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- 【アルバム名】
- COOKIN’ (SAVOY)
- 【リーダー名】
- BOOKER ERVIN (1960/11/26)
- 【パーソネル】
- RICHARD WILLIAMS (tp) BOOKER ERVIN (ts) HORACE PARLAN (p)
- GEORGE TUCKER (b) DANNY RICHMOND (ds)
- 【収 録 曲】
- DEE DA DO / MR.WIGGLES / YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS / DOWN IN THE DUMPS /
- WELL , WELL / AUTUMN LEAVES
- 【内 容】
- 春は名のみの風の寒さや〜♪という歌詞で始まる「早春賦」は安曇野の遅い春を
待ち侘びて作られた歌でありますが、立春を過ぎて暦の上ではもう春とはいえ、まだま
だ寒い日が続きますね。みんな、風邪などひいていないかな?下痢などしていないかな
?腸炎など患っていないかな?水疱瘡など発症していないかな?肩など外れていないか
な?伊吹山から吹く北西の季節風はまだ冷たいものの、やがて南向きの風が吹くように
なると“春一番”ということになります。春という字は三人の日と書きます。あなたと
私と、そして誰の日?と歌ったのはキャンディーズでありますが、春というのは3Pの
季節だったわけですな。ということで今日のテーマは“春一番”と“サッポロ一番”。
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- “春一番”に関しては去年の今頃もネタにしたような記憶があります。確か、女
子高生のスカートがめくれてパンツが見えるのは、いったいどれくらいの風の強さの時
なのか?という疑問に答えるために“女子高生ひろ子人形”というのを作って実験して
みたのではなかったかと思われますが、その時の記事を探して読み直してみると
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- > 「春一番」というのは「秒速10メートル以上の風」ではなかったですかね?違
うかも知れませんけど。
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- などと書いてありました。で、調べ直してみると案の定、違っておりました。いい
加減なサイトですなぁ。。。“春一番”の定義は正しくは「立春から春分までの間で、
日本海で低気圧が発達し、初めて南寄りの強風(8m以上)が吹き、気温が上昇する現
象」だそうでありまして、東京や大阪では平均して2月26日頃に吹くんだそうです。
で、一方の“サッポロ一番”なんですが、皆さんもよくご存じのとおり、日本で最初に
作られたインスタントラーメンは日清食品の“チキンラーメン”ですよね。いつのこと
かというと1958年(昭和33年)というから、今から、えーと…43年くらい前の
ことですね。で、チキンラーメンというのは皆さんもよくご存じのように麺に直接チキ
ン味がつけられていたわけですが、4年後の1962年になると“スープ別添タイプ”
というのが登場します。明星食品の“支那筍入り明星ラーメン”と東洋水産の“マルち
ゃんハイラーメン”というのがそれなんですが、それにしても時代を感じさせるネーミ
ングですなぁ。。。“支那筍入り”って、今だったら中国政府からクレームがつくこと
は請け合いで、森首相が「僕は昨日“支那筍入り明星ラーメン”を食べた。」などと発
言した日にゃ進退問題に発展することは必至です。石原都知事あたりも危ないですね。
“三国人ラーメン発言問題”とか。
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- で、もうひとつの“マルちゃんハイラーメン”という名前もいったい何なんでし
ょうね?だいたい、どうして東洋水産などという水産系のメーカーがインスタントラー
メンなんかを作ろうと思い立ったんでしょうか?んでもって、何でまた“マルちゃん”
なんでしょうね?イワシの丸干しとかを作っていたからマルちゃん?と思って調べてみ
たら、東洋水産は1953年に横須賀水産として築地市場内にて創業したんだそうです
。冷凍マグロの輸出や国内水産物の取扱いをしていたそうですが、翌54年には魚肉ソ
ーセージの発売を始め、社名も東洋水産に改称したんだそうです。夢は大きく、東洋一
の水産系企業だねっ♪ということなんでしょうか。で、多くの水産系企業では市場で使
われる「屋号」を社章として使用していたそうですが、東洋水産では東洋の“と”をと
って、マルに“と”の字の“まるとマーク”というのを用いていたそうです。それがや
がて“まると”→“マルトちゃん”→“マルちゃん”になったというわけですな。
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- となると、気になるのがライバルである大洋漁業の存在でありまして、こちらは
おなじみ“まるは”のマークを使ってますよね。大洋漁業なのに何故“まるは”なのか
?大洋の“た”をとって“まるた”にするのが筋ではないのか?と思って調べてみたん
ですが、よくわかりませんでした。あるいはハマチの“は”をとって“まるは”なのか
も知れませんね。
- で、水産系である東洋水産が何故インスタントラーメンに手を出したのか?という
問題に関してもこれと言った明確な回答を得ることは出来なかったんですが、あるいは
イカソーメンからの発想なのかも知れませんね。で、それはそうと“サッポロ一番”な
んですが、これはサンヨー食品という会社が作っております。この会社は1964年に
“長崎タンメン”というのを発売してタンメンブームを巻き起こしたらしいんですが、
果たしてホントにそんなブームがあったんですかね?だいたい”タンメン”ってどんな
ものなんですかね?僕は子供の頃、“タンメン”というのは“ワンタンメン”の略であ
ると信じて疑わなかったわけですが、いや“天どん”というのは“てんぷらうどん”の
略だと思ってたくらいですしー。ほら、“てんぷらうどん”から“ぷらう”を引けば“
てんどん”になりますもんね。ちなみに「マルちゃんたぬきそば」とエースコックの“
即席ワンタンメン”は63年に発売されております。「日清焼きそば」の登場もこの年
でありまして、この年は“インスタント食品のラーメンからの脱却元年”と呼べるであ
りましょう。で、それはそうと“サッポロ一番”なんですが、これは66年の発売とな
っておりまして、スープに乾燥ネギを入れた最初のインスタントラーメンということで
あります。そういえば“サッポロ一番塩ラーメン”は小袋に入った切りゴマがおいしい
ですよね。
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- 春は名のみの風の寒さや。“春一番”が待たれるこの時期は温かい“サッポロ一
番”が恋しい季節でもあります。塩サバの僕は、やっぱり塩味が好きっ♪
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- @ 2月14日はバレンタインデー。今頃、彼女から貰ったチョコレートを食べ
つつ、マイルスの「マイ・ファニー・バレンタイン」を聴いているタワケもいるかも知
れませんが、今日は『COOKIN’』は『COOKIN’』でも、ブッカー・アービ
ンでございます。先日、某・朝○新聞に「某・林家こ○平がギャル系読者にJAZZの
聴きかたを教える」などという実にタワケた企画が載っておりましたが、マイルスの「
枯葉」を聴かせたりしてましたけどね。僕が来年、同じような企画を頼まれたら「枯葉
」は「枯葉」でも、アービンのバージョンを聴かせちゃおうと思っているんですが、そ
のアービン版「枯葉」が聴けるのがこの『クッキン』というアルバムでございます。ア
ービンと「枯葉」。一見するとミスマッチのように思える組み合わせなんですが、これ
がまた“出前一丁”と“ごまラー油”のようによく合うんですよねー。アルバムのラス
トに入っているので最後のお楽しみです。ということで、まずはメンバー紹介からまい
りましょう。このアルバムが録音された60年当時、アービンはミンガスのコンボに参
加しておりまして、参考アルバムはアトランティック盤『ブルース・アンド・ルーツ』
あたりですかね。で、この『クッキン』にはミンガスの元でで同じ釜飯を食ったホレス
・パーランとダニー・リッチモンドが参加しております。で、ベースはジョージ・タッ
カーで、リチャード・ウイリアムスのトランペットが入って2管編成となっております
ね。ということで、以上でメンバー紹介はおしまい。
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- はい1曲目です。「ディー・ダ・ドゥ」はアービンのオリジナルで、わりとシン
プルなリフ・ブルースでございます。テーマに続いてアービンのソロが聴かれますが、
テキサス・テナーの流れを汲む彼のスタイルは、こういうブルース・ナンバーで一段と
輝きを増しますよね。もぉ、このクドさはただものではありません。オシャレなスタイ
ルで“ぎゃる”に気に入られたいよね♪などという邪心はみじんも感じられず、まさし
く“真のオトコ”と言うべき吹きっぷりでございます。続くリチャード・ウイリアムス
も上ずったトーンで変なフレーズを連発しております。ちょっぴり“ブッカー・リトル
が変なプレイに走ったとき”に似てますかね?そうでもないですかね?で、ジョージ・
タッカーのピチカート・ソロがあって、ホレス・パーランの今ひとつすっきりしないソ
ロがあって、テーマに戻って、おしまい。まあまあかな?といったところですかね?
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- はい2曲目です。「ミスター・ウィッグレス」もアービンのオリジナルで、どろ
どろ陰花植物系の彼にしては軽快でスインギーなナンバーと言えるのではないでしょう
か。アービンのソロもドライブ感に溢れておりまして、途中でトランペットが絡んでく
るあたりはミンガスの影響を感じさせないこともなくはありませんね。で、続くパーラ
ンのソロは相変わらずくぐもったような感じなんですが、録音が割る印でしょうかね?
…って、割印を押してる場合ではなくて、録音が悪いんでしょうかね?フレーズ自体は
悪くないので、ちょっぴり残念なところであります。続くリチャード・ウイリアムスは
ソロの出だしこそ“上ずり気味”でありますが、次第に調子を上げてきて、アービンと
の絡みになるあたりは最高にエキサイティングですな。ということで、アービンにして
はわりとオーソドックスなハード・バップ風の演奏でありました。
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- で、ここでバラードの登場です。「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ
」はロリンズとコルトレーンの両巨頭も取りあげているナンバーでありまして、アービ
ンごときが頭のデカい2人に挑むとはムボー以外のないものでもありませんが、よく考
えたらコルトレーンの『バラード』はこれよりも後の吹き込みだから特に問題はありま
せんよね。で、演奏のほうも意外なほどの出来のよさでありまして、いやアービンのバ
ラード・プレイはもともと定評があるんですけどね。魂を直接素手で手づかみされるか
のようなテーマの吹きっぷりには悲壮感すら漂っておりまして、乙女の柔肌にも思わず
鳥肌がたっちゃうことは請け合い。僕はオンナを口説くならコルトレーンではなくてア
ービンのバラードであるべきだと思っているんですが、いや、アドリブに入ると思いっ
きりクドくなっちゃうのが玉に傷なんですけどね。玉が傷ついちゃったら大変なことで
すもんね。で、ここでも7分24秒にわたって“アービンの世界”が展開され、これだ
ったらJR四日市駅前にある“ベッ世界”のほうが。。。という気になりかけた頃にパ
ーランのソロになって、ちょっぴり救われる思いが致します。
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- はい4曲目。「ダウン・イン・ザ・ダンプス」はアービンのオリジナルで、日本
盤CDには「夕闇にまぎれて」などという邦題がクレジットされておりますが、“down
in the dumps”というのは「意気消沈している」とか「ふさぎ込んでいる」とか「むっ
つりしている」という意味の慣用句らしいです。“sukebe in the dumps”と言えば“
むっつりすけべ”の意味ですしね。テナーとトランペットの絡みがいいムードを醸し出
しておりまして、サビのフレーズはちょっぴり「モーニン」のエンディングに似ており
ます。わりかしファンキーなムードもありますよね。が、アービンのソロが始まった瞬
間、アービン以外の何物でもない唯我独尊の世界が展開されます。ダニー・リッチモン
ドが倍テンポを刻み出す瞬間など“背筋ゾクゾクもん”ですな。このあたりの展開は本
アルバムでもハイライトと言ってよいでしょう。その後はパーラン、ウイリアムスとソ
ロが続いて、「モーニン」のエンディング風のフレーズがあって、テナーとトランペッ
トの絡みがあって、おしまい。結構いい感じ?というところでありましょうか。
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- 続いて5曲目。またまたアービンのオリジナルで「ウェル・ウェル」という曲で
す。アーシーでロウ・ダウンなスロー・ブルースでありまして、オープニングからしば
らくはパーラン・トリオの演奏が続きます。『ヘディン・サウス』収録の「ロウ・ダウ
ン」という曲で用いられた“同じフレーズをしつこいくらいに繰り返す奏法”がここで
も聴かれますが、『クッキン』のほうが録音が10日ほど早いので、こちらのほうがオ
リジナルなんでしょう。というか、アービン盤で即興で出来たアイデアを自分のリーダ
ー作で再度やってみたということなんでしょうね。曲のムードもほとんど同一でありま
す。で、アービン盤では3分16秒くらいにアービンが登場して、そのままアーシーな
ソロをひたすら吹き続けます。総演奏時間は9分51秒。並大抵の忍耐力では最後まで
持ちませんね。
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- ということで、さっさと6曲目にいっちゃいましょう。アルバムの最後を飾るの
は、最初にもちょっと触れたようにシャンソンの名曲の「枯葉」であります。リチャー
ド・ウイリアムスのミュートによるイントロに続いてアービンがおなじみのテーマを吹
きますが、ミディアム・テンポで意外と軽快な仕上がりとなっております。で、このア
ルバムで初めてウイリアムスが先行してソロを取りますが、ミュート・プレイが思いっ
きりマイルス風なのはご愛嬌ですね。ソロの出来自体はかなり良好であります。続くア
ービンのソロはシャンソンだろうが「枯葉」だろうが、一切おかまいなしに無理矢理な
んですが、それもまた彼の生き方ですしね。かなりのアップ・テンポで“クドさの極限
”とでも言うべきプレイを展開しており、それはそれでかえって爽快ですらあります。
ということで、以上です。
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- ところで『クッキン』と同じ日本コロムビアからアービン名義で『ダウン・イン
・ザ・ダンプス』というCDが出ているんですけどね。で、買って聴いてみたところ『
クッキン』の6曲にバーバラ・ロングという人のボーカルをフィーチャーした2曲を追
加して、曲順を変えただけのものだったんですけどね。あ〜ん、騙されたのぉ。。。と
いう感じなんですが、こちらのCDではロウ・ダウンなスロー・ブルースが「ダウン・
イン・ザ・ダンプス」、「モーニン」のエンディング風の曲が「ウェル・ウェル」とク
レジットされております。スロー・ブルースのほうが「意気消沈したむっつりすけべ」
という感じの曲なので、あるいはこちらの表記のほうが正解なのかもしれません。もっ
とも、こっちのCDは「恋を知らないあなた」と「枯葉」の2曲がコール・ポーターの
作曲とクレジットさてれいたりして、信憑性は皆無なんですけどね。いずれにせよ、こ
ういう紛らわしくてテキトーなCDを作っている日本コロンビアには猛省を促したい次
第でございます。ちなみに『クッキン』は1500円で、2曲多い『ダウン・イン・ザ
・ダンプス』のほうは1800円。1曲あたりのお値段では250円と225円で『ダ
ウン・イン〜』のほうがお値打ちですが、ジャケットはオリジナルらしい『クッキン』
のほうがいい出来です。さ、君ならどっちを買うかな?
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