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- 【アルバム名】
- IT‘S TIME (IMPULSE)
- 【リーダー名】
- MAX ROACH (1962/2/26,27)
- 【パーソネル】
- RICHARD WILLIAMS (tp) CLIFFORD JORDAN (ts) JULIAN PRIESTER (tb)
- MAL WALDRON (p) ART DAVIS (b) MAX ROACH (ds) & HIS CHORUS
- ABBEY LINCOLN (vo) <#6>
- 【収 録 曲】
- IT’S TIME / ANOTHER VALLEY / SUNDAY AFTERNOON
- LIVING ROOM / THE PROFIT / LONESOME LOVER
- 【内 容】
- 今日は金魚について考えてみたいと思うんですが、というのも先日、桑名の鎮国守
国神社、通称「ちんこくさん」ということろで「金魚まつり」というのが行われたんで
すけどね。なぜ「ちんこくさん」で「金魚まつり」が行われるのかというと、おそらく
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- ちんこく → こいこく → 鯉 → 金魚
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- という連想が働いた為ではないかと思われますが、そのお祭りで塩サバ2号ジュニ
ア1号(塩サバ2号の長男)と、塩サバ2号ジュニア2号(同・次男)が金魚すくいに
果敢にチャレンジし、いずれもわずか数秒で玉砕しておりました。金魚をすくうのに使
う道具といえば、昔は針金で作った輪に紙を張ったものが主流でありましたが、いつの
まにかモナカの皮に取って代わられましたよね。僕なんか、あのモナカの皮を見ると「
こんなもんで金魚すくってないで、クリームはさんでアイス最中にして食ったほうが得
策ではないか?」という思いに駆られたものでありますが、そういえば「モナカ、もう
なかった?」という、とっておきのギャグもありましたよね。で、金魚すくい業界では
まだモナカの皮が幅を利かせているものだとばかり思っていたら、さにあらず。最近で
はプラスチック製の枠に紙を張ったものが使われているようでありまして、で、この道
具にはちゃんとした商品名までついておりました。「金魚すくいポイ」というのがその
名前なんですが、300個が箱に入って売られているようであります。300個でいく
らなのかは分かりませんが、金魚すくい用品一式の値段に関しては調べがついておりま
して、
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- 金魚すくいポイ 600枚 すくい取り容器 20個 持ち帰り用袋 30
0枚
- ビニールプール 1個 Wエアーポンプ 1個 プール用ポンプ 1個
- エアーストーン 2個 レジャーシート 2枚 エアーホース2m 2本
- 五色石 2s すくい用網 1個 カルキ抜き 1袋
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- がセットになって1万7500円(消費税・送料別)となっております。あとは金
魚さえ用意すれば直ちに金魚すくい屋さんが開業できるわけでありまして、これで1万
7500円というのはかなりリーズナブルでありますな。で、金魚すくいポイが600
枚なのに対して持ち帰り用の袋は300枚しかなくて、このことはすなわち、金魚用品
メーカーが「2人に1人は金魚を1匹もすくえなくても、やむなし。」という設計思想
の基に「金魚すくいポイ」を制作しているであろうことを窺わせるわけでありますが、
ちなみに金魚すくいはいくらだったのかと言うと、1回300円だったんですけどね。
ということは、客が600人くれば売り上げは18万円。わずか1万7500円(消費
税・送料別)の投資で16万2500円の儲け。ただ(消費税・送料別)では正確な数
字が出ないので、消費税込みにすれば1万8375円。送料はいくらだか知りませんが
、桑名から東京までペリカン便を送ると、だいたい850円くらいですかね?でもビニ
ールプールはかさばるので、もう少し取られるとして、ま、3000円みておけば大丈
夫でしょう。これで投資額は2万1375円(消費税・送料込み)となりますね。で、
続いては肝心の金魚を仕入れなければならないわけですが、ま、テキトーに1匹10円
で計算しておきましょう。600人中300人が金魚のすくいあげに成功し、1人あた
りの平均すくいあげ実績数(=金魚GET数)を1.73匹とすると(←根拠まったくなし
)、仕入れなければならない金魚の数は519匹となって、仕入値は5190円。これ
に消費税がついて5450円。でも、519匹などという半端な数で金魚を売ってくれ
るとはとても思えないので、ま、500匹もいればいっかぁ。。。ということで、50
0匹で5000円。税込みで5250円+送料が1500円として、計6750円。す
なわち、金魚すくい用具一式+金魚で、えーと…2万8125円ということになります
ね。
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- で、ここで忘れてはならないのが「ショバ代」でありまして、これを払わずに勝手
に商売をしようものなら、たちまち恐いお兄さんに拉致されて、九華公園のお掘に放り
込まれることになります。その恐いお兄さんに“そっち方面”の趣味がある場合、掘に
放り込まれるかわりにオカマを掘られることになり、いずれにせよ“ホリ関係”からは
逃れられないわけでありますが、場合によっては指の1本も詰めさされ、その切断した
指をヤキソバと一緒に鉄板で炒められちゃったりするかも知れません。ショバ代をケチ
って指をヤキソバにされちゃ、たまったものではありませんが、ではいったい、ショバ
代というのはどれくらい取られるものなんでしょうか?結論から申し上げましょう。3
〜5万円です。いや、根拠はまったくないんですけどね。ま、3万から5万くらいのも
のじゃないかな?と勝手に判断して、で、その真ん中を取ってショバ代は4万2000
円ということにしておきましょう。真ん中を取って、何故2000円という半端が?と
いうと、これはもちろん消費税を加えた金額なんですが、これに“屋台+ポータブル発
電機+アセチレンランプ”の「テキ屋開店3点セット」のレンタル料が1日3万150
0円(消費税込み・根拠なし)として、金魚すくい屋さんを1日開業するのに必要な資
金は、しめて10万1625円ということになります。10万1625円の投資で18
万円の売上。1日の利益は7万8375円。まるっきり根拠のない計算であるとはいえ
、けっこうボロい商売ではありませんかぁ。ただしこれは1日に600人の客が来た場
合の計算でありまして、では実際のところ、1日に何人くらいの人が「金魚をすくおう
!」と思い立つものなのでありましょうか?
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- 結論から申し上げましょう。432人です。これはまったく根拠のない数字という
わけではなくて、ざっと観察したところ、金魚すくいをするのは5分間で3人程度?と
いった感じでありまして、これを1時間に換算すると36人。朝の9時から夜の9時ま
で頑張ったとして、36人×12時間で432人となったわけであります。とすると、
1回300円だから1日の売り上げは12万9600円。経費が10万1625円かか
るから、利益は2万7975円。うーん、まずまずといったところですかねぇ。。。
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- で、結局のところ2人で1匹もすくえなかった塩サバ2号ジュニア1号と2号であ
りますが、残念賞として合計5匹の金魚を貰ったのでありました。ということで、次回
は「金魚の飼いかた」のお話など。
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- @ さ、マックス・ローチです。ローチという人はブラウニーとやってた頃が一番
まともでありまして、その後も50年代はとても真っ直ぐなジャズをやっておりました
。「ローチさん、まっくす過ぎますよぉ。」「でもね、それがあなたの〜、いい〜と・
こ・ろ♪」なんて言われていたわけでありますが、その真っ直ぐさが災いして、60年
代になって突如として政治に走りました。政治に走ったあと、今度は非行に走りました
。非行に走って反抗期になって、『ウイ・インシスト』(日本名『僕たち、反抗しちゃ
うんだもんね。』)というアルバムを作りました。この『イッツ・タイム』というイン
パルス盤はローチが非行に走ってから約1年半後の吹き込みでありまして、ま、ローチ
もいいトシなんだし、少しは反省してカタギになったのかな?なんて思ったら大きな間
違い。依然として「不良街道まっしぐら」でありまして、それどころか、今度は親衛隊
のコーラス・グループまで引っさげて、その路線はますますエスカレートしちゃってお
ります。ま、「これぞ、いかにも60年代」といった感じで個人的には嫌いじゃないん
ですが、一般人にはちょっぴりツライかもしれませんね。とりあえずまあ、1曲目から
聴いてみましょう。
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- 1曲目、タイトル曲の「イッツ・タイム」。日本語に訳すと「それは時間です」と
いう意味でありましょうか。ジャケットに大きく「マックス・ローチ・ヒズ・コーラス
・アンド・オーケストラ」とあるように、いきなり賑々しいコーラスとオーケストラの
サウンドが耳に飛び込んでまいります。日本には「ママさんコーラス」というのがあっ
て、ママさん、というか、おばさんが声を張り上げて「夏がくれば思い出す〜♪」とい
う歌を歌ったりするわけですが、“マックス・ローチと彼のコーラス”は、おばさんコ
ーラス&おっさんコーラスの混声となっております。「やっはぁ〜、や〜やい〜や、や
〜やい〜や、やっ・はっ・はっ♪」(←おばさん)「はっ、はっ、はっ♪」(←おっさ
ん)と、たいへん力強いコーラスを聞かせておりますな。この「はっ・はっ・はっ♪」
だけでも充分に聴くだけの価値はあると思いますが、中間部はコーラスというよりほと
んどシャウト、もしくは“うめき”といった感じですね。で、テーマ部が終わると、あ
とは普通のコンボ演奏になるわけですが、いきなり登場するテナー・ソロが素晴らしい
ですね。僕は最初「アービンか?」と思ったんですが、クレジットを見るとクリフォー
ド・ジョーダンとなっておりました。ちょっぴり意外ですな。栗嬢と言えば「あまり闘
魂の感じられないアントニオ猪木似のロリンズ派テナー奏者」という印象があったんで
すが、いつのまにか「激情派の闘魂バリバリのトレーン派テナー奏者」に変貌を遂げて
いたんですな。リバーサイドの『スペルバウンド』あたりを愛聴している人にとっては
驚天動地の思いでありましょうが、よきにしろ悪きにしろ、これも時代の流れというも
のでありましょう。ソロの途中で再びコーラス集団が登場してジョーダンを激しくアジ
り、彼のプレイはますますヒートアップしてまいります。知性派のローチのプレイもエ
ルビンのように熱くて、インパルスのコルトレーン好きの人なら、かなり楽しめる出来
ではないでしょうか。で、栗嬢が疲労困憊して後ろに下がると今度はローチの無伴奏ソ
ロとなり、そこにコーラスが絡んで、アート・デイビスのアルコも妖しく絡んで、で、
コーラス&オーケストラによるテーマに戻り、最後に「はっ・はっ・はっ♪」と言って
、終わります。うーん、壮絶な6分42秒でありました。
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- 2曲目は「穴座―・馬齢」…って、ひらがな・カタカナ変換はやはり無理でしたか
。2曲目は「アナザー・バレイ」という曲でございます。1曲目では「出番あったか?
」という感じだったマル・ウォルドロンのピアノに続いてジュリアン・プリースターの
トロンボーンが渋く絡み、そしておっさんコーラスの登場となります。やがてそこにお
ばさんコーラスも絡んでまいりますが、ブルージーな味わいもあって悪くありませんね
。で、そのままプリースターのソロへと流れてまいりますが、マルの弾く特異なリズム
・パターンが印象的ですね。テンポも徐々に速くなってまいりまして、プリースターの
吹きっぷりも次第に熱さを増していきます。で、ソロの中間でコーラスが絡むのは1曲
目と同じパターンでありまして、ま、おばさん、おじさんとしても出番が最初と最後だ
けではヒマを持て余してしまい、で、おばさんがヒマを持て余すと不倫に走ったり、プ
リンを買いに走ったりするハメになりがちなので、その防止の意味でもやむを得ない処
置であると言えましょう。…とか言ってるうちにローチの長めのソロがあって、後テー
マがあって、フェードアウトして終わってしまったので、はい3曲目。「サンデイ・ア
フタヌーン」は日曜日の午後でありますな。日曜日の午後というのは何だか気怠くて、
おばさんとしても思わず不倫に走りたくなっちゃうわけでありますが、家にはダンナが
いるからそういうわけにもいかず、思わず欲求不満になりがちなわけでありますが、こ
の曲は不気味なおばさんのうめき声で幕を開け、やがてアルバート・アイラーの「ゴー
スト」を思わせるプリミティブな無伴奏混声コーラス…というか、単なる騒ぎ声みたい
なパートがあったかと思うと、すっと声が消えてリチャード・ウイリアムスの登場と相
成ります。コーラス部隊はすぐに復活して、今度はコーラスと呼ぶにヤブサカでない歌
声をバックにウイリアムスがテーマを吹くわけですが、ここでのリチャ・ウリはかなり
ブッカー・リトルに近い感じがありますね。この人、根はブラウニー直系なんですが、
これもやはり時代の流れというものでありましょう。哀しみを湛えた哀切なトーンが胸
を打ち、マルのほの暗いタッチが涙を誘い、うーん、しみじみサタデイ・アフタヌーン
。
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- 4曲目「リビング・ルーム」。おばさんというのはクリーニングの配達のお兄さん
をリビング・ルームに誘い上げて不倫に耽ったりするものなんですが…って、おばさん
の生態の話はもういいですね。で、曲自体はかなり複雑な構成となっておりますが、サ
ビの部分の「あいや〜、あいや〜♪」というコーラスがいいですね。で、アドリブの部
はプリースターのトロンボーンをフィーチャーしたものとなっておりまして、相変わら
ず中間にコーラスが絡んで…というパターンなんですが、ま、このアルバムはこういう
ものなのだと思って諦めてくださいね。途中にマルのソロ・パートを挟んだだけでもそ
の努力を評価すべきだと思いますが、トロンボーンのソロがちょっぴり長すぎるので、
半分をクリフォード・ジョーダンのソロにすればよりベターだったのではないかと、い
や、これは個人的な見解なんですけどね。で、5曲目は「ザ・プロフィット」という曲
なんですが、日本語にすると「ザ・利益」といった意味でありましょうか。僕が前半部
分で金魚すくい屋の利益の話について書いたのは、ひとえにこの曲に因んでのことだっ
たわけでありますが、変拍子のナンバーがずらりと並んだこのアルバムで、この曲だけ
がオーソドックスな4ビートとなっております。曲自体も至ってシンプルなリフ・ナン
バーで、リチャ・ウイの味わい深いトランペットが堪能出来る1曲に仕上がっておりま
す。やはり、どことなくブッカー・リトルを思わせるところがありますが、全体的には
オーソドックスな仕上がりですね。ということで、はいラスト。「ロンサム・ラバー」
は「寂しい恋人」とでも訳すんでしょうか。この曲だけアビー・リンカーンのヴォーカ
ルをフィーチャーしたナンバーになっているんですが、この女こそローチが非行に走っ
た元凶と言えるでありましょう。犯罪の影に女あり。グレた影には“アビりん”あり。
「歌う重信房子」のような存在ですからねぇ、アビりん。が、この「ロンサム・ラバー
」というのはワルツ・タイムの綺麗なナンバーでありまして、マルの弾くイントロがい
いですね。アビりんのヴォーカルにコーラスが絡む趣向も悪くありません。今ひとつ歌
いっぷりに色気がないのが難でありますが、いや、根はけっこうナイス・バディなんで
すけどね。で、アドリブの部でフィーチャーされるのはクリフ・ジョーダン。1曲目に
比べるとかなりオーソドックスな吹きっぷりでありまして、これならまあ、昔からの栗
嬢ファンでも許せる範囲ではないでしょうか。
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- ということで、以上、個人的にはけっこう好きな部類の演奏でありますが、ジャ
ケット同様、中身のほうはかなり「濃い」です。環境ホルモンの影響ですっかり薄くな
っちゃった現代のオトコはぜひ見習うべきだと思いますね。ま、見習ったところでどう
なるもんでもありませんが。。。
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