FULL HOUSE (RIVERSIDE)

 WES MONTGOMERY (1962/6/25)

FULL HOUSE


【パーソネル】

JOHNNY GRIFFIN (ts) WES MONTGOMERY (g) WYNTON KELLY (p)
PAUL CHAMBERS (b) JIMMY COBB (ds)

【収録曲】

FULL HOUSE / I'VE GROWN ACCUSTOMED TO HER FACE / BLUE 'N' BOOGIE
CARIBA / COME RAIN OR COME SHINE / S.O.S.

【解説】

 僕は今 (12月22日現在) 、プリンスホテルにおります。だってほら、明日は天皇誕生日だし、あさってはクリスマス・イブだし、ささってはクリスマス(本番)だしー。あ、全国的には「あさって」の次の日は「しあさって」と言うんでしたっけ?三重方面では「あさって」の次の日のことは「ささって」と言いまして、「しあさって」というと4日先のことになるんですよね。だから他府県人が桑名人に対して、「ぢゃ、しあさっての午後7時、ギロチン工場の前でね♪」などと約束したりすると、話が噛み合わなくなっちゃうわけですが、それはともかくプリンスホテルでございます。どこのプリンスなのかというと伊那のプリンスホテルでありまして、ま、略して“伊那プリ”ってところですかね?伊那プリンスホテルといっても実際には箕輪町というところにありまして、中央道の伊北インターから車で5分くらいのところにございます。で、何故そのようなところにいるのかというと、ただ何となくなんですけどね。例のごとくスキーの前泊地として適当なホテルを『旅の窓口』を探してみたところ、この伊那プリンスホテルというのがあったので、モノは試しに泊まってみることにしたんですが、料金のほうはちょっぴり高めで8250円くらいでしたかね?高いだけあって、腐ってもプリンス。こんな僻地にありながら、なかなか小洒落た感じに仕上がっております。チャペルなんかもありまして、ああ、穴を掘るヤツぅ?…って、それはシャベルですね。ああ、喋ることぉ?…って、それは「喋る」ですね。…って、そのまんまですね。で、1階レストラン・ジュエルでは25日までクリスマス・ファミリーバイキングというのをやっているみたいです。寿司・刺身・揚げ物・焼き魚…etc のお料理が2時間食べ放題…って、今ひとつメニューにクリスマスらしさが欠如しているような気がしないでもないんですが、箕輪あたりのファミリーはクリスマスに塩サバをつついたりしてお祝いするんですかね?

 ちなみに今日は夕方まで、岐阜県内でも屈指のヤング・タウンである養老町というところで仕事をしておりました。某排水機場の除塵機の塗装の現場監督をやっておりました。いや、2日ほど前にですね、「土曜日に足場だけでも組ませて欲しいものであるが、如何なものか?」という電話がかかってまいりまして、「あ、いいっすよぉ。」と気軽に返事をしてしまったんですよね。「工事用の黒板だけ貸してもらえれば、ウチで勝手にやっておきますけど。」ということだったんですが、ま、足場の設置だけなら1時間もあれば終わるだろうし、でも5時間かかったことにしておけば、休日出勤手当を5時間分GETだねっ♪で、10時には終わったとして、昼から「ヘブンスそのはら」で、ひと滑りできるぢゃん。…とか思っていたら、あ、「ヘブンスそのはら」というのは桑名から2時間くらいで行ける、長野県の西の端にあるチンケなスキー場でありまして、たいして滑るコースもないんですが、今シーズンからサンリオと提携して『ハローキティに会えるスキー場』としてリニューアルしたということなので、キティラーの僕としては是非ともチェックしておかねばならないわけでありまして。が、「取らぬキティの皮算用」とはこのことでありましょうか。キティちゃんの皮で、オリジナル三味線でも作ってみるぅ?…という僕の目論見は見事にはずれ、足場を組むのに2時間余もかかったあげく、おまけに「ケレンもやっちゃう。」などと、とんでもないことを言いだすんですよねー。「ケレン」というのは何かと言うと、ま、塗装の前の下準備とでもいいましょうか。古い塗装をこそぎ落とす作業のことなんですが、これがけっこう時間を浪費する作業でありまして、足場を組んで足早にスキー場へGO!…という僕の計画はどうなるぅ?…と、泣いて詰め寄りたい気分でありましたが、結局のところ作業が終わったのは夕方の5時前でありました。塗装業者には一言、「けれん味のない仕事を頼む。」ということを申し述べたい所存でございます。いや、一生懸命よくやってましたけどね。僕はただそれを、ぼーっと見ていただけですしー。

 ちなみに除塵機というのは『哀しみのテラピア』というところでも紹介したと思いますが、よくサカナが掻き上げられたりします。小エビの掻き揚げというのはとっても美味しいものでありますが、除塵機で掻き上げられたサカナというのはよくありません。たいてい腐って異臭を放ったりしているわけでありますが、除塵機で掻き上げられたサカナを目の当たりにしたオジサンというのは、たいてい同じことを言います。「晩御飯のオカズが出来たなぁ。」と言います。必ず言います。10人中、10人までが同じようなことを言います。今日の現場で7匹ほど掻き上げられていたのはいずれも体長10〜15センチほどのフナでありましたが、それを見た塗装屋のおじさんは、「これ、晩飯に焼いて食うとええぞ。」と言っておりました。ま、このギャグは除塵機業界における一種の職業病のようなものなので、アワレと思って聞き逃してもらうより他に手だてがないわけでありますが、ちなみに今日の僕の晩飯は「ソースかつ丼」でありました。中央道の駒ヶ根サービスエリアのレストランで食べました。1000円でした。そんなものを食べて、プリン体のほうは大丈夫なのか?という気がしないでもないんですが、先日『一番楼』へ行ったら壁に「プリンの天麩羅」というメニューが貼り出されていて、どうしようか?と悩んだあげく、結局のところ頼むのはヤメにしておきましたので、これでイーブンということになるんじゃないですかね?それに「ソースかつ丼」はこの地方の名物なので、とりあえず押さえておいたほうが今後の仕事の上でも何かしら有利に働くのではないか?という気がしないでもありません。で、食べました。1000円もしたわりには豚肉の質も今ひとつで、カツの揚げ具合も「ちょっとカラっと揚げ過ぎなんぢゃないか?」という気がしないでもなかったんですが、いや、僕はオトナだからそのことで店のオネーサンに因縁をつけるようなことはせず、「どうもぉ。ごちそうさまでしたー。」と挨拶して店を出たわけでありますが、すると店のお姉さんはにっこり笑って、「ありがとうございましたぁ。お気をつけてぇ。」と言ってくれましたので、いや、ルックス的には「それほどでもないかな?」という程度のオネーサンだったんですが、人間的にはなかなかよくデケたギャルではありませんかぁ。「ソースかつ丼」の出来自体はオネーサンのスマイルに免じて許すことにしましょう。

 で、中央道を伊北インターで降りて国道153号線を走ると、路面が一部白くなっておりましたので、ちょっとビビりました。路肩にはかなり雪が残っておりまして、明日のスキーは大丈夫ですかね?会社のクルマはスタッドレスに変えたんですが、今回は自分のクルマ(ノーマルばりばり)で来ましたからね。ちなみに会社のクルマのタイヤはスタンドで勝手に変えて、後で稟議書を回しておいたんですが、いや、自衛隊の派遣とタイヤの交換は「事後承認」と相場が決まっているわけでありまして。で、明日は5時半に起きて白馬方面、もしくは蓼科方面に行こうとかと思っております。ちなみにこのホテルの“すけべビデオ”は、ボタンを押すと直ちにフロントのオネーサンに「709号室のイナバ様、すけべビデオ鑑賞開始っ!」ということが知れ渡るシステムになっておりまして、明日の朝、チェックアウトするときに「イナバ様、ビデオ料金1200円ですねっ♪」などと笑顔で言われても困るので、沢村美沙主演『Tバック看護婦〜肉欲くりくりクリニック』は諦めて、おとなしく寝ることにします。ぢゃ。

 さ、今日 (12月24日) はクリスマス・イブですな。昨日、スキーから帰ってくると通販で買った新しいカーナビが届いておりまして、嬉しくて今日は一日、その取り付けと取り扱いの習熟に従事しておりました。ま、その顛末は次回のネタに温存するとして、ウエス・モンゴメリーですな。僕はこの“MONTGOMERY”という名前を目にするたびに疑問に思うことがありまして、それは何かというと「“T”はどこへいった?」ということなんですけどね。普通に読めばどう考えても「モントゴメリー」なのに「モンゴメリー」。本当に“T”はどうしちゃったんでしょうね?Tバック看護婦といっしょにイッちゃったんでしょうか?で、そのモン(“ト”は発音しない)ゴメリーのアルバムとして、今日は『フル・ハウス』というのを紹介してみたいと思うんですが、いや、このコーナーの趣旨は「 それほど有名ぢゃないけど、悪くないアルバムを紹介する。」ということだったんですが、次第に持ち駒が少なくなってまいりまして。。。んなことで、今日のところは定番でお茶を濁しておこうというコトの次第なんですが、ウエスの人気盤と言えばこの『フル・ハウス』『インクレディブル・ジャズ・ギター』『ハーフノートのウエス・モンゴメリーとウイントン・ケリー』の3枚ということになろうと思います。その中でも僕のベストはこの『フル・ハウス』でありまして、なんといってもライブ特有のノリのよさに加え、ジョニー・グリフィンの“ぐりぐりグリニック的”なプレイが堪能できる1枚として、ポイント高いですよね。んなことでまあ、1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 1曲目はウエスのオリジナルの「フル・ハウス」でございます。この曲のタイトルは、ライブの会場になったバークレイの『ツボ』というライブ・ハウスが満員の盛況だったということと、フロントの2人(グリちゃん&モンちゃん)とリズム・セクション3人の組み合わせをポーカーのフルハウスに見立てたものであるということの、2つの意味を兼ね備えたものである。…という話をどこかで聞いたことがあるような気がするんですが、あ、佐藤秀樹クンの日本語ライナーによると、『ツボ』というのはライブ・ハウスではなくてコーヒー・ハウスであるとのことですが、バークレイのコーヒー・ハウスではちゃんとおつまみに柿の種とかを出してくれるんですかね?柿の種と言えば先日、信州限定ハローキティの柿の種(わさび風味)というのを買ってきたんですが、キティのオリジナルストラップがおまけに付いておりました。これ キティちゃん柿の種ストラップ です。なかなかラブリーなデザインですなぁ。。。ちなみに下のほうがホンモノなんですが、涙がでるほどワサビがよく利いておりまして、見た目のプリティさに惹かれて買っちゃった女の子は 思わず泣いちゃうこと間違いなし。…といった感じの、実にオトナのフレイバーな食い物でございました。で、演奏のほうはというと、テナーとギターのユニゾンによるイントロで始まり、そしてやはりテナーとギターのユニゾンによるテーマへと突入するわけでありますが、実にファンキーなムードのキャッチーなメロディが印象的なナンバーでありますな。ギターとテナーの組み合わせというとソウルなものを想像するかも知れませんが、まったくもって正当的なハードバップでございます。んでもって、リズムはワルツ風なんですよね。モンちゃんたらロクに譜面も読めないくせに、妙に凝った作品を書いたものですね。世の中、譜面ぢゃないよ。やっぱり海綿体だよ。…ということを感じさせ、とっても立派なことだと思います。で、最初にソロを取るのはウエス君なんですが、これがまた実に素晴らしい出来でありまして、時折、得意のオクターブ奏法を交え、実に気持ちよさそうにプレイに励んでおられます。特に最後のキメのフレーズは完璧ですよね。で、続いてグリちゃんがソロを取るわけですが、その熱演ぶりはさすがでありますな。期待に違わぬデキであると申しておきましょう。そして3番手のケリーは抑え気味にスタートして、で、最後までわりと抑え気味でありましたが、ま、渋くまとめたというところでしょうか。で、魅力的なテーマに戻って、イントロのメロディをここに持ってきて、最後はケリーが残って、ジミー・コブがまとめて、おしまい。構成的にも実によく出来たナンバーでございました。

 はい、2曲目です。「アイブ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス」は、ご存じ『マイ・フェア・レディ』からのナンバーです。「彼女の顔に慣れてきた」という邦題もありますが、「ブサイクは3日で慣れる」というヤツですかね?ま、確かに“すけべ画像”でモデルが不細工だったりすると、最初のうちは思わず「ブサイク顔にはモザイクを!」とか思ってしまうんですが、3日も見ていると何となく慣れてきちゃいますもんね。ま、慣れる前に飽きるような気もしますが、それはともかく、演奏のほうは1曲目から一転して、実にしみじみとしたバラードでございます。ギターの無伴奏ソロで始まり、やがてベースとドラムスが入ってテーマ演奏になりますが、抑えに抑えたジミー・コブのブラッシュ・ワークが実にセンシティブですなぁ。そしてウエスのプレイは「いかにも人がよさそう。」といった感じのルックスそのままに、実に優しさ溢れたものとなっております。この曲で下品なグリフィンをハズしたのはしみじみ正解でしたなぁ。ちなみにここではケリーもお休みしております。で、3曲目の「ブルーン・ブギ」は再び元気ハツラツな演奏となっておりまして、この手のオロナミンCな曲にはやっぱりグリフィンがよく似合いますね。なんせニックネームが“小さな巨人”ですからね。もう、オロナミンCを飲むために生まれてきたようなものでありますが、僕もグリちゃんに負けないよう、“小さな巨根”と呼ばれるような立派なオトナになりたいと思わずにはいられません。で、えーと、演奏のほうはというと、ウエス、ケリー、グリフィンの順に快調なソロが続いております。

 はい、4曲目です。「カリバ」は1曲目と同じくウエスのオリジナルなんですが、「フル・ハウス」に負けず劣らず、ノリのいいナンバーでございまし。いや、ございます。右手の人差し指にバンドエイドを巻いているのでちょっぴりキーボードが打ちにくいんですが、バンドエイドと坂東英二はちょっとだけ似てますよね。一番田尾が塁に出て〜♪…って、古いですね。名古屋人以外、誰も知らないと思いますしー。で、「カリバ」のほうはと言うと、これはもうラテン調です。だいたい「カリバ」とか「カリブ」とか「カスバ」とか「差し歯」というのはラテンであると相場が決まっておりまして、題名通り、ラテン調の明るい気分に溢れたナンバー。ウエスとリズム・セクションによる華やかなテーマから、ベースの打ち出すリズム・パターンを中心にケリーの颯爽としたピアノ・ソロが出る。続くグリフィン、ウエスのソロも共に魅力的で、ここでもウエスの卓越したギター・ワークの妙技が披露されている。…と秀樹クンが書いている通りの演奏でございます。で、ここでの聴き物はケリーですな。テーマに続いてスーっと出てくる最初のフレーズが抜群だし、そこからチェンバースのピチカート・ソロに変化していくところもイイし、再びケリーがスーっと入ってきてスインギーなソロを展開するという流れもよく考えられているし、CDが音飛びしてさっきから同じフレーズばかりが出てくるし、バンバン。あ、叩いたら直りました。「叩けば直る」というのはテレビや洗濯機から、戸塚ヨットスクールに至るまで応用出来る基本テクでありまして、とか言ってるうちにグリちゃんのソロが始まりましたが、ノリノリの絶好調ですね。で、3番手のウエスがこれまた絶好調でありまして、いや、最初のあたりはそれほどでもないんですが、2コーラス目あたりから次第にギアチェンジして、そのうち“手が付けられないほど魅力的なフレーズを連発する状態”に至ります。とっても素晴らしいことです。

 はい、あと2曲ですね。「カム・レイン・オア・カム・シャイン」はハロルド・アーレンが46年のミュージカル『セント・ルイス・ウーマン』のために書いた曲だそうです。はあ、そうですかぁ。「降っても晴れても」という邦題、もしくは「降り晴れ」という略称で知られ、数多くのジャズマンによって取り上げられている超有名なスタンダードでありますが、曲自体はそれほどでもないかな?…という気がしないでもありません。イントロなしの“いきなりテーマ”で始まり、終わると同時にグリフィンが登場して、そのままアドリブに突入…という構成になっております。テンポはかなり速めです。グリちゃんのソロは悪くはありませんが、それほどよくもありません。この曲調にグリフィンのテナーはちょっぴりミスマッチぃ?という感じがありますね。その点、ウエスのほうは無難に弾きこなしております。シングル・トーンからコード奏法、さらにオクターブ奏法へと盛り上げていくあたりは「流石と書いて、さすが。」という感じです。で、続くケリーはヴァーヴの『枯葉』でも確かこの曲を演っていたんじゃないかと記憶しておりますが、こちらも「詐簾蛾と書いて、さすが。」という感じですね。いや、もっと族っぽい漢字を選びたかったんですが、なかなか適当なのがありませんでして。。。で、ラストはウエスのオリジナルで、『S.O.S.』という曲ですね。えっす・おー・えす、えっす・おー・えっす、ほらほら呼んでいるわ〜、今日もまた誰か、オトメのピンチぃ〜♪…という歌でないということは重々承知しておりながら、思わず歌わずにはいられないのが30代の悲しい性(さが)でありますが、曲としては「まあまあかな?」といったところですかね。いや、決して悪くはないんですが、「フル・ハウス」「カリバ」に比べると若干ファンキーさに欠けるというか、その分、正当にハード・バピッシュな曲ではありますけどね。かなり速いテンポで演奏されておりまして、ソロ・オーダーはグリフィン、ウエス、ケリーの順ですね。ソロの途中に合奏フレーズが挿入されるのが特徴的でありまして、あ、ケリーのソロはいかにもケリーらしくって、いいですねぇ。もう、「いとしのケリー」って感じぃ?で、最後にテナー・ドラムス・ギター・ドラムスの4バースがあって、ソロの途中に挿入された合奏パートが出てきて、テーマに戻って、おしまい。

 つーことでまあ、定番だけあって、とっても骨盤。そういう1枚でありました。



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