AL HAIG QUARTET (PERIOD)

 AL HAIG (1941)

AL HAIG QURTET


【パーソネル】

BENNY WEEKS (g) AL HAIG (p) TEDDY KOTICK (b) PHIL BROWN (ds)
【収録曲】

SWEET LORRAINE / TEA FOR TWO / YOU GO TO MY HEAD
YOU STEPPED OUT OF A DREAM / UNDECIDED / THE MAN I LOVE
WOODYN' YOU / STELLA BY STARLIGHT / SOMEONE TO WATCH OVER ME

【解説】

 今日は「呪い」について考えてみたいと思います。いや別に会社で嫌なことがあって、誰かを呪い殺したいとかそういった話ではなくて、今月号の『ムー』の総力特集が「呪いと祈りの秘密」というものだったからなんでけどね。じゃ、会社で嫌なことがなかったのかというと決してそんなことはなく、呪い殺したいと思うよな人物が日替わりで登場するような状態なんですが、それはともかく。「呪い」と聞いてまず最初に頭に浮かぶのはカメですよね。カメはのろいです。もしもしカメよ、カメさんよ〜、(中略)どうしてそんなにのろいのかぁ〜♪…と、歌にまで歌われているほどなんですが、そういえば昔、僕がまだ高校生だった頃に書いた漫画に「呪いのワラ人形」というのがございます。どういう話なのかというと、ワラ人形マグマ大使が出てきて、「かけっこをしよう!」ということになるんですよね。何故、マグマ大使?…という疑問を抱いた人もいるかも知れませんが、書いた本人、その意図はあまりよく覚えておりませんので、「ま、そんなもんなんだぁ。」と思って軽く流しておいてくださいね。で、本題はこれからであります。

 ワラ人形マグマ大使が「かけっこ」をしたわけでありますが、その結果はワラ人形の惨敗でありました。で、マグマ大使が一言、「のろいの〜、ワラ人形。」と言い放って、それで漫画はおしまいなんですが、今から思えば起承転結もオチも何にもない漫画ですな。いや、一応オチはあることはあるんですが、そのオチが面白くもなんともない漫画ですよね。それにマグマ大使の言動には敗者に対するいたわりの心がみじんも感じられず、人間としてどうかなぁ?…という気がしないでもありません。ま、マグマ大使が果たして人間なのかどうかという問題に関しては議論の余地があろうかとは思いますが、ここで僕が言いたいのは、登場人物としてワラ人形が登場しているということの意味なんですよね。ま、ワラ人形が果たして人物なのかどうかという問題に関しては議論の余地があろうかとは思いますが、このことは高校生の僕が「呪い」という言葉から直ちにワラ人形を連想したということを示しておりまして、じゃ一体、マグマ大使は何なんだ?…と聞かれると返答に困るわけでありますが、ということで今日は「呪いのワラ人形」について考えてみたいと思います。

 『ムー』の特集記事の中にも、インターネットで「呪いのワラ人形」を検索すると300以上のサイトがヒットするという指摘がありましたが、ワラ人形というのは丑の刻参りの重要なアイテムとして広く世間に知られております。中には「牛の国参り」などと書いてあるサイトもあって、「それ、ちゃうやろ?」とか思ってしまいましたが、もし世の中にそんな国があるとすれば、今頃は“BSE”、いわゆる狂牛病問題で大騒ぎになっていることであろうよ。…などと感嘆している場合ではありませんが、丑の刻参りというのは昔、長島スパーランドにも出没しておりました。どこに出没したのかというと、「おばけ屋敷の中で見た。」という目撃証言が相次ぎました。その噂の真相を確かめるべく、当時、長島温泉のおばけ屋敷でバイト生として働いていた僕は従業員休憩室のカベに貼ってある「おばけ屋敷見取り図」というのをチェックしてみたんですが、そこには確かに「丑の刻参り」という名前のアトラクションが記載されておりました。他には「三つ目坊主と一つ目小坊主」とか「耳なし法一」というのもありました。中には「亡霊1」「亡霊2」「亡霊3」などという、あまり真剣におばけ業務に取り組んでいるとは思えない安易なネーミングのものもありましたが、早速「丑の刻参り」の実体をチェックすべく屋敷の中に潜入してみると、問題の場所では白い着物をきたオネーサンが頭にローソクをともし、「るんるんるんるん♪」と何やら楽しげにワラ人形に五寸釘を打ち込む業務に従事しておりまして、その鬼気迫る表情には思わず鳥肌がたってしまうほどでありました。

 が、このアトラクションは客にはあまり評判がよくなかったようで、というか、ほとんど誰からも相手にされなかったようでありまして、例えばオネーサンが天井からロープで逆さ吊りにされているアトラクションでは、「きゃはは、SMぅ〜♪」といったギャルの嬌声も聞かれたわけでありますが、「丑の刻参り」の現場では誰もが無言で通り過ぎるだけでありまして、数年後に彼女は独り寂しく、長島スパーランドを後にしたと言われております。えーと、僕の丑の刻参りに関する思い出は、以上です。

 あれから15年近い歳月が流れたわけでありますが、現在の丑の刻参り事情はどうなっているんでしょうか?調べてみると先述のインターネットの例でもわかるようにワラ人形業界は事のほか活況を呈しているようでありまして、丑の刻参りグッズの通販サイトまでありました。一体いくらぐらいするものなのかと思ったら、ワラ人形(約20cm)と神木(うちつけ台)と(呪い用・装飾用)とろうそく針金取扱説明書がついて、1体3,500円(送料込み)だそうです。取説に装飾用の釘までついて、送料込みで3,500円というのは結構リーズナブルではないかという気がしますが、ただしお清めはオプション扱いになるようです。それでも「高いなぁ。。。」という人には1体2,000円(送料込み)の「わら人形自作キット」というのもありますので、こんどの週末にでも一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?で、週明けのお花見の席ででも実践してみるとイイかも知れません。

 では最後に、また無断引用で叱られるかもしれませんが、この通販サイトの内容の一部を紹介しておきましょう。

なぜ、私だけがこんなにつらい思いをしなければならないのか。

憎んでも憎みきれない相手、殺したいほど嫌な奴。複雑な人間関
係がもつれ合うこの現代社会に生きる人なら、だれしも必ず一人
はいるでしょう。
そんな時、呪いの言葉を叫びながらワラ人形に向かって釘を打ち込
み、憎い相手が不幸になる事を願いましょう。

山形県のとある村にて、いわく付きのワラを入手いたしました。

怨みの念を込めて、1体1体、手作りいたします。

ご希望の方は、予約にて、お譲りいたします。

はじめての方でも、安心してご利用いただけます。

一度試されてみてはいかがですか?

(このような方にご利用いただいてます)

 ・学校、会社でいじめにあっている方

 ・彼氏、彼女に、ふられた方

 ・不倫、ふたまたをかけられている方

 ・左遷、リストラされた方

 ・自分のてがらを取られた方

 ・会社の同僚たちとの宴会芸で

 さ、アル・ヘイグあるね。…と、人はこのピアニストの名前について語る時、どうしても似非中国人風になってしまうわけでありますが、この人がバップ期から活躍していた白人ピアニスト…だっけ?といった事以外に詳しいことはよくわかりません。いや、僕が知らないだけなんですけどね。で、この人の作品に関しては、わりと後期の『インヴィテーション』というアルバムが有名だったんじゃないかという気がしますが、今回はわりと初期の『アル・ヘイグ・カルテット』というのを紹介してみたいと思いません。思いませんが、他にこれといったアルバムも思い浮かばないのでとりあえず紹介しておきますが、この作品は『アル・ヘイグ・カルテット』という名前からもわかるようにカルテット 編成となっております。どのようにカルテット編成になっているのかというと、ピアノ・トリオにギターが入った形でカルテットになっているわけなんですが、これはトリオというフォーマットにアントニオ命を賭けていたヘイグにしては異色のことである。…と日本語ライナーで寺島靖国氏が指摘しております。ま、ヤックンが言ってるのだから間違いはないでしょう。で、このギター入りカルテットというフォーマットに関しては、おそらくプロデューサーの商業主義的な意図があったんじゃなかろうか?…とヤックン氏は述べておりますが、僕はそれ以外に敏いとうの意図があったんじゃないかと睨んでおります。敏いとうがヘイグのトリオを第2のハッピー・アンド・ブルーにしようと企んでいたというのは業界ではわりと有名な話でありまして、僕以外に誰も知らないとは思いますが、そういうのは有名とは言わないんですかね?それはともかく、ま、1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 1曲目は「スイート・ロレイン」です。前回のナット・キング・コールのところにも出てきた歌モノでありますが、僕ってわりと歌モノが好きなんですよね。少なくとも好き者よりは好きです。やっぱり人間、貞操なほうがイイしぃ。で、ヘイグのピアノは思ったよりも聴きやすいですね。どうもこの人は偏屈、…と言って悪ければ、いっこく親父のこだわりコンニャクといった印象があったんですが、いや、多度の国道258号線沿いにそういう店があるんですけどね。が、ここでの演奏を聴いた限りでは全然こだわりのないダイエーで買ってきた特売のコンニャクといった感じでありまして、あ、太字部分が長すぎましたかね?ま、それはともかく、演奏自体はミディアム・テンポで軽快にバウンスする仕上がりとなっておりまして、後半に聴かれるベニー・ウィークスのギターもキダ・タロー的な味わいがあって、悪くないです。

 はい2曲目です。「ティー・フォー・トゥー」ですな。僕がまだジャズに素人だった頃、ヴァーブの音源からスタンダードばかりを集めたコンピレーションを買ったことがあるんですが、その中にパウエルの演奏する「二人でお茶を」が入っておりました。で、それを聴いた瞬間、直ちに僕はこの曲が嫌いになってしまったんですが、根は軽快で小粋な歌モノだったんですね。それをあんな風に料理してしまうパウエルという人はある意味で凄いとは思いますが、ちなみにこの曲は『ザ・ジニアス』(日本名『ザ・天才』) というアルバムに入ってますね。で、ここでのヘイグの演奏はそれに比べれば雲泥の差で聴きやすく仕上がっておりまして、この曲が本来持ち合わせている軽快さがよく現れたものとなっております。ヘイグという人もどちらかというと天才肌に属するタイプだと思いますが、ここではそんな彼がふと覗かせた鮫肌的な一面を垣間見させ、興味深いです。はい3曲目。「ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド」ですかぁ。僕はこの曲がわりかし好きでありまして、ここでのヘイグはパウエル的な香気を感じさせるバラード・プレイを披露しております。ヘイグのバラッドはほんとうに哀しい。じっと耳をすませば、そして感情移入を強めれば、それはまるで泣いているように聴こえてくる。「ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド」にそれが顕著だ。…とヤックンも書いておりますが、まさにその通りだと思います。ヤックンのいうことに嘘はありません。

 はい、4曲目です。「ユー・ステップド・アウト・オブ・ア・ドリーム」です。「夢から鮫手」、いや、「夢から醒めて」という邦題で知られる歌モノですね。とっても軽快な演奏に仕上がっておりまして、途中、テディ・コティックの地味なベース・ソロもフィーチャーされております。えーと、この曲に関しては以上です。で、5曲目は「アンディサイテッド」という曲でありまして、えーと、作曲したのはチャーリー・シェイバース…とか書いてるうちに演奏が終わってしまいました。アップ・テンポで、わずか1分52秒という短い演奏なので、落ち着いて解説をしている暇もありませんね。で、続く「ザ・マン・アイ・ラブ」は一転してしっとりとしたバラードとなっております。僕はメロンパンでも乾燥した鮫肌タイプのものより、しっとりとした餅肌タイプのほうが好きなんですが…とか書いてるうちに演奏は超アップ・テンポへと劇的な変化を遂げてしまいました。ヘイグのプレイはアドリブというより、ほとんどテーマ・メロディのバリエーションといった感じなんですが、その分、ギターのウィークス君が大いに気を吐いて立派なソロを展開しておりますね。それに触発されたヘイグも2回目の登場ではかなり派手なアドリブを聴かせておりまして、本アルバムでも最高の盛り上がりを見せておりますな。そこかしこにパウエルの影響を感じることが出来ますが、僕は感じるよりも豚汁のほうが好きです。…って、あまり日本語になってないような気もしますが、最後は再びバラードに戻って、あ、ヤックン流に言うならバラッドに戻って、しっとりと幕を閉じます。

 はい7曲目です。「ウディン・ユー」です。うでぃん・ゆ〜、ららららら〜ら、ら〜ら〜ららら♪…って、それは「ラヴィン・ユー」ですね。オサマ・ビンはラディンですけどね。で、演奏のほうは軽快です。この曲はパウエルが『バド・パウエルの芸術』で取り上げておりますので、聴き比べてみるとイイかも知れませんね。ちなみに僕は聴き比べよりもサカサクラゲのほうが好きなんですが、…って、これは前にも書きましたっけ?ちなみにサカサクラゲという生物は実存しておりまして、鳥羽水族館でサカサになって泳いでおりましたが、8曲目の「星影のステラ」『バド・パウエルの芸術』に入ってますよね。で、ラストはスタンダードの「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー」でございます。「やさしき伴侶を」という邦題で知られている曲でありますが、訳者は今は亡き、大橋巨泉だそうですね。いや、政治家を辞職しただけで、まだ死んだわけではないんですけどね。で、演奏のほうはというと、とってもオーソドックスな仕上がり具合となっております。ということで、このアルバムは以上です。

【総合評価】

 ヤックンが誉めている以上、悪くないハズがありません。ただし録音があまりよろしくないので、ある程度の覚悟は必要です。どちらかというと通好みのアルバムではないかと思われますが、内容自体はそれほどコムツカシイところもなく、が、地味なジャケットの印象同様に内容のほうも今ひとつ地味なので、やっぱりマニア向けの1枚ではなかろうかという気がします。ヤックンが誉めてることだしぃ。。。


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