THE TIME AND THE PLACE (COLUMBIA)

 ART FARMER (1967)

THE TIME AND THE PLACE


【パーソネル】

ART FARMER (tp,flh) JIMMY HEATH (ts) CEDAR WALTON (p)
WALTER BOOKER (b) MICKEY ROKER (ds)

【収録曲】

THE TIME AND THE PLACE / THE SHADOW OF YOUR SMILE / ONE FOR JUAN
NINO'S SCENE / SHORT CAKE / MAKE SOMEONE HAPPY / ON THE TRAIL

【解説】

 新しいカーナビを買いました。嬉しくて早速、自分の部屋の机にセットしました(設置情況→家ナビ)。ンなもん、家で使って何が嬉しい?…という意見もあろうかとは思いますが、たとえば揖斐・長良川の堤防が決壊して家ごと濁流に流されちゃったりした場合、どの辺りまで漂流したのかを確認するのにとっても役に立ちますよね?もっともそういう状態では当然、中部電力の電線も切れて100ボルトの電気が使えなくなっちゃうだろうから、あまり意味がないような気もするんですけどね。その事に気がついた僕は早速クルマのほうに付け替えることにしたんですが、ポータブル・ナビなので乗せ替えが簡単に出来るのがありがたいところでございます。

 パナソニックの『デルNAVI』KX−GP1Zという奴をインターネット通販で買ったんですが、DVDナビが全盛で、CD−ROMのタイプは大幅に値崩れしておりまして、定価17万8000円くらいのものが7万8000円になっておりました。ま、機能的にはDVDタイプから見れば今ひとつである感は否めませんが、なんせ今まで使っていたのが一昔…というか三昔くらい前の“くされナビ”だったので、それに比べれば正に雲泥の差でございます。月とスッポンです。スッポンと言えば今日、ミスタートンカチへ買物に行ったら、レジで僕の前に並んでいたおじさんが蛍光灯とトイレの“すっぽん”を買い込んでおりました。大晦日なので使いすぎて黒くなっちゃった蛍光灯を取り替えて、ついでに詰まったトイレも掃除して、新たな気分で新しい年を迎えようというコンタンなんでしょうか?殊勝な心がけだとは思いますが、詰まったトイレは大晦日まで放置せず、詰まった時点で速やかに処置したほうが、よりベターだったのではないか?という気がしないでもありません。いや、今日の朝、急に詰まっちゃったのかも知れませんけどね。暮れも押し詰まってくると色んなものが詰まったりするわけでありますが、年が明けると今度は爺さんが餅を喉に詰まらせたりしますけどね。

 で、カーナビです。ポータブルだから、取付も簡単ぢゃん。…とタカをくくっていたんですが、意外な落とし穴がございました。GPSとVICSのアンテナをつなぐところまでは順調だったんですが、電源コードをつなぐところで思わぬ難関が待ちかまえておりました。ンなもん、シガーソケットに差し込むだけぢゃん。…とか思っていたら、カーナビの電源コードにはもう1本、何やら細い線が1本付属しておりました。で、説明書によると、どうやらこのコードをパーキングブレーキセンサーコードとやらに接続しなければならないらしく、接続しないとどうなるかと言うと、どうやらカーナビの機能が制限されちゃうみたいなんですよね。要は運転者がカーナビの操作に気を取られてオカマを掘ったりするといけないので、サイドブレーキを引いた状態でないと操作が出来ないようなシステムになっているようでありまして。前に使っていた“くされナビ”には、そのような高級な装置はなかったんですけどねぇ。ただスイッチを入れた時に「あなたは運転者ですか?」という質問が出てきて、それに正直に「はい」と答えると 機能が制限されるようになっていたんですが、嘘をついて「いいえ」と答えておけば、それでコトがすむようになっておりました。思えば牧歌的なイイ時代であったわけですが、新しいナビともなると、そういうわけにもいかないようでありまして。で、問題のパーキングブレーキセンサーコードというのがどこにあるのかというと、普通はセンターコンソールを外せば、その中にあったりするもののようでございます。仕方がないので会社のカローラ・フィールダーのセンターコンソールを外しにかかったんですが、そう簡単に外れるようなシロモノではございませんでした。駄目ぢゃん!ナビ、ちゃんと使えないぢゃん!

 でもそこで簡単に諦めないのが僕のエラいところでありまして、僕は直ちに素晴らしい方法を考えだしました。このナビには家の中でも使えるように100V用のACアダプターが付いていたんですが、いやこれは何も洪水で家が流されちゃった場合に備えているわけではなく、家でゆっくりとルート設定などを出来るように配慮したものだと思うんですが、このACアダプターを使えばサイドブレーキなど関係なしに、すべての機能を使えるようになるわけです。幸いウチにはDC12VをAC100Vに変換するインバーターがありますので、早速それを使ってクルマの中でAC100Vが使えるようにしてみたんですが、今度はどういうわけだかVICSの機能が使えなくなってしまいました。どういうわけだかVICSというのはクルマの中でないと使えないような、そういう取り決めになっているようでありまして、VICSが使えなきゃ、塗るかぜ薬のヴィックス・ヴェポラップはどうなる?という感じでありますが、そこでメゲないのが僕のエラいところでございます。賢い僕は直ちに「パーキングブレーキセンサーコードに繋がなくてもナビの機能がすべて使えるようになる裏技」というのを考えつきまして、それはどういう方法なのかというと、「パーキングブレーキセンサーコードの信号とか言って、要はDC12Vの信号なんやろ?」ということなんですけどね。説明書に書かれた回路図を見ると、どうやらサイドブレーキをかけると運転席のパネルに「!」のマークが出るという、ただそれだけの回路のようであしまして、だったら何もわざわざパーキングブレーキセンサーコードから信号を引っ張ってこなくとも、カーナビの線にDC12Vの電圧を入れちゃえばイイわけです。我ながらなんて賢い!いや、もしかしたらその発想はとんでもない間違いで、カーナビに変な電圧が加わって一瞬にして7万8000円がパーになっちゃうかも?…という危惧もあったんですが、いや以前、パソコン用の外付スピーカーに間違えて違う器具のACアダプターをつけたことがあったんですが、その時は繋いだ瞬間に「ぽん!」という音がして中から白い煙が立ち上り、一瞬にしてパーになっちゃいましたからね。がしかし、男たるもの一生に一度はイチかバチかと大勝負に出なければならない時がくるものでありまして、男さば君(33歳)、思い切ってやってみました。シガーソケットから伸びているコードのプラスのほう(白い線が入っているほう)に、カーナビを線を無理矢理に繋いでみました。そして祈るような思いでクルマのエンジンをかけてみると…

 ぽん!…とくるかと一瞬、ドキっとしたんですが、結論から申し上げましょう。カーナビの電源は正常に入りました。「勝った!」と思いましたね、僕の発想はまったくもって正しかったわけでありまして、なーにがパーキングブレーキセンサーコードだ、べらぼうめー。と、思わず江戸っ子になったような気分でありました。で、早速、本来なら機能制限されているハズの「ルート設定」のメニューを実行してみたんですが、どういうわけだか「運転中はこのメニューは実行出来ません。」というメッセージが出てきました。慌ててサイドブレーキのレバーを引いたり解除したりしてみたんですが、元々パーキングブレーキセンサーコードには線を接続していないので、何の解決にもなりませんでした。「負けた。。。」と思いましたね。7万8000円をパーにする覚悟で一生に一度の大勝負に出たというのに事態はまったく改善されなかったわけでありまして、ま、7万8000円がパーにならなかっただけでも、よしとしておかなければなりませんかね?ディーラーに持っていってパーキングブレーキセンサーコードに繋いでもらうしかないかぁ。。。とも思ったんですが、そこでまだ諦めないのが僕のしつこいところでございます。インターネットに何かいい情報はないかと思って、「カーナビ 接続 サイドブレーキ」というキーワードで調べてみたところ、あ、ありましたぁ。「サイドブレーキを引かなくてもテレビが見えるようになる裏技」というのがありまして、えーと、なになに。サイドブレーキのセンサーというのは、解除すると信号がアースに落ちるようになっていると。だから本来パーキングブレーキセンサーコードに繋ぐ線をアースに落としてやれば、サイドブレーキを引かなくてもテレビが見れるようになると。ただしこれは本当はとってもいけないことなので、自己責任で行なってくださいと。成るほど、そういうことでありましたかぁ。つまり僕がDC12Vのラインに線を繋いでいたのはまったくもって間違いでありまして、サイドブレーキを引いていようが引いていまいが、問答無用で機能が制限されちゃうという、とんでもなく意味のないことをやっていたんですな。ああ、なんてアホな僕。。。

 で、早速、電源コードのプラス側(白い線の入っているほう)に繋いであった線を「これは無かったことにしておこう。。。」と自分に言い聞かせながら取り外し、反対のマイナスのほうに繋いでみたんですが、おお、ばっちりぢゃん!いや、これは何も好き好んで“よくない行為”をやったわけではなく、パーキングブレーキセンサーコードというのがよくわからなかったので、やむを得ず苦渋の選択として行なったわけでありまして、だから僕はちっとも悪くないわけであります。ISOの内部監査も違法改造も、開き直るのがイチバン!ということで、たいへんこのナビは重宝しているわけでありますが、ただひとつ注文があるとすれば、「付近の情報を見る」というメニューの中に、便所の情報を加えてもらえないか?ということなんですけどね。いや、現在地の近くにあるコンビニやガソリンスタンドを調べてくれる機能があるんですが、その情報の中に「便所」というのがあれば、いざという時にかなり助かると思うんですけどねぇ。パナソニックには是非、『デルNAVI』の新製品として『便NAVI』というのを作って欲しい。…ということを提案して、今日の前半はおしまい。

 ということで、今日からしばらく特別編です。「その他の楽器(ギター)編」を離れ、5回シリーズで「先日、名古屋で仕入れてきたCD編」というのをお届けしようと思います。昨日(12月30日)、残っていた仕事を片づける為に岐阜の事務所に行ったんですが、約2時間ほどでヤル気がなくなったので、会社のクルマを洗ったり、一番楼でラーメンとチャーハンを食べたり、塩通の原稿を書いたりして過ごしておりました。で、14時半で作業を終えて、名古屋に回って名駅のタワーでCDを5枚ほど仕入れてきたわけでありますが、その中から本日はアート・ファーマーの『ザ・タイム・アンド・ザ・プレイス』というアルバムを紹介してみようと思います。輸入盤だったんですが、『アート・ファーマー・アンド・バロック・オーケストラ』というアルバムとカップリングで“2in1”のCDになっておりました。とってもお買い得でございます。お買い得ではありますが、『バロック・オーケストラ』のほうは今ひとつでありました。タイトルの通り、オーケストラと共演してバロックの曲を中心に演奏しているんですが、そのバロックのオーケストラがどうも僕の趣味から逸脱しておりました。やっぱり性転換するなら、バロックよりもモロッコ?という感じでありまして、よってCDの1〜11曲目までは無視します。12曲目以降の『ザ・タイム・アンド・ザ・プレイス』のほうだけ紹介してみようと思うんですが、ちなみにこちらはライブ盤でありますな。メンバーが悪くなくて、テナーがジミー・ヒースで、ピアノがシダー・ウォルトンです。ベースはウォルター・ブッカーで、ドラムスはミッキー・ローカーです。僕はミッキーよりもキティちゃんのほうが断然好きなんですが、ローカーよりもモナカのほうが好きですしね。ということで、1〜11曲目までは無かったことにして、12曲目が1曲目だということにして、では1曲目から聴いてまいりましょう。

 1曲目のタイトル曲、「ザ・タイム・アンド・ザ・プレイス」はジミー・ヒースのオリジナルです。この人はテナー奏者としてより、作編曲家としての評価のほうが高いわけでありますが、この曲もなかなかの出来でありますな。原文ライナーに“rock'n'roll-ish medium-tempo tune cast in a minor mode”とある通りのロックンローリッシュなミディアム・テンポのマイナー・チューンなんですが、ベタなリズムが何ともイイ感じでありますな。短い拍手の後、すぐにテーマが始まりますが、実にわかりやすいキャッチーなメロディが印象的ですね。キャッチーと言えばキャッチャーの谷繁はドラゴンズ入りでありますかぁ。谷繁というのは何となくタニシ科に似ているので僕はあまり好きではないんですが、昨夜、夕食に出されたサザエの壺焼きも今ひとつ不評でしたしね。僕はとりあえず爪楊枝でホジくり出して見たんですが、その先っちょのほうの形状が今ひとつ気色悪かったので、食べずにそのまま放置しておきました。あんなもん、シラフで食える代物ではございませんなぁ。。。とまあ、そんなことはどうでもよくて、ソロ先発はファーマーですね。吹いているのはフリューゲル・ホーンでありましょうか?ソフトなトーンがいかにも彼らしいわけでありますが、あまりハードなのとかモロなのばかり見ていると、ソフトな胸チラあたりのほうが、かえってソソったりしますからね。続くジミー・ヒースは結構バリバリと吹いておりますが、昔、聖教新聞で連載していた漫画は「ばりばり君」でありました。あまり面白くはなかったんですが、まだ連載は続いているんですかね?で、特筆すべきはシダー・ウォルトンのソロでありまして、こんなにロックンローリッシュで下世話なシダーというのは、そうそうお耳にかかれるものではありません。心して拝聴致しましょう。

 はい2曲目です。1曲目のノリノリ路線から一転して、しみじみと「ザ・シャドウ・オブ・ユア・スマイル」です。原文ライナーには theme from“The Sandpiper” とありますが、“Sandpiper”というのは「いそしぎ」のことでありますな。シダーのピアノをバックにジミー・ヒースが朗々とテーマを歌い上げ、で、テーマが終わるころになってオン・ビートになってミディアム・テンポに転じるところがなかなかよく出来ていると思います。オン・ビートという言葉の使い方、合ってますかね?で、ここでファーマーが登場してテーマ・メロディをフェイクする形でリリカルなソロを“えんがちょ”するわけでありますが、フェイクやリリカルという言葉の使い方、合ってますかね?少なくとも“えんがちょ”という言葉の使い方は間違っているような気がしますが、ファーマーに続くヒースのソロはいきなりアップ・テンポでブチ切れておりまして、出だしの部分の「しみじみ路線」は何だったんだ?…という気がしないでもないですが、続くシダーのソロもイケイケ路線を踏襲しておりますね。…と思っていたら急にテンポがゆっくりになって、やがてピアノの無伴奏ソロになって、最後にタイコが出てきてドラマチックに演奏は終了しました。なかなか凝った造りの1曲でありますなぁ。で、3曲目の「ワン・フォー・ジュアン」はヒースのオリジナルなんですが、イントロ部分のベースの弓弾きがとっても不気味でございます。が、やがて軽快なボッサ風のリズムに転じ、で、演奏されるテーマ・メロディはちょっと変わった感じでありますな。ま、あえて文字で表現するなら、ぱっぱぱぱ〜、ぱっぱっぱぱぱぱ♪といったところなんですが、続くファーマーのソロは相変わらずリリカルで、ナショナルの家庭用バリカンはスキカル。そういった演奏でございます。続くヒースのソロからはコルトレーンの影響を感じ取ることが出来ますね。モーダルにやってみて、ちょっぴり失敗。。。といった感が無きにしもあらずなんですが、ソロが終わった途端、かなり場内が沸いておりますので、観客のウケはよかったようです。で、続くシダーのソロはいかにも彼らしい破綻のないものでありまして、無難な仕上がりであると言えるでしょう。で、テーマに戻って、この曲はおしまいです。観客、かなり沸いております。

 はい4曲目です。「ニノズ・シーン」です。作曲者にはセルジオ・メハノヴィッチという名前がクレジットされておりまして、これは恐らくセルジオ越後の親戚筋なのではなかろうかと。で、曲は典型的なラテン物でございます。はい5曲目です。まだジャケ・イラストも書いてないし、急がないと年内に更新出来なくなっちゃうわけです。以前、年末・年始は更新はお休みだったんですが、最近は年末・年始でもないと原稿が書けない状態であるわけです。年が開ければ先送りしてきた仕事上の懸案事項がどっと押し寄せてきて、とんでもないことになるに違いないのであります。ま、先のことはあまり考えないことにして、とりあえず5曲目の「ショート・ケイク」に耳を傾けましょうね。J.J.ジョンソンのオリジナルということですが、マイナー・ムードのなかなかの名曲だと思います。やるぢゃん、ジェイ・ジェイ。ソロ先発はファーマーで、相変わらずリリカル…って、これしか書くことがないんですが、ここでのプレイはちょっぴりマイルスからの影響を感じさせるものとなっております。続くヒースのソロはちょっぴりマンネリ気味…という気がしないでもないんですが、ま、4年も続けていれば、それも仕方のないことでありましょう。…って、これはうちのサイトのことなんですけどね。で、シダーが何やらピアノを弾いてるようでありますが、とりあえず6曲目にいっちゃいましょう。「メイク・サムワン・ハッピー」は歌モノのようですね。どうもそんな気がします。しきりそんな気がにします。人生に希望を感じさせるようなナンバーです。さすがはメイク・サムワン・ハッピーだと思います。で、ソロ先発はジミー・ヒースなんですが、いつもとちょっと違った感じの仕上がりになっておりまして、マンネリ打破に向けてひた走るダハシュタイン・スキーブーツ。…といった姿勢には好感が持てますね。股間は蹴られると痛いですけどね。続くシダーのソロもノリがよくてイイですし、ウォルター・ブッカーのピチカート・ソロも聴けるし、ファーマーのソロは相変わらず趣味がいいですね。…と、無難なコメントをしておいて、さ、残すところいよいよあと1曲です。

 ラストの「オン・ザ・トレイル」はジミー・ヒースが同名のリーダー作で演っている曲ですね。ウイントン・ケリーの『ザッツ・オールライト』というアルバムでは「山道を往く」という日本名で演奏されておりました。基本的には脳天気な 曲でありまして、みんなで仲良くテーマを演奏した後、ファーマーの短めのソロがあって、再びテーマに戻って、ハッピー・エンド。2分31秒という短い演奏でありまして、いかにもライブの“締め”といった感じの寛いだナンバーでございました。

 ということで、では皆様、よいお年を。



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