【アルバム名】
MEMORIAL ALBUM (BLUE NOTR)
【リーダー名】
CLIFFORD BROWN (1953/6/9,8/28)
【パーソネル】
CLIFFORD BROWN (tp) GIGI GRYCE (as,fl) CHARLIE ROUSE (ts)
JOHN LEWIS (p) PERCY HEATH (b) ART BLAKEY (ds)
LOU DONALDSON (as) ELMO HOPE (p) "PHILLY" JOE JONES (ds)
【収 録 曲】
HYMN OF THE ORIENT / EASY LIVING / MINOR MOOD / CHEROKEE / WAIL BAIT /
BROWNIE EYES / BROWNIE SPEAKS / DE-DAH / COOKIN' / YOU GO TO MY HEAD /
CARVING THE ROCK / BELLAROSA
【内   容】
 『ボーリングとぼく』 ぎじゅつ部ぎじゅつ課 さば
 
 せんじつ、えばら製作所というところで「安全こうしゅう会」がありました。と うしょの話では、お昼にはおべんとうが出るということだったんですが、いざお昼にな ってみると、各自、自分で食べにいけということだったので、ちょっとがっかりしまし た。しかたがないので、いっしょにこうしゅうを受けていた“たわけのたけむら君”と いっしょに、ちかくの「天津」という名前のちゅうかりょうり屋にはいりました。かべ にはられた「本日のらんち」という紙を見ると、その日の「本日のらんち」は「“てん しんはん”と“らーめん”のせっと」ということだったので、「“てんしんはん”と“ らーめん”のせっと下さーい。」「同じく、それー。」と注文すると、店のおねえさん (←おせじにも美人とはいえないけど、性格はあかるい。)は、明るく大きな声で、ち ょうりばの中のおじさんに「はーい、“てんらー”ふたつ〜!」と告げるのでありまし た。どうやらこのお店では「“てんしんはん”と“らーめん”のせっと」は“てんらー ”という符丁でよばれているみたいで、それがしょうこに、後からこの店にやってきた “じょうれんさん”らしい人はみな、なんのてらいもなく「“てんらー”ね。」と注文 しているのでありました。その頼みかたは、さば心にも「粋だなー。」と感じられたの で、今度この店にきたときには、いかにも通っぽく「“てんらー”ね。」と注文してみ たいなーと思いました。
 
 さて、午後からのこうしゅうも終わって、いよいよ懇親会ということになったん ですが、僕は憂鬱でしかたありませんでした。なぜならその日の懇親会はボーリングと いうことになっていたんですが、ぼくはボーリングが大の苦手な若手でありまして、い ままでボーリング大会ではいい思いをしたことがなかったんですが、でもその日のこう しゅうには、おじさんと、おにいさんしか参加してなかったので、ま、恥をかいてもい いかぁ。と、心を決めたのでありました。とまあ、前回はだいたいこのあたりまで話が 進んでましたよね。で、いざボーリング場に馳せ参じてグループ分けの表を見てみると 、なんと“ぎゃる系”の名前があるではありませんか。しかも名前の下には(20)と いう数字も書いてあって、どうやら“ハタチのぎゃる”のようなのであります。ぎゃる の名前は全部で5〜6人分あって、どれも判で押したように(20)なので、何故“ハ タチのぎゃる”ばかりを集めたのか?と疑問に思ったんですが、よく見るとそれは年齢 じゃなくてハンディだったんですけどね。恐らく、おっさんと兄ちゃんばかりでは盛り 上がらないであろうことを危惧した主催者が会社のOLさんを動員したのでありましょ うが、はっきり言って「余計なことをしてくれたなぁ。。。というのが正直な感想です ね。シャイな僕は、ただでさえ懇親会で初対面のぎゃると親しくしたり懇ろになったり するのが大の苦手だというのに、かてて加えてボーリング。これはもう、大恥をかいち ゃうことは必至でありますが、しかしまあ、やってみれば何とかなるかも知れないよね ?と腹を決めて、ゲームの開始を待ったのでありました。
 
 さて、まずはボール選びなんですが、経験の浅い僕は、いったいどんなボールを 選んだらいいのかという段階からまったく見当がつきませんで。どうやら重いボールと 軽いボールがあるらしいく、あと、指を入れる穴のサイズにも何種類かあるような気も するんですがよくわからず、となると選択のポイントはただひとつ、ただひたすらよく 目立つ色!いや、ボーリング場のタマがコロコロ戻ってくるところって、隣のレーンの 分を含めて6個とか7個とかタマが並びますよね?
となると、自分のタマがいったいどれなのか解らなくなって、ま、どれでもいっか ぁ。。。と適当に穴に指を突っ込んだタマが、たまたまぎゃる系のタマだったりして、 「いや〜ん、指を入れないでぇ。。。」なんて言われた日にゃ、その後の僕の人生は横 山ノックであると断言せざるを得ません。そういったアヤマチを犯さないためにも、誰 も選ばないような手にするのも恥ずかしいような色のタマを選ぶのがポイントなんです が、手にするのも恥ずかしいような色のタマを手するのはちょっぴり恥ずかしいので、 シャイな僕はとっても無難な“紺のブルマ色”のタマを選んだんですけどね。
 
 ということで、いよいよゲーム開始です。で、やってみてすぐに解ったんですが 、「やってみれば何とかなるかも知れないよね?」というのは実に甘い考えでありまし て、やってみても何ともならんものでありますな、ボーリング。まっすぐ投げたはずの 第1投は右へ右へとカーブして(←ちなみに左利き)、端っこの4本を倒すのがやっと でした。で、右に曲がっちゃうことを考慮して、左のほうを目掛けて投げた第2投は、 そのまま左の溝に脱落しました。トータル4本。前途多難ですな。。。その後、まるっ きりのアホではない僕はそれなりに工夫をして、何とか7〜8本は倒せるようになった んですが、以下“どーでもいい倒し具合”に終始して、最終的なスコアは90そこそこ 。なんともぱっとしませんな。2ゲーム目はさらにヤル気がなくなって、スコアは70 そこそこまで落ちました。結局、32人中で32位という成績でありまして、表彰式で は前に呼ばれて“きねんひん”を渡されて、ひとこと“あいさつ”をさせられたりして 、とんだ恥さらしでした。ぼく、ぐれちゃうんだもんねー!と“なごや城の金のしゃち ほこ”に向かって誓った、さばぴょん32歳、夏の終わりの出来事でした。
 
 @ ということで本日は栗放蕩ブラウン。通称“ブラ海胆”。アルバムを選ぶに あたって、まず最初に考えたのは“ブラウン=ローチ・クインテット”は外そうと。だ って、どれも有名だから今さら“塩通”如きで取り上げるまでもないしー。で、候補に あがったのがプレスティッジ盤の『クリフォード・ブラウン・メモリアル』と、パシ・ ジャズ盤の『ジャズ・イモータル』。この2枚を聴き比べた結果、ズート・シムスやラ ス・フリーマンの入ったパシ・ジャズ盤のほうが内容的に優位にあると見て、正式採用 と相成ったんですけどね。ところが先行してジャケ・イラストを書いたところ、あまり の出来の悪さに我ながら情けなくなり、不作じゃー!と叫んで破り捨ててしまいました 。ほら、よく気難しい陶芸家が焼き上がったツボを地面に叩きつけて割ったりしてます が、まさにああいう心境でありまして。僕ってほら、ちょっぴり気難しい“天才肌”み たいなところがありますからね。“〜肌”といえば
 
> さめはだだいにんきです。あ〜ん、あのざりざりかんがたまんないのぉ〜♪
> さあ、れっつさめはだぷれい♪
 
ということで、シドニー・オリンピックの水泳競技ではソープ選手のソープ・テク に期待が集まるところでありますが、そんなこんなで『ジャズ・イモータル』は断念。 せっかく考えていた
 
  ・モジャモジャっす 陰毛足るぞ 不足なし
 
  > 毛深いのね♪
 
という俳句も、ついぞ日の目を見ることがなくなってしまったんですが、第2候補 の『クリ・ブラ・メモリアル』は内容的に今ひとつなので、再検討を加えた結果、同じ “メモリアル”でもBN盤の『メモリアル・アルバム』なんかイイんじゃないかと。で 、久し振りに聴いてみたら素晴らしい内容であることが解ったので、こうして正式採用 と相成ったわけなんですけどね。
 
 このアルバム、内容的には2枚の10インチ盤をカップリングして12インチ化 したものでありまして、収録時間の関係でカットされていた2曲がCDでは復活して、 コンプリートな形になったのは何よりです。録音されたのは1953年で、ブラウニー の活動歴でも最初期にあたるんですが、『メモリアル・アルバム』という名前からして 、ブラウニーが交通事故で急死したあとで編纂されたものでしょう。
レナード・フェザーの手による原文ライナーもブラウニーの死を悼む内容になって おりますが、そういった意味合いを除いて純粋に音楽に耳を傾けてみても、たいへん素 晴らしいないようになっているので、みんなにもぜひきいてほしいとおもうなー。とい うことで、まずはA面のセッションから。ブラウン、ジジ・グライス、チャーリー・ラ ウズの3管に、ジョン・ルイス、パーシー・ヒース、ブレイキーというリズム隊でござ います。まずは爺ぃグライスのオリジナルの「ヒム・オブ・ジ・オリエント」。「東洋 への賛歌」とでも言った意味でしょうか、タイトルどおり、ちょっぴりオリエンタルな ムードの名曲でありますが、ところで東京でも「オリエンタルのグァバ」(ハワイの飲 み物)って、売ってるんですかね?日本に居ながらにしてハワイアン気分を味わえるト ロピカルな缶ジュースなんですが、この前飲んだら下痢をしました。いや、冷たいもの の飲み過ぎということだと思うんですけどね。で、「ヒム・オブ・ジ・オリエント」。 1953年の録音であることを考えると、テーマ部のアレンジがまるっきり“ハード・ バップ”であることに驚かされますが、これはやはり才人ジジ・グライスのなせる技で しょう。ビ・バップと『クールの誕生』の幸福な結婚の姿をジジ・グライスのアレンジ に見いだすことが出来るし、ファッツ・ナヴァロが築いたトランペット・スタイルの理 想的な完成形をブラウニーのソロに聴くことが出来ます。うん、今日の僕って、とって もいいこと書いてますね。ボーリングは下手クソでもジャズ評論家としては超一流。そ んな評価が下されるのも、そう遠くないことでありましょう。
 
 で、改めて演奏を聴き直してみると、ピアノによる短いイントロに続いて、トラ ンペットがリードするメロディに2本のサックスが“ハモる”形でテーマが演奏されま す。続くブラウニーのソロは、このセッションが彼にとって2回目のリーダー作である (←たぶん。。。)ことを考えれば、驚異的な完成度であると言わざるをさるぼぼ。え ーと、他にも何か書きたいことがあったような気がするんですが、今の“さるぼぼ”で 全部忘れてしまいました。思い出したら股掻きますが、いや、又書きますが、トランペ ット・ソロのバックでサックスがハーモニーをつけるという構図も秀逸です。ブレイキ ーのプッシュもよろしいですな。ソロ2番手はラウズでぜんぜん期待されてなかったん ですが、予想に反して素晴らしいソロを聴かせておりました。で、そのあとジョン・ル イスのソロがあって、ブラウニーとブレイキーの4バースに突入。4バースにおけるフ レーズ作りのうまさもブラウニーの特徴でありまして、よくもまあ、即興でこんな“あ らかじめスコアに書かれたようなフレーズ”が吹けるもんですなぁ。と感心したところ でテーマに戻ってエンディング。アレンジ、各自のソロ共、完璧な演奏でありました。
 
 はい、1曲目にスペースを取り過ぎましたね。あと11曲もあって前途多難です が、2曲目はスタンダードの「イージー・リビング」。イントロ部では爺ィの吹くフル ートがキュートなムードを醸し出しております。テーマ部とアドリブ・パートはブラウ ニーの独壇場ですな。彼の吹くバラードはどちらかというと古いスタイルなんですが、 人柄を感じさせる“あたたかさ”がウリでしょう。『ウィズ・ストリングス』を彷彿さ せる吹きっぷりですね。で、続くブラウニーのオリジナル「マイナー・ムード」はタイ トルどおりマイナーなムードの曲でありまして、日本人受けすること間違いなし。ジョ ン・ルイスの弾くブルージーなイントロもいいですな。ソロ先発はブラウニーなんです が、彼の場合、これくらいのミディアム・テンポがいちばんオイシイです。イシイのミ ートボールもオイシイですけどね。ソロ2番手はジジ・グライズ。彼の本質はアルト奏 者というよりも作編曲家だと思いますが、リー・コニッツの影響を感じさせるクールな 吹きっぷりは悪くありません。ラウズのソロがあって、続くジョン・ルイスは、この人 にはあまりいい印象を持ってなかったんですが、ここでのソロは褒めざるをさるぼぼ。 玉を転がすいうな綺麗なタッチで・・・とか書いてるうちにソロが終わっちゃいました が、そのあとの3管ハーモニーがムード満点で、もぉ、最高っ♪です。
 
 4曲目の「チェロキー」は、間の抜けたメロディがどうにも好きになれんのです が、このヴァージョンはアレンジが変わってますね。3管の短いイントロに続いて、ジ ョン・ルイスが弾くテーマ・メロディをバックにブラウニーが最初っからアドリブ全開 で飛ばします。彼の超絶的なテクが披露されるわけですが、素人にはちょっと解りにく い演奏かもしれませんね。テーマは間が抜けてるしぃ。
 
 ここから2曲、ライオネル・ハンプトン楽団の同僚だったクインシー・ジョーン ズの作品が続きます。「ウェイル・ベイト」はエキゾチックなムードのミディアム・テ ンポの演奏で、ソロ先発のジョン・ルイスのプレイが光りますね。続くジジはいかにも 爺ィらしいプレイを披露し、短いアンサンブルを挟んでブラウニーのソロになります。 見事の一言です。で、ラウズのソロがあって、3管ハーモニーのパートがあって、ブラ ウニーのソロを挟んで、テーマに戻って、エンディング。典型的なハード・バップ・サ ウンドであると言えましょう。続く「ブラウニー・アイズ」は綺麗なメロディのバラー ドでありまして、あのゴルソンの『クリフォードの思い出』は、あるいはこの演奏をヒ ントに作られたのかも知れないね。なんて、ふと思ってしまいました。
 
 はい、ここからはB面のセッション。ルー・ドナルドソンとの双頭クインテット による吹き込みでありまして、録音日はこちらのほうが古く、ブラウニーの記念すべき 初リーダー作となっております。まずはブラウニーのオリジナル「ブラウニー・スピー クス」で幕を開けるんですが、このアルバムって寄せ集めで、しかも「ブラウニー・ア イズ」はオリジナルではカットされていたというのに、この「アイズ」から「スピーク ス」への流れが実に自然なんですよね。で、「スピークス」のほうはアップ・テンポの 元気のよい演奏で、けっこう複雑なメロディなんですが、フィリーの切れ味抜群なドラ ミングに煽られて、ブラウン、ドナルドソン共、素晴らしいソロを展開しております。 続くエルモ・ホープのオリジナル「ディー・ダー」でもフィリーは大活躍。テーマ部の お祭り騒ぎタイコに、思わず心が弾みます。作曲者本人の“へろへろした味わい”のソ ロもいいし、つづくルーのパーカー・ライクな吹きっぷりも爽快です。ブラウンのソロ は新人離れしていて、乳離れもしていて、肉離れというのは痛いものですなぁ。。。
 
 B面3曲目の「屈筋」はLDのオリジナル。ここでもフィリーが頑張ってるし、 何より調子のいいナンバーですなぁ。聴いているだけで、ああん、カラダが勝手に反応 しちゃうのぉ♪と言った感じにとってもスインギーなんですが、こういう曲を自由自在 にアルトで吹けたら、さぞや気持ちよかろう。。。なんて思ってしまいます。「気持ち よさそう」と言えばB面4曲目の「ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド」。まさにパーカ ー・ライクな初期LDのけれん味のないプレイが堪能できます。以上2曲、どちらかと いうとドナルドソンのほうが目だっておりましたが、ブラウニーだってきっちりイイ仕 事をしておりますので、大丈夫です。
 
 B面5曲目「カーヴィン・ザ・ロック」はホープとロリンズのオリジナル。とっ ても調子のいい曲で、ルーさん、ブラちゃん共々、ソロは快調です。ホープりんだって 頑張ってます。というか、このセッションの彼のソロではベストのチョッキですね。と いうことで、ようやく最後ですね。「ベラローサ」はホープりんのオリジナル。ちょっ ぴりマヌケな感じのメロディではありますが、ホープらしさは存分に感じられるナンバ ーです。ルーさん、ブラちゃん共々、ソロは快調です。
 
 クリフォード・ブラウン、享年25歳。ジャズを聴き始めた頃、ブラウニーが死 んだ歳までに、果たして自分はこの世に何を遺すことが出来るだろうか?なんて、ちょ っと真剣に考えたことがあります。今ではもう、既にブラウニーより7年も長く生きて いるわけでありますが、少なくとも“塩通”だけは自分が死んだあとも残るわけであり まして、となると「陰毛足るぞ、不足なし。」でイイのか?と、ふと疑問に思ってしま いましたが、それもまた生きている証(あかし)のアンドレ・アガシ。ま、これからも 頑張りましょう。ということで、本日のクソ長い原稿はおしまい♪


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