- 【アルバム名】
- A.T.'S DELIGHT (BLUE NOTE)
- 【リーダー名】
- ART TAYLOR (1960/8/6)
- 【パーソネル】
- DAVE BURNS (tp) STANLEY TURRENTINE (ts) WYNTON KELLY (p)
- PAUL CHAMBERS (b) ART TAYLOR (ds) "POTATO" VALDEZ (conga)
- 【収 録 曲】
- SYEEDA'S SONG FLUTE / EPISTROPHY / MOVE / HIGH SEAS / COOKOO & FUNGI /
- BLUE INTERLUDE
- 【内 容】
- 昨日、床屋へ行ってまいりました。床屋というとアレです。昔から極め付けのギャグがございます。
- 「おまえ、どこへ行くとこや?」
- 「床屋行くとこや。」
- コドモ心にも、なんてウィットとパリのエスプリに富んだギャグなんだ。オトナに
なったらこういうギャグを言える立派なオトナになろう!と、学校の裏山で誓ったこと
を鮮明に覚えております。いや、学校の裏に裏山なんかなかったんですけどね。裏に裏
山のあるガッコの生徒をうらやましく思ったものでございます。裏に裏山があれば授業
を抜け出して、ガッコの裏でやましい行為に耽ったり出来ますし。で「床屋ギャグ」。
抜群のインテリジェンスが感じられるのはいいんですが、会話にかなり無理があるのも
事実ですね。「床屋行くとこや。」はいいんです。「〜するとこや」とか「〜行くとこ
や」という言い回しは日常会話でも頻繁に用いられます。それはいいんですが、フツー
、「おまえ、どこへ行くとこや?」なんて言うかぁ?この不自然な言い回しが会話のリ
ズム感を著しく疎外していることは否めません。「熊さん、どこへ行くがや?」「熊谷
。」のほうが会話の流れとしては自然な感じがありますね。面白くもなんともないのが
ネックですけどね。
-  
- で、床屋。最近では男でも美容院へ行ったりして、あ〜ん、カリ素股美容師ぢゃ
なきゃイヤ〜ん♪などとホザいたりしているようですが、私は床屋派です。オトコはお
床屋!という信念を貫いて今までの人生を生きてきたわけなんですが、いや、メンドー
だから髪形なんかどうでもいいんですけどね。ということで、ではここで「私の髪形漫
才大賞」について、簡単に振り返ってみましょう。
-  
- (小学校時代)
-  
- 坊ちゃん刈りでしたな。だって坊ちゃんだったんだもん、しょうがないよね?だ
いたい、当時のコドモなんてものは坊ちゃん刈りか丸刈りか、そういう安上がりな刈り
かたにするのが常でありまして、昨今のような独りよがりな刈りかたというのは一般的
ではありませんでした。クラスに一人だけ髪の毛の長い児童がおりましたが、彼はみん
なから「おかま」と下げ素股れて、あ〜ん、タイプミスぅ。みんなから「おかま」と蔑
まされておりました。そういう時代を生きてきたんだ。さすが、さばぴょん。おだてる
なって!あこむあこむあこむ、まあ素股カード♪ちなみにこの「おかま」がですね、6
年生のときに“児童会”の書記というのに立候補しまして。書記というのは「会議のと
きに黒板に字ぃ書くだけ。」という極めて重要な職務でございまして、彼はどうしても
この要職について洋食屋で養殖うなぎを食べたい。そう切望したわけでございます。果
たして養殖うなぎが洋食屋にあるのか?という疑念もあるでしょうが、うちの会社の近
くの“カフェ&レストラン”「シーサイドクラブ」のBランチ(洋風)は、たまに味噌
カツと味噌汁のセットだったりするので、洋食屋で養殖うなぎが出てくる可能性も完全
には否定できないわけです。ま、所詮は小学6年生のオカマの戯言ですしぃ。で、選挙
前の立会演説会に於いて、私は彼の“応援弁士”というのを務めることになりました。
ひなのちゃんも掲示板に同じようなことを書いておりましたが、弁が立つことではベン
・ケーシー高峰並みと言われてましたからね、当時から検便好きだったボク。で、立会
演説会では「彼は見た目のとおり“おかま”だから、字もうまくって書記にはぴったり
。」という趣旨の推薦の弁を述べ、わりかし聴衆のウケが得られたように記憶しており
ます。過去の人生において「ちょっとだけウケた。」という希少にして貴重な体験でご
ざいました。
-  
- (中学校時代)
-  
- いいですなあ、原液女子中生。スクール水着がとってもソソるよねっ♪とまあ、
そんなことはどうでもよくて、中学校時代、ぼくは中学生でした。髪形は5分刈りでし
た。市内の中学校は全員ボウズ。そういう前近代的な決まりがあった、そういう時代を
生きてきたんだ。そういう時代を生きてきたんだ。さすが、さばぴょん。おだてるなっ
て!あこむあこむ・・・はもういいですね。
- あ、先ほど書き忘れましたが、小学校時代には「大きくなったら“さらりーまん”
になって、髪を“7・3”にするんだ!」と思ってました。そういうものだと信じてお
りました。だって、江畑謙介の“9・1カット”は、まだ流行ってなかったしぃ。今で
も流行ってないですけどね。この先、流行るとも思えないですしぃ。んなことで、「髪
形は“7・3”、整髪料はポマード」の思いは、僕の心の中で確固たる地位を占めてい
たのでありました。ということでこの話、明日まで引っ張るのぉ♪
-  
- @ またしても昔話でお茶を濁してしまいましたが、さ、アート・テイラーです
。ところで最近、「マイ・ピン子」のコーナーがないではないか。ということに薄々と
気づいた読者もおられるでしょうが、そういうことは心の中で思うだけにして、決して
口に出してはいけません。それが大人の熊度というものです。それは態度やなくて“ク
マ度”やん!という指摘は口に出して貰って結構です。ああん、口に出してぇ♪という
ことでアート・テイラー。サイドマンとしては腐るほどたくさんのセッションに参加し
ているテイラーなんですが、自己のリーダー作となると数えるほどしか有馬煎餅。あ、
“餅”は余分でしたね。リーダー作となると数えるほどしかありません。えーと、『テ
イラーズ・ウェイラーズ』『テイラーズ・テナーズ』『ATズ・ディライト』ですか。
地味そうに見えてリーダー作にきっちり自分の名前を冠してるあたり、冠二郎ばりの自
己顕示欲の持ち主だったんですな。で、『ATのヨロコビ』はテイラー唯一のBNリー
ダー作ですな。ここ数日、このCDを会社の車に持ち込んで通勤途中に鑑賞しているの
ですが、いや、CDやカセットなどという気の効いたものは装備されてないから、ポー
タブルのやつをFMで飛ばして聴いているんですが、「これ誰だっけ?」の“一人ブラ
インドテスト”状態でありまして。なんか地味なフロントだったような???という記
憶を頼りに出した答えは、スタンリー・タレンタイン&ディジー・リース。あとで調べ
てみると、スタ・タレは正解でしたが、トランペットはデイブ・バーンズでした。僕の
耳ってば、とっても50点だねっ♪ということで1曲目。「シーダズ・ソング・フルー
ト」はコルトレーンの曲ですな。『ジャイアント・ステップス』に入ってた曲でしたっ
け?そういえば『ジャイ・ステ』にはテイラーも参加しておりましたな。で、今ちょっ
とトレーン盤「シーダズ・ソング・フルート」を聴いてみたんですが、イントロの“じ
ゃん、じゃん、じゃん、じゃん♪”というところは、テイラー盤でもそのまま踏襲され
ております。そのあと、テナーがテーマを吹くところまでは同じですな。テイラー盤で
はこのあとトランペットが絡んでくる分だけ、トレーン盤より華やかな仕上がりとなっ
ておりますな。で、そのままトランペット・ソロに突入しますが、これがちょっぴりマ
イルス風の感じがあったので、最初はジョニー・コールズかと思いました。が、2曲目
以降を聴くと、コールズよりも保守的なイメージがあったのでディジー・リースと判断
したわけですな。ま、どっちも違ってましたけど。続いて荒々しい感じのテナー・ソロ
が飛び出してまいります。スタ・タレって、ぱっと聴いてソレとわかる立派なスタイリ
ストなんですなー。日本じゃわりと低く見られているようですが、馬鹿にしちゃいけま
せん。ケリー、チェンバースのピチカート・ソロと続いて、テーマに戻って、おしまい
。全編でサトルなバッキングを聴かせるテイラーにも注目。なんてったって一応はリー
ダーですからね。2曲目の「海老酢吐露不意」はおなじみモンクの曲。ここではポテト
・ヴァルデスのコンガが加わり、元気な“ちゃかぽこ捌き”を披露してくださいます。
あ、「捌く」という漢字を辞書で調べていたら「鯖雲」という単語が載っておりました
。絹積雲の異称なんだそうで。イワシ雲というのはよく聞きますが、サバ雲なんてのも
あったんですなぁ。めでたいことです。で、演奏のほうなんですが、スタ・タレ、バー
ンズ、ケリー、チェンバースとソロが続いたあとの、テイラーとポテト・ヴァルデスの
掛け合いがよろしいです。リーダーらしく、よく頑張ったね♪と褒めてあげたい出来栄
えでございます。地味なだけが取柄じゃなかったんだね、テイラー♪
-  
- 3曲目の「ムーヴ」は急速調のバップ・ナンバー。ここでもポテトくんがチャカ
ポコチャカポコと大活躍。もう括約筋も真っ青って感じぃ?バーンズがミュートでテー
マを吹いたあと、そのままソロへと傾れ込んでいきます。ピアノのブレイクがとっても
効果的だねっ♪ここでのバーンズのソロは本作でもベストの出来ですな。「もっと長い
ソロをやってもらえばよかった。」というテイラーの言葉が原文ライナーに紹介されて
いますが、バーンズのソロが終わった途端、スタ・タレのテナーが荒々しく乱入してま
いります。凄いわ、スタ・タレ♪
-  
- あんまり書くことがないまま、4曲目までまいりました。風邪気味で鼻がづばっ
でいで、脳に酸素がいぎどどがなぐで、いいフレーズが頭に浮がばないのぉ♪これから
花粉症の季節を迎え、一層のイマジネーションの低下が懸念ざればす。ネタが今ひとつ
でも、ビョーキなんだから大目に見てねっ♪で、「ハイ・シーズ」はケニー・ドーハム
のオリジナルです。いかにもドーハムらしいマイナー調のナンバーですが、お嫁にゆく
なら石田家にどう?ハム造り一筋30年。とかいう俳句を詠んだのは芭蕉でしたか、関
サバでしたか?なんでもいいけど、意志だけとか医師だけとか縊死だけとか出てきて、
なかなか正しく変換できませんでしたな石田家。ハムは食むだし。とか書いてるうちに
「ハイ・シーズ」はとっくに終わっておりました。5曲目の「クークーとフンジ」は本
アルバム唯一のテイラーのオリジナル。といってもテーマらしいテーマは出てきません
が、マーガリンはやっぱりラーマですな。ちなみにタイトルのクークーとフンジという
のは西インド諸島の料理の名前だそうです。「クークーを食う食う、フンジー食べて糞
痔」と覚えてねっ♪テイラーとポテ・カルの叩き出すリズムに乗せて、スタ・タレがい
きなりソロを吹き始めます。タレ・ソロのあと、テイラーがめずらしく長いソロを取っ
ておりますな。ブレイキーみたいに派手ではない、いかにもテイラーらしい地味なドラ
ム・ソロですが、後半ポテ・カルが絡んでくるあたりから、俄然ムードはそこそこに盛
り上がってまいります。ここで再びスタ・タレがタレ・ソロを取って、演奏は熱帯の木
陰に沈む太陽のようにフェイドアウトしてゆく、by原文ライナー。ちなみに原ライは
ギトギトのおっさん、愛裸ギトラーですな。
-  
- ラストの「ブルー・インタールード」は4曲目に続くドーハム・ナンバーでござ
います。タイトル通りブルーなインタールードが特徴的な、なかなかの佳曲でございま
す。なんのことだかよくわかりませんけどね、インタールード。合い間、間奏曲ですか
。(←調べた。)なるほど、間の取り方が特徴的な曲ですね。いかにもドーハム的な哀
感に満ちたメロディでありまして、“ブルー・アワー”スタ・タレ、“ドーハム的四畳
半”バーンズともども、充分に持ち味を発揮したソロを披露しております。酢慇懃なケ
リーのソロも最高だねっ♪“後テーマ前”にテイラーとホーン・アンサンブルの4小節
交換があって、最後に再び特徴的なテーマを演奏し、スタ・タレのブルーな“ひと吹き
”があって、エンディング。完璧なまでに“ハードバップ”した名演と言えるでしょう
。
-  
- 以上、思ったより、ずっとよかったのぉ♪という1枚でした。んだらば、さいな
らーー。
-
| Previous |
| Up
| Next |