- 【アルバム名】
- BIG CHIEF! (JAZZLAND)
- 【リーダー名】
- JUNIOR MANCE (1961/8/1)
- 【パーソネル】
- JUNIOR MANCE (p) JIMMY ROWSER (b) PAUL GUSMAN (ds)
- 【収 録 曲】
- BIG CHIEF! / LOVE FOR SALE / THE SEASONS / FILET OF SOUL / SWISH /
- SUMMERTIME / RUBY , MY DEAR / LITTLE MISS GAIL / ATLANTA BLUES
- 【内 容】
- 「グレてやるぅ!」そう思ったことはありませんか?私は1度だけあります。「
こんな会社、やめてやるぅ!」そう思ったことはありませんか?私は2、3度あります
。「カレーのルーぅ!」そう思ったことはありませんか?私はありません。「こんな会
社、やめてやるぅ!」そう思ってホントにやめちゃった人は会社を変わるか、あるいは
脱サラしてお店を開業というパターンが多いと思われますが、この場合の“お店”の最
有力候補は「ラーメン屋」ではないでしょうかね?いや「カレーのルーぅ!」と思った
ことがある人ならカレー屋を目指すかも知れませんけどね。ものは試しに「脱サラ|ラ
ーメン屋」をキーワードに“Infoseek”で検索してみたら224件ヒットしましたが、
「脱サラ|カレー屋」はわずか33件でした。ちなみにペンションが131件、八百屋
が56件、魚屋が53件。もしかして「脱サラして皿うどん」という非常につまんない
ことを考える人がいるかな?と思って調べてみたら、9件ヒットしましたけ。で、その
他の寿司屋、蕎麦屋、パン屋、花屋、服屋、薬屋、カバヤなどに走った人をひっくるめ
て150件、政治や宗教に走った人を3件と算出し(←根拠なし)、マラソンに走った
人を1件として全体に占めるパーセンテージを計算してみると(表1)のような結果が
出ました。実に脱サラした3人に1人がラーメン屋になっていたわけですね。というこ
とで本日のテーマは「ラーメン屋開店マニュアル
〜 これであなたも一国一城のアルジ
」。
-
(表1) |
業 種 |
件 数 |
割 合 |
|
|
|
ラーメン屋 |
224 |
33.9% |
ペンション |
131 |
19.8% |
八百屋 |
56 |
8.5% |
魚屋 |
53 |
8.0% |
カレー屋 |
33 |
5.0% |
皿うどん屋 |
9 |
1.4% |
政治・宗教 |
3 |
0.5% |
マラソン |
1 |
0.2% |
その他 |
150 |
22.7% |
- いいですなぁ、一国一城のアルジ。アルプスの少女はハイジですけどね。肛門の
疾患は切れ痔。ついカッとなってキレちゃって会社をやめて、ついでに痔も切れちゃっ
た人も、とりあえず落ち着きを取り戻したら“そろばん勘定”をしなければなりません
。店を開くんだったら土地も建物もいるし、従業員を雇えば人件費がかかるし、ラーメ
ンを茹でるんだったら光熱費もかかるし、痔の手術費用だって馬鹿にならないしぃ。果
たして1日に何人くらいの客がくればラーメン屋としてやっていけるのでしょうね?で
はとりあえず、開店にこぎつけるまでに必要な経費をみてみましょう。建物と土地はあ
るものとします。ない人は脱サラをあきらめるか、頑張って建物と土地を手に入れるし
かありません。桑名だったら大桑国道沿いにあった「くるまやラーメン」がつぶれて「
天下一品」に変わり、それもぜんぜん流行らなくってすぐにつぶれ、その空き店舗がち
ょうど売りに出されておりますので、借金してその物件を買ってみるのもいいかも知れ
ませんね。
-
- 手に入れたブツが“元・ラーメン屋”である場合は簡単な改造ですぐに“新・ラ
ーメン屋”に仕立てあげることが出来ますが、他業種だった場合にはちょっと大変です
。川越町にあった「くるまやラーメン」はつぶれて「くるまや」(自動車販売店)にな
りましたが、逆のパターンも有り得ますよね。自動車販売店ならまだしも、“前世”が
ヤブで有名だった外科開業医だったりしたら大変です。手術室を調理場に改造したり、
5部屋あった病室をぶっ潰してテーブルと椅子を並べたりする費用のほか、盲腸の手術
に失敗してこっそり縁の下に埋められちゃった患者の供養費として、100万円くらい
は計上しておいたほうがいいでしょう。ちなみに10坪15席のラーメン屋を開業する
場合、店舗取得費は別にして、内外装設備費350万円、厨房設備費240万円、什器
備品費80万円、開業費50万円、運転資金50万円の合計770万円が必要になるそ
うです。
-
- さあ、いよいよ開店です。若いねーちゃんをバイトに雇って“ねんごろ”になり
たい。という野望は当然あるでしょうが、お店が軌道に乗るまでは人件費節減のため調
理・サービスは1人でこなすようにしましょう。
- そのためにはカウンター席だけにしたほうがいいですね。儲かるようになったらま
ずテーブル席を増やし、ねーちゃんはそのあとです。妻帯者の場合、嫁さんをサービス
部門にまわそうか?という発想が出てくると思いますが、ラーメンのドンブリを洗わせ
ているより、キャバレーにでも売り飛ばしたほうが得策ではないかと。ひどい旦那です
な。こんなんだから後先のことを考えずに喧嘩して会社をやめちゃうわけですが、それ
はともかく1日の売上の最低ラインは4万円だそうでありまして。ラーメン1杯500
円として80杯。ラーメン屋の集客のピークはお昼の2時間といわれていますが、15
席がフルに4回転したとして60杯。あとは夕食時に10杯、深夜の酔っ払い相手に1
0杯。なんともならんという数字ではありません。ただ4万円というのは赤字にならな
いギリギリのラインなので、利益を得るためにはもうちょっと売上がないと厳しいです
ね。ちなみに平均的なラーメン屋の収支バランスは、原料費28%、人件費26%、諸
経費12%、賃借料10%、減価償却費5%、経常利益19%らしいので、月に30万
の利益を得るには月間の売上目標は158万、1日あたり5万2600円でラーメンに
して105杯分。お昼の60杯はこれ以上増やせないから、それ以外の時間帯に45杯
売らねばなりません。こりゃ無理や。。。ということがだんだん明らかになってきまし
たね。だいたいお昼の時間帯に「15席がフルに4回転」という想定にも無理がありま
すよね。せいぜい10席が2回転すればいいところ?思うように売上が伸びなければ支
出を減らすしかないわけで、かといって原料費は減らせないから人件費を削減するしか
ありません。これで数字の上からも「ねーちゃんは無理」ということがはっきりとしち
ゃいましたね。
-
- 「直球勝負での経営は厳しい。」ということが判明したからには、その道の達人
から“邪道”と蔑まれようとも、ここはひとつ“変化球”に頼るしかありません。アイ
デアで勝負するわけですな。例えば、えーと・・・「回転ラーメン」とか。麺を回転さ
せると伸びちゃうから、チャーシューとかメンマとかコーンとかネギとかノリとかタマ
ゴとか大ナルトなんかを皿に乗せて客の目の前を回遊させるわけですね。「普通のラー
メンでいっかぁ。」と思っていた人も流れゆく“グ”を目の当たりにすれば、冷静では
いられなくなります。思わず皿に手が伸びて「大ナルトメンマノリコーンタマゴネギ大
ナルトチャーシュー麺」なんかを作ってしまい、単価が上がればそれだけ利益も増える
っちゅうもんです。“大ナルト”が2回登場しておりますが、ぐるぐる回転するナルト
を眺めているうちに目が回ってワケがわかんなくなり、思わずナルトを2皿とっちゃっ
たわけですね。「でも、回転ラーメンは設備投資に金がかかるではないか。」という人
には他のアイデアを。例えば、えーと・・・「ノーパン・ラーメン」とか「トップレス
・ラーメン」とか「ランジェリー・ラーメン」とか。あ、「未亡人ラーメン」なんての
もいいですね。ただ、ぎゃるを雇う人件費がもったいないから、オヤジ自らセクシー・
ランジェリーを着用する、あるいはブラを取る、パンツを脱ぐ、もしくは未亡人になる
という覚悟が必要です。それはちょっと・・・。というシャイな貴方は、何か芸を身に
つけるしかありませんね。「パフォーマンス・ラーメン屋」を目指すわけであります。
例えばこんなのはどうでしょうね?
-
- 『反芻ラーメン屋“げろげろ♪”』
-
- 生きた金魚を飲み込んで吐き出す“人間ポンプ”という芸がありますよね。あれを
ラーメンに応用するわけです。ラーメンの注文を受けた店主はまず熱湯と麺を飲み込ん
で、胃の中で3分ほど茹でます。茹で上がったところでタレとスープ、最後にチャーシ
ューとメンマとコーンを飲み込み、お客のテーブルに空のドンブリを置いて1、2、3
、はい、げろげろ〜♪簡単ですねっ。麺とスープと具がごちゃごちゃになった状態で吐
いたりするのはシロウトのすることで、プロの人間ポンプなら、まず最初に麺を吐き、
続いてドンブリを満たすようにぴゅーっとスープを吐き、最後に具をちょんちょんとト
ッピングするが如く吐けるよう、日々研鑽致しましょう。時折、昨日の夜食べたスキヤ
キの“しらたき”が未消化のまま吐き出されたりしますが、
- 「オヤジぃ、このシラタキなんだよぉ!」
- と、客にツッコまれても慌ててはいけません。にっこり笑って一言、
- 「お客さん、サービスですよぉ!」
- 前日にクリームシチューを食べて、白湯スープ風に仕上げるのもいいかもしれませ
んね。ということでラーメン屋開店マニュアル、これにておしまい♪
-
- @ あー、前半部分だけで3600字も費やしてしまいました。個人的には反芻
ラーメンはともかく、未亡人ラーメンはちょっといいカモ?という気がしますが、本日
はジュニア・マンスです。リバーサイド/ジャズランドの渋めのアルバムが何枚か紙ジ
ャケ仕様でCD化されましたが、その中の1枚『ビッグ・チーフ』です。今ひとつ料簡
のよくわからないインディアン風のジャケットから推測するに、タイトルは「大酋長」
の意味でしょうかね?今ひとつ購買意欲をソソられないジャケではありますが、見た目
じゃないのよジャズは、はっはーん♪ということで、ジャズランド盤のジュニ・マンは
概してデキがいいので、期待をもって聴いてみましょうね。
-
- はい1曲目。タイトル曲の「ビッグ・チーフ」はジュニ・マン、本名ジュリアン
・クリフォード・マンス、通称くりまん♪のオリジナルです。曲自体は、いわゆるひと
つのシンプルなブルースなんですが、この手の曲を弾かせればジュニ・マンって抜群に
イカクンですよね。一心同体・少女隊的に絡みつくジミー・ローサーのベースもGOO
D。で、アドリブ・パートに入ってからのマンスはピーターソン的なフレーバーが感じ
られますが、2分30秒を過ぎたあたりから聴かれるディープなブルース感覚はマンス
ならでは。大いにイイ気持ちにさせたところで再びテーマが登場し、最後はおなじみ「
ブルース・エンディング」でキメてくれました。いかにもジュニ・マンらしい、くつろ
いだハッピーな演奏でありました。はい2曲目。「ラブ・フォー・セイル」。ビリー・
テイラーはキャンディドとの共演盤でスローな解釈しておりましたが、ここでのマンス
は超アップテンポ。“ラテンのノリ”がパターンのこの曲をオーソドックスな白子海苔
で料理したアイデアが秀逸、飄逸、後逸、都都逸。で、テーマ部の雰囲気をうまく取り
込みつつ、急速調ながら破綻のないソロを繰り広げるくりまんちゃんが圧巻、出棺、胸
部疾患。書くことがなくなってきたら、とりあえず韻を踏むのがこのところのパターン
ですな。
-
- 圧倒的な派手派手ナンバーのあとは、一転してしみじみバラード。サラ・カッシ
ー」という食器レンタル屋みたいな名前の人の書いた「ザ・シーズンズ」というナンバ
ーであります。綺麗なピアノのイントロに絡むアルコがよろしいです。ベースのボウイ
ングは出しゃばり過ぎずに“かくし味”程度に用いるのがよろしいかと。ニューエイジ
っぽいイメージすらあるラブリーな曲で、影響をうけた作家は吉川英治?で、続く「フ
ィレ・オブ・ソウル」はマンスと共演経験のあるベーシスト、ラリー・ゲイルスのオリ
ジナル。ちょっぴり“とりとめ”のない曲で、暗いところでよく見えないのは鳥目?と
いった感じですが、ベーシストが作った曲だけに、ジミー・ローサーが大活躍しており
ます。そしてマンスは、ファンキーな趣とアール・ハインズ・タッチとを巧みにないま
ぜて好調。と、書くのが面倒になってくると日本語ライナーを丸写しにするのが最近の
傾向。ちなみにこのアルバムのライナーは久保田高司クンが書いております。アール・
ハインズ・タッチぃ?言われてみれば確かにそんな感じもありますね。
-
- 5曲目です。「スウィシュ」です。マンスのオリジナルです。急速調のスリルあ
る演奏が繰り広げられます。もう“人柄のオブチ”って感じぃ?って何が?わけわかん
なくなってきたから次。あ、エンディングが唐突ですね、さっきの曲。で、「サマータ
イム」。おなじみガーシュイン・ナンバーです。イントロの部分がボビー・ティモンズ
の「プリティ・メモリー」(『イージー・ダズ・イット』収録)にそっくりなので、一
瞬「お?」と思いますが、テーマが出るとまぎれもない「サマータイム」。ミディアム
な中庸テンポでグルーヴィーに演奏しており、けだし名演です。コテコテのブルース・
フィーリングでグイグイ。といった感じの演奏で、後半のブロック・コードはかなりテ
ィモンズしておりますはい7曲目、モンクの「ルビー・マイ・ディア」。イントロから
、すーっとテーマに入る瞬間が背筋ゾクゾクもの。テーマの弾きっぷりも上品可憐です
ね。一瞬の“間”が「まあ」って感じで、とってもキュート。アドリブ・パートはミデ
ィアム・テンポで軽快にバウンスします。後半のブロック・コードはちょっぴりガーラ
ンドっぽいですね。地味ローサーとポール瓦斯マンの好サポートも光りますね。はい、
あと2曲。「リトル・ミス・ゲイル」は3つめのくりまんオリジナル。ゴスペル・ライ
クなナンバーですが、君は“おすぺ”は好きかな?僕は好きです。はい、ラスト。「ア
トランタ・ブルース」は“ブルースの父”ことW.C.ハンディ、日本名ハンディ便所
の曲。“ブルースの女王”こと淡谷のり子嬢の「別れのブルース」に負けず劣らずのブ
ルースの名曲であります。「セントルイス・ブルース」ほどメジャーではありませんが
、どっかで聴いたことのあるようなメロディです。地味ローサーのベースもいいですね
。とまあ、今週はおしまい。
-
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