【アルバム名】
VERTIGO (BLUE NOTE)
【リーダー名】
JACKIE McLEAN (1962/7/14,1963/2/11)
【パーソネル】
DONALD BYRD (tp) JACKIE McLEAN (as) HERBIE HANCOCK (p)
BUTCH WARREN (b) TONY WILLIAMS (ds)
KENNY DORHAM (tp) SONNY CLARK (p) BILLY HIGGINS (ds)
【収 録 曲】
MARNEY / DUSTY FOOT / VERTIGO / CHEERS / YAMS / THE THREE MINORS /
BLUES IN A JIFF / BLUES FOR JACKIE / MARILYN'S DILEMMA / IDDY BITTY /
THE WAY I FEEL
【内   容】
 『永遠のジャック&ベティ』という小説があります。書いたのは清水義範くん。 日本の英語の教科書のモデルになったジャックくんとベティさんがウン十年ぶりに再会 し、「あなたはベティですか?」「はい、私はベティです。」といった、あの独特の文 体で会話をするというお話です。確かに英語の教科書の日本語訳って、むっちゃ不自然 ですよね。「これは机です。」なんて会話を日常生活で使うことはまずありません。こ の非実用的な英語教育の弊害は、いざ「ガイジンとしゃべろう!」という段階になって 如実に現れてまいりまして、これは私が中学生の頃に通っていた塾で聞いた話なんです けどね。その中学校でガイジンの先生を招いて英会話の勉強をするという授業が行われ たそうです。で、ある原液女子中学生はいざ自分の番になって何を話していいのかわか らず、しかたなく自分の履いていた上履きを指さして
「This is a すりっぱぁ!」
会話はここで途切れ、まるっきり盛り上がらなかったのぉ。。。ということであり ました。
 
 ちなみに私が習った教科書にはジャックとベティは登場せず、代わりに、なんで したかね?ビルくんとケンくん?そういうのが登場しておりました。アメリカのヤンキ ーでもとりわけ品行方正な青年ジャックくんと貞淑ぎゃるベティちゃんをモデルにした ものの、そこは若い二人のこと。「私は本を読むことを大変好みます。」「私もそれを 大変好みます。」なんて会話をしているうちは問題ないのですが、そのうち「私は特に 写真集を好みます。」「それはどのような種類の写真集ですか?」という話になり、「 それはヤングなガールの写真集です。」「ヤングなガールは何をしていますか?」「彼 女は最初、セーラー服を着用しています。」「パンツは見えてますか?」「最初は見え ていません。しかし、3ページほどめくると見えてきます。」「パンツは脱ぎますか? 」「はい。さらにストーリーが5ページほど進むと、パンツは脱ぎ去られます。」「彼 女の“そのもの”は見えますか?」「いいえ。残念ながら“そのもの”はブラックによ って隠蔽されております。」「あなたは“そのもの”をウォッチすることを望みますか ?」「はい、私はそれを望みます。」「では私があなたの望みをかなえてあげましょう 。しかもナマで。」ということになり、以後は“Ah!”とか“Oh!”とかそんなんばかり になって、席に座って訳していた男子生徒も思わず立ってしまったと。・・・って、ど こが?
 
 けしからんっ!ということで、青少年に悪影響を与えかねないジャック&ベティ のコンビはお役御免となり、不純異性交遊に走るおそれのないビルくんとケンくんのコ ンビに変更になったのではないかと思われます。それが功を奏し、この2人ってば「コ ウベはシアトルの姉妹都市でーす。」とかそんな当たり障りのない会話ばかりに終始し て、読んでいてもぜんぜん面白くないのがネックなんですけどね。たまには“Oh! Brohe r!”(日本語訳「ああ、兄貴ぃ♪」)なんて叫んで不純同性交遊に走ったりするのも面 白いと思うんですけどね。で、何が言いたかったのかというと、先日『特選街』という 雑誌を読んでいたら、インターネット対応翻訳ソフトの実力調査みたいな記事が載って おりまして。その訳文というのがなかなか興味深かったので、ちょっと紹介してみます ね。テストに用いた英文はある絵本の紹介記事らしいです。
 
Perfect for siblings of a new baby.
This tender story tells of a family whose preparations for the arrival of a new baby center around a cradle , which each family member , contributes to in his or her own way.
 
2つめのセンテンス、えらく長ったらしいですな。名文というのは簡潔明瞭であら ねばならず、いたずらにどうでもいい話をだらだらうだうだと書き連ねているうちに筆 者の言わんとしていることが解らなくなってきて、読んでいるほうもだらけてきて、ま 、どうでもいっかぁ、という気分になってしまうので、文章というのはなるべくなら短 く書きたいものですねー。というような文章はとうてい名文とは言えません。名文。す なわち。簡潔。明瞭。って、これはちょっとブツ切り過ぎますけどね。何事も“適当” なのがいちばん。で、問題の翻訳ソフトの出力結果なんですが、このような名訳が生ま れたようでございます。
 
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『こりゃ英和!一発翻訳バイリンガル』
 
新しい赤ん坊のきょうだいに完ぺきです。
この優しい物語は家族について新しい赤ん坊の到着のため誰の準備が揺りかごに集 中するか言う、そしてそれをそれぞれの家族メンバーが彼、あるいは彼女の自身の方法 で貢献します。
 
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この日本語訳は完ぺきです。こりゃええわって感じです。はっきりいって使い物に ならん!って感じですが、他のソフトも“Perfect for siblings of a new baby”の訳 には苦しんでるようですね。『ポケットトランサー翻訳ピカイチバイリンガル』だと「 新しい赤ちゃんの兄弟に絶好の。」これは翻訳の良し悪し以前の問題で、日本語になっ とらん!その点『インタネット翻訳の王様パワー+』というソフトは「新しい赤んぼう の兄弟姉妹に最適です。」と、かなりまともです。さすが王様って感じぃ?要は“Perfe ct”を「完璧」と訳すか「絶好の」にするか「最適です」が最適かという問題ですが、 ちなみに「生まれてくる赤ちゃんを新しい兄弟として存分に迎えるお話。」というのが 模範的な訳。んなもん、機械に訳せるかい!って感じですが、わりと評価が高かったの が『パワーE/J翻訳これ一本!バイリンガル』というソフト。「この柔らかい話は、 新しい赤ん坊の到着の準備が揺りかご(各ファミリーメンバーが彼のもの、または、彼 女自身の方法に貢献する)に集中するファミリーについて話す。」というのが全文訳で 、最初の一文はどこへいった?という気がしますが、“わけのわからん部分は見なかっ たことにする”というのは正しい手段ですね。ということで、では最後に同じ『特選街 』に載っていた通信販売の広告の素晴らしいコピーを紹介しておきましょう。通販ネタ は“黒う○こ女問題”で懲りたんですが、これは褒めているのだからいいでしょう。こ れぞ名文の見本!といった感じがいたします。
 
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『金冷パンツ』
 
サイズはMとL。2枚セット。色は紺。クーラー効果のある通気性にすぐれたパン ツ。綿素材でトランクス型のパンツの内側に、メッシュ素材のパンツがついた二重構造 で、内側のパンツが股間をほどよく包み、締めつけ感もブラブラ感もなく、また大変通 気性がよいので、清潔さが保てます。
 
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サイズはMとL。2枚セット。色は紺!簡潔明瞭な“体言止め”の3連発。リズム 感も抜群です。で、今までどうしても言葉では表現出来なかった“ブリーフを穿いたと きの何かこう開放されきってないっていう感じぃ?”と“トランクスを穿いたときの何 かこう落ち着き場所がないっていう感じぃ?”を見事に「締めつけ感」と「ブラブラ感 」というフレーズで表現しており、秀逸です。ブラブラ感。いいですなぁ。今は亡き『 女子高生ひ○ののほ→むぺ→じ』の人気コーナー「ひ○のの“らぶらぶ”なもの♪」に 対抗して、新しいコーナーでも作りますかね?
 
新コンテンツ:「さばの“ぶらぶら”なもの♪」
 
即座にプロバイダーから削除されること間違いなし!
 
 @ ということでJマック。あ、ちなみに「金冷パンツ」は2枚セットで903 0円です。ちょっと高いなぁ。。。という気もしますが“ブラブラ感”解消のためには 多少の出費はやむを得ません。で、Jマックの『婆稚児』。鰻茄子さんちでもちょっと 話題になっておりましたが、輸入盤CDにはオマケとして『ジャッキー・マクリーン・ クインテット』(BN4116)が入っていて、とってもお徳だねっ♪ま、クインテットのほ うは持ってるから、どうでもいいんですけどね。
で、本編の『婆恥垢』のほうは「完全ブルーノート・ブック」の小川クンの解説に よれば「4067と4106の間で吹き込まれた時代的に貴重なもの」ということです。『ブル ース肉』と『レット・フリーダム・リングス』ですな。私は自分が嘘つきなので人の言 うことも信用しないタチなんですが、念のために調べてみたら案の定、小川クンってば 大嘘つきぃ。。。
 
1961/01/08 『ブルースニク』
1962/03/19 『レット・フリーダム・リングス』
1962/06/14 『ジャッキー・マクリーン・クインテット』
1962/09/28 『ティッピン・ザ・スケールズ』
1963/02/11 『ヴァーティゴ』
1963/04/30 『ワン・ステップ・ビヨンド』
 
というのが正解ではなかろうかと。あ、ついでに小川クン、「完全BNブック」の ような公共的な出版物にサイン入りのジャケを出品するのはやめてくださいね。ちなみ に“BNLT1085”の『ヴァーティゴ』は『ニュー・ソイル』のセッションでボツになった 「フォーミダブル」という曲を加えてレコード化されたようですが、今回この曲はカッ トされています。59年のセッションなんだもん、当然だよね。と、いろいろ調べたと ころでヤル気がなくなったので、演奏内容のほうはテキトーに。えーと、ドナルド・バ ードが入ってますな。Jマックは『レット・フリーダム・リングス』で新境地を開拓し 、『ワン・ステップ・ビヨンド』でスパークしたと言われておりますが、その間に挟ま れた3つのセッション(いずれも録音当時はオクラ入り)は、サウンド的にはわりとオ ーソドックスな感じ。それがタタってボツになっちゃったのではないかと思われますが 、個人的には『ワン・ステップ〜』以降のマクリーンって『デモンズ・ダンス』を除け ばあんまり趣味じゃないんですよねー。んなわけでオジサン、没になっちゃったセッシ ョンのほうが気になっちゃうナ♪リズム隊のほうはハービー&トニー・ウィリアムスで 新主流派バリバリなんですが(ベースはブッチ・ウォーレン)、演奏自体は『ブルース ニク』に近い感じです。ということで、では1曲目から聴いてまいりましょう。
 
 「マーネイ」はバードのオリジナル。曲はまあ、中間部分がちょっぴり斬新なが ら“ハード・バップ”の範疇と言ってもよいでしょう。で、ここでちょっと原文ライナ ーを読んでみると(こういうとき“こりゃ英和”が欲しい。。。)あ、なるほど、ハー ビー、ウォーレン、トニーのリズム・セクションというのはドーハムの『鰻鱒』と同じ なんですね。ちなみに録音は『鵜鯰』のほうが2月ほどあとです。で、あとは何やら難 しそうな単語が並んでいるので、見なかったことにしておきます。ソロ先発はマクリー ン。プレスティッジ時代とは明らかにスタイルが変わっておりますが、『レット・フリ ーダム〜』で聴かれたフリーキーなトーンは猫大好きブレッキーズ。うちの猫、あんま り喜びませんけどね。煮干しのほうが喜びます。ソロ2番手はバード。63年のバード というと『ニュー・パースペク恥部』の前くらい。ま、そんな感じのソロです。続くハ ービーが頑張っていてよろしいです。
 
 はい、2曲目。「ダスティ・フット」。これもバードの作。埃っぽい足ぃ?んも ー、また汚してぇ。。。とお母さんに叱られること必至。ちゃんと天武天皇御足洗い井 戸で足を洗ってからおうちに入りましょうね。ブッチくんのベースのイントロで始まり 、ファンキーなハービーがそれに続きます。バードとJマックが鱧(ハモ)るメロディ がなかなかいい感じですね。リズムは8ビートっぽいです。ムードはファンキーっぽい です。テーマのあと、“情事ウォーリントン5”で聴かれた“ペック”みたいなパート があって(←これ、とってもイイ♪)そのあとマクリーン、バード、ハービーの快調な ソロが続きます。全体的にトニーの叩きだすリズムがスリリングですね。すったリンゴ は“すりリンゴ”ですが。で、3曲目の「ヴァーティゴ」はマクリーンのオリジナル。 これはいかん。わけわからん。斬新な方向に走るのは個人の勝手ですが、聴いてるほう はちょっぴり迷惑。ま、そんなことを気にしてちゃジャズマンなんかやってられません けどね。マクリーンのソロもちょっぴりハズレ気味。わりとスリリングですけどね。イ カを輪切りにして揚げたのはイカリングですが。で、4曲目の「チアーズ」もマクリー ンの曲。「ちわー」は三河屋ですけどね。
さっきの「ヴァーティゴ」に比べてえらくオーソドックスなナンバーで、歌モノっ ぽい感じすらしますね。あ、ザウルスの“自由帳”が3度目の飽和状態に陥ったので( ←1件に書けるのが約1800字まで)、先を急ぎましょう。5曲目の「ヤムス」はハ ービーの曲。どんなモーダルな曲かと思ったら、ベタなスローブルースでした。イント ロで聴ける“ぶるーじーハービー”が珍しくってよいです。原文ライナーにも「アフタ ー・アワーズなブルース・フィーリング」と書いてあります。ということで、6曲目以 降は違うアルバムだから無視。んぢゃ。


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