- 【アルバム名】
- THE ROGER KELLAWAY TRIO (PRESTIGE)
- 【リーダー名】
- ROGER KELLAWAY (1965/5/11,13)
- 【パーソネル】
- ROGER KELLAWAY (p) RUSSELL GEORGE (b) DAVE BAILEY (ds)
- 【収 録 曲】
- ORGAN MORGAN / ONE NIGHT STAND / I'LL FOLLOW THE SUN / BRATS /
- CAN'T YOU SEE IT / SWEET AND LOVELY / SIGNA:O.N. /
- BALLAD OF THE SAD YOUNG MEN / NO MORE / THE FALL OF LOVE
- 【内 容】
- 今日の僕ってば、とっても“ムカ入って”ます。もぉ、すーんごくムカついちゃ
ってぇ、落ち着いてロジャー・ケラウェイとか論じる気分じゃなくってぇ、この怒りを
誰かにぶつけたくってぇ、読まされるほうは迷惑だとは思うんだけどぉ、どうかひとつ
僕のグチにつきあってくださいね。
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- 愚痴:言ってもかいのないことを言ってなげくこと。
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- 愚かにして痴ですかぁ。こうやって改めて“愚痴”という漢字をじっとながめてみ
ると、なんだかグチグチグチグチと愚痴をこぼすのがアホみたいに思えてきちゃいまし
たが、とにかくですね、話はエンジンの点検の見積依頼が来たことから始まります。
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- 見積:みつもること。
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- 相変わらず何の説明にもなっていないザウルス内蔵の辞書なんですが、以前に出し
た某所・某エンジンの点検に、エンジンオイルとLLC交換を加えて再見積をしてくれ
ということでありまして。いいですねぇ、LLC。素晴らしいですねぇ、LLC。西城
秀樹も思わず歌って踊ってしまいますよねー。素晴らしい〜、LLC♪って、ぜんぜん
語呂がよくないぢゃん。ちなみにLLCというのは“らぶ・らぶ・きゃんでぃどーる♪
”の略ではなくて、ロング・ライフ・クーラントの略でありますな。日本語にすると「
長生きクーラント」。クーラントというのがクール、クーラー、クーラントというふう
に活用するのではないかと思われますが、要するに「冷やすもの」というような意味で
すね。人間、ムカ入ってるときには頭を、例年デート前にはタマを冷やすことが大切な
わけですが、エンジンだって同じです。燃えたぎって爆発しちゃってるエンジンは冷却
水で冷やさないとオーバーヒートしてしまい、
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- ・大場 「あひ〜♪」と叫ぶ午後
-
- > 大場、悶絶。
-
- という事態に陥ってしまうわけですが、冷却水といってもタダの水ではいけません
。タダの水ではエンジンの部品がサビちゃったり、冬になったら凍っちゃったりしてと
ってもよくないので、防錆効果のある不凍液というのを交ぜるわけですね。この防錆効
果のある不凍液のことを「クーラント」と言って、その中でもとりわけ長生きなのをロ
ング・ライフ・クーラントと称しているわけです。ただし“原液女子高生”のままだと
かえってサビの原因になるので、通常は30パーセントの溶液にして用います。これだ
とマイナス15度になっても凍らないからとっても安心なんですが、もっと寒い地域で
は40パーセント(マイナス25度まで大丈夫♪)というように、寒さの度合いによっ
て濃度を変えるわけですね。ちなみにこのLLCの主成分はエチレングリコールであり
まして、嘗めるとちょっぴり甘い初恋の味がするんですが、あんまり嘗めると毒なので
、ほどほどにしておきましょうね。ちょっぴり甘いといっても決しておいしい甘さでは
なく、とってもまずいですしね。で、たいてい“どぎつい緑色”に着色されております
。例えてみると、そうですねぇ・・・、「冬場の学校のプールの色」。すっかりミドリ
ムシが繁殖しちゃって、もぉ大変♪といった感じ。で、このLLCがどれだけ必要かと
言いますと、今回点検する“S16R”という16亀頭の・・・って、ああん、そうじ
ゃなくって、16気筒のエンジンの場合、別ラジ(←“別置きラジエータ方式”の略)
で冷却水が960リットル必要であるため、その約30パーセントの300リットルの
LLCが必要なわけでございます。で、塩サバ物産(仮名)の見積規定によると、LL
Cは1リットルで650円ということになっているので、
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- LLC代 650円×300リットル=195,000円
-
- で、エンジンオイルがどれだけ入るかというと、エンジン1台で230リットルも
入っちゃうので、塩サバ物産(仮名)の見積規定、オイル1リットル600円として、
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- オイル代 600円×230リットル=138,000円
-
- その他に技術員派遣費だとか車輌交通費だとか消耗雑費だとか諸経費だとか器工具
損料(←器具を使ったら、ちゃんとお金を払ってね♪という使用料みたいなもの)とか
を加算して、塩サバ物産(仮名)の利益が30パーセントあがるように計算して、計6
6万3000円!という金額を出して、見積書をファックスしておいたわけであります
。
-
- すると数日後、黒井(仮名。本名は白黒反転してね♪)というオッサンからファ
ックスが来て、一言、「希望価格58万5000円」。いや、こっちもアホじゃないか
ら、多少値切られることを想定してちょっぴり高めに見積を出しているんですが、相手
の言いなりになるのも癪なので“日本人的中庸精神”を発揮して、だいたい真ん中をと
って「弊社希望価格62万5000円!」と書いて送り返してやったんですけどね。す
るとすぐに電話がかかってまいりました。最初のうちは紳士的に「予算がないので、も
う少しまけて貰えないですかねぇ。」とか言ってきたんですが、次第に態度が横柄にな
ってきたもんだから、こっちもだんだんとムカついてきちゃってぇ、「じゃ、いくらま
でならまけるんだ?」という話になってぇ、何気なく「ま、1割くらいなら・・・」と
ポロっと言ってしまったらぁ、黒井(仮名)の野郎は電卓を出してきてぇ、「じゃ、6
6万3000円×0.9=59万6700円!」。思わず私は心の中で、しまった!と
思いました。深く考えずに「ま、1割くらいなら・・・」と言ってしまったんですが、
計算してみるとかなり“黒井のおもうツボ”という価格に近いではありませんか。焦っ
た私は「いや、1割というのは一般的な話で、今回はちょっと・・・」というと黒井の
野郎はいきなり怒り出し、「あなたも解らない人だなぁ。66万3000円に0.9を
かければ59万6700円だよ!そんなの小学生の計算だよ!」とか抜かすもんだから
、僕、完璧にキレちゃってぇ。「だからぁ、1割と言うのは一般的な話でぇ!」と黄色
い声を出して抗議すると、黒井のオッサンもキレちゃって、「アンタじゃ話んならん!
上司を出せ!」とかいうもんだからぁ、「上司はおらん!」とウソを言ってやったら、
「明日、社長に電話してやる!」と叫んで、そのままガチャンと一方的に電話を切られ
て、おしまい。話し合いはイスラエルとPLOの中東和平交渉の如く、決裂したのであ
りました。
-
- しかし、僕たちはオトナですからね。子供の喧嘩じゃないんだから、ちょっと頭
を冷やして冷静になりさえすれば、「さっきはゴメンねっ♪」と謝って、もう一度交渉
のテーブルにつくことができるハズですよね?と思っていたら、考えが甘すぎました。
黒井クンってば次の日に、ホントに社長に電話してきやがんの。。。幸いウチの社長は
毎日会社に出てくるような真面目な人じゃないから、机の上に「明○エンジニアリング
の黒井さん(仮名)が、電話を下さいということです。」というメモが置かれただけで
ありましたが、事態はそれだけでは済みませんでした。普通、人間というのは土曜・日
曜と2日間も休みをはさめば少しは冷静になるものなんですが、黒井クンは違いました
。月曜日になって社長宛に「抗議文」と題したファックスを送り付けてくださいました
。わざわざご丁寧にワープロで、「私は今まで20数年間資材の仕事をしてまいりまし
たが、このような対応を受けたのは初めてです。」とか、「貴社では社員にこのような
教育をなされているんですか。貴社の見解を出して下さい。提出期限7月31日(←ち
なみに当日)。」とか書いてありましたが、わざわざこんなもん送ってよこすとは、よ
っぽど暇なんですかね?とまあ、そんなわけで、今度の横浜オフでは「鰈技師の御祓い
」と共に「黒魔術で黒井(仮名)を呪う」というプログラムを追加したいと思います。
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- 以上、つまんないグチでゴメンね。。。
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- @ ということで、気を取り直してロジャー・ケラウェイ。吉祥寺のタワーで仕
入れてきた1枚です。この人、名前は聞いたことあるような?という程度の認識であり
まして、詳しい素性に関しては寡聞にして知りません。
- で、この『ザ・ロジャー・ケラウェイ・トリオ』というプレスティッジ盤のCDに
書いてある英語説明の解読を試みたところ、次のような事実が判明しました。僕の翻訳
が間違ってなければ合っているはずです。
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- ・このアルバムが録音された1965年の時点で、わずか26歳である。
- ・しかし彼は既に“にゅーよーく・じゃず・ふれたにてぃ”(←何それ?)の固定
メンバーである。ちなみに“fraternity”というのは「共同体」という意味らしいです
。
- ・彼はワイドなレンジのミュージシャンと一緒に働いてきた。すなわちジミー・マ
クパートランド(←誰それ?)、ベン・ウエブスター、カイ・ウインディング、アル・
コーン&ズート・シムズ、クラーク・テリー&ボブ・ブルックマイヤー・クインテット
。
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- はい、これでだいたい読めましたね。普段、僕があまり親しくお付き合いしていな
い系統のジャズの世界で陰ながら頑張ってきた地味な性格の白人ピアニスト(髭ヅラ)
。といったところでありましょう。顔だけ見てるとスティーブ・キューンとかデニー・
ザイトリン風のピアノを弾きそうな感じなんですが、実態はどうなんでしょう?じゃ、
1曲目から検証してみようね。「オルガン・モーガン」です。オルガン・モーガン?と
いった感じの曲名ですが、原文ライナーによれば「ディラン・トーマスの“アンダー・
ミルク・ウッド”のキャラクター」にちなんだネーミングなんだそうです。そんなこと
現代ニッポンのやんぐな若者に言われても、ちっともピンときませんよね。当時のアメ
リカじゃ、人気“大ブレイク”だったんですかね?「牛乳の木の下で」って。で、作曲
者にはパッテ・ヘイル(?)とかいう人の名前がクレジットされておりますが、これは
ケラウェイのワイフなんだそうです。このワイフがオランダ系であるのかどうかは知り
ませんが、ちなみに2曲目の「ワン・ナイト・スタンド」(一夜の屹立?)というのも
彼女の作品です。
-
- では、とりあえず1曲目から。タンバリンを交えたタタタン・タタン♪タタタン
・タタン♪というリズムに、べっべーん♪べっべーん♪べっべーん♪とベースが絡み、
ピアノによるテーマへと引き継がれます。ジャズ・ロック調とまではいかないものの、
かなりポップな雰囲気ですな。そういうキャラなのかも知れませんね、オルガン・モー
ガン。で、ケラウェイのソロなんですが、黒くはないんですが、エバンスっぽい感じで
もないですね。強いて言えば『イッツ・オール・ライト』路線のウイントン・ケリーを
ちょっぴり白くした感じぃ?とりあえず次にいきましょう。曲自体はケラウェイいわく
“オン・ザ・ロードなフィーリング”ということなんですが、確かにとっても路上の感
性といったものが感じられます。リズムが変則的で、ケラちゃんのソロも1曲目に比べ
ると若干“前衛風”のムードがございます。はい3曲目。「アイル・フォロー・ザ・サ
ン」はレオン&マッカートニーの作となっているので“ずうとるびナンバー”なんでし
ょう。ミステリー・ドラマのBGM風イントロに続いて演奏されるテーマは綺麗なバラ
ードであります。ケラちゃんのプレイはエバンス的な耽美さを感じさせる部分と、装飾
音を駆使して大衆受けを狙った面との両面が現れているような気がします。どうも、と
らえどころのないスタイルですな。
-
- 4曲目で初めてケラちゃんオリジナルがお目見えします。「ブラッツ」。196
2年の7月に書いた曲だそうです。「ピアノの前に座ってインプロバイズしていると、
4つの音からなる基本的なコンポジションが浮かんできたんだ。」というようなことを
彼は述べておりますが、いきなり変な音色が聞こえてきて、“???”といった感じで
すな。4つの音からなるコンポジションというのは中華風というか前衛風というか痛風
というか、とにかくとっても意味不明ですな。ソロも“フリー”と言ってもいいような
スタイルで演奏されております。まったくもって料簡のよくわからんピアニストですな
。よくわかんないので、5曲目。「キャント・ユー・シー・イット」。一転して小粋に
スイングする歌物ナンバーといった感じの演奏です。続くスタンダードの「すいーと&
らぶりぃ」ではファッツ・ウォーラー的というか、そういったノスタルジックなスタイ
ルのピアノを弾いておりまここでピンときたんですが、もしかして「白人ジャキ・バイ
アード」みたいな、“何でもアリ”を標榜するピアニストなんですかね?とりあえず7
曲目。「シグマ:オン」はケラウェイのオリジナルで、そのよくわからんタイトルから
もわかるように、前衛風のヘンな曲であります。ときどきドン・フリードマンが変な曲
を作って失敗しておりますが、あれをもっと“あからさまに失敗させた”ような感じで
すね。まだリズムがしっかりしてるから何とか鑑賞には堪え得りますけどね。
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- 8曲目の「サドな“やんぐ”なメンたちのバラード」はバラードです。無伴奏ソ
ロなので、地味地味ぃ。退屈なので聴きとばしてもかまいません。サドな“やんぐ”な
メンたちに明日はないと思います。9曲目の「ノー・モア」は5曲目の「キャント・ユ
ー・シー・イット」と同じく、ブロードウェイ・ミュージカル『黄金少年』のナンバー
らしいです。そういえばブレイキーが柔道着を着た『ゴールデン・ボーイ』とかいうア
ルバムがありませんでしたっけ?で「ノー・モア」は、まあまあ。ケラウェイのソロは
わりとオーソドックスです。マーチ風のリズムが楽しいですね。はい、ラスト。「ザ・
フォール・オブ・ラブ」。ケリーが『イッツ・オール・ライト』で演ってたような気が
しますが、演ってなかったような気もします。あ、やっぱり演ってましたね。ケリー版
は“ラテンでノリノリ♪”だったのに対し、ケラウェイはしみじみとバラードで演奏し
ておりますが、これはこれで悪くありません。ということで、結局最後まで「これ」と
いったスタイルがつかめませんでしたが、そういう人なんでしょうね、ケラウェイ。と
いうことで、明日は日帰りで長野まで行ってきまーす。お土産、お楽しみにー♪
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