MISTY (PRESTIGE)

 RICHARD “GROOVE” HOLMES (1965/8/3 , 1966/7/7 , 8/12)

MISTY


【パーソネル】

RICHARD “GROOVE” HOLMES (org) GENE EDWARDS (ds)
GEORGE RANDALL (ds) <except #5> JIMMIE SMITH (ds) <#5>

【収録曲】

THE MORE I SEE YOU / THE SHADOW OF YOUR SMILE
WHAT NOW MY LOVE / SUMMERTIME / MISTY
ON THE STREET WHERE YOU LIVE / STRANGERS IN THE NIGHT
THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU

【解説】

 えーと、エバラ主催ソフトボール大会参戦レポートの番外編です。ハァ〜、会津番外編は、宝の山よぉ〜♪…ということで、いや、この「ソフトボールねた」も3回連続で申し訳ない限りでありますが、このところアクセスも激減しておりまして、もうどうでもよくなってまいりました。マンネリ傾向が飽きられちゃったのが敗因だと思いますが、もう、こうなったら“高木ブーの雷サマ路線”で、自虐に走るしかありませんかね?ということで今日は野球の審判について考えてみたいと思うんですが、審判というのは実に大変な職業だと思います。公正且つ適切な判断力と、周囲の雑音に惑わされることのない強い意志が求められるわけでありまして、僕のように優柔不断で判断力が鈍く、ちょっと豆腐料理の重複注文で店のオネーサンから咎められたくらいでイジケているような人間にはとてもつとまらないわけでありますが、そんな僕がソフトボールの審判をやらされるハメになってしまったんですよねぇ。。。というのが今日のお話なんですが、では順を追って説明してみましょう。

 えーと、エバラのソフトボール大会です。9時に始まって各チームが2試合を消化した段階で昼食ということになったんですが、実行委員の不手際か、あるいは弁当屋にヤル気がなかったのか、時間になっても弁当が届きませんでした。もっとも時間はまだ11時を少し過ぎたところでありまして、弁当屋としても「まだ30分はあるぢゃん。」とか余裕をぶっこいていたところに「まだか?」という催促の電話がかかってきて、さぞや慌てたことと思いますが、催促TELから30分ほどたってようやく届けられたお弁当は、海老フライに魚フライにコロッケに味噌カツに野菜炒め(豚肉入り) etc…と、実にまあ盛りだくさんなメニューだったので、ま、よしとしておきましょう。これでもし、冷たい山菜釜飯だったりしたら暴動に発展しかねないところでしたが、いや、某・海星高校1年生の時に開催された「精神鍛錬強化合宿 in 志賀高原」で初日に出された弁当というのが冷たい山菜釜飯でありまして、今ひとつだったなぁ。。。ということを15年ほどたった今、唐突に思い出したんですけどね。なんだかネバネバしておりましたし、もしかしたら腐りかけていたのかも知れませんが、いや、ネバネバ成分を含んだ山菜が入っていたからだとは思うんですけどね。それが証拠に特に下痢になったわけでもありませんし、いや、高校生くらいの年代というのは、多少腐ったものを食べたくらいでは、なかなか下痢をしないものなんですけどね。

 で、エバラのソフトボール大会です。スケジュールによれば、昼食後には3位決定戦と決勝戦が行われることになっているんですが、初戦で敗退した僕たちにはまったくもって何の関係もなくて、誰もが「メシを食ったら帰ろう。」という強い意志を持ち合わせておりました。それがどれほど強い意志であったのかというと、中年紳士の短縄クン(仮名)など、駐車場がクルマで一杯で、そこに居合わせた10人中の9人までが「無理だから諦めろ。」と進言するような状態であったにも関わらず、酔っぱらったオッサンが無責任に「だいじゃぶ、だいじゃぶ。」と煽り立てるのに力を得て、30分ほど悪戦苦闘してクルマを前に出したり後ろに戻したり、ハンドルを右に切ったり左に切ったりして、「そうまでして帰りたいか?」と周囲の人々が呆れているのも意に介さず、それでもなんとかクルマを出して帰っちゃいましたので、それはもう、鋼のように実に強い意志であったと言わざるを得ません。で、クルマが出せないから。。。と帰るのを諦めていた人々は、それを見て活気づきました。「やれば出来る!」という言葉の実例を目の前で見せられたわけですからね。そしてふと気がつくと、僕の会社で残っているのは仙石部長以下、僕を含めて3名ほどになっておりました。で、悪いことに僕たちのチームは敗者復活戦で図らずも勝利してしまったため、3位決定戦に審判を3人出さなければならなくなっていたんですよね。いや、昼飯を食っている時に仙石部長からその話が出され、僕はその場の雰囲気で何となく、「じゃ、三塁の審判なら。。。」ということになってしまったんですが、いや、一塁の塁審だと「アウトぉ。。。」とか「セーフぅ。。。」とかの判断をしなければならないわけでありますが、三塁側ならただ立っているだけでイイということでしたんで。

 さて、いよいよ3位決定戦です。僕は三塁のベースの近くにぼーっと突っ立っていたわけでありますが、すると主審を勤める仙石部長から「いなばくん、一塁っ!」という声が掛かりました。どうやら僕たち2人以外の全員が逃げ帰ったようでありまして。。。やむを得ず僕は一塁の塁審をやらされるハメになってしまったんですが、いやあ、緊張しましたなぁ。審判がアウト、セーフの判断を求められるような際どいプレイというはそう多くはないんですが、3回表の攻撃の時に初めて、そういう場面が出てしまいました。ボテボテの内野ゴロをセカンドがお手玉して、一塁への送球がちょっと際どいタイミングになりました。いや、誰が見ても「セーフだよね?」というタイミングであったわけでありますが、シャイで無口な僕が「セーフぅ!」とコールするのを躊躇っていると、ファーストを守っていたおじさんが僕のほうを見て、「アウトだよね?」と同意を求めてきたので、思わずつられて「アウトぉ。。。」と言ってしまいました。いや、さっさとアウトになって貰えば、試合が早く終わってラクだしぃ。…という思いもあったんですけどね。で、バッターとしてはこの判定にかなり不服だったようで、ベンチに戻ってからも「今のはセーフやったよなぁ。。。」とブツブツ文句を言っておりましたが、主審を勤める仙石クンが権威を持って力強く「アウトと言うとるから、アウトぉ!」と宣言してくれまして、いや、この時ほど仙石クンのことが頼もしく思えた時はありませんでしたな。

 そして2アウトからまたしてもボテボテの内野ゴロで際どいプレイとなりまして、いや、タイミング的にはやっぱりセーフかなぁ。。。という感じだったんですが、ま、この回は3点も入ったことだし、この辺でチェンジにしておいたほうが守っているほうもダレなくってイイかな?…という適切な判断に基づいて「アウトぉ。。。」と宣言しておいて、で、5回裏のボテボテの内野ゴロの時には、いつもアウトばかりでは「あの審判はアウトしか言わない。」などという悪い噂が出るかも知れないな。。。という気がしたので、「セーフぅ。。。」ということにしておいて、で、最後は結局外野フライということで、めでたくゲームセット。かくして僕の審判人生は大過なく終焉を迎えたのでありました。おしまい。

 さ、リチャード・“グルーヴ”・ホルムズです。略してリチャ・グル・ホル。セカンド・ネーム…というか、通称(?)の“グルーヴ”というのが真ん中に入っているのがタタって4文字に略せないのが辛いところでありますが、この人はジャズ・オルガニストの中でもかなり有名な存在ですよね。どうして有名なのかと言うと、ラズウェル細木の『川を渡る人』という漫画に登場していたからなんですが、ラズウェルが持っているというグルーヴ・マーチャント盤とかは、生憎と僕が持ち合わせておりませんので、今日はプレスティッジ盤の『ミスティ』というのでお茶を濁しておこうと思います。オバハンが目を閉じてうっとりしているジャケットはまったくソソられるものがありませんし、「オンナを書かせれば桑員地区イチ似ない」ことで知られる僕のことですんで、イラストのほうもまったく自信がないわけでありますが、ちなみに桑員地区というのは桑名市と桑名郡、員弁(いなべ)郡を合わせた地域のことでございます。そういえば先日、新聞に「養老・桑名・四日市断層で30年以内にマグニチュード8クラスの大地震が起こる確率は0.6%」という記事が載っておりましたが、多いような少ないような微妙な数字ではありますな。もし、そういう事態が起こった場合に備え、我が家では家具の転倒防止用に通信販売で買った「マグニチュード・7」という名前の突っ張りポールみたいなものを装備しているわけでありますが、マグニチュード8クラスの大地震となると、ちょっと駄目かも知れませんね。でもまあ、“突っ張りポール”というのは、元気で何より♪という感じもありますし、そんなことでまあ、1曲目から聴いてみましょうね。

 1曲目は「ザ・モア・アイ・シー・ユー」。このアルバムはシンプルなオルガン・トリオ編成で、肩の凝らないスタンダードをやってみるぅ?…といったコンセプトに基づいたものでありまして、オルガン・ジャズにしてはそれほどソウルではなく、どちらかと言えばポップな仕上がりなんですが、いや、見た目はかなりゴツいんですが、根は繊細なセンスの持ち主なんですよねぇ、リチャ・グル・ホルって。何でもいいけど、このリチャ・グル・ホルというのはちょっと言いにくいので、今後は「たかし(仮名)」というのにしようかと思うんですが、あ、立花隆クンの新刊は『東大生はバカになったか』ですかぁ。鰈技師もそのような事態を憂慮して、某・○大の研究室から足を洗ったようでありますが、たかしクン(仮名)の弾く「ザ・モア・アイ・シー・ユー」も、ちょっとアホっぽいですなぁ。いや、アホっぽいというのが語弊があるなら、ちょっと五平餅っぽいと言い直しておきますが、もしオルガンの奏法にもブロック・コードという言葉があるとすれば、まさしくそんな感じの弾きっぷりとなっております。じゃかじゃかじゃか♪と元気にテーマを弾いて、アドリブらしいアドリブもないまま、わずか2分20秒でおしまい。ま、あれやこれやと論じるまでもない豚汁。。。といった1曲でございました。あ、豚汁は「とんじる」と読んで下さいね。「論じるまでもないぶたじる。」だと、今ひとつ韻を踏んでなくて、よくありません。

 はい、2曲目です。1曲目は軽い挨拶代わりでありまして、ここからがホンバンと言えるかも知れませんが、僕のフェイバリット・チューンのひとつである、「ザ・シャドウ・オブ・ユア・スマイル」でありますな。日本名は「いそしぎ」ですね。この曲はしみじみとバラードでやっても、軽快にボッサでやっても悪くないんですが、ここでのホルムズはミディアム・テンポの4ビートで演奏しております。シンプルなメロディの歌わせ方が印象的ですね。ただ、ぴゃららら・ぴゃららら〜♪という装飾がちょっとクド過ぎやしないか?という気がしないでもないんですが、ま、オルガンなんだからこれくらいの下世話さは大目に見てあげましょう。で、アドリブのほうも悪い出来ではありません。で、1曲目では「アンタ、いたっけ?」というくらい存在感が希薄だったギターのジーン・エドワーズが、ここでは大いに気を吐いて立派なソロを展開しております。余韻を押さえたような乾いたトーンが印象的でありますが、おつまみはやっぱり“乾きもの”だよね?というタイプなんですかね?ピーナッツとかイカクンとか。いや、イカクンはちょっぴり湿ってますけどね。ちなみに僕はミックス・ナッツに入っているジャイアント・コーンは邪魔だと思うんですが、皆さんはどう思いますかぁ?

 …と、問題を提起しておいて、3曲目です。「ホワット・ナウ・マイ・ラブ」。あ、何だかこれは「駅馬車」っぽい曲ですね。希望を乗せて、馬車はゆく〜、夢見て走れば、苦労など、なんでもな〜い♪…という、たいへん前向きな歌があったような気がしますが、アレとちょっと感じの似たメロディの曲でございます。テーマをオルガンとギターで弾き分けて、んで、グルーヴ・ホルムズの大変グルーヴィーなソロへと突入していくわけでありますが、もう、ノリノリぃ♪…といった感じの楽しい仕上がりになっております。この人は根っから能天気なんだな。。。ということがよくわかりますが、これだけ何にも考えてなければ、人生、それはそれで幸せなのでありましょう。はい、4曲目です。「サマータイム」っす。このアルバムは実に日本人好みのスタンダードが並んでいるんですが、演奏のほうは哀愁もカサブランカもあまり感じられないものでありまして、とってもアメリカンでありますなぁ。こういう人種はきっと、ジャイアント・コーンを喜んで食べたりするんでしょうな。で、ここではジーン・エドワーズの下品なギターが大活躍しておりまして、こういう人はあまりイカクンなんかを喜んで食べたりはしないんでしょうな。…ということを感じさせる1曲でありました。

 はい、5曲目です。「ミスティ」っす。日本人なら、しっとりバラードやろ?…と思うんですが、ここでもホルムズはミディアム・テンポでスインギーに料理しております。これはこれで悪くはないんですけどね。全体的にポップな仕上がりでありますが、苦手な鉄棒は蹴上がり…って、アレ、本当に苦手なんですよねぇ、僕。「前回り」ならなんとか出来るんですが…とか書いてるうちに終わってしまいました。タイトル曲の分際で1分54秒って、ずいぶんとあっさりとした扱いでありますな。で、続く「オン・ザ・ストリート・ホエア・ユー・リブ」は、言わずと知れた超有名ミュージカル、『マイ・フェア・レディ』からのナンバーでございます。和名は「君住む街で」。明るくスインギーなナンバーなので、グルーヴ・ホルムズのスタイルにはぴったりですね。コード多様の“ぴゃららら奏法”で派手に料理しておりますが、アドリブ・パートでは意外にジミー・スミスを思わせるところもあって、ジャズ的にもかなり充実した1曲であると言えるでしょう。ということで7曲目です。あと2曲です。お互いに頑張りましょう。「ストレンジャーズ・イン・ザ・ナイト」は、あまり聴いたことのない曲ですな。「夜の旅人」ですかね?風に震える〜、緑の草原〜♪…って、それは加山雄三の「旅人よ」ですね。とっても歌いやすい曲なんですが、とっても地味で、カラオケで歌うと盛り上がらないことこの上なし。ま、もっとも「加山雄三で盛り上がろう!」という発想自体が間違っているような気がしますけどね。で、一方の「夜の旅人」のほうは、なかなかキャッチーなメロディのポップなナンバーでありまして、畳みかけるようなホルムズのタタミイワシ的なフレーズが絶品です。筒井康隆の『怪奇・タタミ男』も絶品でしたけどね。畳のタタリで顔がタタミになってしまった男、その名は多々見久志(たたみ・ひさし)…って、あ、野毛の村田家で食べたタタミイワシ、おいしかったっす。

 はい、ラスト。「ゼア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー」。個人的にこの曲はあまり好きではないんですが、この演奏はよいですな。軽いボッサ風のリズムに乗せて演奏されるんですが、渦巻くようなグルーヴを感じさせるホルムズのソロが絶品です。特に後半では一風変わったフレージングとタイム感覚が絶妙でありまして、なんとなくフォルクローレのアコーディオンを思わせる雰囲気もあって、何かこう、「すげぇ!」という感じですね。で、何だか得体の知れぬトーンのソロもあって、これはギターに何か特殊な仕掛けでも施したんでしょうかね?ま、いずれにせよアルバムの最後を飾るに相応しい熱演ぶりでありまして、もう、熱延鋼管もびっくり!…といったところでございます。で、終わりよければ、すべてよし。アルバム全体も悪くない出来だったのぉ♪という余韻を残して、オバサンも目を閉じて、思わずうっとり。。。という1枚でありました。



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