NICE AND EASY (JAZZLAND)

JOHNNY LYTLE (1962/1/29)

NICE AND EASY


【パーソネル】

JOHNNY GRIFFIN (ts) JOHNNY LYTLE (vib) BOBBY TIMMONS (vib)
SAM JONES (b) LOUIS HAYES (ds)

【収録曲】

BUT NOT FOR ME / SOUL TIME / THAT'S ALL / 322-WOW!
CORONER'S BLUES / NICE AND EASY / OLD FOLKS

【解説】

 先ほど、便所に入ったら青臭い香りが漂っておりました。あ、便所の芳香剤を新しくしたんですな。小林製薬の「消臭ピュア」(ハーブの香り)というやつでありました。なるほど、ハーブの香りだから青臭かったわけですな。で、「消臭ピュア」とは、小林製薬にしてはよく考えたネーミングだと思います。ほとんど“そのまんま”ですからねぇ、小林製薬の商品名って。そこでまあ、今日は『素晴らしきコバヤシ世界』というタイトルでお届けしようと思うんですが、小林製薬の代表作と言えば、やっぱり「サワデー」でありましょう。トイレにサワデー、爽やかサワデー♪という爽やかなコマーシャル・ソングもありますが、ちなみにサワデーというのはタイ語で「こんにちは」を意味する「サワッディー」という単語に由来するんだそうです。なぜ、トイレの芳香剤が「こんにちは」?という気がしないでもないんですが、ま、トイレというのは「こんにちは」という挨拶と同じくらい日常的な空間であるわけだし、爽やかサワデー♪の歌でもわかるように“爽やかな日々”、英語で言うところの“爽やかDay”とも韻を踏んでいるわけでありまして、実に絶妙なネーミングであると言うことが出来ましょう。

 で、「サワデー」というロングラン商品があるにも関わらず、小林製薬は“便所を臭くない空間にする”という至上命題に対しては飽くなきチャレンジャーでありまして、「爽やかサワデー」の他にもいろいろな商品を研究開発して、市場に出してまいります。早い話が僕が先ほどトイレでお世話になった「消臭ピュア」もそのひとつでありまして、これはどういうものかというと、最近になってよく見かけるようになった「ゼリーっぽい感じの消臭剤」というタイプでございます。見た目、ちょっとオイシそう?…という感じなんですが、実際に食べてみると恐らくそれほどはオイシくない、というか、恐らく“げろマズ”であるに違いないような気がするのでまだ食べてみたことはないんですが、コドモだったら絶対に食べちゃいますね。食べて、「まずーぅ。。。」とか言いますね、きっと。ウチにあるのは“ハーブの香り”というタイプなので、恐らくは「おそろしくマズいハーブティー」のような味がするんじゃないかと思われますが、ちなみに「サワデー」のほうはゼリーじゃなくて、ババロアみたいな姿をしてますよね。関西地方ではウンコのことを「ばば」というので、ババロアというデザートは今ひとつネーミング的に印象がよくないんですが、そこら辺りの事情を勘案して、ゼリータイプの「消臭ピュア」の販売にも乗り出したのでありましょう。さすがは小林製薬だけのことはあって、やる事に抜かりはないわけであります。

 ただ、ババロア風にせよゼリー状にせよ、この手の“据え置き型”のトイレ消臭芳香剤にはひとつ欠点がございまして、それは「事後に弱い」ということなんですけどね。なるほど、確かにトイレのドアを開けて中に入った瞬間は芳香が漂っていて、「ああん、いい薫りぃ♪」という感じなんですが、いざコトを済ませた後の段階になってみると、ウンコの薫りと芳香剤の薫りが何とも表現のしようもないハーモニーを醸しだしていて、「これだったら純粋にウンコ臭いほうが、まだイイかも。。。」と思ってしまうような状況に陥ってしまうのが常でありまして。これはもう少し研究を要するところでありますな。ちなみに香水というのは体臭と混じることによって初めて「いい薫り」になるように工夫されているそうでありまして、だから体臭の薄い日本人のギャルが付けると、ただ香水臭いだけになってしまってあまりよくないわけでありますが、トイレの芳香剤も香水と同様、ウンコ臭さと混じり合った時に初めて絶妙の薫りを醸し出すように、もう一息の工夫が待たれるところでございます。で、コトを終えた直後の消臭に有効なのはスプレータイプのものでありまして、そのことに“やる事に抜かりのない@小林製薬”が目を付けないハズがなく、ちゃんとそういった用途の消臭剤だって作っております。「トイレその後に」というのがその商品名なんですが、まさに“そのまんま@小林製薬”の面目躍如と言うべき、素晴らしいネーミングだと思います。

 で、便所関係以外の商品にも目を向けて見ると、こちらにもなかなかイイのが揃っておりますなぁ。今、手元にですね、「小林製薬人気投票ネーミング部門」というようなデータがあるんですが、いや、例の如く、よそ様のサイトの無断引用なんですけどね。総投票数174票のうち、見事18票を獲得して1位に輝いたのは「キズアワワ」という名前の消毒薬でありました。キズアワワ?そんなの、ありましたっけ?説明を見ると、どうやら運動場でコケて膝を擦り剥いたりした時、しゅーぱっ!とスプレーして消毒する「マキロン」のようなものらしいんですけどね。成分はほぼ100%が過酸化水素水ではないかと思われますが、過酸化水素水というのはその名前の通り、酸素が過剰になっておりまして、隙あらば分解して酸素になっちゃおう!と思っているようなヤカラなんですよね。で、その分解して出来た原子状の酸素が殺菌作用を持つというわけなんですが、だから傷口にしゅーぱっ!とスプレーすると、泡みたいなものが出るわけです。その辺りの情景を見て小林製薬の人は「キズアワワ」と名付けたわけでありまして、これはもう、詩人のなせる技としか言いようがありません。見事、人気投票で1位に輝いたのも当然と言えるでありましょう。ちなみに2位には「ツージーQ」、3位には「アッチQQ」という商品が選ばれているんですが、これは名前を見ただけでは何の商品なんだか、とんと見当がつきませんね。で、調べてみました。その結果、「ツージーQ」は便秘の薬であることが判明しました。なるほど、お通じがよくなるから「ツージー」なんですな。何が「Q」なのかは、よくわかりませんけどね。ま、発想としては他社製品ながら「スルーラック」に通ずるものがあると言えましょう。じゃ、「アッチQQ」というのはアッチのほうに関係する薬なのか?と思ったら、これは火傷の薬でありました。なるほど、火傷をして、あっちー!というわけですな。何が「QQ」なのかは、よくわかりませんけどね。で、4位に「トイレその後に」が来て、 5位には「なめらかかと」というのがランクインしています。これは、踵(かかと)の部分をなめらかにする商品であります。

 以下、「髪のけあつめてポイ」 「鼻スースースティック」 「ガスピタン」 「鼻シュッシュ」 「のどぬ〜る」と続きますが、あ、花粉症の僕は、春先には「鼻スースースティック」のお世話になりました。今度は「鼻シュッシュ」のほうも試してみようかと思います。で、「ガスピタン」は、おなかの調子を整えて、快調な腸にしてくれるお薬です。イイですなぁ。今日の僕はちょっぴり下痢気味なので、さっそく試してみようと思います。で、このアンケートというのは今から少し前に集計されたもののようですが、この秋には人気投票のかなり上位にランクインされるであろうと思われる、期待の新製品が登場しております。指にできた“さかむけ”をケアするお薬、その名も「サカムケア」っ!とってもイージーですが、ナイスなネーミングだと僕は思います。

 ということで、本日は『ナイス・アンド・イージー』です。ジョニー・リトルのアルバムです。このアルバム、もしかして前にも紹介したっけ?…という気がしないでもないんですが、で、ジョニー・リトルはジョニー・ライトルと記載している人もいるようですが、細かいことはイイです。あまり細かいことばかり気にしていると、指に“さかむけ”が出来ちゃいますしね。で、このアルバムはメンバーがイイんですよね。…って、いつも同じことを書いているような気がしますが、逆に言えばメンバーのいい作品ばかりを選りすぐる卓くん(21歳・好きな球技は卓球)といったところですかね?で、本作にはジョニー・グリフィン、ボビー・ティモンズにサム・ジョーンズ、ルイス・ヘイズといった、いかにもリバーサイド傍系のジャズランド盤だなぁ。。。といった面子が顔を揃えております。もう、それだけで買いですよね。インキンは痒ぃですけどね。あ、書き忘れておりましたが、小林製薬には「タムチンキ」という名前の皮膚病の薬がありますな。で、1曲目は「バット・ノット・フォー・ミー」です。言わずと知れたガーシュインの代表的なナンバーなんですが、個人的にはこの手の哀感のない曲というのは伊予柑ほどには好きではありません。ところで「はっさく」って、どうして「はっさく」と言うんでしょうね?…という疑問はまた次回にでも考えてみるとして、「でもそれは、ミーのものぢゃない」は、ヴァイブによってミディアム・テンポでテーマが演奏され、それが終わるといきなりグリフィンのソロが炸裂するという構成になっております。はじけてますなぁ、グリちゃん。もう、ほとんど“ドンパッチ”状態。あ、そういえば、はじけるキャンディ・「ドンパッチ」を食べ過ぎるとショック死するという噂が『都市の穴』に掲載されておりましたが、ぱーっと弾けたグリフィンは割とあっさり引き下がって、続いてライトルのヴァイブ・ソロになります。この人のプレイというのは『ザ・ヴィレッジ・コーラー』というアルバムで多様していた“ぜんぜんヴィブラートのないヴァイブ奏法”の印象が強かったんですが、ここではごく普通のスインギーな演奏を展開しております。ちなみに録音はこの『ナイス・アンド・イージー』のほうが古いので、後にあの路線に走っちゃったんでしょう。

 ということで、1曲目はまあまあでした。2曲目以降に期待したいと思いますが、ここで興味深いナンバーが登場します。ティモンズのオリジナル、「ソウル・タイム」って、これは彼のリーダー作のタイトルにもなった曲ですよね。いかにもティモちゃんらしいファンキーなワルツ・タイムのナンバーでありまして、AABA形式の“A”のパートがテナーとヴァイブのユニゾンで、“B”のパートがティモンズのピアノという構成になっております。で、ソロ先発はライトルですな。曲調に合わせてアーシーな仕上がりとなっておりまして、60年代に登場したヴァイブ使いの中では、彼がどちらかというとソウル派に属しているであろうことを窺わせております。とってもソウルです。坊さんは僧侶ですけどね。で、ソロ2番手のグリフィンはここでもバリバリ、3番手のティモンズはクログロ、全体で4分33秒というコンパクトな造りながら、内容的にはかなり充実しているように思われる1曲でありました。

 で、3曲目の「ザッツ・オール」はムードが一転して、しみじみとしたバラードとなっております。冒頭、ティモンズの無伴奏によるイントロはパウエルばりの前貼り的な香気を感じさせ、グリフィン抜きのカルテットで演奏されるテーマはM.J.Q的な典雅さで胸に迫り、あ、こりゃグリフィンの出番はないな。。。と思っていると、ちゃっかり出てまいりますが、ムードをぶち壊すようなこともなく、しみじみと短いソロを取って、そのまま消え去りました。「引き際をわきまえている」と誉めておきましょう。で、ライトルのソロに続いて、ティモンズがこれまた格調のあるソロを演じ、で、テーマに戻って、おしまい。あ、最後のところにちょっとだけグリフィンが登場しておりますな。以上、あまりにも綺麗なメロディなので、てっきり歌モノだと思っていたら、作曲者のところにはロイ・ヘインズの名前がクレジットされておりました。ぜんぜん“らしく”ないので、ドラマーのロイ・ヘンとは同じ名前のまったく違う人なのかも知れません。

 ジョニー・ライトルのペンによる「322−ワオ!」は、一言でいえばカッコイイ、二言でいえば「きゃー、カッコイイっ♪」といったナンバーです。タイトルはライトルが住んでいたストリートの番号だか何だかにちなんだもののようでありますが、ちなみに僕のウチの番地は「111」でございます。「新屋敷西111番地」というのが正解なんですが、たまに間違えて「新屋敷西川」と書かれた郵便物が届いたりします。で、「322−ワオ!」はロイ・ヘインズならぬルイス・ヘイズが大活躍するナンバーでありまして、テーマ部はテナー&ヴァイブ連合軍 VS ドラムスの、ちょっとしたコール・アンド・レスポンスと言えるかも知れません。アイラ・ギトラーの原文ライナーには「“マイルストーンズ”っぽいジャンピングな、うんぬん」といったことが書かれておりますが、“マイルストーンズ”よりもずっとかノリのいいナンバーであります。テーマの勢いをそのまま受け継いだようなライトルのソロも悪くありませんが、ここでの最大の聴きものはティモンズでありましょう。息もつかせぬ超アップ・テンポで実にファンキーなフレーズを連発して、とってもよか出来にござります。わお!で、早撃ちとなれば“シカゴいち”と言われるグリフィンだって黙っておりません。元来、「男は黙ってサッポロ・ビール」という世界からは遠くかけ離れたタイプのおじさんなので、ここぞとばかりにまくし立てております。ま、元気でなにより。。。で、そろそろオーバー・ブロウに陥って、ヤバい状態になるかな?という気がし始めてきた頃になって絶妙のタイミングでテーマに戻って、4分07秒という短めの演奏時間がこの曲のポイントでありましょう。よくデケた1曲です。

 はい、5曲目です。これまたライトルのオリジナルである「コロナーズ・ブルース」はタイトル通りの反復ブルースなんですが、流れるようなメロディがとっても印象的ですな。ソロ先発はライトルです。実に手頃なミディアム・テンポで、とっても歌心に溢れるプレイが満喫できます。…と、そろそろコメントがステレオ・タイプになってまいりましたが、2コーラス目に入るとマレットの数が4本に増えたような気がして、…と、ここまで書いたところで足の爪が伸びていることがふと気になって、ガサゴソと爪切りの捜索活動に励んでいると、あ、こんなことろから出てまいりました、「鼻スースースティック」。花粉症の季節が過ぎてすっかり御無沙汰だったんですが、久しぶりにスティックを鼻の穴に突っ込んでみると、相変わらずスースーして何よりです。で、演奏のほうは爪を切ったりスースーしたりしているうちにグリフィンのソロになって、それも終わって今ちょうどティモンズが登場してきたところでございます。やっぱりイイですなぁ、ティモンズ。そういえば以前、“ボビー・恥門吸う”というハンドル名のカキコがあったような気がしますが、恥門吸う青年は元気でしょうかね?あ、サム・ジョーンズのピチカート・ソロも少し出てきましたが、やはりリバーサイド系列のアルバムはこうでないといけませんね。

 で、6曲目のタイトル曲、「ナイス・アンド・イージー」はグリフィンの曲なんですが、あ、これはグリフィンのリーダー作で極めて頻繁に聴かれる例のナンバーですね。曲名こそ違っておりますが、ほら、例のアレ、何とかという曲です。非常にゆったりしたテンポのアーシーなブルースでありまして、ファンキーな臭みがあって、よろしいですな。いや、好き嫌いのはっきり別れる演奏だとは思いますけどね。とくにテーマ部などは息が詰まって窒息しそうでありますが、ライトルのソロが始まると、ほっと一息つけるという感じですね。時折うなり声も交えたリラックスしたプレイが堪能できます。ソロ2番手はグリフィンです。だいたい想像がついた通りのプレイを展開しております。全体の演奏時間が8分20秒と、ちょっと長めなのでそれなりの覚悟は必要となりますね。で、3番手としてティモンズのソロがあって、その後、ヴァイブとテナーの4小節交換があるんですが、あ、ここでライトルは例の“ぜんぜんヴィブラートのないヴァイブ奏法”を聴かせておりますね。アイラ・ギトラーはこの奏法を“シロフォニック(木琴的)なアプローチ”と表現しておりますが、まさしくその通りだよね。…と、田代まさしクンも言っておりました。パンツの盗撮だけぢゃなく、ちゃんと聴くところは聴いているんですな。立派な心がけだと思います。

 はい、ラスト。「アルバムの最初と最後はスタンダードで」という方針なんでしょうか、ここで「オールド・フォークス」を持ってきましたかぁ。グリフィン抜きのカルテット編成で、リラックスした演奏を展開しております。アルバムの末尾を飾るに相応しいリラックスしたナンバーと言えましょう。サム・ジョーンズのソロも聴けますしー。ということで、個人的には結構イケてる1枚でありました。ぢゃ。



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