- 【アルバム名】
- THE TEXAS TWISTER (RIVERSIDE)
- 【リーダー名】
- DON WILKERSON (1960/5/19,20)
- 【パーソネル】
- NAT ADDERLEY (cor) DON WILKERSON (ts) BARRY HARRIS (p) SAM JONES (b)
- LEROY VINNEGAR (b) BILLY HIGGINS (ds)
- 【収 録 曲】
- THE TWISTER / MORNING COFFEE / IDIOM / JELLY-ROLL / EASY TO LOVE /
- WHERE OR WHEN / MEDIA
- 【内 容】
- 「武士道とは死ぬことと見つけたり。」
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- “葉隠”にある有名な言葉です。カッコよろしおますな。これを例えば、中華料理
店のメニューにある
-
- 「酢豚定食980円」
-
- という言葉と比べてみると、その格調の高さがよくわかると思います。そんなもの
と比べてみること自体が間違っているような気もしますが、とにかくまあ、何事でも“
道”を極めるためには幾多の困難が待ち受けているわけでありまして、決して生半可な
気持ちで取り組むことは許されないのでございます。ということで、本日のテーマは「
道」。
-
- 「道」というとアレですね。“れっつ・ぷれいすてーしょん”のコーナーで、ひ
なのちゃんがよく歌っている歌がありますよね。みっちゃん、みちみち、う○こ垂れて
〜♪ってやつ。通称「みっちゃんの歌」。連続的な“み”の頭韻によってもたらされる
抜群のリズム感は大いに評価されてしかるべきでありますが、いくらもったいないから
と言って、食べたりしてはいけませんね。で、この歌からも我が国には実にたくさんの
「道」があるという事実が解ると思いますが(←思いません。)ざっと思いつくだけで
も、柔道、剣道、合気道、弓道、書道、華道、茶道、国道、県道、農道、東名阪自動車
道。。。で、その東名阪自動車道が今週から「リフレッシュ工事」ということで、リフ
レッシュ、リフレッシュ〜、夏の扉をあけてぇ〜、はははほんほほ、ふんふはほっほ〜
♪(←後半、歌詞忘れた。)朝からもう大渋滞で、おうじょこいてまったでかんわー。
と、会社のおじさんもぼやくことしきり。「渋滞の先頭の車はいったい何をしているの
か?」というのは誰もが一度は考えたことのある疑問だと思うんですが、ホントにいっ
たい何をしているんでしょうね?ということで本日の第2のテーマは「なぜ渋滞するの
か?」
-
- 渋滞には大きくわけて2つの種類があります。工事渋滞と事故渋滞と自然渋滞。
3つの種類があるやん!と思った人もいると思いますが、「工事渋滞と事故渋滞」は2
つでひとつ、バロムワンだと考えてくださいね。このタイプの渋滞は「自然渋滞」に対
して「自然じゃない渋滞」、もしくは「不自然な渋滞」と呼ぶことも出来ます。あるい
は英語で「アンナチュラリーなジュウターイ」(←“た”にアクセント)と言ってもい
いでしょう。この手の渋滞は、事故や工事によって車線の数が減ったりしているために
引き起こされるものでありまして、もっぱら強引に他の車線に割り込もうとするオバサ
ンと、何があっても絶対に合流させてやんないんだもんねー!という、極めて性格の悪
い依怙地なオッサンによって、より一層混乱に拍車がかかることとなってしまいます。
“1対1”でマナーよく合流すればどうってことないのに、いるんですよねぇ、絶対に
入れてくれないオッサン。そういうオッサンはたいていクラウンかグロリアに乗ってま
す。で、運悪く隣の車線がその手のオッサンだった場合、その車の前に合流するのはあ
きらめて、その後ろにいるマーチに乗った気の弱そうな兄ちゃんにアタリをつけたりす
るんですが、意外にもその兄ちゃんは気が弱そうに見えて実は極めて性格の悪い依怙地
な兄ちゃんだったりして、ぜんぜん合流させてくれず、そうこうしているうちにグロい
おっさん(注:グロリアに乗ったおじさんのこと)がスッと前を空けてくれたりして、
人間、顔と車種だけで性格を判断したりしてはいけませんなぁ。
-
- で、自分が走っているほうの車線が渋滞していると、イライラしてストレスも溜
まったりして、実に何のメリットもないんですが、反対車線が渋滞しているのを見るの
は楽しいですな。「日常生活で感じるちょっとした幸せ」って感じぃ?例えば東名阪上
り線の桑名東インター付近を走っていて、ラジオから「東名阪自動車道の下り線、弥富
インター付近、事故のため約13キロの渋滞」なんて情報が流れてきたりすると、もう
嬉しくって楽しくってトキメキ・キラメキ・マイ・ハート♪
- 現場が近くなるにつれて「まだカナ?まだカナ?」って胸が高鳴ってきちゃって、
いざ渋滞の始まりを目の当たりにしたら、あたしったらコーフンのあまり思わず、あ〜
ん♪で、そこからズラズラと並んだ渋滞の列を横目に「おう、混んでる混んでる♪」な
んて思いながら時速95キロで車を走らせるのは最高にブラボーですよね。そのかわり
、反対車線の渋滞が途切れたのを見届けたときには心底ガックリしますけど。
-
- てなことをやっていると引き起こされるのが、いわゆる「わき見の渋滞」という
やつですね。「時速95キロで・・・」というのがポイントで、交通量が多くて一定の
流れで走っている道路で、今まで100キロで走っていた車が「わき見」のために時速
を95キロまで落とすと、その影響が何台も積み重なって、しまいには渋滞に陥っちゃ
うと。事故で車線が減ってるほうより「わき見の渋滞」のほうが渋滞の距離が長かった
りして、何だか納得がいかないんですが、例えば時速100キロで走っていた前の車が
95キロまで速度を落としたら、そのすぐ後ろを走っていた車は90キロくらいまでス
ピードを落とさないとオカマを掘っちゃいますよね。そのすぐ後ろの車は85キロ、そ
の後ろは75キロ・・・と、後ろにいくにしたがってだんだんスピードが遅くなり、し
まいには10キロ、5キロ、0キロとなって、ついには停まっちゃうわけです。実に納
得のいく説明です。同じようにわき見をしても、車の総数が少なくて車間距離がちゃん
と守られてさえいれば、たとえ前の車が100キロから95キロに速度を落としたとし
ても後ろの車は同じ95キロまでスピードを落とせばすむことなので、「全体的に95
キロで走る一団」としての秩序が保たれるわけです。やがて、先頭のクルマが「ああ、
面白かった。」と充分に納得してわき見をやめ、速度を100キロまで上げれば、また
元の「全体的に100キロで走る一団」に戻るわけです。つまり“前の車が速度を落と
しても慌てないだけの車間距離”と、“たとえ横で手を上げて立っている夏服女子高生
の腋が見えそうになってもドキドキして思わずブレーキを踏んだりしないだけの平常心
”さえあれば「わき見の渋滞」は防げるわけです。普通、あまり高速道路の横で手を上
げて立ったりしてませんけどね、夏服女子高生。
-
- @ ということで、ドン・ウィルカーソン。BN4000番台に『プリーチ・ブ
ラザー』など、何枚かのリーダー作を残している人ですね。どちらかというとソウル派
のイメージの強いテナーマンですが、リバーサイドにもアルバムを残していたんですな
。その名も『ザ・テキサス・ツイスター』。人呼んで、テキサスの糸をよじる人、糸よ
り機、人をだます人、不正直者、むずかしい仕事、難問、旋風、つむじ風、ツイストを
踊る人、カーブ、変化球。さあ、どれでしょう?で、このアルバム、サイド漫画いいで
すね。やっぱり「お笑いまんが道場」?って、違います。このアルバム、サイドマンが
いいですね。ナット・アダレイやバリーハリスをバックに正統的なハード・バップが展
開されるのではないかと期待されます。で、1曲目の「ザ・ツイスター」(キャノンボ
ールの曲)を耳にした瞬間、その期待は確信へと変わります。ドラムだけをバックに冒
頭から吹きまくるドンちゃんがとってもよろしいです。この人、アーネット昆布やイリ
ノイ酒を模範とする“テキサス・テナー派”のわりにはあまり根性とか気合とかが感じ
られず、思わず「ドンちゃん、ファイトよぉ!」と応援したくなるような“へろへろス
タイル”が持ち味なんですが、ここでは急速調でバリバリと吹きまくる熱血硬派な姿を
見ることが出来ます。やれば出来るぢゃないか、ドン!で、2コーラス目からはナット
のコルネットが“ぱぱっぱー♪”と絡んできて、ピアノとベースも加わって、そのまま
ウィルカーソンのソロへと突入します。迷いのない、ふっきれたような吹きっぷりが男
気を感じさせます。まぶしいぜ、兄貴ぃ!続くナットのソロも、ファンキーというより
ハード・バピッシュな感じでよろしいですな。んで、バリー・ハリスの硬派なソロが演
奏に“格調”を加味してくださいます。ピアノ・ソロに続いて聴かれる4バースもとっ
てもエキサイティングで、息も付かせぬ大迫力の演奏が堪能できる素晴らしいナンバー
でした。
-
- 2曲目の「モーニング・コーヒー」はバリー・ハリスのオリジナル。『アット・
ザ・ジャズ・ワークショップ』にも入っていた曲で、シンプルなメロディのメジャー・
ブルースって感じ。で、「ザ・ツイスター」で見事に男らしいソロを聴かせたドン・ウ
ィルなんですが、2曲目にしてすっかりいつもの“へろへろ調”に戻っております。何
だったんだ、あの1曲目は?という感じですが、ここで聴かれる“上ずったトーン”が
彼の本来の姿なので、ここで思わず地が出て、痔も出て、大黒堂。。。といったところ
でしょう。ナット・アダレイもハイ・ノートを交えながら、エキサイティングなプレイ
を聴かせてくれると、これは岡崎正通クンの談。バリー・ハリスの渋いソロもとっても
渋いです。“ミスター・ウォーカー”こと、リロイ・ヴィネガーのウォーキング・ベー
スも聴けます。ここで再び明るいムードのテーマに戻って、おしまい。次にいきましょ
う。「イディオム」はドン・ウィルのテキサス時代の仲間だったというジム・マーティ
ンの曲。アップ・テンポのナンバーで、ちょっぴりファンキーなムードもあります。こ
こでのウィルカーソンは若干上ずりつつも健闘しております。ケレン味がなくってよろ
しいですな。アダレイ、ハリスがこれに続いて、ラスト近くには、ヴィネガーのウォー
キング・ベース・ソロもフィーチャーされると、これも岡崎クンの談。概してたいした
ことは書いてないんですよね、ライナーノートの“曲解説”って。
-
- で、ここまでわりと“ハード・バップ”な演奏が繰り広げられてきたわけですが
、ここでちょっとチェンジ・オブ・ペース。ウィルカーソンのオリジナル「ジェリー・
ロール」はアーシーでソウルフルなナンバー。“ジェリー・ロール=おこめ説”に思い
を馳せないわけにはまいりません。みんな、「全国共通おこめ券」贈っているかな?結
婚のお祝いにはやっぱり「おこめ券」だよねっ♪曲調が曲調だけに、ウィルカーソンの
“へろへろ”にも一層の身欠きニシンがかかって、なんとも言えないイナカ臭い雰囲気
が漂っております。なんとかしなければなりませんね。こういう時はパリのエスプリで
す。まだーむ、まどもあぜーる?です。コール・ポーターの曲へとまいりましょう。「
イージー・トゥ・ラブ」。ピアノをバックに感情たっぷりに“官能のムード・テナー”
を繰り広げておるな。。。と思っているうちに突然アップ・テンポになって、そのまま
アドリブに傾れ込みます。ここでの彼は充分に男らしいですね。ちなみにこの曲ではナ
ットはお休み。続くロジャース=ハートの「いつかどこかで」でもナットはお休みして
おります。一度休んじゃうとそのままずるずる2日、3日・・・という、登校拒否児童
みたいなパターンですな。ハリスの綺麗なピアノのイントロに続いてウィルカーソンが
ムードたっぷりにテーマを歌い上げます。かなりアクの強いバラード演奏ですが、くど
くどムードを前貼りハリスの美しいタッチが見事に中和してくれます。
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- はい、ラスト。「メディア」は「イディオム」と同じくジム・マーティンのオリ
ジナル。ミディアム・テンポのマイナー・チューンで、アルバムの最後を飾るにふさわ
しい寛いだムードがとってもよろしいです。ウィルカーソンの哀感を湛えたソロに続き
、2日ほどガッコを休んでいたナットが元気に復帰して、やはり哀感を帯びたソロを披
露しております。やっぱりファンキー・チューンにはナットのコルネットがいちばん。
バリー・ハリスのソロもいいっす。ということで、BNのウィルカーソンを聴いて「趣
味ぢゃないね。。。」と思った人にも是非聴いてもらいたい、ハード・バップの佳作で
ございました。んぢゃ。
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