PERSIP AND THE JAZZ STATESMEN (BETHLEHEM)

CHARLIE PERSIP (1960/4/2)




【パーソネル】

FREDDIE HUBBARD (tp) ROLAND ALEXANDER (ts) RONNY MATHEWS (p)
RON CARTER (b) CHARLIE PERSIP (ds)
MARCUS BELGRAVE (tp)

【収録曲】

SEVENS / THE SONG IS YOU / RIGHT DOWN FRONT
SOUL MARCH / THE CHAMP

【解説】

 安全衛生に関する講習会でありますが、相変わらず墜落災害が多いですなぁ。いや、「焼肉のタレの安全性に関する講習会(仮名)」と言っても、それはあくまでも(仮名)の話でありまして、エバラと言っても焼肉のタレではなくて、ポンプとか送風機なんかを作っているほうのエバラ(荏原製作所)でありまして、だから社員食堂の定食も焼肉定食ではないわけでありますが、建設業界における労働災害は、墜落災害がその割合の多くを占めているんだそうであります。特に死亡災害の場合は、落ちて死んじゃう人の割合は事故で死んじゃう人全体の約半数を占めるそうでありまして、言い替えれば、英語で言えば In other words、落ちて死にさえしなければ、労働災害で死んじゃう人の数は半分程度にまで少なくなるということなんですが、そうとわかっていながらも、相変わらず建設現場では人が落ちて、尊い命が失われているんだそうでありまして。。。

 ところで、全国では毎年どれくらいの人が落ちて死んじゃっていると思いますか?交通事故で死んじゃった人の数は全国で毎年1万人前後でありまして、それよりも少ない数であることは察しがつきますよね。で、人が落ちて死んじゃったという話を新聞やニュースで見たり聞いたりすることはそれほど多くはなく、ま、せいぜい1ヶ月に1回あるかどうかといった程度ぉ?といった感じなので、ま、せいぜい多く見積もっても10人くらい?とか思っていたらそれは大きな間違いで、毎年、墜落災害のために500人くらいの人が死んじゃっているんだそうでございます。意外と多いですよね。毎日どこかで1人や2人は、もう少し正確に言うと、3日のうちの2日で1人が、残りの1日で2人が落ちている程度の割合で人が落ちて死んじゃっているということになりますよね。では何故落ちちゃうのかと言うと、「ま、自分だけは落ちることもなかろう。。。」とか思っている人に限って落ちちゃうんだそうでありまして、ま、世の中たいていそんなものですよね。かく言う私も「ま、自分だけは落ちることもなかろう。。。」と思っていたにも関わらず、県立の高校に落ちましたし、大学も2年続けて全滅でありました。では何故、「ま、自分だけは落ちることもなかろう。。。」と思ってしまうのかと言うと、ここに興味深い調査結果がございます。「ま、自分だけは落ちることもなかろう。。。」と思っていたのに落ちてしまった人に、「では何故あなたは、ま、自分だけは落ちることもなかろう。。。と思ってしまったんですか?」と質問して得られた回答というのが資料にあるんですが、ま、この質問に答えているということは落ちても死ななかったということで、まずは何よりですが、で、その結果は次のようになっております。

・ぼくは熟練だから、落ちないんだもんね。
・ぼくだけは落ちないんだもんね。
・ぼくは高所恐怖症だから落ちないんだもんね。

「熟練だから落ちない。」って、油断や過信があったとしか思えません。もう、プロレスラーのケンドー・カシンもびっくりって感じぃ?いや、個人的にはカシンよりもケンドー長崎のほうが好きなんですけどね。で、「ぼくだけは落ちない。」って、答えになってませんよね。理由のない自信というか、いわれのない過信というか、もう殿様の家来の家臣もびっくりって感じぃ? で、今ひとつよくわからないのが「高所恐怖症だから落ちない。」という回答でありまして、ぼくは高所恐怖症なんだもんねー。恐いから高いところには近づかないんだもんねー。だから高いところから落ちることもないんだもんねー。…ということなんでしょうかね?が、仕事ともなれば「怖いから高いところには近づかないんだもんねー。」とも言っておれず、で、実際に高いところで働かされて、そして実際に落ちているわけでありますが、この経験が彼をして更なる高所恐怖症に駆り立てたであろうことは想像に難くありません。いや、あるいは荒療治が幸いして、高所恐怖症が直っちゃったぁ♪ということも考えられなくはありませんが、ちなみに僕も教書恐怖症であります。高いところ、全然ダメです。

 どうして高いところが怖いのかというと、その理由は明確でありまして、「高いところは落ちると怖いから、怖い。」というのがその答えなんですが、僕が津の営業所に勤務している頃はよく水道の配水池というのに昇らされました。配水池といっても溜め池のようなものではなく、円筒形のタンクみたいなものなんですが、低いもので2メートル、高いものだと20メートルくらいのヤツもありました。で、この配水池には普通、螺旋階段で昇るようになっておりまして、これは特に問題はありません。多少、目が回るのがネックではありますが、高所恐怖症の人でもそれほど恐怖を感じることなく昇降することができます。ところが1カ所だけ古い配水池で、10メートルくらいの高さまで“サル梯子”で昇らなければならないところがありまして、これは嫌でしたねぇ。なんせ、手を離しちゃったらその場で即座に墜落ですからねぇ。こういうところでは嫌がうえにも「高いところから落ちている自分」というのを想像してしまいます。あ、今ここで手を離したら間違いなく下に落ちるなぁ。。。落ちたらアタマを思いっきりコンクリートにぶつけちゃうだろうなぁ。。。アタマを思いっきりコンクリートにぶつけたら、アタマが割れちゃうだろうなぁ。。。アタマが割れたら、アタマが割れるように痛いだろうなぁ。。。と、「アタマが割れて痛がっている自分」というのがアタマに浮かんでくると、もうダメです。恐怖のあまり、足がすくんでしまいます。ま、そんなわけで僕はなるべくなら高いところには近づかないようにしておりまして、どうしても高いところに行かなければならない場合には落ちないように細心の注意をはらい、よって「高所恐怖症だから落ちない」というのはワカランでもないんですが、それでもやっぱり落ちちゃうんだから、世の中、思い通りにはならないものですなぁ。。。

 ということで、オチはないけど、これにておしまい。


 さ、チャーリー・パーシップです。しかし何ですな。安全衛生の“衛生”というコトバは、どうも“衛生車”だとか“衛生サック”が頭に浮かんでいて、いけませんなぁ。で、衛生車と言えばテキストには『作業主任者の仕事』という項目がありまして、「一番大切なことは、直接指揮をすることです。直接とは、作業員が見えるところで合図なり、声が聞こえる所です。何らかの理由でその場所を離れることの出来る時間は、小便をする時間だけです。大便はだめです。その時は作業中止です。」と書いてありました。今ひとつ日本語としてなってないような 気がしないでもないんですが、それにしても「大便はだめ」とは厳しいですなぁ。。。下痢気味の時など、大変ですよね。作業主任者はウンコに行くたびに恥を忍んで「オレ、ちょっとウンコしてくるわー。」と宣言しなければならず、その度に作業は中止され、仕事がはかどらないこと、この上なし。。。

 とまあ、それはともかくチャーリー・パーシップです。略してチャリ・パー。あまりアタマがよさそうな気がしませんが、人を名前だけで判断してはいけません。ハード・バップ〜モード期のドラマーとしては、ブレイキーやフィリー・ジョー、ローチやエルビン、トニー・ウイリアムスといったあたりよりは1ランク下で、アート・テイラーとロイ・ヘインズの2人がそれに続き、ま、それよりもちょっと下のアルバート・ヒースやジミー・コブあたりと同じくらいのレベルぅ?といった感じでありますが、ちゃんとリーダー作まで作っていたんですな。ぜんぜん知りませんでした。ちゃんとリーダー作を作っていたどころか、ブレイキーに対抗して、このアルバムのタイトルにもなっている“ザ・ジャズ・ステイツメン”というコンボを率いていたこともあるようですが、その優秀な新人を発掘する能力はブレイキーにも負けず劣らず、このベツレヘム盤でも実に興味深いメンバーが揃えられております。ちなみにフレディ・ハバードもロニー・マシューズもロン・カーターも、まだぜんぜん有名でない頃の吹き込みということでありますが、では有望な新人達の元気ハツラツなプレイに耳を傾けてみることに致しましょうj。

 1曲目の「セブンス」が誰の曲であるのか、今は言えません。講習の休憩時間中で、手元に資料がないしー。小節数だか拍子だかウルトラだか、とにかく何かが「7」だから「セブンス」というタイトルである。…という話がライナーノートに書いてあったような気がするんですが、あ、講習が始まりましたね。あ、講習が終わりました。お昼休みで、お昼ゴハンだって食べてきちゃいました。今日のメニューは何か新種のシチューのようなものかぁ?とか思っていたら、「粘りけが極端に希薄な酢豚のようなもの」でありまして、「酢豚にしては粘りけがあまりにも希薄ではないか!?」と文句のひとつも言いたいところでしたが、「250円(ゴハン付き)の酢豚に、粘りけがあるわけないぢゃん!」と言われればそれまでなので、黙ってましたけどね。で、演奏の内容のほうは、ホテルに帰ってからゆっくりと書いてみたと思います。

 ということで1曲目です。いやあ、この3日間は原稿がはかどりましたなぁ。夜は早く帰ってくるし、朝は早くから目が覚めるし、ホテルを出るのはゆっくりでいいし、講習の休み時間は暇だしー。いつもこんな調子なら週5日の更新も夢ではありませんが、本社にいた頃はよっぽど暇だったんですね、僕って。で、1曲目の「セブンス」でありますが、テナーとトランペットのユニゾンによるイントロはかなり意味不明で、しかも半端な感じがありますな。恐らくこのあたりが「セブンス」の謎を解き明かすカギになると思われるわけでありますが、テーマに入ると、わりと普通のハード・バップになりますね。ちょっぴりファンキーなムードだって感じられちゃったりします。で、ソロ先発はロニー・マシューズなんですが、後年の「地味なシダー・ウォルトン」といったイメージとは裏腹に、何だかモンクっぽい感じもする不思議なソロを聴かせてくださっております。で、ソロとソロの間にはイントロと同じアンサンブル・パートが挿入されて、で、ローランド・アレキサンダーのテナー・ソロになります。ローランド・カークとかローランド・ゴリラとか、モンティ・アレキサンダー大王とか言うのはよく耳にしますが、ローランド・アレキサンダーというのは初耳ですな。ここでのプレイを聴く限り、ロリンズの影響をモロに受けちゃってるようですが、なかなかイケてるプレイを聴かせてくださっております。で、続くフレディ・ハバードは、まだそれほどメジャーになってない頃の演奏ということでありますが、既にブラウニー直系のハード・バッパーから一歩先にワン・ステップ・ビヨンドした演奏を聴かせてくださっておりまして、栴檀は二葉より芳しといったところでしょうかね?環状8号線はカンパチですけどね。ちょうどこのホテルの近くを通ってますけど。で、各自のソロが終わると、テナーとドラムスとトランペットの4バースだか8バースだかがあって、いや、拍子が変則的だから小節数を数えにくいんですが、とか言ってるうちにテーマに戻って、おしまい。ま、アルバムの冒頭を飾るに相応しい、元気ハツラツな演奏と言えましょう。

 2曲目は「ザ・ソング・イズ・ユー」ですね。「歌こそは君」というような邦題があったような気がしますが、アップ・テンポのとっても元気ハツラツな演奏でございます。いや、個人的にはぜんぜん哀愁の感じられないこの手のナンバーはあまり好きではないんですが、よく練られたアレンジと各自のソロは文句の付けようがありませんね。中でもフレディ・ハバードのソロが光っておりますが、ロン・カーターのピチカート・ソロも悪くありませんね。ちなみにこのアルバムはロンの初レコーディングかも?ということでありましたが、今ではただの盆栽好きになってしまった彼にも、こんなヤングな頃があったんですなぁ。。。で、チャリ・パーのソロもちゃんとフィーチャーされておりまして、「リーダーとして、たまには目立とう!」というスケベ心もちゃんと叶えられております。で、3曲目の「ライト・ダウン・フロント」はコール&レスポンス形式によるゴスペルっぽいナンバーでございます。確か、誰かの曲だったんですね。誰かというのは、誰なんだ?と聞かれると、ここには資料を持ってきていないので困ってしまうんですが、サビのところのフレーズがなんともゴキゲン、タキゲン、高山厳。あ、ちなみにタキゲンというのはカギなんかを作っているメーカーです。制御盤屋さんなら間違いなく知っていると思いますが、ちなみに社長の名字が“瀧源”というんだそうです。ま、どうでもいいんですけどね、そんなことは。問題は演奏のデキでありまして、その点では申し分ないと言えるでしょう。やっぱりジャズは「楽しくて、哀愁」ですなぁ。ソロ先発はロラ・アレ…と略すと誰なんだかさっぱり分からないのでローラン・アレキとしておきますが、相変わらずロリっぽいフレーズで頑張っております。で、テナーのソロが終わるともう一度テーマの演奏があって、で、ロニー・マシューズ、フレディ・ハバードとソロが続きます。どちらも良好です。尿がたまるのは膀胱ですけどね。で、3度目のテーマ演奏があって、さしもの名曲も、3回繰り返すとちょっぴり飽きちゃう?…という気がしないでもないんですが、名曲であるには違いありませんね。

 で、4曲目です。「ソウル・マーチ」は確かパーシップのオリジナルではなかったかと記憶しておりますが、タイトルどおり、とってもソウルなナンバーです。それほどマーチなわけではないんですけどね。どちらかというと3曲目同様、ゴスペルっぽい雰囲気がありますね。で、ソロ先発はフレディ・ハバードなんですが、ここではかなりハード・バピッシュなソロを展開しておりますな。「ブッカー・リトルがファンキーっぽいプレイにチャレンジしてみました。」といった感じもありますけどね。で、続くロニー・マシューズは出だしの数フレーズこそ“めっちゃファンキー”でありますが、次第に知的っぽい感じになってくるあたり、やはりこれがこの人の本性なんでありましょう。で、それに続くローラン・アレキのテナー・ソロはテディ・エドワーズやフランク・ヘインズあたりを彷彿され、とっても良好であります。いや、エドワーズやヘインズの名前を出しておくと、いかにも通っぽくてイイですなぁ。で、ドラム・ソロの前にテーマ・メロディのアンサンブルがあって、基本的にパーシップのアレンジはこのパターンが好きみたいですね。で、アレンジと言えば、最も凝っているのがラストの「ザ・チャンプ」でありまして、曲はご存じディジー・ガレスピーのバップ曲なんですが、それをチャリ・パーは6部構成の組曲に仕立て上げております。あまりアタマがよくなさそう。。。とか思っていたら意外なまでの知性派ぶりでありまして、げに人を名前だけで判断してはいけませんなぁ。。。ちなみに「ザ・チャンプ」は、テーマ・アンサンブル→ドラム・ソロ→セカンド・テーマ・アンサンブル→ベース・ソロ(ピチカート)→ドラム・ソロ→セカンド・テーマ・アンサンブル(アップ・テンポ版)→トランペット・ソロ→テナー・ソロ→ドラム・ソロ→サード・テーマ・アンサンブル→ごちゃごちゃ→ドラム・ソロ→ピアノ・ソロ→ドラム・ソロ→セカンド・テーマ・アンサンブル(アップ・テンポ版)→エンディングという構成でありまして、これのどこをどのように勘定すれば“6部”になるのか、今ひとつよくはワカランのですが、とにかくとっても気合いの入った池田大作であることは間違いありません。おしまい。


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