STOP AND LISTEN (BLUE NOTE)

 BABY FACE WILLETTE (1961/5/22)

STOP AND LISTEN


【パーソネル】

BABY FACE WILLETTE (org) GRANT GREEN (g) BEN DIXON (ds)
【収録曲】

WILLOW WEEP FOR ME / CHANCES ARE FEW / JUMPIN' JUPITER
STOP AND LISTEN / AT LAST / SOUL WALK / WORK SONG

【解説】

 もう覚悟を決めました。昨夜の天気予報を見て、あまり多くの期待はしていなかったんですが、「でも、ひょっとして、ひょっとするカモ?」というガッツ一抹の期待を胸に、朝、窓から外の様子を伺ってみると、うーん。。。どんよりと曇ってはおりますが雨は降っておらず、んで、予想によれば「天気はこれから回復する一方であろう。」ということだったので、ここに「エバラのソフトボール大会・雨天により中止」の期待は、もろくも消え去ったと言わざるを得ません。こうなればもう、腹をくくって首をくくるか、覚悟を決めてソフトボール大会に参加するか、選択の道はふたつにひとつしかありません。しかしまあ、よく考えてみると、たとえ三振の山を築こうと、大事なところで致命的なエラーをして大恥をかこうと、ま、「万死に値する。」というほどのことでもないナ。。。という気がしたので、あきらめてソフトボール大会に出ることにしたんですが、今ひとつ気がすすまないのは確かであります。そして僕は先週買ったばかりの新品の黒いジャージに身を包み、極めて重い足取りで家を出たのでありました。

 大会の会場は名古屋港のハズレのあたりであります。伊勢湾岸道の飛島インターから南に1キロほど下ったところなんですが、ちなみにこの伊勢湾岸道というのは将来的には 第2名神になるわけなんですが、コイズミ政権になって第2東名・名神高速道路の構想も、なんだか雲行きが怪しくなってまいりましたな。でもまあ、すでに木曽川には長さ1100メートルくらいの橋、揖斐・長良川には長さ1400メートルくらいの橋を架けてしまったので、少なくとも湾岸桑名インターまでは開通させてくれるんじゃないかと期待しているんですが、で、会場まではウチから車で約20分といったところでしょうか。その近さがタタって「準備委員」という、まったくもって気が進まない雑用係に任命されちゃったわけでありますが、実行委員のひとり、仙石部長はよほど心配だったんでしょう。「準備委員として8時30分に会場に来ていただけませんか?」というファックスを2日立て続けに送っただけではまだ不安が払拭できず、前日には事務所に「いなばクンに、明日はよろしく!とお伝えくださーい。」という電話までかかってきたそうでありますが、いや、ファックスの件はまったく無視しておりましたからね。普通、2回も無視されれば「こりゃ、脈はないナ。。。」と察して諦めるものだと思うんですが、さすがは仙石部長、だてに昔、“千石イエス”をやっていたわけではありませんなぁ。いや、たぶん違う人だとは思うんですけどね。字が違いますしー。

 で、当日、ヤル気はなくても根はマジメな僕は、8時20分には会場に到着したわけでありますが、準備員のお仕事というのは、すなわち会場の設営でございます。会場の設営というのはすなわち、ラインを引いたり、ネットを張ったり、ベースを置いたりするお仕事であるわけですが、そのような業務はエバラの関係者らしいおじさんやお兄さんが主催者としての責任を感じて率先してやっておりましたので、僕は基本的にはそれをぼーっと見ているだけでイイみたいです。これなら何もわざわざ、30分も前にくる必要はなかったんじゃないか?という気がしないでもなかったんですが、ま、おじさん達が頑張って働いてくれているわけなので、文句を言う筋合いはありませんよね。で、このおじさん達はライン引きというものを実に安易に考えていたようでありまして、例えばピッチャーのマウンドに丸い線を引くにあたっても、「あ、えらく楕円形になっちゃったなぁ。ま、いっかぁ。」という程度のノリだったんですが、この自己流のライン引きというのは後に姿を現したグランド管理のおじさんの激しい非難の目に晒されることになりました。おじさんが言うには、例えばバッターボックスひとつにしても、ちゃんと縦・横の長さが決まっておりまして、そして地面には「正しいバッターボックスを書くためのガイドライン」とでも言うべきマーキングが施されているので、ちゃんとそれに従ってラインを引いてもらわないと困るなぁ。。。ということらしいんですよね。準備委員のおじさんとしては、せっかく率先して書いたラインを貶されて、「どうせ遊びなんだから、何もそこまで厳密にやらなくでも。。。」と、心の中で不満を覚えていたに違いありませんが、「明日、このグランドで大会をやることになっているので、あまりヘンなラインを引かれると困る。」と言われれば、おとなしく引き下がるしかありません。そしてグランド管理のおじさんは自ら率先してライン引きの道具を操り、メジャーをコンパス変わりにしてマウンドに見事“まんまる”のラインを完成させた時には、観衆から「おーっ!」という歓声と共に、惜しみない拍手が送られたのでありました。

 で、いよいよ試合でございます。この大会の運営方法というのは、うちの会社では仙石部長以外には誰も詳しくは把握していないんですが、とにかくまあ、2試合やれと。もし、最初の試合に勝った場合には3試合やることになるようなんですが、うちの会社は今まで一度も買ったことがないので、それはまったく考慮にいれなくてもよいと。ま、そういうことらしいんですが、ちなみに1試合は5回までで、コールドは無し。ただし、試合時間が50分を越えた場合には次の回には進まないと。で、振り逃げ・盗塁は無いけど、タッチアップはOK。で、ストライクが3つで三振、ボールが4つでフォアボールと、このあたりは実に国際的なルールに準拠していると言えるでありましょう。例えば僕が以前に参加したことのある川崎重工主催のソフトボール大会の場合には、ファーストとセカンドの間にもう一人、“ファースト補佐”というような守備位置がありましたし、外野が4人も5人いたりしたんですが、それに比べればずいぶんと真っ当な大会であると言えましょう。で、我が塩サバ物産(仮名)チームは、メインにならなければならないハズの本社からは4人しかメンバーが集まらず、この春に結婚したばかりの角谷クンちの新妻ギャルも駆り出され、我が岐阜営業所からは先鋭4人が馳せ参じ、これでは人数がぎりぎりなので津の営業所からもヤングな若手が応援に駆けつけ、で、この“津・カルテット”の4人がいちばんマトモそうなメンバーでありました。岐阜の人間など、おじさん約1名はハナからまるっきりヤル気のない服装で来ておりましたし、僕を含めた約2名はグローブすら持ってきていない上に、パジャマとしか思えないような黒いジャージ姿でありましたし、そのヤル気のない2人組のウチの1人の竹村クンは昨日、「ソフトって、何人でやるんすか?」とか質問しておりましたし、どうやらマンポンの点検でウンコの取り扱いには熟知しているものの、ボール関係のほうはさっぱりのようでありまして。

 かくして第一試合ではベンチ入り13人のうち、僕と竹村クンを含む4人は先発メンバーからハズされて、ほっと胸をなで下ろしたのでありました。つづく。

 ということで本日はベビー・フェイス・ウィレットでございます。通称、童顔ウィレちゃん。彼のリーダー作は決して数が多くはないんですが、というか、極めて僅少なんですが、中でも最もベビー・フェイスなのがこの『ストップ・アンド・リスン』のジャケではないでしょうか。いや、ちょっと書くのを失敗して、童顔というより、“らりらり風”になっちゃいましたけどね。(目が失敗。。。)で、この人は60年代に多発したBN系のオルガニストの中では先発組でありまして、ブルーノートでリーダー作を出したオルガン奏者としては、ジミー・スミスに次いで2人目ということになるハズです。立派なものじゃありませんかぁ。最もBNにはリーダー作としてはデビュー作の『フェイス・トゥ・フェイス』と本作の2枚を残しただけでありまして、その後、アーゴに2枚ほどアルバムを残して、そのまま消えちゃいましたけどね。かなり“まぼろし系”のオルガニストであると言ってもイイかもしれませんが、んで、この『ストップ・アンド・リスン』というアルバムは地味ですな。前作にはフレッド・ジャクソンのテナーが入っていて、なかなかイイ味を出しておりましたが、今回はオルガン、ギター、ドラムスというトリオ編成になっておりまして、その分、全体の印象が地味に仕上がっております。ま、ギターがグラント栗委員クンなので、今の季節にはぴったりだとは思うんですけどね。ということで、では1曲目から聴いてまいりましょう。

 1曲目、「柳よ泣いておくれ」。僕がこのアルバムにあまり好印象を持っていないのは冒頭にコレが入っているからなんですが、実のところ、この曲はあまり好きではありませんで。だいたい、どうして「柳よ泣いておくれ」なんですかね?名古屋ではよく「ういろう」が泣いておりますが、アメリカでは「Willow(柳)」が泣くんですかね?柳の枝に涙を託すというような発想は、ずいぶんと演歌的なような気がするんですが、ちなみに作曲したのはアン・ロネルとかいうギャル系なんだそうです。ギャル系の作った歌ゆえに贔屓にしたいところではありますが、しかしなんですな。“贔屓”という字には“貝”という字が4つも入っているんですな。僕はもちろん、ギャルと同じく貝類も贔屓にしたいと思っているわけでありますが、どうもこの曲はいけません。どこがどのようによくないのか、具体的に述べなさいと言われると困るんですが、「どこがどうというわけではないんだけど、どうも今ひとつソソられるものがない。」というのが実状であります。で、ベビー・フェイスの歌わせ方は、“めちゃソウル”というよりはむしろジミー・スミス的ですかね?なんとなくそういった感じがするんですが、テーマを離れた童顔ウィレちゃんのソロ自体は決して悪くないですな。「ジャズに名曲はない。ただ、名演奏あるのみ。」という建前がわからんでもない気がしないでもありません。開始から約3分45秒の時点から始まるグリーンのソロも無論、悪くありません。ちなみにこのトリオはグリーンの初リーダー作『グランツ・ファースト・スタンド』とまったくおなじメンツですよね。挽肉はメンチですけどね。食肉業界ではその形状から「ミミズ」と呼ぶこともあるそうですが…と書いてるうちに再びベビー・フェイスのソロになりました。最初のソロに比べ、より寛いだプレイになっておりまして、あ、ちなみに「寛いだ」は「ヒロシいだ」じゃなくて、「くつろいだ」と読んでくださいね。どういうわけだか「くつろいだ」では変換出来なくて、「ひろし」で変換しておいてから「いだ」を付け加えたわけなんですが、最後のテーマの再現部も提示部よりも寛いだ仕上がりになっておりまして、いや、今まで毛嫌いしていたんですが、それほど悪い演奏ではないのかも知れません。

 はい、2曲目です。ここからウィレットのオリジナルが3曲続くんですが、まずは「チャンシーズ・アー・フュー」です。「チャンスはわずか」というような意味でありましょうか。先頃のソフトボール大会におきましても、我が塩サバ物産(仮名)チームのチャンスはごくわずかでありましたが、その分、ピンチは山ほどありましたけどね。で、ミンチは挽肉でありますが、食肉業界ではその形状から…って、その話はもうイイですね。で、これはもう、ディープなばかりのスロー・ブルースでありまして、オルガンのソウル、ここに極まり。。。といった感じのナンバーでございます。原文ライナーでジョー・ゴールドバーグが、「教会音楽の影響を色濃く感じさせるじょー。」というようなことを書いておりますが、まさにゴスペル・ライクな“おすぺ”。そういった世界でございます。深いですなぁ。。。で、3曲目。「ジャンピン・ジュピター」。「跳躍する木星」ですかぁ。何だかよくはわかりませんが、確かに「跳躍する木星だなぁ。。。」という感じがしないでもない、ジャンピーで調子のよいリフ・ナンバーでございます。『フェイス・トゥ・フェイス』にも似たよーな曲がありませんでしたっけ?いまにもフレッド・ジャクソンの釈尊的テナーが聞こえてきそうでありますが、いや、ちっとも釈尊的ではないんですけどね、フレッド・ジャクソンのテナー。で、オルガンに続いて登場するのはハードなR&B風テナーではなく、グラント・グリーンの“ほのぼのシングルトーン”なのでちょっぴり拍子抜けしちゃうんですが、ま、彼は彼なりに激しく頑張っているんですけどね。で、ここでは便でクソ、ん〜♪のドラミングだって、活躍しちゃっております。

 4曲目のタイトル曲、「ストップ・アンド・リスン」は、なかなかチャームなメロディを持った印象的なナンバーですな。ストップ・タイムもなかなか効果的であります。…って、あ。だから「ストップ・アンド・リスン」なんすかね?ということで、はい次です。いや、悪くはない演奏なんですが、書くこともない。そういった感じなんですよね。5曲目の「アット・ラスト」は何か有名な曲ではなかったかと思うんですが、ここでは“もろブルース”へと変貌を遂げております。ベビー・フェイスの手に掛かれば、何だってブルースになっちゃうんだね♪ということで、はい6曲目です。「ソウル・ウォーク」はベビー・フェイスのオリジナルなんですが、まんま「ブルース・マーチ」のパクリです。「ブルース・マーチ」、略して「ブルマー」。いいですなぁ。それに比べて「ソウル・ウォーク」のほうは略しても「ソウウォー」にしかならなくて、今ひとつよろしくありませんな。いや、ジャズ・ナンバーを「略してブルマーになるかどうか?」という観点で語るのはどうか?という気がしないでもないんですが、演奏のほうも今ひとつ覇気がなくて、ま、その分、リラックスしたムードは漂っているんですが、ということで最後の曲です。「ワーク・ソング」です。これはまんま、ナット・アダレイの 「ワーク・ソング」のパクリです。…って、いや、ちゃんと作曲者にナットの名前がクレジットされておりますので、別に問題はないんですけどね。オルガン・トリオで聴く「ワーク・ソング」というのは、やっぱりちょっと地味ですなぁ。。。んなことでまあ、全体的にインパクトは薄いものの、コンパクトにまとまっている1枚でありました。



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