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- 【アルバム名】
- MORE BLUES AND THE ABSTRACT TRUTH (IMPULSE)
- 【リーダー名】
- OLIVER NELSON (1964/11/10,11)
- 【パーソネル】
- OLIVER NELSON (arr,cnd) THAD JONES (tp) PHIL WOODS (as)
- PHIL BODNER (ts,eng-h) PEPPER ADAMS (bs) ROGER KELLAWAY (p)
- RICHARD DAVIS (b) GRADY TATE (ds)
- DANNY MOORE (tp) BEN WEBSTER (ts)
- 【収 録 曲】
- BLUES AND THE ABSTRACT TRUTH / BLUES O'MIGHTY / THEME FROM MR. BROADWAY /
- MIDNIGHT BLUE / THE CRITIC'S CHOICE / ONE FOR BOB /
- BLUES FOR MR.BROADWAY / GOIN' TO CHICAGO BLUES // ONE FOR PHIL /
- NIGHT LIGHTS
- 【内 容】
- 今日は“いろ”のお話です。“エロ”のお話ではありません。“色”のお話です
。ま、“いろ”と“エロ”は言葉の響きが似ているだけでなく、意味的に共通するもの
があるのも確かなんですけどね。“色っぽい”と言えば「すけべ的な魅力がある」とい
うことだし、“色事”といえば「すけべ行為」の意味だし、“色めき立つ”と言えば「
すけべしたくてコーフンして落ち着かなくなる」といった情況を示したものであります
。すなわち“色”という言葉をそのまま“すけべ”という単語に置き換えてもほぼ意味
が通じるわけなんですが、例えば
-
- 色男=すけべ男 色恋=すけべ恋 色目=すけべ目 色道=すけべ道
- 色魔=すけべ魔 色鉛筆=すけべ鉛筆 色即是空=すけべ即是空
-
- という具合ですね。「すけべ、すなわちこれ、空なり。」って、何だか悟りを開い
ちゃってますなぁ。枯れちゃってると言うか。人間、なかなかこのような境地に達する
ことは出来ないわけでありますが、ちなみに僕はちょっと色弱の気があるんですよね。
これを“色=すけべ”の法則に当て嵌めると“色弱=すけべ弱”ということになり、成
るほど、僕が今ひとつ“すけべの道”に強くないのはこういうわけだったんですな。で
、“色鉛筆=すけべ鉛筆”というのはちょっと違うんじゃないか?という意見もあった
んですが、成るほど、言われてみれば確かに色鉛筆には“すけべ”の雰囲気は希薄です
よね。ただ、とあるアンダーグラウンド系の写真集には色鉛筆を器具として使用してい
るようなシチュエーションも見られましたので、あながち“すけべ”とはまったく無関
係であると言い切ることは不可能ではないかと思われますが、あ、でも色鉛筆よりも普
通の鉛筆のほうが“かどかど”があってイイのぉ♪というようなことはどうでもよくて
、“色”には“すけべ”という意味だけでなく、英語で言うところの“color”に相当
する意味合いもあるということが色鉛筆の例でわかっていただけたことと思います。で
、今回、僕が話題にしようとしているのはこの“color”のほうの“色”なんですけど
ね。
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- 白と黒。世の中にいろいろある色のうち、その根源を成しているのはこの2色で
あります。それはシマウマを見れば一目瞭然なわけなんですが、パンダだってそうです
よね。パトカーだって白と黒です。碁石の色も白と黒だし、オセロの駒は表が黒で裏が
白になっております。いやあれは表が白で裏が黒なんだ。という人もおりますが、そん
なことはどっちだっていいです。オセロの駒のどちらが表か?というようなどうでもい
い問題にいちいち白黒をつける必要はないわけでありまして、それはともかく色の基本
が白と黒である限り、世界で初めてテレビを作った人がそれを“白黒テレビ”という方
式にしたことはとても賢明な措置だったと思います。これがもし“赤緑テレビ”という
ようなものだったら、赤緑色弱である僕にとってはヒジョーに見づらいものになっちゃ
うところでした。危ないところでした。ところで“赤緑テレビ”はともかく、“白黒テ
レビ”はもしかしたら“黄黒テレビ”になっていたかも知れないという話をご存じです
か?というのも世界で初めて白黒テレビを考案したホワイト・ブラックマンさん(当時
24歳)は動物園でシマウマのしま子ちゃんを見ているうちに「テレビの方式は白黒に
しよう!」と思い付いたんだそうでありまして、これがもしシマウマのしま子ちゃんじ
ゃなくてトラのタイガーバーム君だったりしたら、テレビというのは黄黒式になっちゃ
うところでした。テレビ番組も“蜜蜂モノ”や“踏切り物”ばかりになっちゃうところ
でした。危ないところでした。
- トラのタイガーバーム君ならまだしも、カバの太田クンだったりしたらカバ色テレ
ビになるところでした。最近のテレビというのはバカな番組ばかりやっておりますが、
ひとつ間違えればカバな番組ばかりになっちゃうところでした。危ないところでした。
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- 白黒テレビというのはその名前からして白と黒以外の色は映らないのかというと
、決してそんなことはありません。ちゃんと灰色だってうつります。それもただの灰色
だけでなく、白っぽい灰色から黒っぽい灰色まで、あらゆる種類の灰色が映ります。立
派なものじゃないですかぁ。が、いくら立派であると言ったところで所詮は白と黒と灰
色でございまして、今ひとつ華やかさとか艶やかさに欠ける嫌いがあるというのも確か
ですよね。それもそのはず、“艶やか”という漢字は“豊かな色”と書くわけでありま
して、白と黒と灰色というようなぜんぜん豊かじゃない色では艶やかになるハズがあり
ません。そこで白黒テレビは考えました。どうすれば色を豊かにすることが出来るのか
、あれこれ策略を巡らせた結果、思い付いたアイデアというのが“セロハン大作戦”な
んですけどね。いや、なんのことはない、白黒テレビの画面の前に色セロハンを張って
みたら何となく色が付いているように見えるよね?という実にまあ原始的と言うか、単
なる思い付きというか、半ばヤケっぱちと言うか、そういった感じがしないでもない発
想ではありますが、なるほど、確かに白黒テレビの画面の前に赤いセロハンを貼れば、
何となく赤い色がついたように見えますよね。ま、正確には“赤いセロハンを通して見
た灰色”みたいな感じになるだけなんですけどね。
-
- で、このアイデアが優れているのはただ赤色になるだけでなく、黄色いセロハン
を貼れば何となく黄色っぽい世界、青いセロハンを貼れば何となく青っぽい世界という
ように、その時のムードや気分、T.P.Oに合わせていかようにも色を変えることが出
来る点ですよね。赤・青・黄色のセロハンを3分の1ずつ貼って“3色テレビ”にして
もいいし、野原一面に咲き乱れる三色スミレの映像だったら、花と同じ色のセロハンを
花びら形に切って貼り付け“総天然色もどき”にすることだって夢ではありません。夢
ではありませんが、1つめの花びらを切っているうちに画面がいきなり“金鳥の蚊取り
線香”に変わったりして、なかなか容易なことではないということぐらい、すぐにわか
りますけどね。どだい、白黒テレビに“色の豊かな艶やかさ”を求めること自体が間違
っておりまして、そのことに自分でも気付いた白黒テレビは新たなる道を模索すること
になります。“色”以外に何か豊かにすることは出来ないか?といろいろ考えた結果、
思い付いたアイデアというのが“色”の変わりに“魚”を豊かにするという発想なんで
すけどね。何故、サカナ?と僕に聞かれても困るわけでありまして、白黒テレビの考え
ていることは今ひとつよくわかりませんなぁ。。。と答えるしかないわけですが、とも
かく白黒テレビは“魚”を豊かにする道に走りました。画面に“魚”をたくさん映すだ
けでなく、木で出来た外枠も“魚模様”にしてみました。足だって“魚柄”だし、昔の
テレビには付き物だった緞帳のような幕にも“サカナの刺繍”があしらってみました。
こうして魚が豊かになった白黒テレビは“艶やか”にこそなれなかったものの、とって
も“鱧(はも)やか”になったということです。おしまい♪
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- @ さ、オリバー・ネルソンです。で、オリ・ネルと言えば『ブルースの真実』
と相場が決まっているわけですが、この『ブルースの真実』がとっても好評だったので
、調子に乗ったネルソンはすかさずその続編を作っております。“二匹目のドジョウ”
と言うか“二番煎じ”というか、こういう事例は洋の東西を問わず、極めてありがちな
ことですよね。例えば田中康夫クンは『なんとなくクリスタル』が大ウケしたもんだか
ら、すかさず『ブリリアントな午後』なんて小説を書いちゃってます。最近では“脱ダ
ム宣言”が評判になっているから、それに気をよくしてまた何か“第2弾”を考えてい
るかもしれませんね。ダムと次はハムだぁ!とか言って、“脱ハム宣言”とか。長野県
民はハムとソーセージを買ってはいけない。ナーンデカ?
- それは、お上にハム買って(刃向かって)はいけないから。…などと堺すすむみた
いなことを言って県民の顰蹙を買うかもしれません。で、それはともかくとして『ブル
ースの真実』の続編『続・ブルースの真実』なんですが、『ブル・真』が有名になった
のはオリバー・ネルソンの実力とか知名度とかには何の関係もなく、エリック・ドルフ
ィー、フレディ・ハバード、ビル・エバンスといった異色にして豪華なサイドマンの魅
力による側面が強いのではないかと思われます。それに比べて『もっとブルースの真実
』のほうはサド・ジョーンズにフィル・ウッズにペッパー・アダムスにロジャー・ケラ
ウェイですかぁ。最後のケラウェイは
-
- ・裏路地や 蹴られて痛い 鼻血かな
-
- > 出血大サービス。
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- という俳句になるからまあいいとして、全体的にはサイドが今ひとつ印象薄。。。
といった感がなきにしもあらずですよね。ま、とりあえず聴いてみましょうかね?
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- 1曲目は「ブルースの真実」です。『ブルースの真実』には「ブルースの真実」
という曲は入っておりませんでしたが、アルバム自体がとっても好評だったので続編で
は同じタイトルの曲を作ってみたわけですな。ちなみに原タイトルでは“blues”の他
に“abstract”についても触れられており、正しくは「ブルースと抽象の真実」となる
のでありましょうが、土着的でアーシーなブルースではなく、それを抽象的に再構築し
たのが『ブルースの真実』というアルバムの特徴でした。ちなみに前作ではネルソン自
身の抑揚がなくて地味で今ひとつぱっとしないテナー・プレイがフィーチャーされてお
りましたが、器楽奏者としての自己の実力に見切りを付けたのでありましょう、続編で
はアレンジと指揮のみを担当しております。で、この曲、出だしのアンサンブルがちょ
っぴり今ひとつで、所詮は続編かぁ。。。という気がしないでもなかったんですが、テ
ーマ・メロディに入るとネルソンらしさが出てきて悪くはないですね。あまりブルース
という感じはしませんけどね。ちなみにこのアルバムはトランペット、アルト、テナー
、バリトンの4管編成が基本でありますが、この曲ではもう一人トランペットのダニー
・モアという人がオマケで参加しております。で、テーマ・アンサンブルのあとはソロ
廻しとなるわけですが、ケラウェイ(p)、フィル・ウッズ(as)、ペッパー・アダムス
(bs)の順番ではないかと思われます。メンバーからして、前作よりもオーソドックス
な演奏に仕上がっておりますな。特にウッズとアダムスのソロはいい出来です。
-
- ということで2曲目。「ブルース・オマイティ」はジョニー・ホッジスの曲で、
かなり古典的なブルースを思わせるナンバーです。ソロ1番手は佐渡上手クンで、いか
にも彼らしい中間派風のスタイルが古典ブルースにはお似合いですな。続くウッズも古
典ブルースに合わせたプレイを展開しております。ペッパー・アダムスとケラウェイの
ソロも聴けます。以上です。昨日と今日の晩飯は2日続けてサバの味噌煮だったので、
なんだか気分が落ち込んでいて曲の解説も短めなんですが、3曲目の「テーマ・フロム
・ミスター・ブロードウェイ」はデイブ・ブルーベックの曲なんですな。よそ様の作品
が多く取りあげられているのも前作と大きく違うところですが、このブルーベックの曲
は軽快で調子がよくって悪くないですね。ソロはサド、アダムス、以下略。さ、あと6
曲です。僕の持ってる輸入盤CDには全部で10曲も入っておりますが、最後の2曲は
CDオマケ曲なので無視します。4曲目の「ミッドナイト・ブルー」はニール・屁フテ
ィの曲です。今日の後半はちょっぴりボケが少ないかな?という気がしたので、とりあ
えず“屁”だけ漢字にしてみたんですが、曲自体は綺麗なバラードですね。で、この曲
には便ウェブスターがゲスト参加して、貫禄のテナー・プレイを聴かせておりますが、
やっぱり便と屁は相性がいいんですなぁ。…と下品なネタで子供の関心を集めておいて
と。
-
- 6曲目の「ワン・フォー・ボブ」はネルソンのオリジナルで、タイトルはインパ
ルスのプロデューサ、ボブ・シールにちなんだものでしょうかね?「ワン・フォー・ボ
ボ」だったらもっとよかったんですけどねぇ。…と、九州人の関心を集めておいて、あ
、曲自体はタンバリンまで入っちゃって、明るく陽気な仕上がりとなっております。タ
ンバリンを叩いているのは丹波哲郎ですかね?…と、どうでもいいことを書いておいて
、あと3曲ですね。あ、1曲間違ってました。明るくご陽気だったのは5曲目の「ザ・
栗ティック・チョイス」という曲で、次のが「ワン・フォー・ボブ」でした。書き直す
のも面倒なのでこのまま続けますが、本物の「ワン・フォー・ボブ」のほうもネルソン
のオリジナルで、ちょっぴりラテン風の導入部に続き、ちょっぴり蓮っ葉なムードのテ
ーマがコール&レスポンスで演奏されます。全体的にゴルペル・ムードが濃厚でありま
して、ソロ先発のケラウェイだって黒っぽい風のソロを聴かせておりますね。2番手の
ペッパー・アダムスはいつもの調子で、3番手のフィル・ウッズは飄々とした兵六餅ス
タイルに始まり、やがてキャノンボール風の大見得スタイルへと展開していき、かなり
頑張ってます。はい、あと2曲目。
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- サド・ジョーンズの無伴奏ソロで始まる「ブルース・フォー・ミスター・ブロー
ドウェイ」は3曲目の「テーマ・フロム・ミスター・ブロードウェイ」と同じくデイブ
・ブルーベックの曲です。“ミスター・ブロードウェイ・シリーズ”とか、そういうの
があるんですかね?サドの独奏のあと、いかにもオリバー・ネルソンらしいハーモニー
が聴かれますが、ブルースと言うよりバラードと言ってもいいほど、ゆったりとしたテ
ンポのナンバーであります。テーマ部で聴かれるオーボエに似たトーンの楽器はイング
リッシュ・ホルンですかね?で、4曲目に続き、ここでもベン・ウェブスターが味わい
深いブロウを聴かせておりますね。はいラスト。「ゴーイン・トゥ・シカゴ・ブルース
」はベイシー・ナンバーで、イントロのケラウェイのピアノがゴキゲンですね。ほとん
ど死語の世界ですね、ゴキゲン。ライナーノートではしばしば見受けられますけどね。
全体的にディープなムードが漂い、イントロ同様、ソロでもケラウェイはとってもゴキ
ゲンです。
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- ということで今週はおしまい。では皆様、来週までご機嫌よう。
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