【アルバム名】
PORTRAIT OF C.ADDERLEY (RIVERSIDE)
【リーダー名】
CANNONBALL ADDERLEY (1958/7/1)
【パーソネル】
BLUE MITCHELL (tp) CANNONBALL ADDERLEY (as) BILL EVANS (p)
SAM JONES (b) PHILLY JOE JONES (ds)
【収 録 曲】
MINORITY / STRAIGHT LIFE / BLUE FUNK / A LITTLE TASTE /
PEOPLE WILL SAY WE'RE IN LOVE / NARDIS
【内   容】
 温度差40度。それが今日のキーワードです。先週末、田中康夫くんフィーバー に沸く長野へ行ってきたんですが、某水産ぎゃるの情報によると長野県庁食堂には、な んとなく「トリスタル丼」なるメニューも登場したみたいですね。鷄南蛮タルタルソー スみたいなもので、「鶏・酢・タル丼」というわけですな。田中血痔は「わりと美味し いね」って言ってたらしいのぉ。ということでありますが、どうせなら小布施名産の栗 を用いて「栗酢タル丼」にしたほうが語呂がよかったと思います。むっちゃマズそうで すけどね、クリ南蛮のタルタルソース和え。
 
 で、長野は寒いかな?と心配していたんですが、案の定とっても寒かったですな 。毛糸のパンツを穿いていったほうがいいかな?とずいぶん悩んだんですが、結局はフ ツーのトランクスにしてしまったことを後悔するほど、寒さが股間に染みる信濃路の秋 。といった感じでありまして、日曜日の最低気温が2.5度。これはかなりの冷え込み ですよね。僕たちが子供のころ、最低気温が2度になると必ず
「今日の最低気温、2度やて。」
「2度。」
「2度。」
「コーヒーに2度。」
「わははははは。」
という会話が交わされたものでありますが、いくらコドモとはいえ、こんな面白く もなんともない会話でもして笑わなければやりきれないほど寒かったということなんで しょう。
 
 ただ幸いにもその日の仕事場は室内でありまして、いくら屋外ぷれい好きのアウ トドア青年でも、こういう日は暖かいお部屋の中がいちばん。やっぱり長野は寒いね。 でも部屋の中はジョーンズ嬢に暖かい?などと言いながら4時間に及ぶ発電機の負荷試 運転に入ったわけなんですが、発電機を回してすぐに判明したのは「ものすごく喧しい けど暖かい。」という事実でありました。たとえば、電気仕掛けで“ぐるぐる♪”した り“ぶるぶる♪”したりする器具を長時間に渡って駆使したりすると、思わず熱くなっ ちゃいますよね?(←モーターが。)それと同じく発電機だって長く回すとかなりの熱 を出すものでありまして、部屋の温度はみるみる上昇して、1時間もすると室温は40 度に達してしました。毛糸のパンツなんか穿いてこなくってよかったー♪としみじみ思 ってしまいましたが、そのうち部屋の外が何やら騒がしくなってまいりました。何かと 思って外に出ると、どうやら発電機から出た熱気が天井に上ってセンサーが作動したら しく、火災報知機のベルがけたたましく鳴り響いておりまして。恐らく天井付近の温度 は70度を越えていたと推測され、こうなってくると天井裏をつたって夜這いを敢行す るのも命懸けでございますな。貞操を守るには発電機室で寝るのがイチバン♪というこ とが明らかになったわけですが、果たして火災報知機のベルの音も聞こえないような騒 音の中で安らかに眠れるかどうか、甚だ疑問ではございます。
 
 ところで皆さん、ハロン消火設備というのをご存じでしょうか?これは主に発電 機室だとか変電室とかに備えられている消火設備なんですが、宇宙怪獣ジャミラを倒す ときにはバツグンの威力を発揮する「ホースで水かけ方式」も、こと電気火災に関して はてんで役に立たなくなって“汚夢老師化”してしまいます。それどころか、水で電気 回路がショートして火災が悪化することも懸念されますよね。そこで考え出されたのが ハロン消火設備でありまして、これは火事になったとき室内をハロンという不活性ガス で充満させて酸欠状態を作り出し、中にいる人が火事で焼け死んじゃうとかわいそうだ から、その前に窒息させて安楽死させちゃおう。という人道的な配慮から考案されたシ ステムでございます。で、負荷試運転も2時間半を経過し、室温が45度に達したころ 、なんだかスピーカーから放送が流れ始めたんですよね。
でもエンジンが回っている音がうるさくて放送の内容がよく聞き取れず、ま、たい したことはなかろう。。。とタカをくくって無視していたんですが、それから約1時間 半後にエンジンをとめて確認したところ、「う〜う〜う〜(←サイレンの音)火事です !火事です!ハロン消火設備が作動します。速やかに室外に非難して下さい!」と、し きりに警告されていたのでありました。そういう大事なことは、もっと大きな声で言い なさいってば!
 
 とまあ、危うく酸欠で安楽死させられるところだったわけですが、これがもし本 当の火事で、しかも毛糸のパンツを穿いていたりしたら、熱さと息苦しさでパニック状 態に陥ってパンツを半分くらい脱いじゃっていたかも知れませんね。そしてそのままの 姿で発見されて、翌日の新聞にはこのような見出しの記事が掲載されるわけです。
 
 『無残!作業員、半ケツで酸欠死!!』
 
 @ ということでキャノンボール・アダレイ。今回は『ポートレイト・オブ・キ ャノンボール・アダレイ』というアルバムについて考えてみたいと思うんですが、ブル ー・ミッチェルにサム・ジョーンズ、フィリー・ジョーというサイドマンは、いかにも リバーサイド的ですよね。ところがこれがキャノンボールのリーダー作となると、かな り異色のイメージがあります。弟のナットと一緒にやってることが多いですからね。で 、サム・ジョーンズはともかく、ドラマーはルイス・ヘイズの印象が強いですね。んで 、ピアノは初期がボビー・ティモンズで、後期がジョー・ザビヌルとなるわけですが、 本作ではなんとビル・エバンスが担当しております。キャノンボールとエバンスの共演 と言えば、マイルスのグループでの活動を除けば『ノウ・ホワット・アイ・ミーン?』 が思い浮かぶくらいなんですが、これはヤックン店でも流れているほどの有名盤ですよ ね。それに比べてこの『ポートレート・オブ〜』のほうはいかにも地味な印象なんです が、とりあえずまあ、聴いてみましょう。
 
 1曲目はジジ・グライスのオリジナルの「マイノリティ」なんですが、2曲目も 「マイノリティ」で、3曲目も「マイノリティ」なんですよね、僕が持っている輸入盤 CDの場合。“MINORITY(少数派)”がそんなにたくさんあっては、理論的にもおかし いのではないか?という気がしないでもないんですが、この「アタマっから別テイク3 連発」という編成がこのアルバムに対する僕の心証を悪くしている感は否めません。同 じ曲、3回も聴きたくねーっちゅうの。ちなみに1曲目が本テイクで、2曲目がテイク 2で、3曲目がテイク3。本テイクが何回目のテイクなのかは判りませんがこれがテイ ク1だとすると、3回やり直してみたんだけど、結局はいちばん最初のがいちばんヨカ ッタ。ということになるわけですね。一発屋のキャノンボールの場合、そういうことは アリガチだと思います。で、本テイク。アルトとペットのユニゾンによるテーマからキ ャノンボールのソロへと流れていくわけなんですが、圧倒的な存在感を持った素晴らし いソロだと思います。以上。続くブルー・ミッチェルは、実弟ナットと比べるとやはり キャノンボールとの相性は今ひとつ。。。といった感じですが、ま、彼なりに頑張って はいますけどね。で、ソロ3番手はエバンス。彼はこのアルバムが録音された1958 年にダウン・ビート批評家投票の“ピアニスト・ニュースター部門”でポール・ウイナ ーとなったわけなんですが、やっぱりポールとウインナーはよく似ていると思います。 とか言ってるうちに2曲目の別テイクが始まったので、一気に4曲目までスキップしち ゃいましょう。
 
 「ストレート・ライフ」はキャノンボールのオリジナル。アート・ペッパーにも 同じタイトルのオリジナルがあって、それは彼の自伝のタイトルにもなっているわけで すが、同じアルト奏者でありながら2人の性格は好対照ですよね。あくまでも能天気な キャノンボールに対し、ペッパーはナイーブの極みといった感じなんですが、ペッパー 版の「真っすぐな人生」が急速調だったのに対し、キャノンボール版「真っすぐな人生 」はじみじみとしたバラードでありまして、まったくイメージが反対なのが面白いです な。で、ここでは前の曲では相性が今ひとつだったB.ミッチェルが情感に溢れたプレ イを聴かせております。
それにつられてキャノンボールもしみじみとした吹奏を繰り広げております。後半 、ちょっぴりクドくなっちゃうのはご愛嬌ですが、そこですかさずエバンスが登場して クールダウン。よいタイミングだと思います。で、CDでいう5曲目の「ブルー・ファ ンク」はサム・ジョーンズのオリジナル。作曲者のウォーキング・ベースで始まる、タ イトルどおりブルーでファンキーなナンバーです。ソロ・オーダーはキャノンボール以 下略。解説がえらく手抜きになってまいりましたが、6曲目はキャノンボールのオリジ ナルの「ア・リトル・テイスト」。とっても能天気なナンバーです。で、次にロジャー ス=ハートのあまり有名でない歌モノが登場しますね。「ピープル・ウィル・セイ・ウ イ・アー・イン・ラブ」。みんな、僕たちがラブラブ♪だって言うかな?というような 意味でしょうか?キャノンボールのワンホーンで演奏が進められますが、のびのびとし た吹きっぷりが良好です。
 
 はいラスト。おそらくこのアルバムを手にした人がいちばん期待していたのでは ないかと思われる「ナーディス」の登場ですね。テイク5とテイク4の2つが納められ ておりますが、5のほうが本テイクでございます。今度は5回吹いてみて、いちばん最 後のがデキがよかったみたいですね。言うまでもなくエバンスの愛奏曲なんですが、作 曲したのはマイルス・デイビス。「キャノンボールの為に書いてやったんだ。タイトル ?さぁ?何か原子爆弾に関係あったような気がするな。」と言うようなことをマイルス 本人が言っていたのを聞いたことがあるような気がする。というような話を誰かが書い ているのを読んだことがあるような気がするんですが、エキゾチックなメロディが印象 的なナンバーですよね。で、このキャノンボールとミッチェルの演奏は、ま、こんなも んかぁ。。。という程度の出来なんですが、やっぱりキャノンボールのスタイルとこの 曲調はミスマッチングまちこ先生?ちなみにこの“NARDIS”というタイトルを逆綴りに すると“SIDRAN”になるんだ。とベン・シドランが言っておりましたが、もぉ、3日も 便しとらん。。。って、そんな君は便秘症?
 
 以上、悪くはないんだけど、今ひとつ印象が臼井館?といった感じだったんです が、いや、長野で泊まったんですよね、ホテル臼井館(うすいかん)。チェックインす るとちょっぴり頭の薄いおじさんが出てきたので、ちょっぴり感動しました。というこ とで、おしまい。


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