- 【アルバム名】
- THE BILLY TAYLOR TRIO WITH CANDIDO (PRESTIGE)
- 【リーダー名】
- BILLY TAYLOR (1954/9/7)
- 【パーソネル】
- BILLY TAYLOR (p) EARL MAY (b) PERCY BRICE (ds) CANDIDO
- 【収 録 曲】
- MANBO INN / BIT OF BEDLAM / DECLIVITY / LOVE FOR SALE / A LIVE ONE /
- DIFFERENT BELLS
- 【内 容】
- “卵とじの多い料理店”の隣にラーメン屋がオープンしました。その3件くらい
隣の焼鳥屋は今まで夜間オンリーだったんですが、夜だけでは満足できなくなったのか
、ランチサービスを始めるようになりました。あんまり昼間っから焼鳥など食べたい気
分ではありませんが、卵とじと共にチキン料理の多い料理店としては強力なライバルの
出現ですね。ちなみに今日は「揚げだしチキン」というのを食べたんですけどね。「揚
げだし豆腐」の豆腐をチキンに変えたものだと思っていただければいいんですが、この
店、オリジナル・メニューの開発に積極的でとっても関心というか、余った材料でヤケ
のような料理をつくるのが得意というか、前に食べた「海老天のチリソース煮」という
のはどう考えても失敗作でしたが、「揚げだしチキン」というのは悪くなかったですね
。今日はおつりを間違えて20円余分にくれましたしね。順を追ってお話すると、えー
と、本日のランチ・メンバーは4人組でありました。昨年度までのメンバーは平均年齢
が約48歳という「もう、夢も希望もないねっ。。。」といった感じの集団でありまし
たが、定年者が退職し、新入社員が新たにメンバーに加入した4月からの僕たちは違い
ます。平均年齢39歳っ!もう、今までのような“かきあげうどん”ばかり食べてる集
団と一緒にしてもらっちゃ困るぜ、べいべー!といったところですね。
-
- この店は“現金先払い食券購入方式”というシステムを採用しております。食券
といってもそれほど大層なものではなく、ぺらぺらの紙にボールペンで料理名、という
か“料理の素材”の名前が書いてあるだけなんですけどね。例えばその日のメニューに
“サバ煮付け”というのがあったとしたら、紙に“サバ”と書いたものを渡してくれる
わけです。ぺらぺらの紙だから着席したテーブルの上に置いて「さばだ、さばだぁ♪」
と鼻息を荒くしていると、その鼻息で食券がとんでしまうことが多々あって、つまりこ
の店ではサバを注文しても鼻息を荒くしないだけの冷静沈着さが求められるわけであり
ます。高級レストランなんかだと“ネクタイ着用の有無”が入店審査の基準となってい
て、ヘルメットをかぶって作業服姿で入ろうとするとドアボーイに呼び止められ、「当
店はノーネクタイのお客様はちょっと・・・」ということになるんですが、この店は“
鼻息の強弱”が入店審査の基準になっているんですね。
-
- で、いつもだったらレジのところには店長(←といっても若い)か、オッサン(
←だから若くない)がいて、テキパキと客をサバいて“サバ券”を売ったりしているん
ですが、今日はバイトの兄ちゃん(←だから頼りにならないくらい若い)がその業務を
担当しておりました。この兄ちゃん、頼りにならないくらい若いもんだから、案の定あ
まり頼りにならなくて、この前“天丼”(←隣のラーメン屋の開店に危機感を抱いたの
か、最近になって登場した新メニュー)を頼んだら、お盆の上に天丼と味噌汁と漬け物
と白いドンブリ飯を乗せて持ってきてくれたりしましたが(←天丼定食?)レジのとこ
ろでも、かなりもたついておりました。まず、僕たち4人組の前の客に食券を売る時点
でもたついておりました。その客が1万円札なんか出しちゃったもんだからお兄ちゃん
は大いに慌て、おつりの“大きいほう、まずは9000えん”を払うのに3回ほど数え
直しておりました。ま、それだけなら後ろに並んでいる人の迷惑を考えなければ、“慎
重な性格で、正確を期そうとする態度にはむしろ共感を覚える”と評価することも出来
るんですが、それだけ慎重に数え直したにもかかわらず数え間違えていて、客から「1
枚足らん!」と文句を言われておりました。この時点でこのお兄ちゃんの頭の中は激し
いパニックに陥っていたのでありましょう。
-
- 更に、反省すべきは私の注文の仕方もよくありませんでしたね。僕たち4人組の
うち、おじさん1人が「席とっとくわ。コロッケ頼んどいて。」と私に千円札を託して
北のほうへと去っていったため、私は2人分の注文をしたんですけどね。店先の生サン
プルを検討した結果、私の注文は「揚げだしチキン」と決まっておりました。正式に「
揚げだしチキンっ!」とフルネームで頼むべきか、あるいは「揚げだしっ!」という略
称でいいのか?「揚げだしっ!」で、この頼りなさそうなお兄ちゃんに私の真意が正確
に伝わるのだろうか?と、しばし逡巡したのでありますが、レジのところに並べられた
食券をチェックするとボールペンで“チキン”と書いてあったのでそれが正式な略称で
あろうと判断し、まず千円札を1枚差し出して「コロッケっ!」と注文し、更に千円札
をもう1枚差し出して「・・・と、チキンっ!」と注文したのでありました。この“1
人で複数注文”が、ただでさえパニクっているお兄ちゃんの頭を更なる混沌(カオス)
の世界へと導いてしまったんですね。ここのランチメニューは680円と750円の2
種類しかないので、1人ずつの注文だったら「おつりは320円か250円だねっ♪」
とだけ覚えておればよかったんですが、1人でコロッケとチキン(←共に680円)。
。。ここで落ち着いて“コロッケとチキンはまったく別のもの”と考え、それぞれ32
0円ずつおつりを払えばそれで済んだわけですが、お兄ちゃんは「コロッケとチキンの
セットで・・・、えーと(←レジをぴっぴっ♪)1360円かぁ。」と考えちゃったわ
けですね。じゃ、おつりはいくらか?お兄ちゃんはレジを40秒ほど睨んで考えこんで
おりましたが、やがてどういう計算をしたのか「660円のおつりでーす。」と明るく
答えて、じゃらじゃらとコインを渡してくれたのでした。やったね、40円の儲けだね
っ♪(←コロッケのおじさん、20円くれた。)
-
- と思って喜んでいたら、注文した「揚げだしチキン」、なかなかやって来ません
で。。。因果応報とはこのことか?私は“正直でなかった自分”を痛切に悔いながら、
隣のおじさんの食べているコロッケを痛恨の思いで眺めていたのでありました。おしま
い。
-
- @ さ、ビリー・テイラーです。
-
- ・今の時期 「カビ入り」ってイイら? 時代は苦味
-
- > オトナの味ねっ♪
-
- 梅雨どきになるとよく食パンがカビたりしますが、でもだいじゃぶ。カビちゃった
食パンは小さくちぎってスープに入れて食べるとオイシイら?(←どこの方言?)ポタ
ージュに浮かんだカビの青さは色彩的にもGOOD。日本の伝統美ですなぁ、ワビとサ
ビとカビ。で、ビリー・テイラーという人は日本ではあまり人気がありませんね。ニン
ゲンにはいろんなタイプがあって、天才肌の人もいれば職人肌の人もいる。親分肌の人
もいればサメ肌の人もいる。いま水泳界では“サメ肌水着”と“千葉すず問題”が話題
になってますが、“職人肌水着”なんてのを作ったらイイ仕事をしてくれそうですね。
ちょっと頑固で気難しいのがネックですけどね。で、ビリー・テイラーはよく“学究肌
”と言われ、この肌合いの人は日本のジャズ・ファンの間ではポピュラーな人気を勝ち
得ないような気がするんですけどね。ジジ・グライスとか。やっぱり、頭よさそうなの
がネック?女の子だって、ちょっと馬鹿なくらいのほうがカワイイですしね。そんなわ
けでビリー・テイラーは考えました。馬鹿になろう!コンガ入れちゃおう!『ザ・ビリ
ー・テイラー・トリオ・ウィズ・キャンディド』の誕生です。
-
- キャンディド。そばかすなんて気にしないタイプですね。“雀斑”とかいて“そ
ばかす”。“酒粕”と書いて“さけかす”。普通じゃん。コンガ入りのピアノと言えば
ホレス・パーランの『ヘディン・サウス』とか、レッド・ガーランドの『マンテカ』と
か、堺すすむの『ナーンデカ?』などがありますが、“ナンデカ・フラメンコ”の例で
もわかるように、コンガという楽器はラテン系と相性がいいですよね。そこでマンボ。
マンボ、いいですねぇ。ということで「マンボ・イン」。“翻車魚”と書いて“マンボ
ウ”。“マー坊”と書いて“マーボウ”。それ以外にどう読めっちゅうねん?ピアノの
反復フレーズに途中からコンガが絡み、イントロからとっても楽しいですね。
- この曲、グラント栗委員ちゃんが『ザ・ラテン・ビット』でやってませんでしたっ
け?あ、やってますね、やっぱり。そっちのアルバムではポテト・ヴァルデスがコンガ
を叩いているので聴き比べてみるのも御一考。で、ビリー・テイラーはブロック・コー
ドを用いてテーマを演奏し、アドリブにはいると綺麗なシングル・トーンに転じます。
コンガ入りだからアホっぽい?と思ったら、さすがは学究肌テイラー。意外と知的なム
ードに仕上がっております。途中、キャンディドのソロでそこそこに盛り上がり、それ
にしてもこれ、いったいいつまで続くんじゃ?と嫌になりかけた頃、後テーマになりま
す。はい、2曲目。「ビット・オブ・ベッドラン」はビリ・テラのオリジナル。ちょっ
ぴりモンクやハービー・ニコルズを思わせる曲調ですね。パーシー・ブライスのキレの
いいドラミングに、キャンディドのコンガが厭味にならない程度に絡み、なかなかに軽
快です。タイトルは「ちょっぴり大騒ぎ」という意味ですかね?わりかし能天気で、サ
メ肌っぽさをあまり感じさせないナンバーです。クソ真面目そうに見えて、根は案外オ
チャメ。そういったタイプかもしれませんね。おこめ師匠など、見た目だけはクソ真面
目そうですもんね。中間部にまたしてもキャンディドを大フィーチャーしたパートがあ
って、そこそこに盛り上がって、あ〜ん、そこそこ、そこよぉ〜。
-
- はい3曲目。これまたビリ・テラのオリジナルで「デクリヴィティ」という曲で
す。バリー・ハリスあたりが「ちょっとパウエルっぽいイメージで書いてみたのぉ♪」
とか言って書いてきそうな感じの曲ですね。何故オカマ言葉なんだ、ハリス?という気
もしますが、ミディアム・テンポでとっても軽快です。コンガもほどよいアクセント。
ちなみにタイトルは「下り勾配」という意味ですね。そう言われてみると、下降フレー
ズがとっても下り勾配。キュートなシングル・トーンによるテイラーのソロはとっても
オチャメです。相変わらずコンガをフィーチャーするパートが出てくるんですが、ウォ
ーキング・ベースを絡めてマンネリからの脱却を目指しております。そのあとの4バー
スもよろしいですな。ということで、はい、4曲目。コール・ポーターの「ラブ・フォ
ー・セイル」。ひなのちゃん大よろこびのムフフ♪おすけべソングですな。この曲をラ
テンで料理するのは定番なんですが、やっぱり「ラテン女はすけべである。」というイ
メージがそうさせるんでしょうかね?で、このビリ・テラ版はテンポをぐっと落とし、
意表をついた仕上がりとなっております。確かスリー・サウンズがこんな感じに料理し
てませんでしたっけ?えーと、『ムーズ』ですね。試しに聴いてみたら、かなりムード
が違いましたけどね。ビリー・テイラーの演奏はテーマ部よりも、アドリブに入ってか
らのほうが印象的でありますな。ボサノバっぽい気怠さが感じられ、こんなタイプのパ
ンパン・ガールもいいかも?と思ってしまいました。“昼下がりの山本情事”的な「ラ
ブ・フォー・セイル」でございました。
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- 残る2曲はいずれもビリー・テイラーのオリジナル。「ア・ライブ・ワン」はア
ップ・テンポの元気のよいナンバーです。短い演奏ですが、ちゃんとコンガとピアノの
4バースもあるし、とっても充実しておりました。はい、ラスト。「ディファレント・
ベルズ」。ゆったりテンポで綺麗なメロディのナンバーで、若干の中近東的怪しさを感
じられる佳曲であります。アドリブに入ってからのシングル・トーンがとっても綺麗で
すな。これもスロー・ボッサの匂いがしますね。相変わらず“そこそこ盛り上がる”コ
ンガ・ソロがありますが、それもまた人生。
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- んなことで、ジャケット書くのが簡単でイイかな?という理由だけでのチョイス
でありましたが、こういう“ちょっとアホっぽい”ビリー・テイラーというのは楽しい
ものでございました。おしまい。
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