MY BABY (VEE JAY)

BUNKY GREEN (1965)




【パーソネル】

DONALD BYRD (tp) BUNKY GREEN (as) JIMMY HEATH (ts)
WYNTON KELLY (p) LARRY RIDLEY (b) JIMMY COBB (ds)

【収録曲】

MY BABY / POLKA DOTS AND MOONBEAMS / COUNTER PUNCH
STEP HIGH / DON'T BLAME ME / CECIL

【解説】

 恒例となりました新幹線車内での執筆でございます。明日から羽田にあるエバラの工場で「焼肉のタレの安全性に関する講習会(仮名)」というのが行われ、僕はそれに3日間参加することになったんですが、真っ直ぐ東京に行くというのもつまらないので、とりあえず静岡までの切符を買っておきました。山陽新幹線で信号故障か何かがあったようで、岡山方面からくる“ひかり”と“のぞみ”は20分ほど遅れているようですが、名古屋始発の“こだま”号は定刻通りに発車する模様です。んでもって車内はガラガラであります。こんなことならわざわざ指定席にする必要もなかったかな?という感じでありますが、空いているわりにはオバハンの含有率が極めて多く、やかましくって、たまりません。おまけにガラ空きだというのに、僕の隣にオバハンがやってきて、そのまま着席してしまいました。これだけ空いているんだから、他にもいくらでも座るところがあるやろ?と文句のひとつも言いたくなってしまいますが、JRの自動券売機はいったいどのような考えで、このような席割りにしたんでしょうね?最近の自動券売機は「窓側希望」「通路側希望」「どこでもよい」の3つのタイプから希望の席を選べるようになっているんですが、それに加えて「オバハンの多い車輌はヤダ」とか、「ぎゃるの隣の席希望」とか、もう少し乗客の希望に沿った選択肢も作ってもらいたいところでありますなぁ。。。

 こだま462号は定刻より4分ほど遅れて名古屋駅を出発しました。ちなみにこのエバラの講習会は盆明けに実施される予定だったんですが、台風接近中にため延期になったという経緯がございます。で、今も台風15号だか16号だかが接近しておりまして、明日の夕方にでも東海から関東地方にかけて上陸しそうな感じなんですが、だいじゃぶなんですかね?今頃、ウチの事務所に「講習会延期のお知らせ」というファックスが流れたりしてませんかね?もしそのようなものが流されていたとしても、事務所には誰もいないし、僕を乗せた新幹線は既に三河安城に到着してしまったし、ま、中止なら中止で、3日間ほど穴守稲荷でも見学して帰ってこようと思っている次第ですが、ちなみに今日の予定としては静岡から「身延線にでも乗ってみっかぁ?」と思っているんですけどね。豊橋から飯田線に乗るというプランもあったんですが、時刻表を調べてみると、飯田に向かう特急列車の数は極めて少なく、しかも飯田まで行ってみたところで、そこから岡谷まで向かう普通列車の所要時間は極めて長く、こりゃ、とてもじゃないけど夕方までに京急の穴守稲荷駅に到着出来る見込みはないな。。。ということが判明したので、静岡から身延線に乗って甲府に出て、そこから“あずさ”にでも乗って新宿に出ようかな?と思った次第なんですが、いや身延線に乗ってみたところで、どうなるものでもないような気がしないでもないんですけどね。

 ちなみに今日から3日間泊まるホテルは、穴守稲荷駅前の「ホテル松月(仮名)」というところでございます。何故、(仮名)にしておいたかのかというと、話を聞くからにパッとしないホテルのようでありまして、だからこの先おそらくは不満とか不平とか波平とかをツラツラと書き連ねることになると思うんですが、もしもそうなった場合、このページを読んだホテルの関係者から「営業妨害にあたる」とか何とか、苦情のメールが届くという恐れがあります。営業妨害の問題に関しては「“黒うんこ女”事件」以来、非常に神経質になっておりまして、念には念を入れて検索サイトに引っかからないように(仮名)にしておく次第でありますが、ちなみに本当の名前は「“ホテル松月”を松竹梅的に2ランクほどさげたもの」ということで、ひとつお察し願えないものかと。それ以上のことは僕にはかけません。だいたい「バイゲツ」という言葉の響きがよくありませんよね。何だか「梅毒」みたいで。…って、合っているのは「梅」の字だけでありますが、ちなみにこのホテルは本社の仙石次長が頼んでくれました。ある日、ふとした用事で本社に立ち寄ったところエバラの講習会の話になりまして、で、ホテルは各自が自分で申し込まなければならないということが明らかになりました。そこで仙石次長は親切にもエバラの関係者にアタって、会場に近いホテルをいくつかリストアップしてくれたんですが、「この中では一番安いけれど、一番パッとしないだろうなぁ。。。」ということが明らな「ホテル松月(仮名)」というのを見付けて、「ここがエエぞぉ。」というようなことを申すんですよね。僕は「うん、イイかも知れませんね。」などとテキトーに話を合わせておいて、あとでもっと小マシなホテルを頼んでおこう。。。と思っていたんですが、仙石次長はヤルことが素早いのでありました。その場で直ちにホテルに電話をすると、即断即決で予約を取り付けてしまい、でもまあ、安いからいっかぁ。。。と諦めた次第でありますが、翌日、事務所でヤングな岡田クンに「“ホテル松月(仮名)”というところに泊まることになった。」と報告すると、彼は一言、こう言ったのでありました。「イナバさん、ハマりましたね!」

 しかし神は僕を見捨てませんでした。前述の通り、盆明けに予定されていた講習会は台風のため、9月10日〜12日に延期されることになったんですが、僕はその知らせを平湯温泉付近で聞きました。品川オフの翌日、僕は上高地に立ち寄って、高山に抜けて桑名に帰ってきたわけでありますが、その途中の平湯温泉付近でマナーモードにしてあった携帯をチェックすると、留守電が入っておりまして。何事かと思って聞いてみると、「えー、本社の仙石でーす。エバラの講習会が9月10日からに延期になりましたー。予約してあったホテル、どうしますか?連絡くださーい。お願いしまーす。」んなもん、キャンセルに決まっとるやん!と僕は心の中で叫びましたね。ホテル松月(仮名)など即行でキャンセルして、今度こそオシャレでアーバンでリゾート気分満点の蒲田あたりのホテルにしよう!と心に決め、その旨を連絡しようとして、もう1件留守電が入っていることに気がつきました。時間を見ると1件目から20分ほど後のことでありまして、どうやら一向に連絡が入らないので、仙石次長から催促が入った模様でありまして。「えー、本社の仙石でーす。ホテルの件ですが、キャンセルして、9月9日から3泊、予約しておきましたー。よろしくおねがいしまーす。」

 仙石さま、ご親切にどうもありがとう!


 ということで、バンキー・グリーンです。誰?と聞かれても困ります。僕にも誰なんだかさっぱりわかりません。先週の金曜日、名古屋のエバラで「小規模排水機場における焼肉のタレについて(仮名)」というタイトルの説明会がありまして、2時からの開始であるにも関わらず1時間ほど前に着いてしまって、しかたなく栄のHMVに立ち寄ってCDを5枚ほど仕入れてまいりましたので、それをいくつか紹介しようと思うんですけどね。ちなみに帰りには名駅のタワーに寄ってCDを4枚ほど仕入れてきたんですが、論ずるに足りないのも何枚かありましたので、6〜7回のシリーズになるのではないかと思います。で、僕は今、身延線の車内におります。いや、正確に言うと「特急ふじかわ7号」は静岡駅を出て東海道線を走って清水に到着したところでありまして、この先の富士から身延線に乗り入れることになります。今は後ろ向きに走っておりますが、身延線に入ると進行方向が変わるそうです。「ワイドビューひだ」もそうですよね。名古屋から岐阜までは東海道線で、そこから高山線に入るんですが、そこで進行方向が逆になります。で、「ふじかわ」も「ひだ」と同じく「ワイドビュー車輌」でありまして、窓が大きくて気持ちがよいですなー。けっこう揺れますけどね。で、もしかしたら富士山が見えるカモ?と期待していたんですが、ドン曇りでそれは望めそうもありません。で、けっこう揺れる上に進行方向が後ろ向きで、なんだかゲロゲロになってまいりましたので、一時休憩させて頂きます。。。

 ということで中央線です。いやあ、身延線はこれといって特徴のないローカル線でしたな。進行方向が変わったのと原稿を書くのをやめたおかげでゲロゲロ度はかなり緩和されましたが、甲府まで、かなりヒマな2時間強でありました。で、甲府では“あずさ”への乗り継ぎが厳しかったので、“かいじ”という名前の地味な特急に乗ってみました。今ひとつですなぁ、“かいじ”。ま、“切れ痔”よりはマシ?といったところですが、おそらく“甲斐路”の意味なんでしょうね。で、新宿まで行くのはヤメて、八王子から横浜にでて京浜急行に乗ってみようと思っているんですが、あ、着きました、穴水稲荷。もう、想像以上のデキであると言っていいかも知れませんが、詳しくはコラムのコーナーにでも書くとして、バンキー・グリーンです。ヤンキー・グリーンではありません。いや、アメリカ人だからヤンキーであるには違いないとは思うんですが、ちなみに今、僕はホテル松月(仮名)のフトンの上に腹這いになって原稿を書いております。いや、一応は部屋に簡易ベッドのようなものがあるんですが、コンセントから離れていて、今ひとつ不便なんですよねぇ。。。で、ベッドと言っても木の箱の上に薄っぺらいフトンを敷いただけの構造なので、コンセントに近い床の上にフトンを移動して、簡易和室にしつらえたところであります。こんな感じ(→) ですな。

 で、バンキー・グリーンなんですが、その素性はまったくもってよくわかりません。ちなみにこの『マイ・ベイビー』というアルバムのジャケットにはウイントン・ケリーの名前もクレジットされておりまして、タワーレコードではケリーのところに並べられておりました。賢明な処置だと思います。もしこのCDが「(B)その他」のところに並べられていたら、一生手にすることはなかったでしょう。ケリーのところにあっても、あまりのジャケットのセンスの素晴らしさに、思わず買うのをやめようか。。。と躊躇してしまいましたもんね。何ですかぁ、バイクに乗るというのに得体の知れない厚底のサンダルなんか履いて。。。…と、そこまで詳しいところまでは僕のイラストではわかりにくいかとは思いますが、ケリーをはじめ、サイドマンはイイです。ドナルド・バードにジミー・ヒースですからね。ちなみにバンキー・グリーン自身はアルトを 吹いている模様ですが、65年の録音だし、ヴィー・ジェイ盤みたいだし、見た目のわりに、演奏のほうはマシ?という期待があったので買ってみることにしたわけでありますが、果たして当たりと出るか、ハズレと出るか、では1曲目から聴いてみましょう。

 アルバム冒頭のタイトル曲「マイ・ベイビー」はアメリカに古くから伝わるナンバーのようです。それをバン・グリがアレンジしたようですが、演奏は「派手派手かな?」という予想に反して、無伴奏の3管ハーモニーで静かに幕を開けます。意表をつかれて、鵜匠も思わず、うひょ〜♪といったところでありますが、あ、鵜飼ネタはまた後ほど書きますんで。で、そのパートが終わると今度はバン・グリがむせび泣くようなアルトの無伴奏ソロを聴かせ、おっ!とか思っていると、今度はいきなり「ずんちゃっか、ずんちゃっか♪」というリズムが入り、テンポも速くなって、演奏は一転してR&B風のものへと変化します。テーマはバンキー・グリーンのワン・ホーンで、そのままソロへと突入して参りますが、ソウル風でちょっぴり下品なアルトを吹く人だったんですね、この人。それに比べて2番手のドナルド・バードは随分と抑えたプレイに徹しておりますが、それに比べて3番手のジミー・ヒースは意外と派手ですなぁ。フレージングこそ、この人の特徴である“教科書的”なものではありますが、ダークなトーンがR&B風の下世話さを表現していて、良好っす。んでもってケリーという人は上品なセッションでは上品に、そうでないセッションではそれなりに対処出来るだけのフレキシビリティを持った人でありまして、ここでも下品なプレイに徹して頑張っております。で、アルトによるテーマがあって、最後は3管の陰気なハーモニーによるパートに戻って、おしまい。ま、バンキーはバンキーなりに考えているんだね。…ということがわかる1曲でありました。

 ということで2曲目です。ちなみに今、講習の昼休みでありまして、社員食堂で250円の定食と25円の味噌汁を食べてきたところです。ハムエッグをフライにしたようなもの(2切れ)+メンチコロッケ(小1個)といった内容でありました。味噌汁は油揚げとダイコンの千六本の黄金コンビでありました。下劣な赤味噌地帯で育った僕にとって、東京の味噌汁というのは若干物足りないものがありますが、ま、しょうがありませんね。で、2曲目はスタンダードの「ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス」でありまして、演奏は無伴奏の3管ハーモニーで幕を開けます。ちょっと意表をつかれた感がありますが、このパターンは既に1曲目で経験済みなので、それほど驚くことはありません。「うひょ〜♪とか、もう言わない。」と鵜匠の方も言っておられましたが、ただ1曲目と違ってリズムが入ってからもバラードのままですね。テーマは基本的には3管ハーモニーですが、中間部ではドナルド・バードがワン・ホーンでしみじみと歌い上げ、とってもよろしいかと。んで、ソロ先発はケリーですね。1曲目と違って綺麗な曲だけに、たいへん上品なタッチでフレーズを綴っておりますが、次に出てくるジミー・ヒースは、かなり下品でありますなぁ。。。元来、知性派と見なされることの多い人でありますが、リーダーがあまりよくわからん人であることに乗じて、自分だけ目立ってやろう!というコンタンかも知れませんね。が、吹き初めてすぐ、「ちょっとオトナ気なかったかな?」と反省したのでしょうか、わりと落ち着いたトーンへと変化してまいりましたが、ソロ3番手はB.グリーンですな。えーと、この人のプレイは脳天気で、幾分キャノンボール・アダレイを思わせるところがありますよね。ということで、2曲目は以上です。

 3曲目、「カウンター・パンチ」はグリーンのオリジナルです。僕はパンチよりもパンツのほうが好きなんですが、「人生はワンツー・パンチ」という、よくわからない教訓もあることですし、ここでひとつ真剣にパンチについて考えてみるというのも大事なことかも知れませんね。で、「カウンター・パンチ」。3管アンサンブルがとってもイカす、ハードバピッシュでファンキーなナンバーですな。こういった演奏の場合、日本語ライナーノートに書くことは決まっております。「3管ジャズ・メッセンジャーズの思わせるような…」という形容を付けておけば、まず間違いはないです。ジミー・ヒースのリバーサイド盤にもありそうなナンバーですよね。ちなみにソロ・オーダーはグリーン、バード、ヒース、ケリーで、各自が持ち味を発揮したソロを展開しております。…って、なんて常套的な曲解説なんでしょうね。で、4曲目もたぶんグリーンのオリジナルで、「ステップ・ハイ」という曲でありますな。イントロのケリーがイカしております。かなりベタなナンバーでありまして、ワン・ホーンでテーマを吹くバンキー・グリーンは脳天気なキャノンボールを2.5倍ほどアホにしたような感じぃ?…とでも言いましょうか、で、テーマからそのままアドリブ・パートに突入しますが、やっぱりちょっとアホっぽいですね。派手に頑張ってるナ。ということは評価出来るんですけどね。で、続くケリーのソロはかなりポップな感じがあって、「ちょっぴり頭が悪いときのケリー」と言ったところでありましょう。続いて珍しくベースのピチカート・ソロがあって、テーマに戻って、おしまい。あ、この曲ではバードとヒースはお休みなんですな。

 さ、ここでバラードと参りましょう。ジャズのアルバムの場合、全部で6曲というパターンが一番多くて、で、2曲目と5曲目にバラードを持ってくると一番バランスがいいような気がするんですが、このアルバムはちゃんとそのパターンをわきまえておりますね。で、「ドント・ブレイム・ミー」。ドナルド・バードがワン・ホーンでしみじみとテーマを歌い上げます。「バードのバラード・プレイにはそれほど感動した覚えがない。」と誰かが書いていたような気がしますが、個人的には結構好きですけどね、バードのバラード。で、ジミー・ヒース、バンキー・グリーンとソロが続いて、最後はやっぱりケリーでしょう。「ちょっぴり趣味がいいときのケリー」を満喫出来て、とっても良好です。で、ラストです。「セシル」はドナルド・バードのオリジナルで、どこかで聴いたことのあるナンバーですな。アーシーでモーダルなブルースとでも言うべき、書いてる本人もあまりよくわからないようなナンバーでありますが、バンキー・グリーンのソロはちょっぴりイッちゃってますね。続くバードの思索的なソロと好対照ですが、続くジミー・ヒースはモーダルにキメ過ぎようとして、失敗しちゃってますね。で、この意味不明な曲調はケリーにも不向きだったと見えて、彼にしては珍しく失敗風のソロに終わっております。が、まあ、アルバム全体からすればジャケットの印象とは裏腹に「当たり」と言える出来でありまして、おそらくは全然売れなくて、この先に再発される可能性は皆無に等しいと思われますので、「見つけたら速攻GET!」でありましょう。「(B)その他」のところになかったら、一度ケリーのところもチェックしてみてくださいね。


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