LOOKIN’ GOOD! (CONTEMPORARY)

 JOE GORDON (1961/7/11,12,18)

LOOKIN' GOOD!


【パーソネル】

JOE GORDON (tp) JIMMY WOODS (as) DICK WHITTINGTON (p)
JIMMY BOND (b) MILT TURNER (ds)

【収録曲】

TERRA FIRMA IRMA / A SONG FOR RICHARD / NON-VIENNESE WALTZ BLUES
YOU'RE THE ONLY GIRL IN THE NEXT WORLD FOR ME / CO-OP BLUES
MARIANA / HELEENE / DIMINISHING

【解説】

 僕は今、各務原のホテルにおります。というのもですね、先日、本社の仙石部長から電話がかかってまいりまして、「あなた、1月26日は空いてるぅ?」と。それってもしかして、土曜日なんじゃ?ということに気が付いた僕は即座に「やだ。」と断ろうと思ったんですが、シゴトの内容が中津川で“うんこポンプ”の据え付けということだったので、それに惹かれた僕は思わず「あ、イイっすよぉ。」と快い返事をしてしまったわけでありまして。ちなみに僕が惹かれたのは“うんこ”のほうじゃなくて中津川という場所のほうなんですが、名古屋近郊に居住するスキーヤーにとって、中津川というのは実に使える場所なんですよねぇ。ここからなら中央道と長野道を使って白馬あたりまで2時間半くらいで行くことが出来ますし、国道19号を走れば“おんたけエリア”まで2時間くらいだし、下呂経由で奥飛騨方面を攻める場合もやっぱり2時間くらいだし、ま、どこへ行くにも結局は2時間くらいかかるので、決して利便性が高いとは言い難いんですが、どの方面にも行けるというメリットはありますよね。あ、キティラー御用達のヘブンスそのはらなら30分足らずで到着することが出来ますが、あそこはコースの充実度、並びにバリエーションが極めて“へげへげ”でありまして、滑りはじめて30分足らずで飽きちゃうのがネックなんですよねぇ。。。

 で、土曜日に中津川でシゴトをして、そのまま木曽福島あたりまで走って民宿にでも泊まって、次の日はきそふくしまぁ?あるいは松本に泊まって乗鞍高原とか、あるいは白馬岩岳ぇ?あ、白馬47という手もありますなぁ。ちなみにこの白馬47という名前の由来は、“リフトが4基でコースが7本”ということらしいんですが、今後、ゲレンデを拡張する計画とかは無いんですかね?リフトを2基増設して、コースも2本増えたアカツキには、やっぱり白馬69と改名?…ということを密かに期待しているんですが、今のところ残念ながらそういう予定はないようです。…とまあ、それはともかく、土曜日に中津川でシゴトが入ったおかげでスキー計画が大いに盛り上がってきたわけでありますが、天気予報によると土曜日の午後から日曜日の午前にかけて、雨っ!…という最悪の予想でありまして、こりゃ、駄目だ。。。と諦めかけていると、今度は日曜日に上之保村で穴掘りのシゴトが入ってしまいまして、スキーどころか、休みまでなくなってしまいました。ちくしょー、グレてやるぅ。。。

 で、グレちゃった僕は家を飛び出して、とりあえず各務原のホテルに泊まることにしたんですが、このホテルは“すけべビデオ”が100円玉を入れる方式なんですな。ルートイン各務原というところでありまして、このチェーンのホテルは1000円でカードを買って“すけべ”を鑑賞するというシステムのところが多かったんですが、たいてい300円分くらいの鑑賞を終えた時点で飽きちゃうのが常でありまして、100円玉投入方式のほうがありがたく思います。で、わざわざ両替しにいかなくても100円玉が12枚ほどありますので、しばらくは安泰だと思われます。いや、どうせ300円分くらいの鑑賞を終えた時点で飽きちゃうのが常であるなら、それほどまで大量の100円玉は必要ないのでは?…という意見もあろうかとは思いますが、ちょうど鑑賞のポイントが山場にさしかかろうとしたまさにその瞬間、無情にも“ぶちっ!”と切れちゃうのがこの手のビデオ鑑賞システムの常でありまして、その時、手元に予備の100円玉がなかったりしたら、死んでも死にきれませんもんね。あわてて部屋の隅っこのほうにうっちゃってあったジャージのズボンを穿いて、1000円札を鷲掴みにしてエレベータに飛び乗り、1階のフロントの横にある機械で100円玉10枚に両替し、慌てているもんだから100円玉をひとつ取り損ないそうになり、必死の思いで8階に戻って部屋の鍵もそこそこにテレビの横の投入口に硬貨を投入してみれば、ああっ!こいつ(筆者注:先ほどまで山場を迎えようとしていた男優のこと)、すっかり終わってベッドに腰掛けてタバコなんか吸っていやがるぅ!人が両替に行ってる間くらい、頑張れっちゅうねん!!…と、男優という職業にあるまじき持続力のなさを一生恨み続ける事になっちゃいます。もっとも『瞬間昇天2・セクシーダイナマイツ』というタイトルの作品だけに、一概に男優の不甲斐なさだけを責めることは出来ないんですけどねぇ。。。

 …と、このところホテル&すけべビデオねたというパターンが多いので、少し話題を変えてみようと思いますが、えーと、寿司ネタです。先日、八方から木島平に移動する際、飯山にあるかっぱ寿司というところで夕食をとりました。何を食べたのかというと、寿司を食べました。寿司といってもかっぱ寿司というネーミングからして、その高級さの度合いは推して知るべし(…タ・スタローンとか言わない。)といった感じなんですが、いわゆる回転寿司のチェーン店、それも最下層に属する「全品一皿100えん」という店でございます。全品一皿100えんって、もしかして、かっぱ巻しか回転してないんぢゃないか?…という危惧は、この店の名前を目にした人がまず最初に懸念する事項ではないかと思われるわけですが、ちゃんとそれ以外のネタも回転しておりました。 鉄火巻だと思って取ってみて、それにしても色の悪いマグロだなぁ。。。と思いつつ 食べてみると何だか味もヘンで、よく見たらそれは鉄火巻ではなく、かんぴょう巻だったりしたこともありましたが、それ以外のネタは一応、割とちゃんとしておりました。で、メニューにあって回転していないネタは席に備えられたインターホンによって個別に注文することが出来、で、そうして個別に注文されたネタは注文品と書かれた黄色いプラスチックの輪の上に皿が乗せられて回転してくる仕組みになっておりまして、その注文品は注文した人以外は手を出せないというシステムになっております。

 で、それはいいんですが、この店はどういうわけだかインターホンで注文したブツが、いつまで待ってもちっとも流れてこないんですよねぇ。。。ずっと待ってもちっとも注文品が流れてこないので、忘れられているのではないか?と思って、もう一度「イクラぁ!」と注文してもやっぱりイクラは流れてこず、しびれを切らして再度「イクラぁ!!」と注文すると、忘れたころになって注文品の輪に乗ったイクラが3つ並んで流れてきたりして、どうもこの店、個別に注文品を握るのが面倒で、同じ注文が3つほど溜まった時点でまとめて握って流しているんじゃないですかね?ま、ともあれ全部で13皿ほどの寿司と茶碗蒸し一つを食べ、充分に満腹感を得ることが出来ましたので、あとは最後の仕上げのデザートだけでありますな。チーズケーキとかチョコレートムースとかは「来るな!」と言っても勝手にぐるぐると回転してたんですが、僕のお目当てはいちごムースでございます。僕はわりといちごが好きで、パンツの模様でもいちご柄にはわりと好意を持っているわけでありますが、でも、待っていても一向にいちごムースと、いちご模様の勝負パンツの女は僕のところには回ってこないので、仕方なくインターホンで注文することにしたんですが、その注文品が例の如く、いつまでたっても流れてこないんですよねぇ。。。5周ほど待った時点でとうとうしびれを切らし、もう、こうなったらチョコレート色のパンツの女でもイイやぁ。。。とヤケを起こして、おもわずチョコレートムースに手を出してしまったんですが、それをあらかた食べ終えて、もうこれ以上は何も食えん。。。という段階になって、流れてきちゃったんですよねぇ、注文品の輪に乗ったいちごムースが。焦った僕は思わずいちごムースの皿を手に取ってそのままコンベアに流し、そして空になった注文品の輪の上にさけの皿を乗せ、そして何食わぬ顔をしてその店を後にしたのでありました。誰も注文した覚えのない注文品さけは誰の手に取られることもなく、ひっそりと干からびていったことでありましょう。僕はそんなさけの末路が哀れでなりません。。。

 ということで、上之保村で穴を掘って帰ってきたところです。やっぱり穴を掘るなら“ゆんぼ”ですなぁ。僕がスコップで丸一日かけて掘った分量の10倍ほどの穴を数時間で掘って、そして去っていきましたが、途中で電線管を1本引っかけて駄目にしちゃいました。電気屋さんがその現場を目撃していたら、きっとムッとするに違いありませんが、僕に何の断りもなくそんなところに電線管を埋めたほうが悪いのであって、僕たちにはまったく責任はありません。…と開き直ったところで、おそらく許してはくれないでしょうなぁ。。。明日、僕たちの悪行がバレるのが恐ろしいところでありますが、あ、そうそう。今日、ホテルを出てくる時に、ちょっぴりイイ事がありました。8階の部屋から1階のロビーに下りるのにエレベータに乗っていると、途中の4階で「ちん!」とか言って止まっちゃったんですよね。誰か乗ってくるのかぁ。。。と、若干のうっとうしさを覚えたんですが、乗り込んできたのがジャージ姿の女子高生4人組でありまして。いやぁ、ドキドキしましたなぁ。…というような色気を感じさせるようなタイプの4人ではまったくなかったんですが、屈託がなくて純朴そうな風情が好ましく、で、降りる時にはちゃんとエレベータの「開」のボタンを押して僕が扉に挟まれないように気遣ってくれましたし、フロントの兄ちゃんにはちゃんと「おはよーございまーす♪」と明るく挨拶しておりましたし、実にデケた女子高生でありました。外に出ると岐阜商業高校陸上部と書かれたバスが停まっておりまして、ほぉ、高橋尚子の後輩ではありませんかぁ。Qちゃんの屈託のなさは、こういう土壌で育まれたのかぁ。…と納得した次第でありますが、 そんなことで、今日紹介するのは、ジョー・ゴードンだじょー。

 「土壌」と「ジョー」と「だじょー」で韻を踏んでいて、我ながらよく出来た一文だと思いますが、ジョー・ゴードンという人はブラウニー派のトランペッターの中でも、実にしみじみ、地味な存在でございます。リーダー作が極端に少ないだけでなく、サイドマンとして参加したアルバムもほとんど思い当たる節がないんですが、輸入盤CDのケース裏の説明を見ても“underrated”という単語が使われていて、本国アメリカでもやはり過小評価されている人のようです。で、華々しい脚光を浴びることのないまま、1963年に35歳くらいの若さで死んじゃったようでありまして、いや、こういう経歴の人って、日本のマニアには受けそうですなぁ。で、ジョー・ゴードンのリーダー作というと、何か1枚持っていたような?…と思って調べてみると、あ、ジョー・ワイルダーと勘違いしておりました。となるとジョー・ゴードンのリーダー作は1枚も持っていなかったということになりますね。で、この度、めでたく『ルッキン・グッド!』というコンテンポラリー盤を手に入れまして、で、聴いてみたらコトのほかデキがよかったので嬉しくなってしまったんですが、ちなみにこのアルバムは新鋭のアルト奏者ジミー・ウッズを従え、全曲をオリジナルで固め、実に気合いの感じられる仕上がりとなっております。ということで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 1曲目は「テラ・フィーマ・イルマ」という曲です。テラ・シーマ・エロ魔ではありません。いや、別に寺島のヤックンがエロ魔であるとか、そういうことを言いたいわけではなくて、ま、かれい技師あたりは確かにエロ魔の称号に相応しいかとは思いますが、それにしてもアルバムの冒頭から実にイイ曲を持ってきましたなぁ。アルバムの印象というのはその80パーセントぐらいがジャケットと1曲目で決まると言っていいと思いますが、僕はこの曲のイントロを聴いた時点で「買って正解やったかな?」ということを予感しました。そしてその予感はアルトとトランペットのユニゾンによるファンキーなテーマが始まった時点で確信に変わりました。コドモの頃から好きだったですからねぇ、マルシン・ハンバーグ。いや、大人になった今となっては、マルシン・ハンバーグというのは実は本物のハンバーグではなかったということを確信を持って断言出来るわけでありますが、いや、あれは本物のハンバーグではなくてマルシン・ハンバーグという食べ物なんだ。。。と思って食べればそれなりに美味しいものなんですけどね。で、演奏のほうはキャッチーなメロディのテーマに続いてジョー・ゴードンのソロとなります。ここでの彼のプレイは一言でいえば「ブルー・ミッチェルみたい。」ということに尽きるでしょう。切れ味よりも歌心で勝負!…のタイプでしょう。同じブラウニー直系でもリー・モーガンではなく、ケニー・ドーハムの系列です。で、ソロの後半にアルトとピアノがリフで絡んでくるあたり、実にハード・バップ的で嬉しくなっちゃいますね。で、問題は続くジミー・ウッズのソロでありまして、この人に関しては以前、このコーナでも『コンフリクト』というアルバムを紹介したことがあったと思いますが、前衛的というか、はっきり言えばかなりヘンなアルトを吹く人なんですよね。ジェームス・スポルディングに近い感じぃ?このスタイルはジョー・ゴードンのオーソドックスなハード・バップとはちょっぴり違和感?…という気がしないでもありません。甘夏だとばかり思って食べたら、実は伊予柑だった。…という時の違和感にも通じるものがありますが、ま、ウッズの参加のおかげで、アルバムが普通のハード・バップ作品にならなかったという点は評価出来るかも知れませんけどね。で、思わぬ拾い物だったのがピアノのディック・ウィティントンとかいう人でありまして、この人、名前の発音しにくさの点では、まったくもって問題外。。。…という感じなんですが、ピアニストとしては実によくデケた人でありました。げに、人は名前だけで判断してはいけませんね。スタイル的にはファンキーと新主流派の中間といったところですかね?わりかし知性的なピアノを弾く人でございます。で、演奏のほうはトランペット→ドラムス→アルト→ドラムスの8バースがあって、テーマに戻って、イントロに出てきたフレーズがエンディングに出てきて、おしまい。いやあ、世の中には僕が知らなかった名演というのが、まだまだたくさんあるものなんですなぁ。。。

 はい2曲です。「ア・ソング・フォー・リチャード」です。ジョー・ゴードンのオリジナルなんですが、スタンダードを思わせる綺麗なメロディのナンバーです。で、テーマ部はジョー・ゴードンのワン・ホーンで演奏されるんですが、ミュート・プレイということもあって、これはもう、まるっきりマイルスです。知らない人に聴かせれば、10人中9人までは「50年代マイルスやん。」と答えるに違いないような気がしないでもない。…と断言できるほど、マイルスに瓜二つであります。僕はこのアルバムの冒頭2曲を聴いて、ジョー・ゴードンという人がブラウニー直系で、ドーハムやマイルスからも多大な影響を受けた人であるな。…ということを短絡的に確信してしまいましたが、あ、ここでまたジミー・ウッズが出てきましたな。50年代マイルス・デイビス・クインテットにおけるコルトレーンのプレイというのは、ある意味で違和感を感じさせるところが無きにしもあらずなんですが、ここでのウッズはそれと同じような役割を演じているような気がしないでもありません。いなかったほうがよかったかも?…って、そこまで言い切っちゃうと失礼にあたりますけどね。オケラだって、ミミズだって、ジミー・ウッズだってぇ〜、みんなみんな生きてるワケだしぃ。…って、オケラやミミズと一緒にするほうがもっと失礼だと思いますけどね。で、3曲目です。「ノン・ベニース・ワルツ・ブルース」です。何気なく聴いていて、ワルツでブルースっぽい曲だなぁ。。。という印象を持っていたんですが、「ノン・ヴィエニーズ・ワルツ・ブルース」という曲だったんですかぁ。僕の第一印象も満更でもありませんな。ただ“ヴィエニーズ”という言葉の意味がよくわからず、何となく「マヨネーズの親戚のようなものか?」と思っていたんですが、調べてみたら「ウィーン風の」というような意味でありました。僕の語学力も全然たいしたことありませんなぁ。。。で、演奏のほうは「まあまあかな?」といった程度でありまして、1〜2曲目から受けた感動からすると、ちょっぴり印象薄ではありました。ま、しょうがないっすよね。

 はい、4曲目です。「ユーアー・ザ・オンリー・ガール・イン・ザ・ネクスト・ワールド・フォー・ミー」です。もう、タイトルからして、チクロも真っ青の大甘バラードを想像していたんですが、意外にもアップ・テンポの普通の曲でありました。しかし“チクロ”っていっても今のヤングは誰も知らないでしょうなぁ。ああ、果物ぉ?…って、それは“ザクロ”だし、小さいことぉ?…って、それは“ミクロ”だし、乳が黒いことぉ?…って、それは“チチクロ”だし、それは“ユニクロ”やがな。…って、誰も何も言っていませんよね。ちなみに“チクロ”というのは“サッカリン”と並ぶ人工甘味料でありまして、一時期大いにもてはやされたんですが、「実はアレは毒だったんだ。」ということが判明して、ばったりと使われなくなっちゃいました。で、チクロやサッカリンを使っていない食品には「ぜーんぶ砂糖だから、安心だねっ♪」という意味を込めて「全糖」という表示がなされていたものでありますが、いや、僕はヤングだから、そんな古い時代のことはまったく知らないんですけどね。…とか書いてるうちに演奏のほうは終わってしまいましたが、ま、3曲目と同様、今ひとつ印象の薄いナンバーでありますので、あえて詳しく触れる必要もなかろうかと。で、5曲目です。「クープ・ブルース」です。ごく普通のブルース・ナンバーでありまして、やはり今ひとつぱっとしない曲ではありますが、ソロの先手を取るジミー・ウッズのプレイは悪くありませんな。わりとオーソドックスなパーカー・スタイルで吹いておりまして、“ちょっぴりワケのわかんない路線に走り始めた頃のソニー・レッド”程度のワケわかんなさに何とか止まっている。…といった感じです。続くジョー・ゴードンのソロもビル・ハードマン的によく歌っておりますし、ソロの途中にリフが絡むアレンジも洒落ておりますし、一般ウケはしないものの、堅実派の賢治クンならこの演奏のよさ、きっと分かってくれると思うナ♪(ワカんねーよ。 By ジャズにまったく興味のない賢治。)

 いや、いくら堅実派でもジャズにまったく興味のない賢治クンに同意を求めたのが失敗でありましたが、そんな賢治クンでも6曲目の「マリアナ」なら、きっと大丈夫です。ラテンのリズムに乗せた“ベタの極限”とでも言うべき分かりやすいメロディは万人ウケすること間違いなし。で、このプレイには何の説明はいりません。聴けばわかる。そういった世界です。いや、もう10時を過ぎちゃったし、まともに曲解説を書くのも面倒でぇ。。。…とか、そういったことではなくて。で、7曲目の「ヘレン」はバラードでございます。全部で8曲もあると、ここらでひとつ、しみじみとバラードでも。…という気分になるものなんですが、ジョー・ゴードンとしても、そこらあたりの事情はよくわきまえているわけであります。だって、もう33歳(←録音当時)なんだもの。オトナなんだもの。綺麗なピアノのイントロに続いて、ゴードンが美しいテーマ・メロディを歌い上げます。この人、作曲家としてもなかなか非凡なものを持ち合わせておりますな。僕も当時の彼と同じ33歳なんですが、非凡どころか裏本しか持ってませんもんね。その差は大きいと言うことも出来ますし、どちらも同じ「〜ぼん」なんだから、大した違いは無いよ。…という評価を下すことも出来ようかとは思いますが、僕自身でその評価を下すことは出来ません。よく便は下って下痢になっちゃいますけどね。で、バラードだからジミー・ウッズを外してワン・ホーンにしたのはゴードンの好判断だったと思いますが、ここでの彼はブラウニー流の装飾音の多いバラード・プレイを披露しております。中間部を彩るディック・ウィティントンのピアノも絶品ですね。

 はい、ラストです。「ディミニッシング」です。4段スライド式にずり上がっていく感じのリフ・ナンバーなんですが、“べりー・べーしっく”なコード・チェンジが、どうのこうの…と言ったことが原文ライナーに書いてありますね。曲自体はそれほど面白いものではなく、ウッヅのソロで始まるソロ回しもそれほど分かりやすいものではないんですが、ま、1曲目2曲目、途中ちょっぴり中だるみがあって、後半の6曲目7曲目。この4曲を聴くだけで、充分に購入の価値はある。そう断言するにヤブサカでない、そんなアルバムでございました。おしまい。


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