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【アルバム名】
THE G.MULLIGAN & P.DESMOND QUARTET (VERVE)
【リーダー名】
G.MULLIGAN & P.DESMOND (1957/8/2,27)
【パーソネル】
PAUL DESMOND (as) GERRY MULLIGAN (bs) JOE BENJAMIN (b) DAVE BAILEY (ds)
【収 録 曲】
BLUES IN TIME / BODY AND SOUL / STAND STILL / LINE FOR LYONS /
WINTERSONG / BATTLE HYMN OF THE REPUBLICAN / FALL OUT
【内   容】
 今日は“いし”について考えてみたいと思います。一口に“いし”と言っても色 々な種類がございまして、川原なんかに転がっているのは“石”、病院あたりをうろう ろしているのは“医師”、首をくくって死ぬのは“縊死”といった具合なんですが、ね ちっこい上司に「チミはもっと固いイシを持たなきゃいけないよぉ。」などと言われた 場合、それは恐らく“意志”の意味だと思われるので、ポケットに軽石を入れて出社し たりしてはいけません。ま、確かにドラえもんには「固いイシ」という意志を強くする 石みたいな道具が登場するんですが、軽石はそれほど固くありませんもんね。軽いしー 。で、ついでだから“縊死”についても簡単に触れておくと、これは自分の意志で首を くくって死ぬことを意味するんだそうです。逆に人の首を絞めて殺す場合は絞殺もしく は扼殺と言いまして、手だけで絞める場合を扼殺、ロープやネクタイ、浴衣の紐などの 器具を用いて絞める場合を絞殺と区別します。ま、いずれにせよ絞められたほうは志( こころざし)半ばで死ぬことになっちゃうので、残されたものは故人の遺志を継ぐよう に努力しなければなりませんね。
 
 で、意志的に縊死した医師の遺志の話はおいといて、今日は石について考えてみ たいと思うんですが、というのも4月から配属された岐阜営業所では土木建築的な知識 も多少必要とされるようでありまして、いや、今のところそれほど仕事もないものだか ら「建設工事共通使用書」という分厚い本を読んで時間を潰しているわけなんですけど ね。仕様書というのは請負業者や各現場によって工事の出来具合にばらつきが生じると いけないので、「こんなふうにしようっしょ。」という取り決めをしたものなんですが 、いけませんよねぇ、ばらつき。骨つきバラ肉というのはおいしいものですけどね。例 えばジャズの演奏だったりしたら多少デキが悪かったとしても、「体調が悪かったんだ ね、きっと。」ということで大目に見てもらえたりするわけなんですが、いや逆に「こ のラリラリなところがイイんだよねぇ。」と褒められたりもするんですが、お役所相手 の仕事となるとそうもまいりません。クスリをカジって現場に赴いて、あ〜ん、井戸を 掘るのを間違えて、ウドを掘っちゃったぁ♪とか言ってお昼にウドの酢味噌和えを作っ たりしていると、次回から指名停止になっちゃうことは必至。これから何でメシを食っ ていけばいいんだ!?と上司に詰問されて、やっぱりウドかなぁ?と答えてますます怒 りを買い、グアムにだって連れてって貰えないかも知れません。そういえば今度の週末 なんですよねぇ、グアム。まだ何の用意もしてなくて、海水パンツだってハワイに行く 時に買ったのが1枚あるきりです。サポータ付きのタイプだったんですが、穿き過ぎが 祟ってサポータ部分がびりびりになっておりまして、これ1枚だけではハミ出しちゃう ことは必至。グアムの海はナマコがたいへん多いそうですが、このままでは現地の女子 高生に「おー、じゃぱにーず、なまーこー!」などと言われかねないので、もっか対策 を検討中でございます。
 
 で、共通仕様書。一口に土木工事に使う「石」と言ってもなかなか奥が深いよう でありまして、たとえば土に関しては「工事に使用する土は、その使用目的に適合する 土質のものでなければならない。」と書いてあるだけなんですが、「石」に関してはか なり詳しくその仕様が定められております。例えば「間知石」に関しては「間知石は、 面の形状がほぼ長方形であって、控えは四方落としとし、面に直角に測った控えの長さ は面の最小辺の1.5倍以上のものでなければならない。」という規定がございます。 だから工事で間知石を使う場合には1個ずつ間知石を手に取って定規で面の最小辺と面 に直角の控えの長さを測定し、電卓をぽちぽちと叩いて比を計算して、あ〜ん、控えの 長さが面の最小辺の1.47倍しかないから駄目かぁ。。。といった作業をしなければ ならず、間知石んぐ・マチコ先生もびっくりといった面倒さなんですが、だいたい間知 石って何なんですかね?読みかたは「まちいし」でいいんですかね?もし間違っていた りしたら、せっかくの「まちいしんぐ・マチコ先生」ネタが台なしになっちゃいますが 、調べてみたらやっぱり間違っておりまして、正しくは「けんちいし」と読むんだそう です。ま、いずれにせよたいして面白いネタでもなので、別にどうでもいいんですけど ね、間知石んぐ・マチコ先生。ちなみにこれは石垣を組むのに用いられる石だそうであ りまして、だから面の形状がほぼ長方形になっているわけなんですね。いっそのこと、 テトリスみたいに色々な形状の石にしておくと、石垣を組むときに楽しいんじゃないか な?という気もするんですが、横の列が隙間なく埋まった時点でその列の石がパッと消 えてしまい、うまい人ほどいつまでたっても石垣が積み上がらないのが欠点なんですけ どね。
 
 で、手と栗鼠が出たついでに、こんどは栗について考えてみたいと思うんですが 、いや、栗鼠という字には「栗」の字が含まれておりますし、栗と栗鼠というのはとっ てもイイものだという話もよく耳にしますしね。で、土木建築学的に用いられる石の中 に「栗石」あるいは「割栗石」と呼ばれるものがありまして、これは仕様書では「通常 径は5cmから15cmまでとし、極端に扁平又は細長いものであってはならない。」と規定 されております。ほぉ、わりと大きなものなんですねぇ。ちょっぴり意外な感じもしま したが、「極端に扁平又は細長いものであってはならない。」というのは心の底から納 得がいきますね。いや、ただなんとなく、そういうものであってはならないという気が するだけなんですが、えーと、共通仕様書でネタになるような話と言えば、そんだけで す。
 
 @ はい、ジェリー・マリガンとポール・デスモンドです。ジェリー・マリガン とポール・デスモンドの『ジェリー・マリガン&ポール・デスモンド・カルテット』と いう名前のヴァーブ盤です。ジェリー・マリガンとポール・デスモンドと2人も管楽器 が入っているのに何故カルテットなのかというと、ピアノが入ってないからなんですが 、ピアノレスの2管カルテットというのはマリガンの得意パターンですよね。通例は相 方としてチェット・ベイカーのトランペットなどが入っているわけですが、たまには気 分を変えてアルトでも入れてみるぅ?と言うことで、ゲストにポール・デスモンドを呼 んでみました。という、その程度の思い付きで作られた1枚ではないかと思うんですけ どね。ヴァーブだしー。ということで、では1曲目から聴いてみましょうね。
 
 「ブルース・イン・タイム」はポール・デスモンドのオリジナルで、2人のイン タープレイを主にしたミディアム・ファーストのブルースである。白人同志ということ もあって、2人はコンセプション的にも合致するので、呼吸の合ったスリリングなアド リブを展開している。…と日本語ライナーで岩浪洋三クンが書いているとおりの演奏で あります。ただ「白人同志」というのは「白人同士」のほうがいいのではないか?とい う気がしないでもないんですが、ま、「志(こころざし)を同じくする者」という意味 では「同志」でも間違いではありませんけどね。ただ、「スリリングなアドリブ」とい う文章ののあとに「イカリングなフライ」いうフレーズを入れると、よりベターだった のではないかと思われます。今ひとつマジメ過ぎますからねぇ、岩浪クンの文章って。 で、ついでにいうと「岩浪」というのはザウルスでは一発変換されないので、岩波洋三 に改名したほうがいいと思います。で、演奏のほうはと言うと、マリガンの吹くイント ロに途中からデスモンドが絡んできて、これといったテーマ・メロディのないまま2人 の掛け合いによるソロへと展開してまいります。デスモンドというと藤山甘美なプレイ の印象が強いんですが、ここではかなり貴真面目な演奏を栗広げて、いや、繰り広げて おりますね。マリガンだって極めて好調ですし、中間部でフィーチャーされるジョー・ 便蛇民のウォーキング・ソロも聴きものです。そのあとデスモンドのロング・ソロとな りますが、時折フリーキーなトーンを交えたりして、とってもスリリングでイカリング なフライでありますなぁ。そのあと今度はマリガンのロング・ソロになりますが、こち らは時折ストップ・タイムを用いていて、それがとっても効果的でございます。それに してもえらく長い演奏ですなぁ。。。とか思っていたら、終わりました。
 
 2曲目、「身も心も」。短冊型のイカフライは食べているうちに必ずコロモから イカがすっぽ抜けちゃうものでありますが、その点イカリングフライは身もコロモも一 帯感があってイイですよね。ま、硬いイカを使うとイカリングでもやっぱりコロモとイ カが分離しちゃうことがあるんですが、これは別にリング型という形状に問題があるの ではなく、その非はあくまでも硬いイカの側にあるわけであります。で、「身も心も」 。イントロなしでいきなりマリガンがテーマ吹きはじめます。こういうのって何だかカ ッコいいですよね。ただイントロを思いつかなかっただけかも知りませんけどね。で、 途中からデスモンドが絡んでくるわけですが、デイブ・ベイリーがブラシで地味なこと もあって、ほとんどベースのピチカートだけをバックにしたような感じであります。こ ういうのもイイですよねぇ。何だか渋くて、大人の味のケチャップ・ライスっていう感 じぃ?いや、ちっとも大人の味じゃないんですけどね、ケチャップ・ライス。子供の頃 ケチャップ・ライスが大好きで、コドモ心にも子供っぽい食い物やなぁ。。。と思って おりましたが、やっぱり大人の味といえばイカリングフライ?ところでふと疑問に思っ たんですが、どうしてイカリング天麩羅というのは無いんでしょうかね?イカの天麩羅 と言えば必ず細長い形をしているんですが…とか書いてるうちにベンジャミンのソロが 始まりました。これがなかなかよくて、このアルバムの隠れた立役者はベンジャミンで はないかと僕は思います。はい3曲目。「スタンド・スティル」はジェリー・マリガン のオリジナルで、50年代の初期によくみられたパターンの演奏だそうです。成るほど 、このパターンですな。いかにもウエスト・コーストと言った感じで、個人的にはあま り好きではありませんが、ま、こういうのが好きな人もいるだろうから、人生というの は様々でありますなぁ。
 
 と人生訓をひとつ書いておいて、いや個人的には人生訓よりもイカクンのほうが 好きなんですが、だいたい「人生というのは様々」って、人生訓と呼べるような代物で もありませんけどね。で、4曲目の「ライン・フォー・リヨン」」もマリガンのオリジ ナルでありまして、チェット・ベイカーとのコンビによる4重奏で52年にファンタジ ーへ初録音しているほか、ボブ・ブルックマイヤーとのコンビでパリのコンサートでも 演奏、その録音はヴォーグにある。ということであります。さすがは岩浪クン、そこら あたりは詳しいですなぁ。これで名前を岩波クンに変えてくれれば言うことはないんで すが、演奏自体は50年代の初期によくみられたパターンで、個人的にはあまり好きで はありません。で、5曲目。「ウインター・ソング」はポール・デスモンドのオリジナ ルで、いかにも彼らしいリリカルな作品に仕上がっております。独特の甘いトーンも顕 著でありまして、本アルバムで最もデスモンド寄りの1曲と言えるでありましょう。続 く「バトル・ヒム・オブ・ザ・リパブリカン」もデスモンドのオリジナルで、有名な「 バトル・ヒム・オブ・リパブリック」にひっかけた演奏。…と洋三クンが書いておりま すが、そっか。岩浪クンじゃなくて洋三クンなら一発変換出来るから、ぜんぜん問題は なかったわけですね。で、演奏のほうは全然「リパブリック賛歌」じゃないので、「… にひっかけた演奏」じゃなくて「…にひっかけた曲名」と言うのが正解でありましょう 。ちなみに「リパブリック賛歌」というのは、おーたまじゃくしは蛙の子〜♪という、 あの曲のことであります。で、演奏のほうはアップテンポでありまして、まあまあとい った感じですかね?
 
 で、いよいよラストです。「フォール・アウト」はマリガンのオリジナルで、ち ょっと「ファイブ・ブラザーズ」を思わせる軽快な演奏で、2人のいきいきとしたアド リブが全編にわたって活躍してる。…って、「アドリブが活躍」というのもちょっと変 なような気もしますが、いや、肛門括約筋が活躍というのなら心の底から納得出来るん ですけどね。で、デスモンドもマリガンもともに白人であり、コンセプション的にも共 通するものがあるうんぬん…って、それは1曲目のところに書いてたやん。…という気 がするんですが、最後の曲になって書くことがなくなってきちゃったんでしょうね、洋 三クン。その気持ちはよーくわかります。で、演奏全体としても1〜2曲あたりは「結 構いいかも?」という感じだったんですが、似たような感じの演奏が多いので後半にな るにしたがって飽きてきちゃうと、そういう気がしないでもないアルバムでございまし た。さ、グアムはもうすぐです。


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