THAT’S THE WAY IT IS (IMPULSE)

MILT JACKSON (1969/8/1,2)




【パーソネル】

TEDDY EDWARDS (ts) MILT JACKSON (vib) MONTY ALEXANDER (p)
RAY BROWN (b) DICK BERK (Ds)

【収録曲】

FRANKIE AND JOHNNY / HERE'S THAT RAINY DAY / WHEELIN' AND DEALIN'
BLUES IN THE BASSMENT / TENDERLY / THAT'S THE WAY IT IS

【解説】

 台風でしたなぁ。コドモの頃は台風というと何だかウキウキして、雨や風が強かったりすると「おお!」と感動し、逆に前評判の割にはぜんぜん大したことなかったりすると、心底がっかりしたものでありますが、オトナともなるとそう単純に喜んでもいられません。今回の台風11号でも朝の5時半から仕事に呼び出され、とっても迷惑でありました。と同時に、台風に関する知的な疑問もいろいろと湧いてまいりまして、例えば台風は英語ではタイフーンと言うわけですが、そのように最後に「ーン」を付けるだけで英語になったりしてもイイのか?とか、台風はなぜ「大風」じゃなくて「台風」なのか?台湾あたりでよく発生するから「台風」なのか?とか、そういった手合いの知的な疑問なんですけどね。そもそも僕は理系の人間なんですが、地学とか天文とか気象の関係にはまったく疎くてですね、前線と電線と赤線とでは、いったいどこがどう違うのか?と質問されても明確に答えることが出来ませんで、博学でなければならないWebマスターとしては、まったくもって恥ずかぴぃ次第でありまして、そこでまあ、今日は気象関係について簡単にお勉強してみたいと思うんですけどね。ということで、本日のテーマは「気象と鵜匠」でございます。

 塩サバ物産(仮名)岐阜営業所の親睦鵜飼い大会も刻一刻と近付いてまいりましたが、鵜匠という職業が国家公務員であるということを知ってましたぁ?「嘘(うし)ょぉ?」と思うかも知れませんが、うしょではなくてホントの話でありまして、鵜匠というのは正式には宮内庁の式部職という身分なんだそうです。えーと、僕の鵜匠に関する知識はそんだけです。で、続いては気象の話なんですが、気象庁に勤めている人が国家公務員であるということを知ってましたぁ?気象庁に勤めている人というのは正式には気象庁の職員という身分なんだそうです。…って、そんなもん誰でも知ってますね。で、“台風”と“タイフーン”というネーミングの由来なんですが、“台風”に「ーン」を付けて“タイフーン”になったのではなく、まず最初に“タイフーン”という英語があって、それに合わせて“台風”という漢字を当てはめたという説もあるみたいですね。なるほど、ケンミンの焼きビーフンって、何か牛肉(ビーフ)関係の料理ぃ?とか思っていたら単なる麺類だったりするように、「ーン」を取ったら日本語になるものもあれば、「ン」を付ければ別の料理になるものもあって、人生様々でありますなぁ。。。

 ではその英語の“タイフーン”はどこから来たのかというと、中国語起源説、アラビア語起源説、ギリシア語起源説の他に、名古屋弁起源説というのもありまして、とても風雨の強い日に名古屋人が「どえりゃあ風雨が強いでかんわー。」と言っているのを耳にしたイギリス人が、「そっかぁ。こういう状態のことを“どえりゃあふうう”って言うのかぁ。」というふうに解釈して、それがやがて

 どえりゃあふうう→どれりゃあふうう→どえりゃあふうう→どえりゃあふうう→たいふーん
というふうに変わっていったという説でなんですけどね。最後のところでいきなり強引に変わっているぢゃないか!という意見もあろうかとは思いますが、言葉の伝搬というのは「伝言ゲーム」のように、クラスに必ず一人はいる“ちょっとトロいやつ”のところで突然変異的に変わってしまうというのが常でありまして。で、それが“ちょっとトロいやつ”程度なら「どえりゃあふうう」が「どえらふう」になる程度ですむんですが、運悪く、“かなりトロいやつ”がクラスに一人混じっていたりすると、「どえ…どえ…えーと、たいした風雨で、んーと…」などと考え込んでいるうちに最初の「どえ…」の部分はどうでもよくなって、そのうちに「そうだ!たいした風雨で、んーと…、たいふーんっ!」などと勝手に自分でポンと膝を叩いて納得したりして、最初の言葉とは似ても似つかぬ言葉になっちゃうんだよねぇ。。。というのが「タイフーン名古屋弁起源説」の主張するところなんですが、何だかちょっと無理がありますよねぇ。行数稼ぎのために単なる思い付きで書いてみたとしか思えないような話でありまして、ではギリシャ語起源説というのはどういう話なのかと言うと、テューポーンという中年のポン引きのような神様の名前にちなんで

 てゅーぽーん→てゅーぽーん→てゅーぽーん→てゅーぽーん→てゅーぽーん→たいふーん
になったと。テューポーンがタイフーンになるには相当にトロいやつがクラスに一人いないと無理な気がするんですが、なんせギリシア神話の話ですから、「トロイヤの神様は相当トロいや。」とか、そういった“トロいやつ”の話には事欠かないわけでありまして。で、もうひとつのアラビア語起源説なんですが、これはアラビア語の“tufan”が英語の“typhoon”になったと。トゥファンがタイフーン。これなど、クラスに“ちょっとトロいやつ”が一人いるだけで超OKぢゃん?みたいな説得力のある説なんですが、それよりもさらに説得力があるのが中国語起源説でありまして、福建省や台湾地では大風(おおかぜ)のことを大風(タイフーン)と呼んでいると。そこから英語の“typhoon”という言葉が生まれ、そして明治時代に中央気象台の藤原クンが英語の“typhoon”をもじって“台風”という言葉を作ったと。何もわざわざ英語を経由しなくても、中国語の“大風(タイフーン)”から直接“大風(たいふう)”にすりゃイイぢゃん。そのほうが地理的にも近いしぃ。。。という気がしないでもないんですが、何故“大風”じゃなくて“台風”なのか?という疑問もまだ解決しておりませんでしたな。

 “台風”にはもうひとつ難しい漢字がありまして、昔は“颱風”と書いていたそうです。“風偏に台”って、いかにも台風に相応しい漢字でありますが、“颱”のほうにも“風”という字がついているのに、更にその後ろに“風”の字を付けるというのは、くどいというか説明過多というか、 シマウマの前にウマをつけて、ウマシマウマと言ってるようなものですよね。比喩として全然適切ではなかったような気もしますが、それはともかく、本場中国では“颱”という一文字だけで台風を意味するんだそうでありまして。さすがは中国人、如才がありませんなぁ。一方、日本では“颱風”から、やがて“台風”という書き方が一般的になるわけですが、これは恐らく「“颱”って、書くのが面倒ぢゃん。」という理由からではないかと思われるわけですが、いくら書くのが面倒だからって、“颱”の字を勝手に“台”に変えちゃったりしてイイんですかね?例えば“颱”という字にパッと見たときの字面が似ている漢字に“鼬(いたち)”というのがありますが、いくら“鼬ごっこ”と書くのが面倒だからって、勝手に“由ごっこ”と書いたりしたら、まったくもって意味不明ですもんね。いや、僕は“鼬ごっこ”よりも、“お医者さんごっこ”のほうが好きですけどね。ちなみに「台湾からやって来た風だから“台風”っ!」という説も実際にあるようでして、藤原クンの単なる思い付きというのが案外正解なのかも知れませんね。「台湾からやって来たバナナだから“台湾バナナ”っ!」というのもありますしね。

 英語で台風を表す単語には“タイフーン”以外にも“ハリケーン”と“サイクロン”というのがありまして、ま、ワニにだって“クロコダイル”と“アリゲーター”の2つがあるんだから、台風の名前が3つあったところで別に不思議ではないんですけどね。ちなみにこの3つは発生場所によって区分するようなんですが…と、ここまで書いたところで鵜飼い代5500円の徴収があり、何だか無性に鵜匠にムカついてきましたので、今日はこれにておしまい。


 ということでミルト・ジャクソンでありますが、2週間ほど前に夜半亭師匠のカキコにあったインパルス盤の『ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ』というのを取り上げてみたいと思います。 シェリー・マンが作った“シェリーズ・マン・ホール”でのライブです。シェリー・マンが作ったのはシェリー・マンの子供だけだと思っていたら、ライブ・ハウスだって作ってたんですな。大したものです。有名ですよねぇ、“シェリーズ・マン・ホール”。僕もよく仕事で行きます。シェリーズ・マン・ホール・ポンプの点検をしたり、シェリーズ・マン・ホール・ポンプに絡まったパンツを取り除いたりしております。マンホール・ポンプの別名が“うんこポンプ”であるということは、“シェリーズ・マン・ホール”は“シェリーズうんこ”ということになりますかね?…って、こういうくだらないことばかり書いてるから掲示板がカンコっちゃうんですね。で、ジャケットには「フィーチャリング・レイ・ブラウン」などと書いてありますが、実際に演奏を聴いてみるとミルト釈尊よりも霊ブラウンのほうが目立っておりまして、もしかして釈尊名義になっているのはレコ会社の契約の関係かも知れませんなぁ。ということで、では1曲目から聴いてみましょうね。

 「フランキー&ジョニー」は古くからアメリカに伝わるナンバーだとか何とか書いてあったような気がしますが、確かに古くからアメリカに伝わるナンバーだなぁ。。。といった感じのナンバーでありますな。いかにもライブらしいシェリーズ・マン・ホールのざわついた雰囲気の中、揉んでいいアレキサンダーのイントロが始まり、続いてレイ・ブラがピチカートで力強くテーマを演奏します。「ひゃぇ!」という掛け声も聞こえて、実にリラックスしたムードでありますな。ソロ先発はテディ・エドワーズで、最初のワン・フレーズは挨拶変わりに軽くブロウして、で、そこから次第に熱くなっていく様は実にサマー、サマー、あなーた、さまさまー♪By石川秀美。…でしたっけ?で、ソロ2番手はミルト釈尊ですが、エドワーズの盛り上がり方からすると幾分クールな仕上がりとなっております。ま、さすがに後半は彼らしいソウルさも聴かれるようになりますが、全体的にこの演奏はソロが短めでありますな。ソロ3番手はモンティ・アレキサンダーでありまして、僕はこの人に関しては「頭がアフロっぽいなぁ。。。」という印象しか持ってなかったんですが、ゴスペル・ライクな、なかなか黒っぽいピアノを弾く人でありますな。ま、見た目どおりと言いましょうか。で、レイ・ブラウンの短いウォーキング風のソロがあって、重厚なピチカートによるテーマに戻って、で、エンディングの処理もばっちり決まっておりますな。まずはアルバムとして順調な滑り出しと言えましょう。

 はい、2曲目です。ジミー・ヴァン・ヒューゼンの曲で、「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」。いかにも地味ヴァンらしい格調高いバラードでありまして、俳句にすると「タマ冷やす、ざっと例年、デート前」ですけどね。1曲目では今ひとつ影が薄かったミルト・ジャクソンをフィーチャーしたナンバーで、というか、しばらくはミルトとレイ・ブラの濃密なインタープレイといった感じですね。レイ・ブラのプレイって、オス・ピーのアルバムでもなければあまり聴く機会もないんですが、やっぱりうまいですなぁ。少なくとも「うまい棒(めんたい味)」と同じくらいはうまいと思いますが、オフィスの中で「うまい棒(めんたい味)」を食べると、事務所内がかなりめんたい臭くなるのがネックでありますな。いや、自分で食べてるぶんにはさほど気にならないんですが、ヒトが食べてるのを横で傍観していると、かなりめんたい臭いです。…とか言ってるうちに7分43秒の長い演奏も終わってしまいましたな。あらためて聴き直してみると、ミルトのヴァイブがしっとりとテーマを歌い上げるが、たまたまの美しさをもった一音一音が、聴く者の心を強く打つ。…と、日本語ライナーで岡崎正通クンが美辞麗句を並べている通りの演奏だと思います。あ、珠玉は“たまたま”ぢゃなくて“しゅぎょく”と読むんですかぁ。いや、知ってましたけど。ちなみにこの曲はテディ・エドワーズはお休みです。今日からウチの事務所のエライ人が4日間の休みをとって、みんなの顰蹙を買っておりましたが、1曲くらいのお休みは大目に見てあげましょうね。

 しみじみバラードから一転して、3曲目の「ホイーリン・アンド・ディーリン」はアップ・テンポの派手派手なナンバーです。テディ・エドワーズのオリジナル・ブルースということですが、どこかで聴いたことのあるようなナンバーですなぁ。モンティ荒れ期のイントロからして、もうノリノリでありまして、テーマを溌剌と歌い上げたエドワーズが、そのままアドリブへと突入してまいります。全体的に余裕のある吹きっぷりでありますが、続くミルトのソロと同じく、ちょっぴり物足りない感が無きにしもあらず。その点、荒れ期サンダーのソロはイイですなぁ。「ひぇぁ!」とか「ふぇ〜!」といった掛け声も一段と勢いを増し、実に黒々としたアデランス的なソロが展開されます。ということで4曲目です。「ブルース・イン・ザ・ベースメント」はレイ・ブラウンのオリジナルでありまして、無伴奏ピチカートによるテーマ部が実に印象的かつ印度象的でありますな。とっても黒いです。もう、黒うんこ女もびっくり!…って、感じぃ?途中からディック・バークの地味なシンバル・ワークが絡み、で、満を持してテディ・エドワーズの登場と相成ります。バックに回ったブラウンのウォーキング・ベースも聴き物でありますな。ま、エドワーズのソロ自体は彼の実力からすればちょっぴり地味目ではありますが、続くミルトのソロはまあまあですかね?ということで、あと残り2曲でございます。

 5曲目の「テンダリー」はウォルター・グロスの書いた有名なバラードですな。ミルト・ジャクソンがレイ・ブラウンを紹介したあと…と、正通クンのライナーにありますので、やはりこのセッションは実質的にもミルトのリーダー作ということでよさそうですね。ミルトがレイ・ブライに花を持たせたということでありましょうか、ここでもしばらくピチカートによるベースの無伴奏ソロが展開されます。この手の演奏は、いいオーディオ機器で聴かないと駄目ですな。僕のようにジョルナダのMP3をFMで飛ばして、カーステレオをFMラジオで聴くというのは最悪です。ほとんど、「あ、何となくベースの音が鳴っているぅ?」といった程度にしか聞こえません。特にFMトランスミッターの電池が消耗してくると最悪でありまして、というのも僕が使っているヤツは音を感知して自動的にスイッチが入る仕組みになっているんですが、電池が弱くなってくるとその感度がかなり鈍くなるんですよねぇ。もはやベースの無伴奏ソロなど「音」として感知して貰えず、スイッチが勝手に切れて「しゃぁ〜〜」という雑音しか聞こえないというのが現状でありまして、もはや演奏内容が云々と論じられるようなレベルではありません。で、家に戻って改めてアンプにつなげて聴き直している次第でありますが、途中と最後のところに若干ピアノとドラムスが入るものの、8分41秒の大半がベースの無伴奏ソロでありました。もう正通クンとしても「とにかくレイの完璧な表現力に圧倒されるトラックだ。」としか書きようがなく、さ、ラストですね。タイトル曲の「ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ」はモンティ・アレキサンダーのオリジナルでありまして、ゴスペル・ライクなコテコテのスロー・ブルースでございます。もう、息が詰まって、鼻も詰まって、糞も詰まっちゃうほどアーシーなナンバーでありまして、アレキサンダーのファンキーなタッチがよろしいですな。ソロ・オーダーはミルト、エドワーズ、アレキサンダーの順で、この手の作品ではさすがに各自が濃い持ち味を発揮しておりますな。で、しつこく繰り返される後テーマに乗せて行われるミルト・ジャクソンのメンバー紹介がこれまたムード満点でありまして、実にまあ、よろしいですなぁ。

 んなことで、今日はおしまい。


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