのソロなんですが、よく言えばモーダルです。が、恐らく当時のモーガンは“モード開発途上”といったところだったんでしょう。ところどころファンキーな味もあるんですが、全体的には今ひとつ抑揚に乏しい平坦なソロに終始してしまったな。。。という印象は拭えません。それは続くショーターのソロにも言えるんですが、この人は元来からぬべーっとしたスタイルの持ち主でありますので、ま、ヨシとしておきましょう。さて、3番手です。ケリーです。この人は無論、モードだって出来ちゃうヒトなんですが、ここではテーマの持っているアーシーさを最大限に活かした真っ黒スタイルで頑張っておりまして、ま、リーダーとサイドマンの考え方の違いが如実に現れた1曲と言えるでありましょう。よしにつけ悪しきにつけ、ファンキーからモードへの発展途上にある1曲であると言えるでしょう。

 はい2曲目です。「ママ・G」という曲です。日本語にすると「ママ・痔」、あるいは「ママ・自慰」でしょうか?いずれにせよ、お母さんもタイヘンです。ちなみに今日はゴールデン・ウィークの最終日でありまして、ヒマなので会社に来て原稿を書いているわけでありますが、“音”のほうはMP−3に変換してパソコンに入れてきたんですが、CDの入れ物のほうは家に忘れてきちゃいました。よって詳しいデータはわからんのでありますが、確か1曲目がケリーの曲で2曲目がモーガンのオリジナルではなかったかと思います。違っているかも知れませんが、それはそうと、この2曲目はイイですな。1曲目は今ひとつ中途半端でありましたが、ここに来てメンバー全員が吹っ切れました。やっぱ、ファンキーぢゃん?…みたいな。ケリーの弾くピアノのイントロがカッコイイっす。続くテナーとペットのユニゾンによるテーマもカッコイイっす。最高にスリリングでドライビングで年貢です。いや、最後に「…んぐ」が付く言葉を考えていたら年貢しか思いつかなかったんですが、AABA形式のテーマが終わって、そのままトランペットのソロに入っていくところが実にカッコイイっす。そしてそのモーガンの何とまあ生き生きとしていることよ。…と、思わず詠嘆してしまいましたが、平坦な前曲とは打って変わったヴァーティカルなフレーズを連発し、才気煥発なカンパチ(←スズキ科)と言ったソロを展開しております。いや、カンパチが本当にスズキ科だったかどうかは知りませんけどね。

 で、ソロ2番手はショーターです。このヒトは周囲がどうであろうと、頑なに自分の世界を演じ続けるカタクチイワシ(←イワシ科)といったタイプなんですが、いや、カタクチイワシは恐らくイワシ科でいいと思うんですけどね。で、ここでもショーターはやっぱりモーダルです。モーダルなんですが、モーガンと組んだ時のショーターはマイルスとやっている時に比べて、なーんにも考えなくてもいい分だけ生き生きとしております。いい意味、吹っ切れてます。実に元気ハツラツと頑張っております。で、ソロ3番手のケリーは言わずもがなでありまして、モーレツに火ィ付けながら、そこら中を走り回っております。こういうのを「スイングする」って言うんでしょうね。立派です。エライと思います。その立派さを4番手に登場するチェンバースが“恐怖のアルコ責め”で台無しにしかけちゃいますが、すんでのところで、ま、なんとか我慢できないこともない最低レベル…といったところで踏みとどまって、そして後半の4バースへとつながってまいります。で、フィリーがソロで大いに盛り上げて、ドライビングで年貢なテーマに戻って、おしまい。引き際の鮮やかなエンディングもバッチリと決まっております。以上、とってもいいナンバーでありました。

 はい3曲目です。「ジューン・ナイト」です。タイトルは「6月の夜」でしょうか?それとも「ジュン、って潤ってきちゃうんです、夜」でしょうか?今ひとつ日本語になっていないような気もするんですが、語尾の歌い上げ具合がとってもヒップでキュートな感じのするナンバーでありますな。モーガンがミュートでテーマを吹き、ケリーが小粋にコンピングを付け、マチコ先生がまいっちんぐぅ♪…って、次第に書くのが面倒になってまいりましたが、モーガンのソロはヒップでキュートであります。で、続くショーターのソロはどういうわけだか、ちょっぴりコルトレーンが入ってますね。シーツ・オブ・サウンド風の細かいフレージングで、何やらせわしないプレイを展開しております。ま、たまにはそういう気分の日もあるんでしょうね。人生それぞれです。で、続くケリーは概ね快調です。スインギーです。頑張ってます。で、モーガンのミュートによるテーマにもどって、おしまい。さ、あと2曲ですね。人間、辛抱です。

 4曲目は「ホワッツ・ナウ」という曲です。「ホワッツ・ニュー」かと思っていたら、そうではなくて「ナウ」です。もう、ナウヤングバカウケといった感じのファンキー・チューンでありまして、テーマ部ではフィリーの切れ味鋭い銅鑼民具が…いや、ドラミングが印象的ですね。で、アドリブ・パートではモーガンの出来も悪くないんですが、ここはやはりショーターのソロをベストとしておきましょう。とってもいい出来です。で、続いてケリーのソロになるんですが、出だしのところと真ん中あたりでホーン・アンサンブルが被さってくるあたりが、最高にヒップでありますな。もう、ヒップ、ヒッパー、ヒッペストって感じぃ?続くチェンバースのピチカートは敢えてコメントを差し控えておきますが、これまた最後のところでホーン・アンサンブルが被さってくるあたりが、最高にヘップでございます。サンダルの種類にありますよね、ヘップサンダル。オードリー・ヘップバーンが愛用していたからこの名前がついたんでしょうか?よくはわかりませんが、チェンバースに続いてフィリーが最高のドラム・ソロを聴かせ、演奏は大いに盛り上がってテーマに戻って、おしまい。さ、アルバムの締めはしっとりとまいりましょう。「シドニー」という曲ですね。僕はオーストラリアに行ってもついぞシドニーに立ち寄ることはなく、ゴールドコーストに滞在して現役女子高生・仙石イエ子ちゃんと冬の海で泳いだりしたわけでありますが、いや、今となっては実に貴重な体験でありましたな。そんなイエ子ちゃんも今では人妻になってしまったそうですが、それはそうと「シドニー」。モーガンのミュートとショーターのテナーが合い臭味…って、臭いわけではなく、哀愁味のあるテーマをしみじみと吹いております。誰の曲かはよく知りませんが、ショーター的な色彩の強いバラードですね。ちなみにこの曲ではフロントの2人はテーマ部だけの参加となっておりまして、で、中間部ではケリーのリリカルなピアノが堪能できると、そのような仕掛けになっております。4分にも満たない小品でありますが、小さいが故のキュートさとでも申しますか、大きいだけがエライわけじゃないんだよ。…ということを教えられ、救われた気持ちになる1曲でございました。…ということで、さ、もうすぐ7時だし、帰ろうっと。

【総合評価】

 総合評価、というか補足説明です。えー、家に帰って調べてみた結果、1曲目の「リンクルズ」がケリー、2曲目の「ママ・自慰」とラストの「シドニー」がショーター、4曲目の「ホワット・ナウ」ナウじゃなくて「ノウ」が正解でモーガンの曲、で、3曲目の「ジュンと潤ってきちゃうんですナイト」が歌モノであることが判明しました。で、藤本雄三という人の書いた日本語ライナーによると、「リンクルズ」はゴスペル・ムード、「ママ・自慰」は野心作、「ホワット・ノウ」はマイナー・ブルース、「シドニー」はレイジーな彩りのスロー・テンポ・ナンバーということでありました。僕もまったくその通りだと思います。はい。


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