THE MONTGOMERY BROTHERS IN CANADA (FANTASY)

 THE MONTGOMERY BROTHERS (1961/12)

THE MONTGOMERY BROTHERS IN CANADA


【パーソネル】

WES MONTGOMERY (g) BUDDY MONTGOMERY (vib)
MONK MONTGOMERY (b) PAUL HUMPHREYS (ds)

【収録曲】

JEANNINE / SNOWFALL / ANGEL EYES / BARBADOS
THIS LOVE OF MINE / ON GREEN DOLPHIN STREET
YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS / BEAUX ARTS

【解説】

 いやあ、今ひとつ盛り上がりませんなぁ、剃ると麗句、いや、ソルトレイク・オリンピック(2月10日午前11時現在)。思うんですが、この頃ちょっとオリンピックというのはやり過ぎなんじゃないですかね?つい先だってシドニーでやっていたと思ったら、もうソルトレイク・シティですからねぇ。ま、冬季オリンピックということで言えば長野からちょうど4年ということになるんですが、長野オリンピックなんて、ついこの前にやってたような気がするんですけどねぇ。4年に一度などという短いスパンではなく、いっそのこと80年に一度ぐらいの間隔で開催するようにすれば、一生に一度見られるかどうか?といったハレー彗星並みの希少価値が生まれ、もっと盛り上がるような気がするんですけどねぇ。ま、いずれにせよソルトレイク・シティには同じ塩系の一員として、頑張っていただきたいと思ってるんですけどね。

 で、オリンピックの開催から4年が経過した長野の現状はどうなっておるのか?…と、中国の高僧・玄奘(げんじょう)から質問されたので、視察に行ってみることにしたんですが、えーと、結論から申し上げましょう。オリンピックを期に長野がどう変わったのかというと、まず最初に知事が変わりました。オリンピックを開催した頃の長野県知事というのは、名前はもう綺麗さっぱり忘れてしまったんですが、ミズスマシ発言で問題になった人ですよね。「スピードスケートというのは氷の上をくるくる回っているだけで、ミズスマシみたいでちっとも面白くない。」とかなんとか個人的な見解を述べて、「けしからんっ!」と世間から顰蹙を買ったわけでありますが、ああ、そういえばそんなコトもあったなぁ。。。という程度には記憶している人も多いのではないでしょうか。ま、確かにミズスマシというのはスケコマシほどには面白くないわけなんですが、この発言が災いしたのか、いつの間にやら長野県の知事はクリスタル田中クンになっちゃいましたよね。田中ちぢの登場で長野は大いに盛り上がり、県庁の食堂にはトリスタル丼が登場するほどのフィーバーぶりだったんですが、今となっては注文するのに多大なる勇気を要するであろうメニューにトリ廃っているであろうことは想像に難くなく、それに比べて今、静かなる盛り上がりの兆しを見せているのが駒ヶ根ソースかつ丼でありまして、果たして、駒ヶ根ソースかつ丼の現状はどうなっておるのか?…と、中国の高僧・玄奘(←また出てきた。)から質問されたので、今日はその問題について検証してみようかと、かように思う次第なんですけどね。

 先週の日曜日、僕はちょっとワケあって、飯田のホテルに泊まっておりました。いや、ちょっと八方まで滑りに行って、翌日が中津川でのシゴトだったので、家まで帰るのが面倒で飯田に泊まることにしたんですけどね。晩飯には駅前にあった喫茶・お食事の 店でソースかつ丼でも食べるかぁ。。。と漠然と考えていたんですが、中央道の駒ヶ岳サービスエリアで買い求めたかつ丼用ソースというのが明治亭というお店の商品でありまして、どうやらこの近辺では有名なお店らしいんですよね。で、中にパンフレットが入っていたんですが、伊那と駒ヶ根にソースかつ丼を食べさせてくれるお店もあるようでして。逆に言うと、その店で使っている特製ソースをお土産用に販売しているということなんでしょうが、そのパンフを見て、僕は大いに心を揺さぶられました。僕はパンツを見ると心を激しく揺さぶられるタチなんですが、そのパンフにも激しくソソられるものを感じました。飯田の駅前でみかけた喫茶とお食事の店というのが、「いかにも期待ゼロやな。。。」といった店構えだったのに対し、明治亭というお店は実に立派で、写真に掲載されたソースかつ丼も実に美味しそうなんですよねぇ。飯田から駒ヶ根までは高速を使って約30分、下道を走れば約1時間の距離なんですが、ヒマだったので行ってみることにしました。時間はまだ5時前で、ゆっくり下道を走っていけばちょうどイイ時間になるかな?と思って高速を使うのはヤメにしたんですが、これがそもそも間違いの始まりでしたな。どういうことなのかはおいおい明らかになると思いますが、僕の明治亭ソースかつ丼探訪の旅はこうして始まったのでありました。

 初めての街で、初めての店を探す。方向音痴の僕にとって、それは決して容易いことではありませんが、あ、「容易い」と書いて「たやすい」と読むんですね。僕は今まで「よういい」と読んで、発音しにくいぢゃん!とか思っていたんですが、僕は明治亭探訪の旅に関しては割と楽観しておりました。ああ、金魚祭のときに配られる和菓子ぃ?…って、それは落雁ですね。…って、そんなローカルなボケ、だれもわからないとは思いますが、最近は落雁じゃなくてミニ羊羹だったりしますしね。で、僕がなぜ楽観していたかというと、パンフレットに載っていた電話番号をカーナビで調べてみたらちゃんと出てきたからでありまして、写真でみると駐車場の広い郊外型うどん屋チェーンみたいな店構えだし、近くまで行けばすぐにわかるだろうと。が、結論から申し上げましょう。近くまで行っても、ちっともわかりませんでした。ちっとも容易くはありませんでした。ナビで目的地としてセットされた地点付近にはうなぎ屋はありましたが、ソースかつ丼屋はありませんでした。「んあ…?」こうなってくると根が方向音痴だけに心配になってきますよね。もしかして見落としちゃったのかも知れないと思い、もう一度付近をぐるっと周回してみたんですが、やっぱりうなぎ屋しかありません。クルマの中からだからうなぎ屋に見えるのであって、クルマから降りてじっくりと歩いて探してみればソースかつ丼屋なのかも知れない。…と思い、近くのセブンイレブンに無断でクルマを停めて、付近を歩いて探してみよう。…と思ったら店の兄ちゃんと目が合ってしまい、仕方がないので店でチューハイを1本買ってから散策に出かけたわけでありますが、無駄な出費を強いられてまで試みたその努力も結局のところ報われることはなく、うなぎ屋は歩いて見たところでやっぱりうなぎ屋のままなんですよねぇ。。。

 クルマに戻ってしばらく悩んで、やがてナビが示しているうなぎ屋の地点と、パンフレットに載っているアバウトな地図でのソースかつ丼屋の場所が食い違っているということに気が付きました。もしかして電話番号の入力ミスか?…と思って何度かやり直してみたんですが、やっぱり出てくるのはうなぎ屋の場所でありまして。もしかして、ナビ研うなぎ屋が結託しているのでは?…という疑念も浮かび上がってきたんですが、もう一度パンフレットをよく見ると明治亭・新駒ヶ根店という名前になっているんですよね。思うにナビ研のCDが作られた頃には、くだんのうなぎ屋の場所に明治亭・駒ヶ根店というのがあったのが、つい最近になって電話番号は昔のままで新駒ヶ根店のほうに引っ越しちゃったと。で、その跡地には新しくうなぎ屋が開業したと。となると、頼りになるのはパンフレットに掲載されたアバウトな地図だけなんですが、なんせその地図がアバウトでありまして、30分ほど付近を走って探してみたんですが、日が暮れてすっかり暗くなってきたのと、みぞれ混じりの雨が降り出してきたこともタタって、ついぞ明治亭を発見することは出来ませんでした。そのかわり、「元祖ソースかつ丼」というノボリの立っている蕎麦屋を発見しましたので、「ま、ここでいっかぁ。。。」と思って中に入りました。ミニ・ソースかつ丼かけ蕎麦のセットを頼みました。テーブルには特製ソースかつ丼のソースが入ったソース入れが置いてありまして、好きなだけかけ放題なのが嬉しいですね。ちなみにこの店の特製ソースかつ丼のソースとんかつソース風のドロっとしたタイプではなく、ウスターソースに和風のダシを混ぜたようなタイプでありまして、ゴハンにかけるとドンブリの底のほうへと湿潤していくような感じでありましたが、これはこれでカラっと揚がったヒレカツとよくマッチして、なかなか美味でございました。いや、別に明治亭ソースかつ丼だけが駒ヶ根のソースかつ丼というわけではないですもんね。

 すっかり満足し、そして帰りは高速に乗ることにしてインターのほうへとクルマを進めていったんですが、店を出て約30秒後、僕は明治亭という大きな看板を掲げた店を発見し、愕然としたのでありました。


  探すのをやめた時、見つかることはよくある話で…

             By 井上揚水

 さ、モンゴメリー・ブラザーズです。今回の「その他の楽器(ギター)編」では既にウエス・モンゴメリーは紹介済みなので、どうかな?とも思ったんですが、ま、いいかな?という気もしたので、取り上げてみることにしました。モンクバディウエスモンゴメリー3兄弟ですな。手持ちのCDを調べたら、カナダで録音したらしい『ザ・モンゴメリー・ブラザーズ・イン・カナダ』という地味なアルバムがありましたので、それでも紹介してみようかと思います。もう既にジャケ・イラストのほうは書いてしまったので、聴いてみたら内容のほうは今ひとつだった。。。ということになっても、今さら取り返しはつきません。強引に推し薦めるしかないわけでありますが、このモンゴメリー・ブラザーズというのはピアノとヴァイブを弾くバディ・モンゴメリーと、ベース担当のモンク・モンゴメリーが中心になって結成されたバンドでありまして、末弟のウエスはどちらかというとゲスト参加の様相がありますよね。で、ばりばりとアドリブをかますというよりは山本ジョージ・シアリング風の室内楽的なアンサンブルが特徴でありまして、地味と言えば地味なんですが、派手さに欠けるというか、今ひとつ盛り上がらないというか、えーと、それでも今さら引き下がれないわけでありまして、とりあえず1曲目から聴いてみることにしましょうね。

 アルバムの冒頭を飾る「ジーニー」は御存知、デューク・ピアソンのオリジナルでございます。よかったですなぁ、アタマっから華のある曲が出てきて。イントロなしで、いきなりヴァイブとギターのユニゾンによるテーマが演奏されますが、何度聴いてもイイですなぁ、この曲。「ジーニー」だけに、痔にイイとされてますしね。で、テーマに続いてバディ・モンのヴァイブ・ソロとなりますが、この人のプレイには華がありますね。もっと評価されてしかるべき、しかまん。そういった気がしないでもありません。いや、しかまんは決して評価されるような味付けではありませんでしたけどね。そういえば最初、このアルバムのタイトルを『モンゴメリー・ブラザーズ・イン・シカゴ』だっけ?と勘違いしておりまして、シカゴ。しかまんが名物ですよね。…というネタを用意していたんですが、よくみたらシカゴじゃなくてカナダだったので、ひどく落胆してしまいました。痰に血が混ざるぅ?…って、それは血痰ですね。いや、ここで何も無理矢理に血痰を持ってくる必然性はなかったんですが、ここらでひとつボケを入れておかないと、読者が納得しない?というプレッシャーに駆られてしまいまして。。。ということで、ソロ2番手はウエスです。悪くはないんですが、普通です。ま、このグループでは兄貴に華を持たせておくぅ?…みたいな 。賢弟のやり方ですよね。出来過ぎた弟が出しゃばったりすると、兄弟から苛められたりしますもんね。ソースかつ丼の上から味噌カツのタレをかけられちゃったりして。なんて非道いことをするんだ、モンク・モンゴメリーぃ!

 はい、2曲目です。「スノーフォール」です。身に覚えのない味噌カツのタレ疑惑の嫌疑をかけられたモンクが、その汚名を晴らすべくイントロから頑張っております。日本語ライナーで成田正クンが「いかにもジョージ・シアリングからの影響を感じさせる編曲うんぬん」と指摘しているとおり、確かになかなか知的なサウンドですよね。が、ウエスの弾くギターのサウンドがとってもウォームなので、決してクールではございません。唯一の非血縁者で、えんがちょ扱いされても不思議ではないポール・ハンフリーズのブラシ・ワークも見事ですよね。この人は靴磨きに転職しても、充分にメシが食っていけるのではないかと思われます。バディのヴァイブ・ソロも才気煥発なカンパチ。…といった感じでありまして、いいですなぁ、カンパチ。刺身にするとオイシイですよね。続くウエスのソロもリラックスしたタビックス。…といった感じでありまして、いや、足袋とソックスをミックスしたようなものなんですけどね、タビックス。足の親指と人差し指との間に“切れ込み”があって、足でモノをつかんだりする時にはとっても重宝しますよね。

 はい3曲目です。マッド・デニスの「エンジェル・アイズ」です。この曲ではポール・ハンフリーズが外されておりますが、これは何も非血縁者だからといって“はば”にされたわけではなくて、その証拠にバディ・モンゴメリーも演奏には参加しておりません。ギターとベースのデュオによる極上のバラード。そういった路線を目指したのでありましょう。で、その試みは見事に成功しておりまして、バックが地味だけにより一層、ウエスの歌心が際だっております。まさにハート・ウォーミング。性格悪けりゃ、こんなプレイは出来ません。ジプシー的な哀感をも湛えておりまして、もうジプシー・キングスも真っ青?といった感じなんですが、「なみだの操」的情感においては、ちょっぴり殿様キングス負けてますかね?…って、そんなところで勝ってもしょうがないような気はするんですけどね。で、4曲目の「バルバドス」は一転してアップ・テンポのバップ・チューンでありまして、『チャーリー・パーカー・オン・サヴォイ・完全版』では嫌というほど別テイクを聴かされて、あまりいい印象のない曲なんですが、ここではまあ1回だけ聴けば何とかなるので、耐えることに致しましょう。対位法的なテーマはなかなか面白いんですけどね。で、続く「ディス・ラブ・オブ・マイン」は歌モノでありましょう。ミディアム・テンポでシンプルにスイングするナンバーでございます。…と、次第に曲解説がシンプルかつ淡泊になってまいりましたが、えーと、6曲目は「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」ですね。「緑のイルカ通り」というのはどこにあるのか知りませんが、「八間通り」というのは桑名にあります。だからどうした?と聞かれると困るんですけどね。で、この曲は日本語ライナーで成田正クンが「いかにもジョージ・シアリングからの影響を感じさせる編曲うんぬん」と指摘しているとおり、確かになかなか知的なサウンドでございます。モンク・モンゴメリー、略してモン・モンが悶々としたピチカートでテーマを弾き、そのままベース・ソロへと突入してまいります。地味ですなぁ。。。3分30秒くらいでウエスが登場すると実にほっとした気分になるんですが、ウエスはすぐに引っ込んでベースによるテーマの再現になって、おしまい。全体的にやや盛り上がりに欠ける演奏であった。…と言い切るにヤブサカでない。そんなアレンジがきらりと光る1曲でございました。はい、あと2曲ですね。

 7曲目はスタンダードの「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ」ですね。この曲名は何度か俳句に詠み込むことにチャレンジしてみたんですが、「湯・ウドンと…」と来て、その先が思い浮かびません。ま、最後まで詠んだところでどうせラバ伊豆が出てくるだけで、ロクなものにならないことは確かなんですけどね。で、演奏のほうはバディ・モンのヴァイヴを中心としたバラードでありまして、いやあ、いいですなぁ、こういうの。僕ってこういう、どうしようもない暗いバラードって、けっこう好きですからね。「けっこう仮面」もけっこう好きでしたけどね。…って、これは前にも書いたことがあるような気がするんですが、ホントに好きだったんだから、しょうがないですよね。けっこう仮面の姉さんは〜、性戯の味方よ、よい人よぉ〜♪でしたっけ?で、アルバムの末尾を飾るのはバディ・モンゴメリーのオリジナルで「BEAUX ARTS」という曲です。日本盤CDでは「ボーザール」というカタカナ表記になっておりますが、ホントにそんなふうに発音出来るんですかね?どう考えても「べあうっくす・あーつ」としか読めないような気がするんですけどねぇ。。。で、曲のほうはというと、ラテンのリズムにのった、なかなかの佳曲でありまして、で、演奏のほうはというと、ウエスのオクターブ奏法が大活躍しております。ということでまあ、全体を総括すると「まあまあかな?」といった感じの出来なんですが、あ、ちなみにこのアルバム、オリジナル盤には取ってつけたような拍手の音が入っていたそうです。バンクーバーにあるクラブでのギグなんだそうですが、あまりにも観客がごくわずかで盛り上がらなかったことをキグして、カル・ジェイダーのモンタレーでのライブ・アルバム『コンサート・バイ・ザ・シー』から拍手の音だけを取り出して、転用してたんだとか。後から取ってつけた拍手の音だから、取ってつけたような拍手になっちゃったんですね。幸いというか不幸にもというか、このCDでは問題の拍手は取り除かれておりますが、ちなみにソースかつ丼にはあらかじめカツを取ってソースに浸けるタイプと、ゴハンにカツを乗せて、あとからソースをかけるタイプがあるようです。…と、あとから取ってつけたようなオチで、今日はおしまい。


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