【アルバム名】
J.R.MONTEROSE (BLUE NOTE)
【リーダー名】
J.R.MONTEROSE (1956/10/21)
【パーソネル】
IRA SULLIVAN (tp) J.R.MONTEROSE (ts) HORACE SILVER (p)
WILBUR WARE (b) "PHILLY" JOE JONES (ds)
【収 録 曲】
WEE-JAY / THE THIRD / BOBBIE PIN / MARC V / KA-LINK / BEAUTEOUS
【内   容】
 今日はJRのE電について考えてみたいと思います。だって今日は“J.R.モン テローズ”だしー。
 
 えーと、ナウでヤングなギャルはご存じないと思いますが、おじさんが子供の頃 、JRは国鉄と呼ばれておりました。国鉄スワローズという野球チームもありました。 「国鉄の汽車に座ろうず。」というギャグだってありました。ちなみになぜ国鉄の野球 チームがスワローズと呼ばれていたかというと、国鉄に「つばめ」という名前の特急が 走っていたからなんですけどね。今でもJRの特急には「雷鳥」とか「しらさぎ」など トリの名前のついたものが多いんですが、これはやはり「飛ぶように速く。」というイ メージから来たものなんでしょうね。確かに「特急さば」などという名前では、とても まともに走る気がしませんもんね。ではトリの他にはどんな名前がついているかという と、いちばん有名なのは「あずさ2号」の「あずさ」ですよね。これは上高地を流れる 梓川から命名されたものでありましょう。鳥取のほうを走っている「いなば」なんて特 急もありますね。「いなばの白兎」の「因幡」からネーミングされたんでしょうが、で は「白兎」のほうはどうしたのかというと、こちらもちゃんと「スーパーはくと」とい う名前で走っております。最近ではこういう「スーパーなんとか」というのも多いです よね。「スーパーヤオトク」とか。いや、うちの近くにあったスーパーで、経営不振で 潰れちゃったんですけどね。
 
 で、国鉄。国鉄がなぜ“国鉄”という名前で呼ばれていたのかというと、これは “国有鉄道”の略でありまして、ナウでヤングなギャルには信じられないことでしょう が、昔は鉄道というのは国が経営していたものだったんですね。それが大赤字でどうし ようもなくなって分割民営化されることになったわけですが、どっせ民営化するなら“ 国鉄”なんてダッセー名前はやめて、ナウなヤングにバカウケな横文字の名前にしよう !というので考え出されたのが“JR”だったというわけですな。“じゃぱん・れーる うぇい”の略ですかね?当初は「そんなヘンな名前、誰も使わねーよ!」と思われてい たんですが、意外にも浸透しましたよね。今では「じぇいあーる」と言ってもぜんぜん 違和感がなくなっちゃいましたが、その時に同時に考え出されたのが“E電”という愛 称でございます。当時は首都圏16線区と大阪圏7線区の国鉄の路線のことを、国鉄の 電車だから“国電”だねっ♪ということで、私鉄の電車と区別して“国電”という愛称 で呼んでいたわけですが、国鉄がJRになったからには“国電”というのはオカシイの ではないか?ということになり、新しい愛称を公募で決めることになったわけです。こ の場合、誰でも真っ先に考えるのは“JR電”という名前だと思いますが、JR東日本 が公募したというから、恐らく首都圏16線区に限った愛称の募集だったんでしょう。 応募された中でいちばん多かったのは「民営化だから“民電”だねっ♪」という安易極 まりないものでありまして、以下“首都電”“東鉄”“日電”“民鉄”という順だった そうです。どれも今ひとつパッとしませんなー。。。
 
 「どれも今ひとつパッとしないなぁ。。。」と、選考委員である小林亜星クンも 思ったんでしょう。なんせ、パッとサイデリア〜♪の人だから“パッと関係”にはこだ わりがあるわけでありまして。で、こういう公募の場合、応募がいちばん多かったもの を採用するわけではなく、ある程度の応募があった作品の中からいくつか候補を選び、 あとは選考委員が独断で決めちゃうんだもんね!というシステムを採用することになっ ております。でないと選考委員の意味がないですもんね。その結果、こんなんなら何も 最初っから公募する必要なかったんちゃう?というようなどうでもいい作品が選ばれち ゃうことが常なんですが、“国電”に変わる新しい愛称の選考過程では応募総数50位 以内の中から“首都電”(2位)と“JR電”(9位)と“E電”(20位)の3つが 最終候補に残ったそうです。
ほら、最初っから公募する必要なかったんちゃう?というようなどうでもいい“首 都電”と“JR電”なんてのが残っちゃいましたよね。ここでおとなしく、いちばん無 難な“首都電”というのを選んでおけば、亜星クンもとんだ恥さらしにならずにすんだ んですけどねぇ。。。ちなみに亜星クンは選考理由として「Eには、East,Enj oy,Everyday,Energyなどの意味が込められ、慣れ親しむとなかなか いい名称だと思う」と述べております。「“E電”は“いい電車”だからイイ!」と言 い切ってたような気もします。
 
 以上、1987年5月14日付「読売新聞朝刊(東京版)」の記事を参考にさせ ていただきましたが、その4ヶ月後の新聞にはこんな記事が載っておりました。
 
<E電> 評判いまひとつ JRも今やあきらめ顔!
 
 @ はい、JR東日本はあきらめ顔ですが、J.R.モンテローズは自信満々の顔 でテナーを吹いております。ということでBN盤『J.R.モンテローズ』。いや、個人 的には“首都電”などという何のひねりもない愛称じゃなく“E電”を選んだ亜星クン の勇気は大いに評価してるんですけどね。ただ、ちょっとひねり過ぎちゃって失敗した だけの話でありまして。その点、この『J.R.モンテローズ』というのは何のひねりも ないアルバム・タイトルですよね。以前、無知無知♪だった僕は「“J.R.モンテロー ズ”と“ジャック・モントローズ”は同一人物か?違う人か?」という愚問を発し、お こめ師匠に「モントローズとモンテローズ。“ト”と“テ”で、トテも違います。」と 指摘され、とんだ恥さらしでございましたが、なるほどぉ、言われてみれば確かにその 通りですなぁ。
 
 で、今日紹介するのは“テ”のほうです。ちなみに本名“FRANK ANTHONY MONTERO SE JR.”と言いまして、“J.R.”という略称は単純にジュニアの意味らしいです。え ーと、1927年1月19日生まれですか。この原稿がUPされる当日が誕生日なんで すね。おめでとうございます♪ちなみに生誕地はデトロイトのようです。えーと、主に クラリネットを吹いていて、正式なサキソフォンのトレーニングはベリー・リトルであ ったと。他にも原文ライナーにはいろいろ書いてありますが、訳すのが面倒なので割愛 します。あ、今日の昼、痛風に悪いかな?と思いつつトンカツ屋さんでAランチ(ヒレ カツセット)というのを頼んだんですが、ひとくちカジった瞬間、「なんて柔らかい! 」と感動してしまいました。いや、よく見たらカボチャのフライだったんですけどね。 で、残り2キレになって大きいのと小さいのが残ったんですが、「どうも大きいのが怪 しい。。。」と、ピンときちゃったんですよね。で、カジってみると案の定レンコンの フライでした。あぶないところでした。ヒレカツセットの最後をレンコンで飾るハメに なるところでした。僕たち日本人は「舌切り雀」の寓話によって「大きいほうはアブナ イ!」ということを学習しているからよかったものの、ガイジンだったらきっと大きい ほうを最後に残していたことでしょう。いや、カボチャとレンコンのフライも、それな りにおいしかったんですけどね。で、このBN盤にはアイラ・サリバンというトランペ ットが入っていて、リズム隊はホレス汁婆、ウィルバー・ウェア、フィリー・ジョーと なっております。収録された6曲はすべてモンテローズのオリジナル(だと思う)です な。ということで、では1曲目から。
 
 「ウィー・ジェイ」はフィリーのタイコで幕を開ける、純正ハードバップとでも 言うべきナンバーであります。テナーとトランペットの絡むテーマ部の処理がなかなか ですな。あ、今日の晩ごはんはサバだったんですが、人差し指で鼻クソをホジるとちょ っぴりサバくさいですなぁ。。。指でつまんで小骨を取ったりしてましたからねー。ま 、それはともかくソロ先発はJRモンテなんですが、出だしの部分の“ブツ切りフレー ズ”がいかにも彼らしいですなぁ。ヤックンが「新鮮な魚をブツブツと切るような」と かなんとか素晴らしい表現をしておりましたが、まさにそんな感じであります。全体的 にはロリンズの影響が強く感じられるんですけどね。あ、原文ライナーを見ると、「ア ウト・オブ・ノーホエア」のコード進行に基づいて書かれた曲なんですな。JRのソロ はスタッカートがどうのこうのということも書いてあります。
しかし、何でもいいけどホントに手がサバくさいですなぁ。。。鯖アレルギーの彼 女の手を握ったりしたらいっぺんに蕁麻疹が出ちゃいそうですが、いや今のところそん な予定はないから別にいいんですけどね。とか言ってるうちにアイラ・サリバンのソロ が始まりました。JRと同じく白人のおっさんだと思いますが、ブラウニーの流れを汲 む歌心に溢れたソロは悪くありません。あまり根性とかは無さそうですけどね。続くホ レス汁婆の“瑞々しい婆さん”といった感じのソロも良好です。その後、ドラムとベー スという珍しい組み合わせの4バースが聞かれ、テーマに戻って、おしまい。
 
 2曲目の「ザ・サード」はドナルド・バードによるマイナーなオパスでおます。 あ、全曲モンテローズのオリジナルじゃなかったんですな。で、これはバードとファー マーの『トゥー・トランペッツ』の冒頭を飾ったナンバーですな。能のないバカでかい “2”のジャケットから「アヒルさん」と呼ばれているやつです。ファンキーなムード のマイナーなオパスでございまして、出来としてはマクリーンも入っている『トゥー・ トランペッツ』のバージョンのほうが上かな?という気もするんですが、モンテ&サリ バンだって悪くはありません。特にサビの部分の祝祭的なムードがいいですよね。ソロ はシルヴァー、モンテ、ウェア、サリバンの順で、みんなとっても頑張ってるよね。特 にモンテのソロのバックにサリバン先生が絡むあたりの“盛り上がりかた”が素敵です 。あ、サリバンのソロ自体もかなりの出来でありますな。立派です。鳳啓助はカッパで すけどね。はい3曲目。「ボビー・ピン」は、ハッピーなサウンドのミディアム・ファ ストのオパスでおます。と原文ライナーに書いてある通りのハッピーなオパスでおます 。ソロ先発はアイラ・サリバン。この人に関しては個人的な期待度はゼロだったんです が、意外にも素晴らしいプレイを披露してくださっておりまして、とんだ拾い物であり ました。自分が名前を聞いたことがない。。。という理由で、バカにしてはいけません ね。あ、サリバンに続いてウィルバー・ウェアの強力ムヒなピチカート・ソロも聞けま すね。その後、モンテローズがいつものように“ブツ切りフレーズ”で登場いたします 。最初のうちはぎこちないんだけど、すぐに開発されて、もぉ、ノリノリぃ♪といった 感じでございます。ときどきフレーズが危なくなるところがモンテくんのイイところで すよね。続くシルヴァーは流麗なソロを披露して、最後はテナーとドラムの4バースが 聞かれます。
 
 はい、あと3曲。今日はまだジャケ絵を書いてないので、残り曲は簡単にすませ ちゃいましょう。「マーク・V」はテナーとトランペットが追いかけっこするような楽 しい雰囲気の曲です。モンテのソロに入ってからも追いかけっこは継続しておりまして 、サリバンのソロになってようやくモンテローズが脱落した模様です。いるんですよね ぇ、マラソンで最初だけ先頭にいて、すぐに脱落しちゃう人。イカンガーとか。その後 、モンテくんもちらっと顔を覗かせますが、シルヴァー、ウェアと後続にも次々に抜か れ、でも最後は全員がなかよく顔を揃えて再び追いかけっこが繰り広げられ、ぱっ、ぱ っ、ぱ〜♪とエンディング。いかにもハードバップらしい凝ったアレンジのナンバーで ありました。はい5曲目。「カ・リンク」はフィリーのアフロ・キューバン風のリズム で幕を開けるとってもラテンなナンバーでございます。テーマに入っても相変わらずと ってもラテンなんですが、中間部は4ビートに戻して、変化をつけておりますな。で、 ソロ・パートは基本的に4ビートですね。JRモンテ、サリバン、さばりん、さばっち 、さばぴょんの順にソロが繰り広げられます。
 
 はいラスト。「ビューテウス(?)」はハードバピッシュな佳曲でございます。 流れるような綺麗な曲でありまして、哀調を感じさせるサビのメロディがとってもよろ しいですな。モンテ、サリバン、さばりん、さばっち、さばぴょんの順に繰り広げられ るソロも良好です。ということで、今週は以上です。あ、最後の“beauteous”という 曲なんですが、ポール・チェンバースのオリジナルだったんですなぁ。ただの“趣味の 悪い弓弾き好きのお兄さん♪”だとばかり思っていたら、こんな綺麗な曲を書いてたん ですねー。ちょっぴり見直しましたです、はい。


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