【アルバム名】
CARIBE (NEW JAZZ)
【リーダー名】
L.J.Q+ERIC DOLPHY (1960/8/19)
【パーソネル】
ERIC DOLPHY (as,fl,b-cl) CHARLIE SIMONS (vib) GENE CASEY (p)
BILL ELLINGTON (b) MANNY RAMOS (ds,timbales) JUAN AMALBERT (conga)
【収 録 曲】
CARIBE / BLUES IN 6/8
FIRST BASS LINE / MANBO RICCI / SPRONG IS HERE / SUNDAY GO MEETIN'
【内   容】
 作家は儲かるか?というのが本日のテーマです。通信販売には恵比須さまと大黒 様が水の中で藻を刈っている絵が描かれた掛け軸があって、それを床の間にかけておく だけで「藻を刈る→もおかる→儲かる」となって、とっても儲かると。こういうシステ ムになっているようなんですが、僕は将来、作家として食べていくか、それとも掛け軸 を床の間にぶら下げるかで真剣に悩んでいるところでありまして。もし作家というのが それほど儲からないものなら、掛け軸をぶら下げて生きていったほうが賢明ですもんね 。ということで徹底検証「作家と掛け軸、どっちが儲かる?」
 
 まずは初期投資。新しい商売を始めようと思えば多かれ少なかれ初期投資が必要 となるわけですが、作家の場合はわりと安くすみます。昔だったらとりあえず“コクヨ の四百字詰め原稿用紙(20枚入り)”を20袋くらいは用意しなければならず、その 金がない場合には裏が白い広告の紙に割り箸を定規変わりにして線を引き、自分で原稿 用紙を作るなどの苦労を強いられたものでありますが、いや“スーパー・ヤオトク”の ちらしは黄色い紙の片面に印刷されていたので裏が白ではなくて黄色だったんですが、 裏に字が書けるのは同じなので別に原稿用紙として活用してもなんの問題はありません 。ちょっぴり読みにくいのが難点なんですが、それがタタったのか数年前に倒産しちゃ いましたけどね。
 
 で、えーと、昔は作家になろうと思えば原稿用紙を用意する必要があったわけで すが、最近ではワープロかパソコンが1台あればいいわけでして。僕みたいにザウルス だけで書くことだって物理的には可能であります。とはいってもパソコンは“コクヨの 四百字詰め原稿用紙(20枚入り)”よりも高いではないか?と思う人がいるかも知れ ませんが、そんなの自分で買う必要はないわけでありまして、会社にあるのを借用しち ゃえばいいわけです。「会社にあるものはなんでも使え。」というのは社会人が生きて いく上での生活の知恵でありまして、僕もとりあえず“綴じ紐”を3本ほどくすねてみ たんですが、特に使い道がないので困っております。
 
 で、会社のパソコンの活用と言えば僕がまだ津の営業所にいた頃、そこは1階が 事務所になっていて、2階は無人で3Pシステム開発用のPC−9801なんかが置い てあったんですけどね。ある日、とっても暇だった僕は“2階で3Pに耽る”フリをし てパソコンで原稿を書いていたんですが、いや当時はまだ“塩通”開設前だったのでど こに発表するアテもない原稿だったんですが、「デクスター・ゴードン評」などを書い ているといきなりやってきたんですよねー、総務のタマガワ次長。いや、もう画面を切 り替えるヒマもないくらい突然に。部屋に入ってくるときはちゃんとノックしなさいっ てば、タマガワ次長!中で社長さんとOLさんが仕事そっちのけで“BLOW JOB ”とかしてたらどうするんだってば、タマガワ次長!で、「いなばくん、何をしとるん やぁ?」と言われて、「いや、ちょっと・・・」とディスプレイの電源を消そうとした その動きが不審を誘ったのでしょう。画面をじろっと見られて「60年代は麻薬でぼろ ぼろ…って何やぁ?」思わず言葉に詰まり、鼻も詰まり、便所も詰まって、僕が名古屋 に転勤になったのはそれから間もなくのことでありました。
 
 ということで、会社に1台“わりと自由になって、タマガワ次長が覗きにきたり しないパソコン”さえあれば作家の仕事というのはわりと簡単に始められることが判明 したわけでありますが、一方の掛け軸はどうか?「藻を刈ると」(←恵比須さまと大黒 様が水の中で藻を刈っている絵が描かれた掛け軸の商品名)がいくらだったか忘れまし たが、恐らくは19800円とか、場合によっては29800円とか。仮に19800 円としても10本売れれば約20万、100本売れれば約200万、1000本売れれ ば約2000万で、売れば売るほど大儲けだねっ♪って、アンタの会社が儲かるんかい っ!ちなみに「藻を刈ると」を販売しているのは“日○”という会社らしく、この“○ 美”の掛け軸に関するネタではこんなサイトがございました。
 
  http://www4.justnet.ne.jp/~tomonori-yamashita/data/mokujiroku/kokon/bunsyou/061nitibi.htm
 
って、長ったらしいURLですなぁ。。。というのはともかく、「黒ウ○コ女」な ど問題にならないほどの営業妨害じゃないですかね?で、僕はとっても性格が悪いから 密告しちゃうわけなんですが、だって自分のところだけ削除を余儀なくされるのは何だ か癪ですもんね。“nitibi”の人、ここに大変けしからんサイトがありまっせ!という ことで、作家の開店資金はタダで、掛け軸の場合は19800円〜29800円である ことが判明し、これだけ見れば作家のほうが得かな?という気もするんですが、始めた のはいいけれど、ぜんぜん儲からんぢゃないか!ということではまったく意味はないで すからね。そこで「作家の利益の公式」というのを調べてみました。
 
  〈定価×発行部数×0.09−必要経費〉
 
というのがそれです。この小学生でも計算出来そうな簡単な公式から、我々は作家 として儲けるためには3つの方策があることを学び取ることが出来ます。すなわち
 
  1.定価を高くする
  2.発行部数を増やす
  3.経費を切り詰める
 
ただ経費というのは、たまには回転寿司で“皿の柄の派手なネタ”だって食べてみ たいし、スランプに陥れば気分転換にフーゾクにも通わなければいけないし、“人のフ ンドシで相撲を取る”ためには仕事中に自分の携帯でネットに接続してネタ集めに専念 しなければならないし、その借りたフンドシの持ち主がインキン持ちだったりしたらア スター軟膏だって買わなければならないしで、なかなか切り詰められるもんじゃないん ですよねー。となると定価を高くするか発行部数を増やすかしかないんですが、高くす ると売れないというのは資本主義の基本。たとえ人生にとって極めて明るい希望の光を 与えてくれるであろうヤックンの啓蒙書でも1万円もすれば誰も買いません。そんなも の買えばヤックンが900円近く儲かっちゃいますもんね。そんなわけでハードカバー の定価はだいたい1500円前後となっており、エンターテイメント小説の初版はだい たい8000部前後というのが相場のようです。ジャズ本だと半分の4000部がいい とことして、寿司・フーゾク・アスター軟膏の費用を10万円と仮定して先程の公式に 入力してみると
 
  〈1,500×4,000×0.09−100,000〉=440,000
 
1冊で原稿用紙400枚として、1枚あたり1100円、1文字あたり2.75円 。この“jazz giant”の原稿がだいたい5400字はあるので、1回あたり 1万4850円。そんなに金になるもんを毎日タダで見せていたのかぁ!
 
 ということで僕はただちにこの“塩サバ通信”を休刊し、明日から作家デビュー することにします。この続きは本を買って読んでネ♪
 
 @ さて、WEB上で公開されるのは今日が最後であろう“jazz gian t”です。心して読んでくださいね。で最終回を飾るのはエリック・ドルフィー。あ、 今日は「エロック」とタイプミスしませんでした。ペン入力だと大丈夫みたいです。で 、ラテン・ジャズ・クインテットというまったく素性のよくわからんコンボと共演した 『カリブ(?)』というアルバムを紹介しようと思うんですが、恐らくラテン系のジャ ズを演奏することを設立の趣旨としているであろうこの“LTQ”というコンボはピア ノ、ヴァイブ、ドラムス&パーカッションという編成でありまして、誰かホーン奏者を ゲストにという発想はよくわかるんですが、何故よりによってドルフィー?
ラテンとドルフィーというのはあまり相性がいいとは思えませんが、愛妾というの はなかなかいいもんですからね。本妻のときとはまた違った味のプレイが展開されるか もしれません。ということで、では1曲目。
 
 「カリブ(?)」はゆったりしたテンポのシンプルなメロディのナンバーで、ア ルトとヴァイブが主体となってテーマが演奏されます。バックでコンガがパコ、パコ♪ と鳴っておりますが、ラテンの風味はそれほど強くはなく、内容的にはコンガ入りの純 ジャズであるといってもよいでしょう。ソロ先発はピアノの寺院キャセイとかいう人。 これがなかなかブルージーでありまして、ねばりのある納豆的なタッチはソニー・クラ ークとホレス・パーランの中間といったところでしょうか?いや、コンガ入りだからな んとなくパーランの名前が浮かんだだけなんですけど。前半はシングルトーン中心に、 後半はブロック・コードで盛りあげる。みたいなパターンですね。はい、続いてドルフ ィーの登場。バックにコンガが入っているとか、共演者が一応は“ラテン・ジャズ”を 名乗っているとか、そういうことは一切おかまいなしにいつも通りのプレイを展開して おります。ま、気持ち控え目ではありますが、相手が日本人の本妻だろうと、ラテン系 のお妾さんだろうと、南極系の2号さんだろうと、委細構わず己のスタイルを貫き通す “信念の人”であるとお見受けしましたが、新年明けましておめでとうございます。と か年頭の挨拶をしているうちにヴァイブのソロになりました。チャーリー・シモンズと いう人でありまして、ヴァイブのシモちゃんとでも呼んでおきましょうか。で、そのシ モちゃんのプレイはミルト・ジャクソンでもボビ・ハチでもなく、強いて言えばジョニ ー・リトル、もしくはカル・ジェイダー風と言ったところでしょうか?最後にドルフィ ーの打楽器陣の4バースがあって、テーマの再呈示があって、エンディング。ドルフィ ーとラテン・チームがぴったり合っているとはお世辞にも言えませんが、そのへんのズ レを楽しむものなんでしょう。誰が見てもカツラとバレバレの人の生え際と同じように 。
 
 2曲目の「ブルース・イン・6/8」は、いきなりコンガが炸裂して1曲目に比 べてラテンのムードが濃厚です。で、タイトルからして恐らく6/8拍子の曲なんでし ょうが、特にヴァイブのリズムが非常に複雑なものとなっております。テーマの途中で テンポがゆっくりになったりして、なかなか凝った作りでありますなぁ。で、ソロ先発 はヴァイブのシモちゃん。わりかし普通です。続いてはドルフィーがアルトで登場。出 だしの数フレーズこそ、わりと素直なフレージングながら、次第に“うま科”の本性を 発揮しだします。アドリブに入ると1曲目と同様、あまりラテンとは関係なくなっちゃ いますね。続くキャセイのピアノもジャズ的にイイ感じです。で、その後にコンガのソ ロがあって、ここでようやくラテンの気配がちょっとだけあって、と思ったらテーマに 戻ってエンディング。うん、なるほどぉ。。。という演奏でした。3曲目「ファースト ・ベース・ライン」。タイトルどおりベースをフィーチャーした演奏で、AABA形式 の“Aの部”は「ベース&コンガ組」と「バス・クラ&ヴァイブ組」のコール&レスポ ンス形式で演奏されます。“Bの部”はヴァイブのシモちゃんが主役で、ドルフィーが 脇役。で、再び“Aの部”に戻って、その後はヴァイブのソロですね。いや、ヴァイブ をバックにベースのソロが繰り広げられると言ったほうが正解でしょう。ビル・エリン トン君が大活躍しております。いいですなぁ、ウォーキング・ベース。もぉ、殿様キン グス・ベースも真っ青ぉ?と思って聴きほれていると、ここでいきなりドルフィーがバ ス・クラで乱入。相変わらずですなぁ。。。で、さんざん大アバレしたあげくふと我に 返ったのか、今度はおとなしくテーマを吹いたりして、そのままエンディングを迎えま す。なるほどぉ。。。
 
 4曲目「マンボ・リッチ」。ヒトが“ラテン”という言葉を目にしたときに頭に 浮かぶ音楽そのまんまといった感じの、本アルバムでは最も“ラテンラテンしている” 曲であります。テーマ部だけ聴いていると、まさかこのアルトがドルフィーだとは思え ませんが、“Bの部”になって俄然ドルフィーらしくなってまいります。
で、勢いそのままにアドリブ・パートへと突入していきますが、ドルフィー特有の 地球人離れしたフレージングとラテンのノリが微妙な調和を見せ、思ったよりも相性が 悪いわけではないな。。。ということが判明します。本アルバムのハイライトと言って もいいでしょう。続くキャセイのピアノ・ソロも群を抜いて抜群です。やっぱりイイで すなぁ、マンボのリズム。で、マンボとくればヴァイブとの相性が悪いハズがなく(← 何で?)、シモちゃんのソロも快調そのものです。エンディングの処理も決まってます ね。以上、とっても楽しい1曲でございました。
 
 はい5曲目。ドルフィーがフルートでテーマを吹くこの曲、どっかで聴いたこと がある曲だと思ったらロジャース=ハートの「スプリング・イズ・ヒア」でした。ボッ サのリズムで聴くのもイイもんですね。ドルフィーのフルート、シモちゃんのヴァイブ 、キャセイのピアノとソロが続きますが、中ではジーン・キャセイが出色の出来と言え るでありましょう。はいラスト。「サンデイ・ゴー・ミーティン」は「日曜日は集会に 行こう」とでも訳すんでしょうか?コンガのリズムが楽しい軽快なナンバーで、ドルフ ィー抜きの“ザ・ラテン・ジャズ・クインテット”でテーマが演奏され、アドリブ・パ ートになってドルフィーがフルートで乱入してまいります。フルートだとそんなに無茶 な振る舞いは出来ないので、わりとテーマに即した感じの落ち着いたソロが聴かれます 。続いてシモンズのソロがあって、ドルフィーはまだバックでひょろひょろ吹いており ますな。ま、邪魔にはなってませんけどね。キャセイのピアノになってもまだドルフィ ーはひょろひょろやってて、よっぽど舞台のソデに去りがたかったものだと思われます 。テーマの再現でようやく裏に引っ込みましたが、アルバムのラストを飾るにふさわし いリラックスした演奏でありました。
 
 以上、結局のところドルフィーとラテンの相性はどうだったのか、ビミョーなと ころではありますが、初心者のドルフィー入門には、あるいはこんな1枚がいいのかも 知れませんね。ということで、じゃ、また来週ぅ♪


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