WE FREE KINGS (EMARCY)

 ROLAND KIRK (1961/8/16,17)

WE FREE KINGS


【パーソネル】

ROLAMD KIRK (ts,stritch,manzello,fl,siren) CHARLS McGHEE (tp) <#1,2,7-9>
DICK GRIFFIN (tb) <#1,2,7-9> HANK JONES (p) <#1,2,7-9>
WENDELL MARSHALL (b) <#1,2,7-9> CHARLIE PERSIP (ds)

RICHARD WYANDS (p) <#3-6,10> ART DAVIS (b) <#3-6,10>

【収録曲】

THREE FOR THE FESTIVAL / MOON SONG / A SACK FULL OF SOUL
THE HAUNTED MELODY /
BLUES FOR ALICE (alt.take)
BLUES FOR ALICE / WE FREE KINGS / YOU DID IT , YOU DID IT
SOME KIND OF LOVE / MY DELIGHT

【解説】

 ですなぁ。という字は“三人の日”と書きます。あな〜たとぉ、私とぉ、そして、誰の日ぃ〜♪と、その昔、石野真子も歌っておりましたが、マコちゃん“3P宣言”?…と、世間でも話題になったものでございます。ま、春だから陽気に浮かれてそういう気分になっちゃうのも、わからんでもないんですけどね。『春ラ!ラ!ラ!』ですからね、なんたって。で、春になれば“しがこ”も融けて、ドジョッコだのフナッコだの、夜が明けたと思うわけでありますが、ところでこのドジョッコフナッコ。僕は今までドジョッコというのはドジョウの子供フナッコというのはフナの子供のことだとばかり思っていたんですが、語尾に“〜ッコ”と付けるのは秋田地方の方言なんだそうですね。ラッコのことはラッコッコとか、ニワトリの鳴き声はコケコッコッコとか。秋田のギャルは飴玉のことも“アメっこ”と言うそうでありますが、いきなり純情そうな秋田の女子高生から「あめっこ、食べるぅ?」なんて聞かれた日にゃ、最初の「あ」の音が「お」に聞こえてしまった関西圏の青年などは思わずドギマギしちゃいますよね。

 とまあ、それはさておき、春と言えば春雨、春巻、ハルマゲドン…といろいろありますが、今日はツチノコについて考えてみたいと思います。いや、ネタに困って『ムー』の3月号をぱらぱらとめくっていたら、ミステリー基礎講座『ツチノコは実在する!?』という記事があったもんで。。。で、その記事をぱらぱらと読んでみたところ、どうも1回分のネタにはなりそうもないなぁ。。。という気配が濃厚になってきたんですが、とりあえずはツチノコという名称について考えてみましょう。ツチノコは漢字では槌の子と書くんですが、その形状が藁を打つ槌に似ていることからその名が付いたといわれております。“藁を打つ槌”と言われても今のヤングにはピンとこないと思いますが、ま、ツチノコみたいな形をした器具だと思っておけば間違いはないでしょう。ちなみにこのツチノコという名称は全国的なものではなく、京都市北部、鈴鹿山脈、吉野・熊野一帯、中国北部で使われていた方言なんだそうです。ほぉ。鈴鹿山脈というのはウチのすぐ近所ですね。ウンコをするところは便所ですけどね。で、その他の地域ではどのように呼ばれているのかと言うと、えーと、岐阜南部ではツチヘビ、大阪は同じくツチヘビもしくはツチ、あ、福島あたりではツチンボなどという放送コードぎりぎりの名前で呼ばれているみたいですね。ま、これはいずれもツチノコのバリエーションであると言えるわけでありますが、キネノコ(京都・兵庫)とかトックリヘビ(滋賀)とかツトヘビ(愛知)とかタワラヘビ(九州南部)とかツツマムシ(新潟)とかコロ(福井)とかコロリ(広島)とかコロガリ(福岡)とかツチコロビ(鳥取)などと称している地域もある模様です。その太くて短い形態を何らかの生活器具に例える場合と、コロコロと転がるように移動する様を擬態語的に捉えるパターンの大きく2つに分けることが出来るようでありますが、それにしてもコロコロと転がるからコロガリっ!…というのは、あまりにも発想が安易ではありませんかねぇ?福岡の人。。。あと、秋田では当然、ツチノコッコと呼ばれているはずでありますが、えーと、とりあえず名称問題はこれで解決しましたね。

 続いてはその生態です。ツチノコを目撃した人の証言によりますと、その動作の特徴としては「敏捷である。」という点が上げられるようですね。西武百貨店が昭和48年に出した有名な賞金付きの手配書にも「行動きわめて敏捷なり。」という一文が見られます。えーと、とりあえず生態問題はこれで解決しましたね。続きまして、その形態について考えてみたいと思うんですが、これは名前の由来のところにも出てまいりましたが、一言で言うと「太くて短い。」ということに尽きると思います。「太くて短い。」では、二言なんぢゃないか?…などと細かいところにこだわる人がいるかも知れませんが、その場合には「太短い。」と言い直してもいいかと思います。ギャル的な感覚で言うと、「ちょっとイイかも?」というような形態であるわけですが、ツチノコの形を模した電動オモチャを作ってみて、“ビッグ・ツチンボ”という名前で売り出したら、けっこうヒットするかも知れませんね。

 ということでツチノコのお話は、おしまい。

 さ、ローランド・カークです。今日の前半はえらく短かったんですが、ま、太くて短いのはツチノコの特徴だしぃ。。。で、今回、カークのアルバムとしてエマーシーの『ウイ・フリー・キングス』というのを選んで見ました。日本では『僕たち、フリキン♪』という名前で知られておりますね。フリチンというのは知ってるけど、フリキンというのは初耳だなぁ。。。…という人も多いかと思いますが、ま、チン部を露呈しようとすると、必然的にキン部のほうもアラワになっちゃうのが常でありまして、いや、窓からチンのほうだけ出してみるということは可能でありますが、それはフリという状態とは少し違うような気もして、ま、そんなことは別にどうでもいいんですけどね。で、このアルバムはカーク初期の代表作でありまして、例の複数楽器同時吹奏テクも、モロチン、いや、もちろん披露はされておりますが、全体的にはオーソドックスな出来映えでありまして、「カークぅ?んなもん、ただの大道芸人ぢゃん。」…とか思って色眼鏡で見ている人にも結構、楽しめるんじゃないかな?…という気がするんですけどね。ま、カーク自身も色眼鏡をはめているんですが、ま、彼の場合は目が不自由なので、根がカツ重という人に比べても立派なことだと思います。いや、書いている本人もさっぱり意味がわかりませんけど。ところで大道芸人って、“おおみち・げいと”という名前の芸人じゃなかったんですね。僕はつい最近までそういう名前の人がいるんだとばかり思っていました。とまあ、そんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 「スリー・フォー・ザ・フェスティバル」はアップテンポの快活なナンバーです。串に刺さったカツは串カツですけどね。カツしか合ってませんけど。カークはマンゼロ(たぶん)とストリッチ(たぶん)の一人ユニゾンでテーマを吹いて、で、アドリブ・パートに入るとフルート(たぶん)に持ち替えております。ソロの後半ではストップ・タイムが効果的に用いられ、彼独得のハスキーなトーンのフルートが炸裂し、最後はサイレンで絶頂に登り詰めます。で、ここでピアノ・ソロになるわけですが、カークとは対極の上品・趣味のよい路線代表であるハンク・ジョーンズとの共演というのが興味深いですね。で、ここでのハンクは「どっせ、リーダーは馬鹿なんだしぃ。。。」とか思って手を抜くこともなく、いつも通りの上品なタッチを披露しておりまして、さすがは紳士でありますなぁ。廣貫堂の風邪薬は「ネオ眞治」ですけどね。ちなみに「しんじ」ではなく、「しんぢ」と読むのが正解のようです。

 はい2曲目です。「ムーン・ソング」です。歌モノのようです。ミディアム・テンポです。カークはマンゼロ(たぶん)で実に歌心に富んだプレイを披露しております。テーマやソロの最後の部分に例の一人ユニゾンが登場しますが、全体的にはオーソドックスなハード・バップ風の演奏になっておりまして、素直に楽しむことが出来るナンバーに仕上がっております。ハンク・ジョーンズの相変わらず趣味のよいピアノ・ソロに続く後半ではマンゼロ(たぶん)とストリッチ(たぶん)を吹き分けておりますが、それも実に効果的ですね。やっぱりいいですなぁ、ピクシー。…って、それはストリッチじゃなくてストイコビッチですね。何となく下痢気味みたいですけどね。…って、いや、最後のビッチのところだけですけど。

 はい3曲目です。今日はもう、どんどん行きます。小ネタだけで押し切っちゃいます。「ア・サック・フル・オブ・ソウル」です。邦題は「衛生サックいっぱいのソウル」ですね。いや、衛生なんて単語は曲名のどこにも出てきませんが、使用済みの衛生サックの中には僕のソウルがいっぱい詰まっているような気がしますよね?で、演奏のほうにもソウルがいっぱい詰まっておりまして、ハンクに替わってピアノを弾くリチャード・ワイアンズが実に黒いフィーリングを醸し出しております。アート・デイビスのピチカートも強力ですな。カークは1人ユニゾンでソウルフルにテーマを歌い上げ、で、ソロの最初はテナーですかね?で、ソロの途中からはストリッチですかね?その持ち替え具合とハモり具合のタイミングも絶妙で、姑息な小細工を弄しているなぁ。…といった感じはまったくありません。これはカークなりの素直な魂の叫びなんだと思います。いや、僕は叫びよりもアワビのほうが好きなんですけどね。

 はい4曲目です。「ホーンテッド・メロディ」です。カークのオリジナルなんですが、まるでスタンダードのような美しいメロディのバラードでありまして、ここでもテナー(たぶん)とストリッチ(たぶん)の持ち替えとハモり具合のタイミングが群を抜いて抜群です。カークの吹くバラードは照れ隠しのためか、どこかにお笑いの要素が入ることが多いんですが、これは素直に泣けるプレイとなっております。いや、僕は照れ隠しよりも金隠しのほうが好きなんですけどね。

 ところで金隠しというのは何も金を隠すために設置されているわけではなく、前方に飛び散った尿を果敢に受け止めるために設けられているのではないか?だから金隠しというよりも、むしろ尿キャッチャーというような名称のほうが相応しいのではないか?…という気がしないでもないんですが、それはともかく5曲目と6曲目はチャーリー・パーカーの「ブルース・フォー・アリス」ですね。ちなみに5曲目のほうが別テイクで6曲目のほうがマスター・テイクなんですが、僕の場合は2番目以降に出てくるテイクは無かったものとしてスキップしちゃうのが常なので、未だに5曲目のほうが馴染みのある演奏となってしまっております。実際に演奏された順番に忠実に…ということなんでしょうが、個人的には別テイクはCDの最後にオマケとして付けてくれたほうが有り難いように思います。で、演奏のほうはストレートなブルースでありまして、さすがに楽器の持ち替えと一人ユニゾンも、ここまでくるとちょっとマンネリ気味やなぁ。…という気がしないでもないんですが、カークにそれを「やめろ!」というのは、巨人の原監督に「チーム愛」というコトバを使うな!…というようなものですからね。ま、言うだけ無駄だと思うので放置しておきましょう。

 はい7曲目です。タイトル曲の「僕たち、フリキン♪」はこのアルバムで最もラジカルな演奏でありまして、フルートを中心に一人ユニゾンが絡むという、そういう構成になっております。続く「ユー・ディド・イット・ユー・ディド・イット」もフルートを吹きながらシャウトするというカークの悪癖が如実に露呈されたナンバーでありまして、ま、この辺がこのアルバムの我慢のしどころでありましょう。人間、ラクなほうばかりに流れていると、決して春は訪れません。楽しい春の3Pを満喫するためにも、多少、演奏がヘンなことぐらいは我慢するようにしましょうね。

 で、9曲目です。「サム・カインド・オブ・ラブ」です。愛にも色んな種類がありまして、親子愛もあれば、恋人同士の愛もあって、もちろんチーム愛もあると。で、曲のほうはと言うと、ワルツ・タイムのラブリーなメロディがとってもキュートでありますな。夫の母親は姑ですけどね。はい、ラストです。「マイ・デライト」です。僕の知り合いの名古屋人はこの曲を聴いて「でら、デライトだでかんわー。」と言っておりましたが、ここでいう「〜だでかんわー。」というのは反語みたいなもので、標準語では「とてもよい。」ということではないですかね?いや、名古屋人の考えていることは揖斐川と長良川を隔てた地区の住民である僕にはさっぱり不可解なんですけどね。

 んなことで、今週はおしまい。


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