HOT LINE (SAVOY)

BILL BARRON (1962/3/31)

HOT LINE


【パーソネル】

BILL BARRON (ts) BOOKER ERVIN (ts) KENNY BARRON (p) LARRY RIDLEY (b) ANDY CYRILLE (ds)

【収録曲】

BILL'S BOOGIE / GROOVIN' / NOW'S THE TIME
A COOL ONE / JELLY ROLL / PLAYHOUSE MARCH / WORK SONG


【解説】

プリンタを買いました。いや、会社の事務所でぼーっとしていたら、前の席のヤングな青年が「いなばさん、プリンタ買わないっすかぁ?」というもんだから、「じゃ、買う〜♪」ということになって、買うことになったわけなんですけどね。即断即決でした。「決断力にかなり難のあるさばぴょん」と呼ばれている僕にしては、よくやったと思います。立派だと思います。で、どんなのを買ったのかというと、エプソンの「PM−790PT」というやつだったと思いますが、ところでエプソンって、どうしてエプソンという名前が付いたのか知ってますか?僕は知りません。知らないのでちょっと調べてみたところ、エレクトのパワーが持続して、息子がたくさん生まれるようにという子孫繁栄の願いを込めてネーミングされたというわけではなく、エレクトリックなプリンタが繁栄して、たくさんの息子が生まれるようにという願いを込めて名付けられたんだそうです。エレクトリックの「E」、プリンタの「P」、息子の「SON」で「EPSON」というわけですね。

一方、プリンタ業界ではエプソンのライバル関係にある「キャノン」のほうは「観音」にちなんでネーミングされたんだそうです。ちなみに正式には「キャノン」ではなくて「キヤノン」と表記するそうですが、しかし何でまた「観音」にちなんだ名前を付けようなどと思いたったんでしょうね?あるいは「“観音さま”の御開帳で子孫繁栄だねっ♪」という願いを込めたのかも知れませんね。“観音さま”のキャノンと“エレクト・パワー”のエプソンが合体すれば子孫繁栄にはもってこいだと思うんですが、残念ながらこの両者が結ばれるような気配はまったくなく、それでも息子であるプリンタのほうはどんどんと量産されているわけでありまして、えーと、そんなことで今日は「プリンタの歴史」のお話です。

家庭用の小型プリンタが日本に初めて登場したのは1878年のことだそうです。思ったよりも歴史が浅く、僕より10歳ほどヤングなわけですな。で、若いにもかかわらず最近は痛風の発作に苦しめられているそうでありまして、その原因はおそらくプリン体の取り過ぎではないかと思います。けっ、痛風だって。ヤングが罹る病気ぢゃないね。と言わざるを得ませんが、ちなみに初期のプリンタは「ドット・プリンタ」と呼ばれるものでありました。これはまあ、簡単に言えば「針による串刺し方式」でありまして、四角い針を何本か束ねて「■」の形にしておくわけです。で、例えば「痔」という字を印字する場合には「痔」の字になるように針が飛び出して、紙にぐさっと突き刺さるわけですね。で、ただ紙に針が突き刺さっただけでは「ただ“痔”の形に小さな穴があいているだけの紙」というものになってしまい、実用性の面では今ひとつかなぁ。。。という気がしないでもないんですが、ここに「インクリボン」というものが登場すると事態は一変します。そういえばありましたよねぇ、インクリボン。黒いインクを染み込ませた布が、思いっきり横長のカセットテープみたいなケースに入っているやつ。

で、そのインクリボンを針と紙の間に挟んでおけば、針が飛び出した部分だけインクがしみだして、紙に黒い「痔」の字が印字出来るというわけです。なんて賢い!おそらくこの印字方式を考え出した人は、白いパンツに痔の出血痕が赤くしみ出しているのを見てピンときたのではないかと思いますが、ただこの方式には難点がありました。「やかましい」というのがそれなんですが、その難点を補うために考え出されたのが「熱転写方式」というタイプでございます。これは針で「つんつん」するかわりに、熱で融かしてインクを紙に転写するというシステムでありまして、針で「つんつん」しないので音が静かである反面、熱でインクを溶かすため、プリント直後は紙が熱いという欠点があります。ま、多少、紙が熱いくらいのことは「ふーふー」すればすむ話なんですが、この熱転写方式には難点がありました。「割高である。」というのがそれなんですが、「“カリ高”はイイけど、“割高”はちょっとぉ。。。」と、ぎゃるの評判もあまりよくありませんでした。というのも、熱転写式のリボンはフィルムにインクを融着させたものを用いるんですが、これは一度使ったらもう、それっきりなんですよね。使用済みのリボンは字を白抜きした格好になるんですが、仕事しているふりをして、こっそり塩通の原稿をプリントアウトしたりしていると、後でリボンをチェックされたときに「“カリ高”はイイけど、“割高”はちょっとぉ。。。」などという白抜き文字が浮かび上がり、とんだ大恥をさらすことになってしまいます。

その点、ドットプリンタのリボンはいいですな。一度使っても周囲からインキが滲み出してくるのか、けっこう繰り返して使うことが出来ます。リボン自体が「メビウスの帯」になっていて両面を使うことが出来るし、次第に印字が薄くなってくるのさえ我慢すれば、10回くらいはイケるんじゃないですかね?おまけに、使いすぎてカスカスになって、こりゃ、いくらなんでも限界だな。。。という状態になっても「リボン再生器」などという優れたマシンがありますしね。いや、リボンにもう一度インクを染み込ませ、無理矢理に再生させるというかなりの「力技(ちからわざ)」ではありましたが、コスト削減には非常なる威力を発揮します。とまあ、せっかく騒音対策として新方式を開発したにもかかわらず、コストの面ではドット・プリンターに敵わずに、このまま伸び悩んでしまうかに思われた熱転写式なんですが、ある日突然「救世主」が現れました。「感熱紙」というのがそれです。これはどういう紙なのかというと、あたし、熱には弱いんです。とっても感じちゃうんです。あ、あたしのあすこ、ジュン、って黒くなってしまうんです。という紙でありまして、ま、早い話が熱すると黒くなる紙のことなんですけどね。この紙を使えばリボンなしでも印字することが可能でありまして、コスト削減には非常なる威力を発揮します。ま、時間がたつと字がだんだん薄くなっちゃうのと、スルメと間違えて火で炙ったりすると紙全体が黒くなって字が読めなくなっちゃうのが難点なんですが、とってもお手軽なので現在でもレジのレシートに用いられたりしております。

で、続いて登場するのがレーザー・プリンタですな。これはコピーの原理と同じようなものでありまして、ページ単位で高速にプリントできるのが最大のメリットなんですが、機械自体がクソ高いのが最大のデメリットであります。ま、根がレーザーなので少し改良を加えれば「レーザー脱毛器」としても使えるという長所がありますので、「毛深い金持ちの人」にとっては、購入に際して検討してみるだけの価値はあろうかと思いますが、現在、家庭用のプリンタとして最も一般的なのはインクジェット式のものでありましょう。これはカートリッジに入ったインキを何らかの方法で紙に吹き付けて印字するものでありまして、簡単にカラー印刷が出来るというのが最大の特徴ですね。昔ありましたけどね、カラーのインクリボン。黒、赤、青、黄の4色のリボンテープを強引に張り合わせたような“力技(ちからわざ)系”のシロモノでありまして、その発想は画面に色セロハンを貼り付けた「簡易即席カラーテレビもどき」と何ら変わりがないと言えましょう。いや、3Pシステムの日報で使ってましてけどね。通常のデータは黒、警報が発生すると赤で「びびびびびぃ」と印字して、黄色と青色は一度も使われることなくその一生を終えることになるわけですが、で、インクジェットのインクを飛ばす方式には大きくわけて2つのタイプがあるようです。ひとつはインクを熱して気泡状にして、その体積の膨張を利用するタイプ。キャノンがこの方式を採用しておりまして、「バブルジェット」という名前で呼ばれているようです。もうひとつは電圧を加えると膨張する素子を利用するタイプで、エプソンがこの方式ではなかったかと。

とまあそんなことで、一般的な評価としては「静かなのはキャノン、綺麗なのはエプソン、汚いのはゲロ」ということのようですが、いや、今日ですね、僕の前に座っているヤングな青年が「“ゲロ電気”からクレームが来たぁ。」と、ぼやいておりました。いや、下呂町にある電気屋さんらしいんですけどね。ということでまあ、せっかくプリンタも買ったことだし、“one finger snap”のコーナーに掲載した写真をポストカードにして読者のみんなにプレゼントしようかな?なんて思ってるんですけどね。ま、どうせ誰も欲しがらないだろうから別にどうでもいいんですが、希望する写真を3枚選んで sabapyon@mb.infoweb.ne.jp まで、メールちゃぶだい♪ちなみに「うんこ船・善幸丸」と「うんこポンプ(2枚)」をセットにした『うんこ3点せっと♪』が、店長のオススメです。

@  さ、ビル・バロンです。ピアニストのケニー・バロンのお兄さんですな。えーと、僕がビル・バロンについて知ってることは、そんだけ。

ということで、では早速『ホット・ライン』というアルバムを聴いてみましょう。アルバム・タイトルにちなんで電話ボックスをあしらったジャケはサヴォイにしては上出来だと思います。趣味悪いの多いですからねぇ、サヴォイ盤。内容的にはすぐれているのに、ジャケットの「パッとしなさ加減」が災いして、買う気をぜんぜんソソられないアルバムが多々ありますからね。その点、この『ホット・ライン』はイイ線いってると思います。もっとも電話ボックスでサックスなんぞを吹かれた日にゃ、外で順番待ちしている人は迷惑この上ないですけどね。んなもんどーでもいいから、早く電話を使わせろっ!と険悪なムードになることは必至。で、このアルバム、ブッカー・アービンの参加が嬉しいところでありますな。アービン&ビル・バロンのテナー・バトルは、かなりの「くどさ」を持って僕たちを魅了してくれるに違いありません。で、ピアには弟の毛に張ろう、ん〜♪を配し、ドラムスには後にフリーの世界で名を馳せることになるアンドリュー・シリルを起用するなど、メンバー的にもヒジョーに興味深いものとなっております。

んで、1曲目は「ビルズ・ブギ」。作曲者にはW.バロンの名がクレジットされてるんですが、これは誰なんですかね?バロン兄弟の一員、あるいはパパりん、もしくは従兄弟、さもなければビル・バロンの本名というセンも考えられますが、アルバム全7曲中で5曲までがこの人の作品となっているので、ビル・バロンの本名説がいちばん有力かも知れませんね。ちなみに原文ライナーはビル・バロン本人が書いているんですが、僕の語学力では今ひとつ荷が重いので、ただ今ダウンロード中の翻訳ソフト(体験版)の準備が整い次第、解明にあたりたいと思います。んで、曲自体はシンプルなリフ・ブルースでありますな。ケニー・バロンのイントロも、2テナーのユニゾンによるテーマ演奏も同じメロディが演奏されます。で、ソロ先発はビル・バロンのほうでしょうね。この人のプレイというのは今ひとつ特徴がつかみにくいんですが、うなぎも手ではつかみにくいですよね。ま、言うなれば「ウナギ化したハード・バップ」という感じなんですが、そのバックではケニー・バロンがずっと同じテーマのメロディを反復しております。それが何とも不思議なムードを醸しているわけですが、それにしても長いですなぁ、ビル・バロンのソロ。あまりにも長いので翻訳ソフトのダウンロードが終わったようですが、どれどれ…。


    On "Bill's Boogie" I was working on a bass line then the idea of a Boogie struck me.

えーと、この文章をコピーして「翻訳」ボタンを押せばいいんですね。「ビルのBoogie」の上で、私は低音の線に取り組んでいた、そして、Boogieの考えは私の心に浮かんだ。なるほどぉ、そういうことでしたかぁ。で、問題のビル・バロのクソ長いソロなんですが、もしかして途中で、どさくさに紛れてブッカー・アービンと交替したりしてませんかね?いつの間にやらアービンっぽいフレージングになってるような気がするんですけどね。で、注意して最初から聴きなおしてみたところ、どうやら3分47秒の時点でソロのバトン・タッチが行われた模様であります。かように注意深く聴かないと気が付かないほどトーン的には似たものがあるんですな、ビル・バロとアービン。ということが判明したところで2曲目の「グルーヴィン」。ちっともグルーヴィンでない曲でありまして、テーマ自体も何だか上ずっておりますが、それに続くビル・バロンのソロが「歌いだしで声が上ずってしまい、修正がきかないまま最後までいってしまって、結局のところは完全な失敗に終わり、二度とこの歌は人前では歌うまいと心に誓ったカラオケボックスの午後10時38分」といった感じの失敗ソロに終始しております。何だかもう、とっても眠たくてまともに原稿を書く気が失せているんですが、ちゃんと日本語になってますかね?で、続くケニー・バロンのソロも終始上ずっておりまして、何かもう、兄弟揃って失敗ソロって感じぃ?で、僕が思うにこれはコード進行自体に何か問題があるに違いなく、「狩人」を見習え!と、バロン兄弟に進言したい次第でございます。

はい3曲目。ここでいきなりノー天気なバップ・ナンバーが登場しまして、演奏曲はご存知チャーリー・パーカーの「ナウズ・ザ・タイム」。ソロ先発のビル・バロは相変わらず上ずっておりまして、もしかしてこの人、根っからの音痴なのかも知れませんな。が、途中からはえらくノリノリのフレーズを連発したりして、恐らくこれはいつの間にかアービンにスイッチしちゃったんだと思いますが、かなり壮絶なテナーの嘶きを耳にすることが出来ます。途中、ラリー・リドレイの地味地味なベース・ソロを挟んで、後半はチェイス形式によるテナー・マッドネスが展開されております。ようやく「2テナー編成にした甲斐があった。」といった感じの演奏が出てきましたな。 CDのオビには「アービンとの“ナウズ・ザ・タイム”“ワーク・ソング”が凄い!」というようなことが書いてあったんですが、確かに凄い!と思います。はい4曲目。「ア・クール・ワン」。曲、演奏共にヘンで、特筆すべき点はありません。5曲目「ジェリー・ロール」。曲、演奏共にヘンで、特筆すべき点はありません。いや、ヘンなフレーズを繰り返すケニー・バロンのバッキング、特異なリズムのノリで、黒くワイルドなソロを展開するビル・バロン、アドリブ・パートとアンサンブル・パートが反復する特異な構成などなど、特筆すべき点はいくつかあるんですが、それらをいちいち解説するには僕はあまりに眠すぎます。さ、あと2曲。頑張りましょう。

しかし何ですな。「トラックボールはゴミに弱くて今ひとつである」とは聞いておりましたが、まさしくホントですな。早くもなんだかボールの動きが重たくなって来ちゃったんですが、6曲目の「プレイハウス・マーチ」はマーチ風の反復ブルースであります。曲がシンプルであるが故にビル・バロンのソロも幾分オーソドックスに…と書いてる端から、いつもの意味不明調になってきましたね。で、そろそろ我慢の限界か?というタイミングを見計らってアービンにスイッチされまして、ま、これはこれでちっとも一般ウケしないスタイルであるには違いないんですが、ま、ビル・バロンよりは幾分マシですかね?で、ここでのケニー・バロンのピアノはかなり普通です。よかったと思います。ということでラストの「ワーク・ソング」。こうしてヘンな曲が続いたあとに聴いてみると、実にしみじみと名曲でありますな。ただテナー2本のユニゾンというのは今ひとつファンキーさが希薄でありまして、ナット・アダレイのコルネットの音色が恋しくなっちゃいます。音色が恋しくなって、思わず名古屋駅のホームで「ういろ」を買ってしまいます。いや、「ういろ」と「ないろ」の中間みたいなので「ねいろ」というのもあるんですけどね。で、テーマに続くアービンのソロはかなりイケておりますが、全体的には「アービンとの“ナウズ・ザ・タイム”“ワーク・ソング”が凄い!」と書くほどのことか?という気が無きにしもあらずで、「ナウズ・ザ・タイム」に比較すると手放しで誉められるほどの出来でもありません。ということで、総括すると「今ひとつだった。」という1枚でありました。そんだけ。


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