【アルバム名】
2 HORNS/2 RHYTHM (RIVERSIDE)
【リーダー名】
KENNY DORHAM (1957/11/13,12/2)
【パーソネル】
KENNY DORHAM (tp) ERNIE HENRY (as) EDDIE MATHIAS (b) WILBUR WARE (b)
G.T.HOGAN (ds)
【収 録 曲】
LOTUS BLOSSOM / 'SPOSIN' / SOON / IS IT TRUE WHAT THEY SAY ABOUT DIXIE? /
THE END OF A LOVE AFFAIR / I'LL BE SEEING YOU / NOOSE BLOOS / JAZZ-CLASSIC
【内   容】
 いやあ、ひどい大雨でしたねぇ。名古屋弁で言うと「どえりゃあ大雨だでかんわ ー。」(「とっても大雨だったので、いけませんね。」の意)といったところでありま すが、塩サバ2号は会社から帰る途中、電車が停まってそのまま動かなくなって、車内 で一夜を過ごしたあげく、翌日の13時頃にようやく家にたどり着いたんだそうであり まして。いや、私の場合は“飛騨高山さるぼぼ旅行♪”に行ってたのが幸いしました。 日曜日、ロープウェイで山に登り、“新穂高の湯”では水着+バスタオルの恥ずかしが り女学生、しい子&てき子ちゃんと楽しい時を過ごし、高山に戻ったら雨がやんでいた ので市内の散策をして、夜は駅前で“飛騨牛の朴葉味噌包み焼き”というのを食べ、銀 河高原ビールを飲んだ、その翌日のこと。高山赤十字病院というところでのお仕事は昼 前には終わってしまって、さあこれからどうしよう?と思案にくれていたんですけどね 。なんせ、もうちょっと遅くまでかかると思っていたもんだから、会社には戻らない予 定で、行き先記入ボードの帰社予定欄には「9/12出」と書いてきたわけであります 。それが、いくら仕事が予定より早く終わったからとはいえ、のこのこと会社に戻って 来ているようでは「仕事に対する見込みが甘い。」とか、「自分で決めた予定も守れな い人間。」などというマイナスの評価を下されて、冬のボーナスの査定にも響くことは 必至でありまして、それに何より会社に戻るのって、なーんか面倒なんですよねー。
 
 その日が晴れていたら、また“新穂高の湯”にでも行ってみようかと思ったんで すが、あいにくその日は朝から雨でありまして。時計を見ると11時30分、家までは 約3時間の道程であることが判明しているので、真っすぐ帰ってしまっては15時前に は着いてしまいます。それではいくらなんでも早すぎるので、どこかで時間をつぶさね ばなりません。とりあえず昼飯でもということで、駅の近くにあった「カレーと高山ラ ーメンの店」にでも行ってみようかぁ?とも思ったんですが、ここで新たなプランがふ と頭に浮かびました。高山に来るのに、行きは東海北陸道の荘川ICで降りて国道15 8号線を走って来たんですが、もうひとつ、郡上八幡から“飛騨せせらぎ街道”を通っ て高山に抜けるというルートもあるんですよね。帰りにこっちの道を走れば“めいほう ”というスキー場のすぐ近くを通ることになるんですが、ここには焼肉のおいしいお店 があるんですよね。いつもスキーに行った時に利用するんですが、確か平日のランチタ イムは980円で食べ放題ではなかったかと。これはもう、行くっきゃないね♪という 感じですな。焼肉食べ放題って、確かその前の日に“飛騨牛の朴葉味噌包み焼き”とい うのを食べていたのではないか?と思われる人もいるかも知れません。いや、確かに食 べたことは食べたんですが、その“飛騨牛の朴葉味噌包み焼き”の定食は、2500円 もするわりにはちょっぴりお肉の分量に不満が残る出来栄えでありまして。確かに肉は 高級で、とってもやわらかくておいしかったんですが、せいぜい1500円どまり?と いう感じでありました。その不満を焼肉食べ放題で晴らそうとしても、誰がこの私を責 めることが出来るでありましょう?
 
 とまあそんなわけで、高山ラーメンはヤメにして“めいほうスキー場”目指して 車を走らせた次第なんですが、高山から焼肉屋までは1時間ちょっとで到着しました。 勢い込んで焼肉屋のドアを開けて中に飛び込むと・・・うーん、残念ながら「980円 で食べ放題」というのはやっておりませんでした。スキーシーズンの平日だけのサービ スなんですかちなみにこの食べ放題で“食べたい放題、焼きたい放題”できるのは「安 カルビ」「ジンギスカン」「ブタ」「トリ」などの廉価モノに限られていたんですが、 “放題”が無理となれば贅沢方面に方針変更ですな。思い切って“飛騨牛特上カルビ( 小皿700円)”というのを手に取りました。この店はセルフサービスになっていて、 冷凍ケースに入っている肉や野菜を自分で取ってトレイに乗せ、最後にレジのおねえさ んに清算してもらうというシステムになっております。“飛騨牛特上カルビ(小皿70 0円)”のほかに“味付けジンギスカン(小皿500円)”と野菜サラダを取り、レジ のおねえさんに「あと、ライス!」と注文し、ビールも欲しかったんですがクルマなの で自粛して、しめて税込みで1785円ぐらいではなかったかと。“飛騨牛特上カルビ ”というのは極上だけあって、極上なうまさでありましたな。やっぱり贅沢はするもん です。ジンギスカンも野菜サラダもおいしかったし、昨夜の“飛騨牛の朴葉味噌包み焼 き”の絶対量不足からくる不満足感を払拭して余りある、ボリュームたっぷりの極上ラ ンチタイムでございました。
 
 13時30分。そのまま帰るにはまだ早い時間です。どうしようか?と思ったん ですが、とりあえず国道156号線まで出て、しばらく家とは反対の方向にさかのぼっ てみようかと。で、しかる時間になったら、そのまま引き返して帰ればいいわけですな 。で、ほとんど無目的に車を走らせているうちに、ふと「美人の湯・しろとり」という 日帰り温泉施設に行ってみようかと。で、行ってみました。本来ならまだ勤務時間中だ というのに、焼肉を食ったあげくに温泉などに浸かったりしてもいいものか?そもそも 、勤務時間中にパンツを脱ぐというような行為は許されるのだろうか?と、若干の良心 の呵責は覚えましたが、どうせ無目的にクルマを走らせて時間を潰したところでサボっ ているには違いないわけだしー。
 
 で、「美人の湯・しろとり」というのは東海北陸道・白鳥ICから2キロほど奥 に入ったところにありました。まだ出来たばかりで建物も非常に綺麗でありまして、料 金650円というのはまあ妥当なところでしょう。で、風呂場に入ると、間仕切りがあ って、横のおじさんに局部を覗かれて「ふっ!」と鼻で笑われたりする心配のない洗い 場がありまして、最近ではこういうところが多いですね。最近のやんぐな若者は、たと えパンツは脱いでいても、いやパンツを脱いでいるが故か、こういうところでも他人と のコミュニケーションを好まなくなってきている証ではないかと思うんですが、ま、シ ャイな僕にとってもこのほうが有り難いです。そんな僕が“新穂高の湯”では女子生徒 のすぐ近くでパンツを脱いだりしていたわけだから、大自然がもたらす解放感というの はたいしたものだと思いますが、それはそうと「美人の湯・しろとり」には大きな浴槽 がひとつとサウナ風呂、そして外にはかなり大きめの露天風呂がありました。雨が降っ ていたので露天風呂は諦めていたんですが、大きな屋根があったので、ぜんぜん大丈夫 でありました。で、湯に浸かってすぐに判明したんですが、ずいぶんとツルツルとした 感じの温泉でありまして、恐らくアルカリ成分が多いんでしょうが、これが「美人の湯 」のネーミングの由来でありましょう。いくら温泉に浸かったからと言え、不細工なぎ ゃるが急に美人になるとは思えませんが、お肌がツルツルになるのは間違いないようで す。川原に勝手に涌いている温泉とは対極的な“人工の極み”でありますが、これはこ れで悪くないもんでありますな。
 
 帰りがけ、自動販売機でスポーツタオルが売られているのを発見したので、すか さず購入しました。念願の“腰に巻けるタオル”が手に入ったわけでありまして、これ で“新穂高の湯”に行っても“すべり岩”で滑落することはなくなるでありましょう。 外へ出ると次第に雨が強くなっておりました。そろそろ帰ろうか。。。と、家の方向に 向かってクルマをスタートさせたわけでありますが、この時点から結構ひどい雨になっ ておりまして。幸い“おさぼり”を早めに切り上げたので、なんとか家に帰り着くこと が出来ましたが、もうちょっと余計にサボったり、魔がさして会社に戻ったりしていた ら、とんでもないことになることでした。
「美人の湯」で、美人になりたい一心で2時間ほど湯に浸かったりしてたら、東海 北陸道は通行止めになるところだったしー。高山から会社に戻るとなると、水没した西 枇杷島町を通ることになるし、会社から家までは氾濫した庄内川を渡らんといかんしー 。“適度なおさぼり”が身を救うこともあるのだということを肝に命じ、これからもテ キトーにサボろう!と心に誓った、とある9月の出来事でございました。
 
 @ ということでケニー・ドーハム。前半部分が原稿用紙9枚を超過したような 気がするので、後半とジャケット・イラストは適当にに片付けておきましょう。リバー サイド盤の『2ホーンズ/2リズム』です。タイトルを見ればわかるように、2人のホ ーンと2人のリズムという編成になっておりまして、ま、早い話がピアノレスの2ホー ン・カルテットでありますな。個人的にはトップレス喫茶とかは好きでも、ピアノレス というのはどうも性にあわんのでありますが、ドーハムの相方がアーニー・ヘンリーな のがちょっといいかな?という気もいたします。兄異変、淋病発病、さあ大変。と俳句 に詠まれた人として知られておりますが、もっと一般的に言うと、モンクの『ブリリア ント・コーナーズ』での前衛的なプレイが評判になった人。ということでよく知られて おりますね。パーカー・スタイルからの脱却をいちはやく試みたものの、わずか31歳 で死んでしまった。ということでも知られております。で、このドーハムとのセッショ ンは彼にとってのラスト・レコーディングでありまして、病気で急死しちゃう、わずか 4週間前の吹き込みでございます。心して聴かねばなりません。
 
 ということで1曲目なんですが、「ロータス・ブロッサム」。日本名「蓮の花」 として知られる、あの『工藤静香なるケニー』の冒頭を飾ったドーハムの代表作でござ います。ロリンズやフレディ・ハバードも「エイジアィック・レイズ」というタイトル で吹き込んでおります。“アジア的ひらめき”ですね。お釈迦様が蓮の花の上で悟りを 開いたという故事に基づいて、このようなタイトルになったのでありましょうか?『静 かなるケニー』のバージョンが、いかにもドーハムらしい“アジア的な哀感”に溢れて いたのに対し、ここでのプレイはピアノレスという編成にアニ・ヘンの参加という要素 が加わって、ずいぶんと“おじや的な雑炊”を感じさせる演奏となっております。ドー ハムのソロも“アジア的ヒラメちゃん”を感じさせ、秀逸です。なかなか味のある顔を してますよね、「じゃりン子チエ」に出てくるヒラメちゃん。いかにも“アジア的水産 ぎゃる”といった感じでありまして、関西じゃりン子チエ研究会主催の人気投票でもチ エちゃんと並んで同率1位に選ばれておりましたが、続くアニ・ヘンのワイルドなソロ もよろしいですな。基本的にはパーカー派なんですが、所々に聴かれるアナーキーなフ レーズがとっても穴あきパンツ的でございます。
 
 はい2曲目。「スポージン」はスッポン痔を彷彿させる能天気なバップ・ナンバ ーです。ユニゾンによるテーマ→ドーハムのソロ→アニ・ヘンのソロと続いたあと、ペ ットとドラムスとアルトの4バースになって、やがてドーハムとヘンリーのチェイスに 突入して、大いに盛り上がってなにより。3曲目の「スーン」はガーシュイン・ナンバ ーで、ピアノレスのはずなのにイントロでピアノの音が聞こえてきて、いったい誰が弾 いているのかと思ったらドーハムでありました。パウエルみたいな、モンクみたいな、 ちょっと不思議なムードの演奏でありますな。で、続いてペットとアルトのユニゾンに ベースのアルコが加わって、とてもゆっくりしたテンポでテーマが演奏されます。ベー スが途中からピチカートに変わったり、ピアノのベースをバックにヘンリーが朗々とテ ーマを歌い上げたり、ま、いろいろと工夫しているのは解るんですが、いかんせん全体 的に地味の極み。。。気分が落ち込んでくる感は否めませんね。
 
 そんな気持ちをほぐしてくれるのが4曲目の「伊豆一途徹飽和都税制阿波宇土溺 死」。トラッドなフィーリングを漂わせたハッピーなナンバーで、スタッカートを多用 したドーハムのアドリブが実に小気味よいという岡崎正通センセの意見に賛成です。ヘ ンリーのソロは“アウトなパーカー”といった感じで、死ぬ4ヶ月前とはとても思えな いような元気さでありますな。
そのあとベースのピチカート・ソロも聴けますが、ちなみに4曲目と8曲目ではベ ースがエディ・マシアスからウィルバー・ウェアに変わります。で、ベース・ソロのあ とはペットとアルトのチェイスで大いに盛り上がり、三河屋のサブちゃんは、ちわーっ す。個人的には前任の三平さんのほうが好きでしたけどね。何故かというと、昔うちに 来ていたプロパンガス屋さんが三平さんに雰囲気が似ていたからなんでありますが、そ んな個人的な理由で嫌われては、サブちゃんとしても不本意でありましょう。不本意と いえば立川市選出の山本ジョージ先生でありまして、秘書の給料のピンはねなんて、誰 でもやってるよね?なんて軽く思っていたら逮捕されちゃって、ああ、もう終わりだぁ 。。。ということで5曲目、「ジョージの終わり」。英語でいうと「ジ・エンド・オブ ・ア・ラブ・アフェア」。何度の書きますが「情事の終わり」という邦題から受けるイ メージとは大違いの哀しい失恋の歌でございます。それをハムちゃんとヘンちゃんはア ップ・テンポのラテン・リズムで料理しておりまして、これはこれで激しい情事を彷彿 させて、お盛んでなにより。。。6曲目の「アイル・ビー・シーイング・ユー」はビリ ー・ホリデイの名唱で名高いスタンダードです。切ないオトメ心を切々と歌い上げたバ ラードでありますが、ハムちゃん、ヘンちゃんの2人はミディアム・スローで“ほえほ え”とした感じに料理しております。このアルバムで“もっとも一般的にケニー・ドー ハム的”と言える演奏ではないでしょうか?となると、トミ・フラあたりのピアノが恋 しくなるんですけどね。ヘンリーの吹きっぷりも、ちょっとだけマクリーンを彷彿させ 、良好でございます。
 
 7曲目、「ヌース・ブルース」はドーハムのオリジナルで、シンプルなブルース ・ナンバーでございます。ちなみに“NOOSE”には“首吊り死”という意味がある みたいですけどね。奔放なドーハムのソロが良好でございます。ヘンリーはちょっぴり ルーズな吹きっぷりです。はい、ラスト。「ジャズ・クラシック」はクラシック的な体 位法・・・って、やっぱり正常位?って、ああん、そうぢゃなくってぇ、クラシック的 な対位法を用いたドーハムのオリジナルです。テーマ部のアレンジこそ“クラシック入 って”ますが、アドリブ・パートは純ジャズでありまして、いかにもドーハムらしい哀 感の感じられる好演国防長官となっております。以上、『静かなるケニー』とは対極的 な“ぜんぜん静かじゃないケニー”の演奏が聴け、しかも『鰻鱒』ほど“はしゃぎ過ぎ ”てなくて、異色作ではあるが遺書臭くはない。そんな1枚でございました。・・・っ て、適当に書くといっておきながら、いつもけっこうマジメに書いてしまう僕って、も しかして“根は正直で働き者”ですかね???


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