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【アルバム名】
ON THIS NIGHT (IMPULSE)
【リーダー名】
ARCHIE SHEPP (1965/3/9,8/12)
【パーソネル】
ARCHIE SHEPP (ts,p) BOBBY HUTCHERSON (vib) HENRY GRIMES (b)
RASHIED ALI (ds) ED BLACKWELL (rhythm logs) J.C.MOSES (ds)
JOE CHAMBERS (ds,tympani) CHRISTINE SPENCER (soprano voice)
DAVID IZENZON (ds)
【収 録 曲】
ON THIS NIGHT (IF THAT GREAT DAY WOULD COME) / THE MAC MAN /
THE ORIGINAL MR. SONNY BOY WILLIAMSON / IN A SENTIMENTAL MOOD /
THE PICKANINNY (PICKED CLEAN - NO MORE - OR CAN YOU BACK BACK DOODLEBUG)
【内   容】
 頭が痒ぃですなぁ。何故、頭がこうも痒いのかとつらつら考えてみたんですが、 あ、そういえば昨日、風呂に入ってませんな。子供の頃、「ねえ、ちゃんと風呂入った ?」と聞かれて「はいったぁ♪」と答えると、「わあ、姉ちゃんと風呂入ったんやー! すけべ!」と言われたものでありますが、こんなことを言ってヨロコんででいたんだか ら、子供の頃ってバカだったんですねー。子供の頃はバカだったと言えば、先日“Infos eek”でサイト検索していたところ『ほぼ日刊イトイ新聞』というのが引っ掛かり、い や、このサイトはサーチ・エンジンで検索するとかなりの確率で引っ掛かるわけなんで すが、その日に引っ掛かったのは
 
◆「まるでハガキのように」によせられた 「ガキの頃は、バカだったなぁ」を、 楽しみましょう。
 
というページでありまして。その中で多かったのが“歌詞の勘違いネタ”でありま して、中でも「赤い靴の女の子」がアブナイですね。正式なタイトルは何と言うのか知 りませんが、「赤い靴〜はいてた〜、女の子〜♪」と言う、例の童謡でございます。で 、この歌のどこがアブナイのかと言うと「異人さんに連れられて、いっちゃった〜♪」 というフレーズでありまして、最後に“♪まーく”を付けるのも憚られるほど暗く悲し い歌であるわけなんですが、この「異人さん」のところを「いい爺さん」だと思ってい た。というパターンが多かったですね。「いい爺さんに連れて行かれて、よかったじゃ ないのぉ♪とコドモ心にも思った。」というのがオチなんですが、これは今ひとつ“ひ ねり”が効いてなくて、話としてはさほど面白くはないですよね。もっとも、この聞き 違いはコドモだけに非を求める少し酷でありまして、“異人さん”などという、今では 社会生活でほとんど使われることのなくなった言葉を持ってきてしまった作詞家の責任 であると共に、今ひとつメロディと合ってなくて「いーじんさんに〜♪」と長音になっ てしまった点では作曲家の問題も蔑ろにすることは出来ません。だれや、こんな歌を作 ったのは?
 
  作詩:野口雨情  作曲:本居長世
 
最初、ぱっと“本居長世”という名前を見たとき“本居宣長”かと思い、何故『古 事記伝』のオッサンがこのような童謡の作曲を?と思ってしまいましたが、それはそう と“赤い靴の女の子”でサイト検索したところ、またしても『ほぼ日刊イトイ新聞』が 出てまいりました。今度は「小林秀雄、あはれといふこと。」というページでありまし て、子供の頃、かなり長い間
 
  赤い靴はいてた女の子
  ひいじいさんに連れられて
  行っちゃった
 
だと思っていた。というネタでありました。この“異人さん=ひいじいさん”とい うパターンも多いですよね。もしかしたら“異人さん=いい爺さん”説よりも多いかも 知れませんが、ちなみに『赤い靴』のモデルになったのは清水市出身の岩崎きみちゃん (当時3ちゃい)という女の子でありまして、事情によって母のかよさんと離れてアメ リカ人宣教師ヒェット夫妻の養女になったそうであります。成るほど、異人さんという のは“ひいじいさん”でも“いい爺さん”でもなくて、ヒェットさんだったわけですね 。で、歌のほうでは女の子は
 
  横浜の埠頭から船に乗って
  異人さんにつれられて
  行っちゃった
 
ということになっておりますが、実際のところ、きみちゃんは当時不治の病であっ た結核に冒されてヒェットさんと一緒にアメリカへ旅立つことはできず、孤児院にあず けられたまま9歳の生涯を閉じたのだそうでございます。そしてお母さんのかよさんは ヒェットさんの養女になった娘がアメリカで幸せに暮らしているであろう事を信じてた まま、この世を去ったそうでございます。
なんて哀しいお話なんでしょう。こうして書いているだけで涙が出ちゃいました。 だって、花粉症なんだモン。だから鼻水も出ちゃう。。。つまりこの歌は娘が幸せにな っていることを信じていたお母さんの立場から作られたものなのかも知れませんが、そ れにしても
 
  今では青い目になっちゃって
  異人さんのお国に
  いるんだろう
 
…って、いくらアメリカに行ったからって、急に目が青くなるもんでもないでしょ うが、野口雨情。雨、雨、降れ降れ、もっと降れ〜♪…って、それは雨の慕情。ちなみ に僕は子供の頃から頭がよかったので、異人さんはちゃんと異人さんとして認識してま したけどね。ただひとつ少し歌詞を勘違いしていた歌がありまして、それは何かという と「天才バカボン」のエンディング・テーマなんですけどね。
 
  枯葉散る白い〜テラスの午後三時〜♪
 
という、およそバカボンには似つかわしくないバラード調のマトモな歌でありまし て、おそらく製作者としてはそのギャップが狙いだったんでしょうが、僕はこの歌詞を 勘違いしておりました。
 
  枯葉散る白い〜テラスの坊さん寺〜♪
 
と歌っておりました。ずっと「坊さん寺(ぼうさんじ)」という寺の名前だと思っ ておりました。だって、お寺にはお坊さんが付き物ですしね。ところで「ガキの頃は、 バカだったなぁ」には“ひいじいさん説”と“いい爺さん説”の他にもうひとつの説が あって、それは何かと言うと“にんじん(人参)さん説”というものなんですけどね。
 
「赤い靴、は〜いてた、女の子、い〜じん(異人)さんに連〜れられて、い〜っち ゃった〜」という歌の歌詞を「にんじん(人参)さんに連〜れられて・・・」だと思い 込んでいました。しかも、この少女は、身寄りのない孤独な身の上で、引き取り手もお らず、だから人参なんかに引き取られていくのだと思い、なんてかわいそうで淋しい話 しなんだと思っていました。
 
うん、実にかわいそうで淋しい話でありますなぁ。。。ちなみに“赤い靴の像”は 横濱の山下公園にありますが、生まれ故郷の清水には“赤い靴の女の子の母子像”とい うのもあるそうです。ちなみに“赤いスニーカーのマスター”はここにおります。
 
http://ntt.asahi.com/532/jazz/000601.html
 
ここ(↑)
 
 @ ということで、本日はアーチー・シェップです。シェップぅ?じゃ、今日は 後半を読むのヤメよ。。。と思った人も多数いると思いますが、僕も盛り上げる自信は まったくありません。ま、適当に読み飛ばしてくださいね。で、今回はインパルス盤の 『オン・ジス・ナイト』というアルバムを選んでみたんですが、ところでみんな、『静 かなるケニー』や『グルーヴィー』のCDは持っているかな?1986年頃にビクター から出された日本盤に限られると思われますが、そこには“プレスティッジ・マークの 向こうにジャズの神様がいる”と題されたエッセイが掲載されております。誰が書いた のかというと、内藤遊人クンという人なんですけどね。で、そこにはこんなエピソード が書かれております。
 
 忘れもしない九州博多のとあるジャズ喫茶。ドアがあいて、二人の一見物知り顔 風の男たちが入ってきた。左のスピーカーのすぐ前に腰をおろし、水を持ってきたヒゲ づらのマスター風に注文した。
「オレは、シェップの『オン・ジス・ナイト』。“イン・ア・センチメンタル・ム ード”の入っているA面をかけてくれ。B面はダメだぞ。」
「それはまだ、かけられないんです。」
「あそこの壁にかかってるじゃないか。」
「あれはインパルスです。うちでは7時を過ぎないとかけられないことになってる んです。」
 
うんぬん。えーと、わざわざ引用したわりには大して面白くもない話でありました が、そういうアルバムだったんですな、シェップの『オン・ジス・ナイト』。ちなみに 僕の持っている輸入盤のCDには『ファイア・ミュージック』のセッションから何曲か がオマケに入っておりまして、ついでに曲順も変更されているようでありまして、「イ ン・ア・センチメンタル・ムード」はB面にあたる5曲目となっておりますが、今回は 僕の持っているCDの曲順に合わせて、ついでにオマケ曲は無視して話を進めてみたい と思います。
ということで1曲目の「オン・ジス・ナイト(イフ・ザット・グレート・デイ・ウ ッド・カム)」。長ったらしいタイトルですなぁ。。。で、無機質なピアノの無伴奏ソ ロで始まりますが、これはシェップ自らが弾いているもののようです。で、続いてお姉 さんの歌のようなものが始まります。ボーカルではなく、ジャケットには“ソプラノ・ ヴォイス”とクレジットされておりますね。全体的に陰気なオペラ風のムードでありま して、やがてベースとドラムスとボビ・ハチのヴァイブが加わって、かなり意味不明に なってまいります。この曲がオリジナルではA面なのかB面なのかサダカではありませ んが、もしB面に入っているのだとすれば物知り顔風のお兄さんに「B面はダメだぞ。 」と言われちゃうのも止むなし。。。といったところです。僕はぜんぜん物を知らない 無知無知ボーイなんですが、それでもやっぱり「ダメだぞ。」と思ってしまいました。 が、5分15秒を過ぎたあたりからムードが大きく変わって、ちょっぴりブルージーな 変態ジャズ。といった感じになってまいります。シェップも本職のテナーにスイッチし て、今ひとつよくわからんソロを披露しておりますが、ボビ・ハチのヴァイブがクール な響きで演奏に落ち着きをもたらしておりますな。で、最後に再びねえちゃんの陰気歌 が登場して、おしまい。実験色が強すぎて、その結果は失敗に終わっちゃった。。。と いう1曲でありました。はい2曲目。「ザ・マック・マン」は普通のジャズです。ごく 普通のよくわからんフリー・ジャズでありますが、後期コルトレーンやアルバート・ア イラーなんかと違って、ごく希に「おや?」と思うような綺麗なフレーズが出てくると ころがシェップの特徴ですね。フリー系にしてはまだ聴きやすい部類ではないでしょう かね?で、ここではボビ・ハチのソロも聴かれ、これがまた実に爽やかな新主流派風の サウンドで、なかなか楽しめるデキなのでありました。その後に再び登場するシェップ はかなり激情に走っております。こうなってくるとアイラーでも後期トレーンでも、み んな同じですなぁ。。。とにかくまあ、テンポもムードも激しく変わる忙しいナンバー でありました。
 
 はい3曲目。「ザ・マック・マン」…って、あ、これは別テイクですな。興味の ある人は2曲目の本テイクと聞き比べてみると面白いかも知れませんね。僕はちっとも 興味がないので、ぜんぜん面白くはないんですけどね。軽く聞き比べてみた感じ、別テ イクのほうがノッケから“神懸かりコルトレーン風”になっちゃってるように思われま す。さ、先に進みましょう。4曲目は「ザ・オリジナル・ミスター・ソニー・ボーイ・ ウイリアムソン」。なんとなくのんびりしたムードの曲ですな。ヴァイブとの絡みもE 気持ちだし、鼻はスースーするし…って、いや、小林製薬の「鼻スースースティック」 というのを買ってきて試しているんですけどね。口紅のような形のプラスチック製のス ティックの中にメンソレータムのようなものが入っていて、鼻の穴に突っ込んで吸い込 むと名前の通り、鼻がスースーします。これ、“器具”として別の用途に使ってみても 気持ちイイかも?とふと思ってしまいましたが、いや、。まだ試したことはないんです けどね。とか言ってる間にも演奏は続いておりますが、特筆すべき点はありません。は い5曲目です。物知り兄さんもお気に入りの「イン・ア・センチメンタル・ムード」で す。エリントン・ナンバーなんですが、実にしみじみとした綺麗なメロディのバラード でございます。音の並びは「はーるばる来たぜ、ハコダテー♪」とまったく同じフレー ズなんですけどね。俗にいう“函館フレーズ”の作品でありまして、この音列は「優し き伴侶を」や「ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームズ」でも用いられておりますね 。どれも極め付けの名バラードなんですが、北島三郎が歌うと「函館の女(ひと)」に なっちゃうんだから、不思議なものですなぁ。。。で、ここでのシェップはかなりデフ ォルメしてテーマを吹いておりますが、“シニカルなリリシズム”とでも言うべき独特 の世界を作り上げており、壮絶な美を感じさせます。変態フリー・バラードの極みと言 えましょう。
 
 はい、ラストです。僕の持っているCDはここで「ザ・チェイスト」という曲の 3連発になりますが、これは『ファイア・ミュージック』のセッションでボツになった 演奏ですね。ちなみに『ファイア・ミュージック』はテッド・カーソンやマリオン・ブ ラウンの参加した62年2月のセッションから5曲、デビッド・アイゼンソン、J.C. モーゼスとのトリオによる62年3月のセッションから1曲、という構成になっており ますが、この「ザ・チェイスト」は3月のトリオのほうの演奏ですな。ちなみにこのセ ッションのうち「マルコム・マルコム・センパー・マルコム」が『ファイア・ミュージ ック』に収録され、「ザ・ピカナイニー」が『オン・ジス・ナイト』に拾われて、「ザ ・チェイスト」はどちらからも“えんがちょ”にされたと、そういう構図になっており ます。ということでCDで言うと9曲目の「ザ・ピカナイニー」。括弧して(ピックド ・クリーン−ノー・モア−オア・キャン・ユー・バック・バック・ドードゥルバグ)な どという長ったらしい副題が付いておりますが、曲、演奏、共に意味不明です。おしま い。


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