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【アルバム名】
THE THREE FACES OF YUSEF LATEEF (RIVERSIDE)
【リーダー名】
YUSEF LATEEF (1962/1/30)
【パーソネル】
YUSEF LATEEF (ts,oboe,fl) RON CARTER (cello) HUGH LAWSON (p)
HERMAN WRIGHT (b) LEX HUMPHRIES (ds)
【収 録 曲】
GOIN' HOME / I'M JUST A LUCKY SO AND SO / QUARANTINE / FROM WITHIN /
SALT WATER BLUES / LATEEF MINOR 7TH / ADORATION /
MA - HE'S MAKIN' EYES AT ME
【内   容】
 ユ〜レイヒ〜♪レイレイレイレイレイレイ、レイホ〜♪ということで、今日のテ ーマは「霊峰」です。
 
 日本には“八百万(やおよろず)の神”という思想がございまして、八百屋にも 万屋にも神サマはいると。便所にだって“便所の神サマ”というのがいると。だから便 所の上を通る形で物干し場の階段を作ったりすると、神サマが怒って家が火事で燃えた りすると。そのように信じられております。…と、便所の神サマについて考えていたら 、いきなり「“べんわん”付けとるとこ、写真撮ってもらわなアカンね。」という声が 聞こえてまいりました。いや、これは別に「便所の神サマからのお告げ」とかそういう ことではなく、現場で監督の仕事をしながら原稿を書いていたところ、作業員から写真 撮影の要請があったという話なんですけどね。いきなり“べんわん”と言われてピンと こなくて、何となく“便椀”という漢字が脳裏に浮かんで「はあ?」と間の抜けた返事 をしてしまったんですが、あ、“弁腕”のことですな。ちゃんと横文字で“ロッカー・ アーム”と言ってくれないと、ヤングな僕にはぜんぜんピンと来ませんね。それはそう と“八百万(やおよろず)の神”なんですが、便所にもいるくらいだから当然、山にも 神サマは宿っております。で、神サマとして崇められている山のことを“霊峰”と呼び 、とってもラリホ〜♪なものだと言われております。
 
 あ、“弁腕”で思い出したんですが、エンジン用語に“バルブ・クリアランス” というのがあるんですけどね。エンジンには吸排気バルブというのがあって、カムシャ フトによってタペットとプッシュロッドが突き上げられ、ブリッジとロッカーアーム( 弁腕)によってこの吸排気バルブが押し下げられる仕組みになっているんですが、いや 、何のことだかわからない人はテキトーに読み飛ばしてくださいね。で、ピストンが上 死点にある時、プッシュロッドとロッカーアームの間にはコンマ数ミリの隙間があるわ けなんですが、この隙間のことを“バルブ・クリアランス”と言うんですよね。日本語 にすると“弁の隙間”という意味になるので、一般的にはこれを四文字に略して“弁隙 (べんすき)”と呼ぶんですが、初めてこの言葉を耳にしたときは“便好き♪”かと思 ってしまいました。エンジン屋さんというのは“スカトロ・マニア”の集団なのか?と 、ちょっぴりワクワクしてしまいましたが、“上死点(じょうしてん)”という言葉も 、聞きようによっては何だか凄いですよね。エンジン屋さんというのは“腹上死”する 人が多いのか?と、ちょっぴりワクワクしちゃいますよね。あ、そういえば“プッシュ ロッド”は日本語では“突棒(つきぼう)”と言ったりしますね。なんだかとっても爽 やかな響きだと思います。
 
 とまあ、そんなことはどうでもよくて霊峰の話なんですが、霊峰と、そうでない ただのチンケな山とを簡単に見分ける方法がありまして、それは山の名前の読み方に着 目すればいいんですけどね。で、試しにここで霊峰と呼ばれている山をリストアップし てみると
 
  富士山(ふじざん) 月山(がっさん) 白山(はくさん) 御岳山(おんた けさん) 鳥海山(ちょうかいさん)
 
・・・と、ここまで書けば共通点はもうおわかりですね。そう、霊峰と呼ばれてい る山はすべて「〜さん」という名前で呼ばれているのであります。これは何故かという と、やっぱり“神サン”の山だから“神サン”の“サン”を取って“〜さん”という名 前になったんだと思いますが、例えば月山が「つきやま」だったりしたら、白山が「し ろやま」だったりしたら、何だかぜんぜんシケた感じがしちゃいますよね?
でも、立山も霊峰って言われてるけど“たてさん”じゃなくて“たてやま”じゃん ?などと言ってはいけません。そういう鋭い指摘で話の腰を折るようなことは厳に謹ま なければならないわけでありますが、つまり僕が言いたいのは、山の名前には昔の人々 の篤い信仰心が込められているんだね♪ということなんですけどね。例えば“釈迦岳” だとか、薬師如来をまつった“薬師岳”だとか。大日如来をまつった“大日岳”なんて 、もぉハービー・ハンコックも大喜び♪って感じですよね。夢枕に立ったらしいですか らねぇ、大日如来。で、この前、白馬に行って高い山をたくさん見てきたので“山の名 前の由来”というのにちょっと興味を覚えたわけでありますが、地図を見ているといろ んな名前の山があるもんですなぁ。素股好き♪にはたまらない「三俣蓮華岳」というの は岐阜、長野、富山の三つの県にまたがるところからこの名前がついたのでありましょ う。いいですよねぇ“れんげ素股♪”とか。書いてる本人もあまりよくはわかりません けどね。で、新御三家好き♪にはたまらない「野口五郎岳」というのは、野口(←地名 )から見える、なんだか岩がゴロゴロしている山だから野口五郎岳っ!なんだそうです 。そんないいテキトーな理由で山の名前を付けてもいいのか?という気がしないでもな いんですが、ゴロゴロしているから五郎岳っ!というパターンは「黒部五郎岳」でも踏 襲されておりますな。よく探してみれば西城(←地名)から見える、なんだか“ひでぇ 木”がいっぱい生えている「西城秀樹岳」なんてのもあるかも知れませんね。・・・っ て、あるわけないですね、んなもん。
 
 で、僕がとっても気になってる山があるんですけどね。岐阜と滋賀の県境にある 標高1317メートルの山なんですが、その名もズバリ、金糞岳っ♪何だか「金粉入り のお酒をしこたま飲んだ翌日の検便」といった感じの名前なんですが、便好き♪のエン ジン屋の端くれとしては是非とも一度、登ってみたいものだと思っております。
 
 @ ということで、本日はユセフ・ラティーフです。この人、外国ではわりかし 人気があるようで、輸入盤では結構たくさんのアルバムがCD化されておりますが、日 本での人気はさっぱりですね。やはり“ヘンな東洋趣味”が敬遠されるんでしょうね。 アメリカで“じゃぱにーず・がーる・イメクラ”という店に行ったら、浮世絵とか土俵 とか鳥居なんかが飾ってある部屋にゲイシャの格好をしたパツキン女が出てきたりして タマげることがありますが、ラティーフの東洋趣味にはそれに近い違和感があると言え ますよね。ま、本人がそれでいいと思っているわけだから、他人がとやかく言う筋合い はないんですけどね。で、この『ユセフ・ラティーフの3つの顔』というアルバムであ りますが、“3つの顔”というのは何なのかというと
 
  1.フルートを吹くラティーフ
  2.テナーを吹くラティーフ
  3.オーボエを吹くラティーフ
 
という意味でありまして、それに合わせてジャケットには3種の楽器を吹くラティ ーフの“3つの顔”があしらわれております。余計なことをすな!と、僕は言いたいで す。ジャケ絵を書くのが面倒やちゅーねん。。。それでもまあ、頑張ってテキトーに書 いてしまったので、今さら「よく聴いてみたら、たいして面白くなかった。。。」とい うことが判明しても、もう後戻りは出来ません。心して聴いてみましょうね。で、1曲 目は「ゴーイン・ホーム」でございます。「強引ホモ」ではありません。場末の成人映 画の専門館というのは“強引ホモの巣窟”となっているらしいですが、いきなり握られ たりしちゃうというから強引な話ですなぁ。。。で、「ゴーイン・ホーム」のほうは「 家路」という邦題で知られるドボルザークの曲でありまして、聴いてるだけでおもわず おうちに帰りたくなっちゃう、あの例の曲でございます。遠き山に〜日は落ちて〜♪な んて日本語の歌詞がありましたっけ?で、このラティーフの演奏はいきなりタン・タタ ・タン・タタ・タン・タタ♪というタンバリンで始まり、チェロの弓弾きが無気味なム ードを醸し出し・・・と思っているとラティーフがごく普通にテナーでメロディを吹き 始め、あの思わせぶりなイントロはいったい何だったの?という感じでありますな。こ の人の考えていることはよくわかりません。
で、そのままラティーフのテナー・ソロになるわけですが、これもわりかしオーソ ドックスな出来栄えですな。続いてロン・カーターがチェロのピチカートでソロを取り ますが、これはリバーサイド盤ではよくサム・ジョーンズがやってるパターンですな。 短く絡むヒュー・ローソンのピアノは悪くありません。で、テーマに戻って、勿体ぶっ たエンディングがあって、おしまい。さ、次にいきましょうかぁ。
 
 2曲目の「アイム・ジャスト・ア・ラッキー・ソー・アンド・ソー」はエリント ン・ナンバーのようです。ちょっぴり「昔はよかったね」を思わせるノスタルジックな ナンバーでありまして、オーボエと弓弾きチェロが何とも無気味なムードを醸し出して おります。ラティーフはオーボエを吹かせたときが最も横暴に東洋趣味してますよね。 音色自体が何だか東洋健康ランド風ですもんね、オーボエ。で、ラティーフのソロに続 いて聴かれる弦楽器のピチカートはチェロでしょうか?ベースでしょうか?で、その次 に聴かれるピアノ・ソロが短いながらもなかなかの出来で、このアルバムではヒュー・ ローソンがひとり気を吐いておりますな。酔っ払いはよくゲロを吐いてますけどね。は い3曲目。「クァランティーン」は阿部ウッドレイとか言う人の曲で、タイトルは「伝 染病予防のための隔離」という意味のようです。シンプルなブルース・ナンバーであり まして、ラティーフはテナーを吹いております。この人、テナーを吹かせるとわりかし 普通ですね。で、ここでもローソンのピアノがあいてますなぁ、あなたのローソン。で 、半分フリチンのドラマー、レックス・ハンフリーズのソロも軽快であります。
 
 はい4曲目。「フロム・ウィズイン」はラティーフのオリジナルで、原文ライナ ー言うところの“イースタン・フィーリング”に満ち溢れております。内面の悟りを感 じさせる荒涼とした音世界は霊峰におけるの修験者の修業を思わせ、ここではチェレス タを弾くローソンのプレイはピアソンの弾く「エンジェル・アイズ」(アトランティッ ク盤『プレーリー・ドッグ』収録)を彷彿させます。全体的にはとっても地味地味なナ ンバーですね。で、続く5曲目の「塩水ぶるーす」もラティーフのオリジナルで、オー ボエを吹いているおかげで、とってもお離縁たる菜・・・って、どんな菜っ葉なんでし ょうな?オーボエを吹いているおかげで、とってもオリエンタルな仕上がりとなってお ります。で、この曲のいったいどのへんが「塩水」なんでしょうね?チェロの弓弾きが 相変わらず無気味であります。ソロ・パートはピチカートになりますけどね、ロン・カ ーター。盆栽が趣味らしいですけどね、ロン・カーター。で、6曲目の「ラティーフ・ マイナー・セブンス」はジョー・ザビヌルの曲なんですな。確かに、いかにもザビヌル らしい牧歌的メロディの曲でありまして、ラティーフの吹くフルートも悪くありません 。悪くはありませんが、特に書くこともありませんので、次。7曲目の「アドレーショ ン」はこのアルバムで3つめのラティーフのオリジナルで、タイトルは「神への崇拝、 礼拝」といった意味ですね。弓弾きチェロとフルートで演奏される綺麗なメロディのバ ラードでありまして、コルトレーンやドルフィーに通じる高い精神性を感じることが出 来ないこともないではありません。いや実際、心が洗われるよーな気がします。鯉だっ て洗いになっちゃうような気がします。で、ラストです。8曲目は「マ − ヒーズ・メ イキン・アイズ・アット・ミー」という曲ですね。最初の「マ」というのが何なのかよ くはわかりませんが、ミディアム・テンポの歌モノでありまして、テナーを吹くラティ ーフはオーソドックスにしてロス・プリモス。といった感じでありまして、アルバムの 末尾を飾るにふさわしい寛いだナンバーに仕上がっております。ということで、ではま た。


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