【アルバム名】
NOSTALGIA (SAVOY)
【リーダー名】
FATS NAVARRO (1946/12/18,1947/12/5,22)
【パーソネル】
FATS NAVARRO (tp) CHARLIE ROUSE (ts) TADD DAMERON (p) NELSON BOYD (b)
ART BLAKEY (ds) DEXTER GORDON (ts) ART MARDIGAN (ds)
EDDIE DAVIS (ts) HUEY LONG (g) AL HAIG (p) GENE RAMEY (b)
DENZIL BEST (ds)
【収 録 曲】
NOSTALGIA / BARRY'S BOP / BE BOP ROMP / FATS BLOWS / DEXTIVITY /
DEXTROSE / DEXTER'S MOOD / INDEX / STEALING TRASH /
HOLLERIN' & SCREAMIN' / FRACTURE / CALLING DR. JAZZ
【内   容】
 先日、ちょっとわけがあって会社まで電車で来たんですが、わけというのは他で もなく、前日に“エバラの安全講習会”というのに参加して、そのあと懇親会があって 酒を飲んだもんだから、会社にクルマを置いて帰ったと。まあ、そういうわけなんです けどね。“エバラの安全講習会”というのは、いかにしてトカゲや蛾やユスリカの混入 のない安全な焼肉のタレを作るか?という問題について指導をうけるといった集いでは なくてですね、エバラはエバラでもポンプを作っている荏原製作所というところの安全 講習会なんですけどね。それにしても最近、食品等への異物混入が一種のブームみたい な様相を呈しておりますが、自分で食べ物に異物を入れてインネンをつけるというのは 、昔からよく聞く話でございます。この場合、異物としてよく用いられるのは髪の毛、 ハエ、蚊、ゴキブリなどなど。不潔感を与えるというのがポイントでありまして、例え ば「焼きそばにインゲンが入っとるやないけぇ!」とインネンをつけたところで、あま り迫力はありません。あまりおいしそうじゃないですけどね、インゲン入りの焼きそば 。で、一連の混入異物のなかで、これは使えるな!と思ったのがユスリカという生物で ありまして。「点滴液のパックにユスリカが入っとるやないけぇ!」とインネンをつけ られたら、もしかして“ゆすり”か?と思っても、相手がユスリカだけにどうすること も出来ないわけでありますが、よい子は真似をしてはいけません。
 
 で、エバラの安全講習会のあとに行われる懇親会は、案内状によると「ボーリン グを予定しております。」ということだったんですが、それを見て内心、まいったなぁ ・・・と。もし私がマチコ先生だったら、あ〜ん、まいっちんぐぅ〜♪ 英語で言うと
 
  If I were a Machiko-sense , Ah-n Maitching♪
 
といった心境だったんですが、しかし「あ〜ん、まいっちんぐぅ〜♪」では全然“ まいってる”ようには聞こえないし、むしろ内心では喜んでいる気配が濃厚だし、英語 で言う必然性もまったくないわけだし、よく考えると例えとしてはちょっぴり不適切で ありましたが、ナニを隠そう(←モザイク入り)、私は“ボーリング超苦手青年”であ りまして。苦手としている原因はデビューの遅れと経験不足ではないかと思うんですが 、実は晩熟ボーイ・さばりんは19歳くらいになるまでボーリングというのををやった ことがありませんでして。いや、桑名にもいちおうボーリング場はあったんですけどね 。国道23号線沿いに“鈴木常男プロの桑名ニチウボウル”、揖斐川の堤防沿いに“桑 名リバーサイドボウル”という2件のボーリング場があって、友達に誘われたりすれば もっと早いデビューも可能だったんでしょうが、あいにく誰にも誘われないまま19の 春を迎えてしまったわけでありまして。で、その後、精進さえ重ねていれさえすれば、 いくら運動神経が人並みはずれて低レベルな私でも「人並み’(ひとなみダッシュ)」 くらいにはなれたのではないかと思うんですが、このトシになるまで“あたしのボーリ ング経験♪”は、わずか片手程度なのでございます。とまあ、今ひとつ好きになれない 競技なのでありますが、そもそもボーリングというのはいつ頃誕生したものなんでしょ う?
 
 あたし、思うんですけど、ボーリングが生まれたのって、わりと最近のことだと 思うんです。だってボーリング場って、“たま”だって自動的にコロコロと転がってく るし、“ぴん”だってクスリの力も借りずに自立的に直立するしで、ずいぶんとハイテ ク仕掛けだと思うんです。だからボーリングが生まれたのって、わりと最近のことだと 思うんです。おそらく第2次世界大戦の前くらいにアメリカで誕生したんじゃないかし ら?
なんて漫然と思っていたんですが、調べてみるとその起源は7000年も昔にさか のぼるそうでありまして。7000年っ!あの中国でさえ4000年だというのに、た かだがボーリングの分際で7000年っ!しかしまあ、よく考えてみると、ピン状の物 体を目の当たりにすれば、とりあえず順番に並べてみたくなるのが人情だし、順番に並 べられたピン状の物体を目の当たりにすれば、とりあえずタマでも転がして倒してみた くなるのが人の常でございます。すなわちボーリングというのは人間の本能が必然的に もたらした遊戯であると言えるわけでありますが、だいたいボーリングのタマを見ても 、とりあえず穴を見れば指を突っ込んでみたくなるという、人間の特性をうまく利用し ていると言えますよね。で、現在用いられているようなピンの原型は紀元前5200年 頃のエジプト人の墓からも発掘されているそうですが、わざわざ墓に一緒に埋葬すると は、生前よほどボーリングのピンを愛好してたんでしょうな。あ〜ん、頭の部分の微妙 な形状がたまんない〜♪とか。で、競技としてのボーリングは当初9本のピンをダイヤ 型に並べて行われていたそうですが、1940年代のアメリカで現在のような10ピン ・逆ピラミッド型配置が考案されたんだそうです。おそらく男子競泳選手の三角ビキニ (もっこり♪)でも見て、オー・イッツ・ナイス・フィギュア!名古屋弁で言うと、ふ ぃぎゃあ!とか言って考え出したんでしょうね。アメリカ人のやりそうなことです。と いうことでこの話、明日に続く。
 
 @ ということで本日はファッツ・ナヴァロの『ノスタルジア』。
 
  ・未舗装路 隣に君を 乗せたら痔や
 
  > 揺られて、あ〜ん。。。
 
痔が出ると思ったら案の定。という感じでありますが、最近“じゃず評論”の世界 では“ナヴァロ再評価”のうんこが、いや、気運が高まっておりまして。モダン期以降 のトランペッターのスタイルの変遷について考えるとき、まずビ・バップの創始者とし てディジー・ガレスピーの名前があがり、続いてハード・バッパーとしてのクリフォー ド・ブラウンが登場するのが常であるが、本来ならこの2人の間に位置すべくファッツ ・ナヴァロがあまりにも“いなわしろ”にされているのではないか。という論調ですね 。このように問題を提起しておいて、“いなわしろ”って、それは福島にある湖やがな 。それを言うなら“ないがしろ”やがな。とツッコミを入れるのが常道でありまして、 いや、ジャズ評論の基本は“ひとりボケとツッコミ”であるわけですが、いずれにせよ 大した評論家ではありませんな。とまあそんなことで“WEBジャズ界の良心”を自任 する塩通としてはナヴァロを蔑ろにするわけにもいかず、そんなことで『ノスタルジア 』なんですけどね。このアルバム、前にも取り上げたような気がしないでもないんです が、3つのセッションから成っておりまして、要はSP盤を6枚分寄せ集めたという作 りでありまして。40年代モノだから録音のほうはまったく期待出来ないんですが、と りあえず最初のセッションから聴いてみましょうね。
 
 フロントはナヴァロとチャーリー・ラウズ、ピアノはタッド・ダメロンです。ダ メロンと言えば先日、健康関係の雑誌の新聞広告を見ていたら、“ED”という単語が 出てきたんですけどね。要は“不能”ということらしいんですが、何の略なんでしょう ね?やっぱり“エレクト駄目”とか?それはさておき、1曲目の「ノスタルジア」。ナ ヴァロのオリジナルですな。バップ曲というのは得てしてメカニカルになりがちなんで すが、さすがはタッド・ダメロン門下ですね。グラチャン門下の3世なんかと違って、 ずいぶんとメロディアスな作りとなっております。ナヴァロとラウズがユニゾンでノス タルジック・ムードに溢れたテーマを演奏するんですが、それにしてもチャーリー・ラ ウズ。50年代に登場した今ひとつ地味なテナー奏者だとばかり思っていたら、バップ 期から頑張っていたんですな。で、ソロ先発はナヴァロ。ミュートを付けて吹いており ますが、そのスタイルはまさしく、ブラウニーの原点が彼であったことを再認識させて くれます。と、常套的なフレーズを書いておいてと。で、ラウズやダメロンのソロはな くて、そのままテーマに戻って、エンディング。SP時代の録音というのは勝負が早い んです。
2曲目の「バリーズ・バップ」もナヴァロのオリジナルで、いかにもバップらしい アップ・テンポのナンバーです。ラウズのちょっぴり頼りなげなソロに続いて登場する ナヴァロの輝かしいトーンがとっても輝いてるね。月並みな表現ですが、確かにガレス ピーとブラウニーの橋渡し的な感じがしますよね。とか言ってるうちに3曲目。SP時 代の演奏は忙しいのであります。「ビ・バップ・ロンプ」もナヴァロの曲でありまして 、わりかしメロディアスなのが彼らしいです。ソロ先発はラウズで、ラウズはラウズな りに頑張っているなぁ。ということを感じさせます。わりかしおいしいですもんね、ウ ズラの卵を爪楊枝に刺してフライにしたの。と、関係ない話をしているうちに4曲目。 「ファッツ・ブロウズ」もファッツのオリジナルで、ファッツがとってもブロウしてお ります。ちょっぴりモンクを思わせる曲で、ラウズ、ナヴァロのソロが聴けます。ナヴ ァロ、いいです。
 
 と、ここまでがナヴァロのリーダー・セッションで、続く4曲はデクスター・ゴ ードンのグループにナヴァロが参加したものですね。5曲目の「デクスティヴィティ」 はデックスのオリジナル。あまり深く考えて付けたとは思えないタイトルがいかにもデ ックスらしくってイイですね。曲は典型的なバップ・チューンで、男性的なデックスと 、流麗なナヴァロとのコントラストが絶妙にして巧妙、神妙、軽妙、戒名。実に適当な 解説ですな。続く6曲目の「デクストローズ」はデックスのオリジナル。あまり深く考 えて付けたとは思えないタイトルがいかにもデックスらしくってイイですね。曲は典型 的なバップ・チューンです。7曲目の「デクスターズ・ムード」はデックスのオリジナ ル。ムードたっぷりのスロー・ブルースが堪能出来ます。ナヴァロは出てきませんけど ね。8曲目の「インデックス」はDEXにかけたタイトルが軽妙洒脱で脱稿、脱腸。シ ンプルなリフ・ナンバーでありますが、わかりやすくって何よりです。
 
 と、ここまでがデクスター・ゴードンのリーダー・セッションで、残る4曲はエ ディ・デイビスのグループにナヴァロが参加したものです。エディ・デイビスって、誰 ?と思った人もいるでしょうが、エディ・“ロックジョウ”・デイビス、その人であり ますな、恐らく。違うかも知れませんけどね。ギターが入っているため、これまでの8 曲とはちょっと変わったムードになっておりまして、なんというか、下品ですな。「ス テアリング・トラッシュ」「ハラーイング・アンド・スクリーミング」「フラクチュア 」「コーリング・ドクター・ジャズ」の4曲ともエディ・デイビスのオリジナルであり まして、最後の曲は「ドクター・ジャズと呼んで♪」とでも訳すんですかね?どれもジ ャンピーなナンバーでありまして、エディ・デイビス、ナヴァロ共にとてもよく跳んで おります。
 
 んなことで、ぜんぜんやる気の感じられない後半部分でした。じゃ。


| Previous | | Up | Next |