【アルバム名】
SMITHVILLE (BLUE NOTE)
【リーダー名】
LOUIS SMITH (1958/3/30)
【パーソネル】
LOUIS SMITH (tp) CHARLIE ROUSE (ts) SONNY CLARK (p) PAUL CHAMBERS (b)
ART TAYLOR (ds)
【収 録 曲】
SMITHVILLE / WETU / EMBRACEABLE YOU / THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU /
LATER
【内   容】
ベン「おお、ケン!」
ケン「おお、ベン!」
ベン「ケン。ドコカデ、アタタマッテイカナイカ?」
ケン「ああん、ベン!」
 
ということで、本日のテーマは『ケンとベンの検便物語』。いやあ、今年もいよい よ検便の季節がやってまいりました。検便に季節なんかあるのか?歳時記ではいったい いつの季語になっているのか?と問い詰められるとちょっと困るんですが、検便するの に便利なのは“おまる”ですよね。検便前夜にオマール海老を食べて、翌朝“おまる” でサンプリング。というのがベストなんですが、話を元に戻して検便の季節。春夏秋冬 と日本に4つある季節のうち、検便をするのに最もふさわしい季節は、いったい何時で ありましょうか?ンなもん、いつだって一緒ぢゃん。なんて軽はずみな発言をした者は 、この原稿を読み終えた頃には自分の考えが如何にアサハカであったかを思い知らされ 、愕然とすることでありましょう。心して読んでくださいね。
 
 冬の検便。まず手初めにこの季節を取り上げるに先立って、ここでひとつのモデ ルケースを設定してみましょう。ソルト・マクレル物産。それが今回の物語の舞台であ ります。バブルに浮かれてジャパン・イズ・ナンバー・ワンとばかり、ニューヨークは マンハッタンの超高層ビルを買い占めたりしていたのも今は昔。長引く不況風にさらさ れて経営不振に陥り、外資系企業に身売りするというのも珍しい話ではなくなりました 。さて、栄華を誇った我らが塩サバ物産(仮名)とて例外ではなく、やれ、ハワイだ、 オーストラリアだ、ソウルだ、カルビだ、ミノ、タン、キムチ。と浮かれていたのもつ かの間、厳しい世間の風にさらされることになってしまうわけでありますが、そのきっ かけは「クレーム隠し問題」の発覚による、信用失墜であったといわれております。す ぐに“足を出す”という某・○菱重工業製エンジンの致命的な欠陥を知っておりながら 、それを内々に極秘のうちに処理しようとした某・塩サバ物産(仮名)の経営陣であり ましたが、それが一社員によってホームページ上で内部告発されたという、あの例の事 件であります。そのホームページというのが全国レベルで幅広い読者を獲得している超 若者感覚の人気サイトであったため、事件は瞬く間に日本国中に知れ渡ったわけであり ますが、自社の社員の中にそれほど高名なウェブ・マスターがいたということに気付か なかったのは上層部の誤算であったというか、落ち度であったと断言せざるを得ないで しょう。
 
 この事件で計り知れない痛手を被った某・塩サバ物産(仮名)でありますが、更 にそれに追い討ちをかけるような深刻な事態が発生しました。世間で俗に「某・○芝社 員侮辱問題」と呼ばれた事件がそれでありまして、簡単に言えば仕事上のトラブルで元 請である某・○芝の社員に叱られた塩サバ物産(仮名)の社員がそれを逆恨みして、チ ャーハンの食べかたに関するプライベートな問題を自分のHPで暴露するという、名誉 毀損ここに極まるといった深刻な問題でございます。もう「黒うんこ女事件」の営業妨 害など問題にならないほどの大問題でありまして、この事件が引き金となって某・塩サ バ物産(仮名)は経営破綻に陥り、外資系資本の傘下で新生ソルト・マクレル物産とし て再出発することになったのでありました。
 
 時は冬。ソルト・マクレル物産は外資系ではあるものの日本企業の伝統を重んじ る社風を特徴としており、年末にはきちんと忘年会というのを開催する運びとなったん ですけどね。で、広小路通りのスッポン屋で行われた一次会のあと、女子大小路のスナ ックで加山雄三の「フィジーにおいで」を熱唱した技術課の伊藤健主任(38歳)は、 この度の吸収合併劇でアメリカからやってきたゲイスキー・ベン課長(48歳)と2人 で地下鉄の駅へと歩を進めていたんですけどね。折しも伊吹おろしの吹き荒ぶ寒い夜、 酒の酔いとスッポンのコーフンが、2人のオトナの理性を失わせていたのでありましょ う。
 
「ケン。ドコカデ、アタタマッテイカナイカイ?」
「ベン課長ぉ!」
「おお、ケン!」
「ああん、ベン!」
(以下略)
 
とまあ、冬というのはとかく痔の増える季節でありまして、そんなときに検便を実 施すれば、いったいそれが痔による外部出血なのか、大腸癌による潜血なのかわかった もんじゃなく、「冬は検便には不向き。」というのは医学界では常識となっております 。
 
 時は春。ソルト・マクレル物産は外資系ではあるものの日本企業の伝統を重んじ る社風を特徴としており、春にはきちんと花見というのを開催する運びとなったんです けどね。で、名城公園で行われた花見のあと、女子大小路のスナックで加山雄三の「お 嫁においで」を熱唱した技術課の伊藤健主任(39歳)は、この度の吸収合併劇でアメ リカからやってきたゲイスキー・ベン課長(48歳)と2人で地下鉄の駅へと歩を進め ていたんですけどね。春とはいえ夜はまだ寒く、酒の酔いと狂い咲いたような桜の花の コーフンが、2人のオトナの理性を失わせていたのでありましょう。ていうか、冬の忘 年会の時点でもはや遠慮などいらない間柄になってるわけなんですけどね。
 
「ケン。ドコカデ、アタタマッテイカナイカイ?」
「ベン課長ぉ!」
「おお、ケン!」
「ああん、ベン!」
(以下略)
 
 時は夏。…って、あとは同じようなことの繰り返しだから簡単に書きますが、夏 には同じ課の有志が集って知多半島へ1泊2日の海水浴ということになったんですが、 夏の夜って誰でも思わず解放的になっちゃうよね?そして二人で夜の海岸を散歩しなが らフナムシの生態などを観察しているうちに、ついムラムラしちゃって
 
「おお、ケン!」
「ああん、ベン!」
(以下略)
 
 となって、冬も春も夏も「痔と潜血の区別がつかないから不向き。」となりゃ、 秋にやるしかないぢゃん?ということになって、はなはだ消極的な理由ではありますが 、検便の季節は“秋”ということで異存はないと思います。何かと理由をつけてはムラ ムラして抱き合ってる二人(ケンとベン)のことだから、秋は松茸狩りをしているうち に、「ベン、君の松茸を土瓶蒸しにしてみたいナ♪」なんてことをベンが言い出すので はないか?という気がしないでもないんですが、そんなことを言ってると1年中、どの 季節も“検便不可”になっちゃうので、検便の季節は秋。ということで強引に話を進め てみたいと思います。かくして今年も秋になって、社員全員に“検便のサンプル容器” が配られることになり、それを受け取る際のOLさんの恥じらいがまた楽しみな季節で ありますが、このネタは次回までひっぱります。じゃ。
 
 @ ということで今日はルイ・スミスなんですが、チャーハン男は今日も嫌なヤ ツでした。この男、絶対に前世は爬虫類だったと思われますが、元・冷血動物に何を言 っても無駄なわけでありまして、ま、ペヤングでも食べて嫌なことは忘れちゃいましょ う。で、ルイ・スミスなんですが、ブルーノートに2枚のリーダー作が残されておりま すな。そのうち『ヒア・カムズ・ルイ・スミス』には確かキャノンボール・アダレイが “バックショット・ラ・ファンク”という変名で参加していたのではなかったかと記憶 しておりますが、
 
  ・「バックしよう♪」 虎ファ○クは 楽しい
 
  > 虎だって動物。
 
こういうひねりのない作風は厳に慎まなければなりませんが、一方、今回レビュー する『スミスヴィル』にはテナーのチャーリー・ラウズが参加しております。
 
  ・静岡に茶あり 羅臼に昆布あり
 
  > 木造家屋に白蟻。
 
コメントが投げやり。ピアノがソニ・クラというのもキャバクラ好きには見逃せま せんね。ということで、では1曲目から聴いてまいりましょう。
 
 「スミスヴィル」。タイトル曲はルイ・スミス自身のペンによるスロー・バラー ドでございます。チェンバースのピチカートによるイントロに続き、スミスがブルーに テーマを歌い上げ、そこにクラーク、更にはテイラーが加わって“エモーショナルな陰 毛剃り”とでもいうべきディープな世界を展開します。ブルースといっても過度にアー シーにならないところがルイ・スミの持ち味ではないかと思われますが、ブラウニー直 系のスタイルの中に、ほんのりマイルスの影を感じ取ることが出来ますね。で、スミス のソロにかぶさるように茶あり羅臼が入ってきてムード満点のアンサンブルを奏でます 。
そしてそのまま羅臼のソロに突入していくわけですが、ラウスのことを単なるウス ラ下手テナーだと思っていた人は、彼の真の実力に驚かされることでありましょう。豪 放にして磊落、モーホーにして快楽なプレイに思わず惚れなおしてしまいました。カレ になら土瓶蒸しされても許せちゃうって感じぃ?で、ここで再びスミス登場。1回目に 比べるとテンポも倍ぐらいに速くなっていて、ちょっぴりドナルド・バードに似てるか な?といった演奏を繰り広げております。続くソニ・クラのソロは出だしからえらくス パークしておりますなあ。恐らくラウズとスミスのプレイを影で支えながら、自身もか なりコーフンしちゃってたんでしょう。ぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃ♪と一気にのぼ りつめておりますな。で、やがて憑き物が落ちたように落ち着いたタッチに戻っており ますが、恐らく「我ながらちょっぴり乱れ過ぎちゃったカナ。。。」と反省したのであ りましょう。だってカラダは正直なんだもん、仕方ないよね?あ、ペヤングの湯切りを しようとしたら、麺まで一緒にずぞぞぞぞぉ〜と流れ落ちそうになったので慌てて手で 引っ張りあげたんですが、ちょっぴり熱かったです。ホテルの洗面所だからステンレス の流し台のようにお湯を捨てるときにベコッと音がしないのがちょっと寂しいんですが 、やっぱりペヤングはおいしいですなぁ。
 
 と、再確認したところで2曲目の「ウェトゥ」。喉に指を突っ込むとウェッとな りますが、恐らくそういう情景を詠んだ曲でありましょう。“Blow Job”も楽じゃない だろうなぁ。。。と御同情申し上げる次第でありますが、曲自体はアップテンポの軽快 なナンバーでございます。ハード・バピッシュな佳曲といったところですかね?ソロ先 発のラウズが「モロにラウズ」といったプレイを披露したあと、ルイ・スミスがブラウ ニー・ライクなソロをかましております。ビル・ハードマンがハードに頑張ったときに もちょっと似てますね。とにもかくにもケレン味のない吹きっぷりは大いに好感が持て る股間。といった感じであります。クラークが超アップテンポで健闘著しいソロを聴か せたあと、チェンバースのボウ弾きソロ。これは余計ですな。はい3曲目。ここでムー ドは一変して、しみじみバラードの「エンブレイサブル・ユー」。クラークのイントロ が中瀬マス(73歳)。スミスの朗々とした吹きっぷりはドナルド・バードのバラード ・プレイにちょっぴり似てますかね?こういう「〜に似ている」という例えは本人にす れば甚だ迷惑ではありましょうが、長島温泉のバイトの打ち上げでゲロを吐いた店は「 かね甚」。いや、甚だと書いて急に思い出したんですが、ゲロを吐かれた店のほうは甚 だ迷惑だったことでしょう。この場を借りてお詫び申し上げます。クラークのいかにも クラークらしいソロも秀逸です。
 
 4曲目、「あなたなしでは」。数多くのハード・バッパーが取り上げているスタ ンダードですが、このスミス版はかなり速いテンポで料理されております。ラウズのあ とルイ・スミスのソロになりますが、やっぱりかなりブルウニーに近いですな。アップ でブラウニー、スローでマイルスといった感じで、こういう「〜に似ている」という例 えは本人にすれば甚だ迷惑ではありましょうが、ヒトに文章で説明するには、これがい ちばん有効的なんですよね。ということをさっき言いたかったんですけどね。ここでも チェンバースの弓弾きが聴かれ、マニアにはたまらんものとなっております。僕は嫌で すけどね。はい、ラスト。「レイター」はスミスのオリジナルで、ちょっぴり印象薄い ナンバーとなっております。ということで今日はおしまい。


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