- 【アルバム名】
- GROOVE STREET (PRESTIGE)
- 【リーダー名】
- LARRY YOUNG (1962/2/27)
- 【パーソネル】
- BILL LESLIE (ts) LARRY YOUNG (org) THORNEL SCHWARTZ (g) JIMMY SMITH (ds)
- 【収 録 曲】
- GROOVE STREET / I FOUND A NEW BABY / SWEET LORRAINE / GETTIN' INTO IT /
- TALKIN' 'BOUT J.C.
- 【内 容】
- 卓球。さわやかな響きですね。なにを隠そう、私は小学校時代「卓球部」に属し
ておりました。ヘタでした。あまりいい思い出はないので卓球の話はやめましょう。テ
ニス。さわやかな響きですね。なにを隠そう、私は中学校時代「テニス部」に属してお
りました。軟式ですけどね。ヘタでした。あまりいい思い出はないのでテニスの話もや
めましょう。ぼくは運動・スポーツ系はさっぱりのクチだったので、もっぱら「おもち
ゃ」で遊んでおりました。おもちゃの話。うん、この話題がいいですね。うんこの話題
?ああん、そうじゃなくってぇ。。。って、なんて小学生レベルなぼく。ということで
今日のテーマは「コドモのおもちゃ」でーす。
-  
- ぼくが小学生だったころ、ちまたでは素股がはやっていました。はやってねーよ
。えーと、「人生ゲーム」がはやってましたね。あとは「野球ばん」ですか。“消える
魔球機能搭載っ!”とかいって。ピッチャーが手元のレバーを引っ張ると、バットの直
前のところの床面がパカッと下に開いて球が落ちていくという。消える魔球といいつつ
、ただ下に落ちるだけやん!といった感じがしないでもないんですが、打てないのは絶
対に打てないですよね。打てなければ見逃せばエエやん。と思う人もいるでしょうが、
そうはいかないのがこの「消える魔球」の凄いところ。誰がどう見ても「下に落ちてい
るだけ」にしか見えないこの魔球、実際にはあくまでも「消えている」のであって、メ
ーカーがそのように頑迷に主張している以上、コドモとしては意義を申し立てることは
出来ないのであります。審判とエポック社には勝てないや。。。と諦めるしかないわけ
です。その結果、どういうことになるかというと「見送るとストライク!」になっちゃ
うわけです。振れば空振り、見送ればストライク。どないせえっちゅうねん!と文句の
ひとつもつけたくなるところですが、それが「魔球」というものだから仕方ないわけで
す。審判とエポック社と魔球には勝てないや。。。と諦めるしかないわけです。
-  
- このままではいけない。さすがのエポック社もそう思ったんでしょうな。それは
そうです。最初っから最後まで「消える魔球」だけ投げていれば27人連続3球三振、
完全試合で僕の勝ちだねっ♪と思ったらさにあらず、相手も当然「消える魔球」ばかり
投げてくるに違いないから延長18回になっても勝負がつかないわけであります。そん
な試合、最初っからやらんほうがマシですな。なまじ“はやりもの”とハイテク装備に
手を出したばっかりに、「野球ばん」が面白くもなんともなくなってしまった。。。危
機感をいだいたエポック社はここに「特例ルール」を設けました。「消える魔球は1イ
ニングに1回だけ!」こんなわけのわからんルールを作ってまで、喧嘩のもとになるだ
けの「消える魔球機能」を搭載する必要があったのか?という気がしないでもないんで
すが、それでは営業部副部長、星一徹(53歳)の立場が…。エポック社のオフィシャ
ルHPには「消える魔球誕生秘話」として、こんな話が乗っておりました。
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- http://www.epoc.co.jp/~yakyu-ban/hiwa/~yakyu-ken/hiwai/
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- 「野球ばん」に新しい機能を付加することは、われわれ技術陣の悲願であった。ボ
ールが鉄製であることを利用して、盤の下部に磁石を組み込むことでカーブとシュート
が投げれるようになったのは、我ながらナイス・アイデアだったね♪という感じだった
が、「“消える魔球”はどうだね?」という唐突な提案をしたのは営業部副部長、星一
徹(当時53歳)であった。そんな、たんなる思いつきな。。。販売促進会議に出席し
ていたわれわれ技術陣は誰しも心の中でそう思ったが、その思いを口にすることは出来
なかった。だって、余計なことを言って左遷されても困るしぃ。。。「は?消える魔球
?それは物理的に不可能なのでは?」そう反問するのが精一杯であった。
- んなもん、出来るわけないやん!とにもぉ、これだから営業屋さんは。。。そうい
う思いを言外にこめたつもりであった。しかし星一徹副部長は単なる思いつきでその発
言をしたわけではなかった。「下に落とすんだ。」即座に答えが返ってきた。おそらく
数日来「消える魔球」の技術的な解決についての構想を練り続け、そうやん、落とせば
エエんやん!とハタと膝を打ち、我ながらナイス・アイデアだねっ♪と、ルンルン気分
で本日の会議に出席したのであろう。アホはアホなりに考えとるわ。という感じであっ
たが、それは「消える魔球」やのうて、「ただの落ちる球」やん。誰もが心の中でそう
思った。
- 「そ、それはただの落ちる球なのでは・・・」
- 「消える魔球っ!」
- 「ただの落ちる球だから見逃せばただのボールなのでは・・・」
- 「消える魔球だから、見送ってもストライクっ!」
- 星一徹副部長は頑迷だった。一徹だった。
- 「じゃ、消える魔球ばっかり投げていれば、27人全員3球三振なのでは・・・」
- 「うっ・・・。」
- 副部長はここで言葉に詰まった。勝った!と思った。今後、彼が“消える魔球構想
”を2度と口にすることはないだろう。。。
-  
- 「消える魔球は1イニングに1回だけっ!」
- 星一徹副部長がそのアイデアを口にしたのは、3ヶ月後のことであった。さてこの
「振れば空振り、見逃せばストライク」という難攻不落の“消える魔球”も、ついに打
ち砕かれる日がやってきた。その秘技をあみだしたのは大阪府富田林市にすむ花形満く
ん(9歳)だと言われている。
- 「んなもん、落ちる寸前に打てばエエやん。」
- なるほど、“消える魔球”が落ちはじめるあたりは辛うじてバットの先端が当たる
ので、ファールで逃げることが出来るのであった。営業部副部長、星一徹(当時53歳
)が9歳児に破れた瞬間であったが、一徹本人は「んなもん、技術的な問題やん!」と
、自己の企画の失敗の非をついぞや認めることはなかった。ウチの子供が友達と“野球
ばん”で遊んでいて、“消える魔球”がもとで喧嘩しているのを見て、溜飲が下がる思
いであった。
-  
- @ うん、“野球ばん”にはそんな秘話があったんですな。ということで本日は
ラリー・ヤング。
-  
- ・ クスリかじり 今日もラリラリ やんぐだねっ♪
-  
- という、何のひねりもない俳句がございましたね。で、ラリ・ヤンと言えばジョー
・ヘン、腕一生・得る壜という新主流派なメンバーで吹き込んだBN盤の『ウニってイ
イ♪』がなんといっても有名。ソウルなオルガニストとは一線を画した斬新なスタイル
は「オルガンのコルトレーン」などと呼ばれております。が、それに先立つプレスティ
ッジの吹き込みを聴くと、わりと普通のオルガン・ジャズをやってるんですよねー。と
いうことで『ユニティ』路線を期待すると、ちょっぴり肩透かしだねっ。。。という感
じがするかも知れない『グルーブ・ストリート』というアルバムを紹介してみましょう
。オルガン、ギター、ドラムス、あーんどテナーという典型的なソウル・ジャズ・フォ
ーマットのこのアルバムはタイトル曲の「グルーブ・ストリート」で幕を開けます。い
いですなあ、グルーブ・ストリート。初心(ウブ)な尊師(グル)がいっぱいたむろし
てそうで。この街きっての歓楽街で、ポン引きに「お兄さん、いい娘いるよぉ!」とし
きりに声をかけられたりするわけです。そんな街をラリやん、ビルくん、シュワちゃん
、ジミっちの4人でふらふらと歩いていくような感じの、軽快なリフ・ナンバーですな
。ビルくんとシュワちゃんが足並みを揃えて前のほうを歩いていて、その後ろでジミっ
ちがリズミカルに歩を進め、その間のラリっちはクスリのカジリ過ぎでラリラリしなが
らドブにはまったりしてるわけです。よくありがちなオルガン・ジャズ。そういった感
じの演奏でございます。はい、2曲目「いい娘を見つけた」。「お兄さん、いい娘いる
よぉ!」というポン引きに誘われて店に入ってみたところ、ホントにいい娘がいるじゃ
ないか!という新鮮な感動を歌にしたものでございます。普通、ポン引きの言う「いい
娘」というのは「どうでもいい娘」であることが通例なので、ホントに「いい娘を見つ
けた」というのは希有な体験をしたといってよいでしょう。演奏のほうはよくありがち
なオルガン・ジャズ。そういった感じの演奏でございます。って、こればっかり。
- いや、ただいまスーパーの屋上で現場監督をしながら原稿を書いているのであまり
詳しいことが書けないわけなんですが、よくありがちなオルガン・ジャズとは言え、ラ
リやんのソロにはホリゾンタルなフレージングが聴かれ、後年のスタイルの萌芽を感じ
させるものとなっていたような気がします。ということで3曲目。「スイート・ロレイ
ン」。店に入った途端、いい娘を見つけてラッキー♪と思っていたのもつかの間、座敷
にあるのは床の間、旅館にあるのは藤の間、いざ席について、やってきた女の子の顔を
見てみると、とてもじゃないけど「女の子」とは呼べないほどたいそうおトシを召され
た、それでいてスケベそうなバアさんでありまして。「私ぃ?老齢淫(ろれいん)って
いうのぉ♪」いい娘はいたけど、こっちには回ってこなかった。最初っからいい娘がい
なければ諦めもつくものの、なまじいい娘を見つけてしまったがために悲劇の度合いは
一層深まります。といった感じの演奏ですね。って、ぜんぜん説明になってないから、
この続きはおうちに帰ってからにするね♪
-  
- はい、帰宅しました。これまでのところをおさわりしてみると、いや〜ん♪って
、そんな趣味があったのか?ラリやん。もうすっかりラリラリで、正常な判断能力を喪
失しているのではないか?ラリやん。ということで、これまでのところをおさらいして
みると、「グルーブ・ストリート」は軽快なリフ・ナンバーで、テナーとギターのユニ
ゾンにオルガンが絡むテーマに続いてビル・レスリー、ソーネル・シュワちゃん、ラリ
やんの順でソロ廻しが挙行されると。ビル・レスリーという人に関してはよく知らんの
ですが、ホンカー系っぽいプレイに終始しているようです。シュワちゃんのギターはソ
ウルですな。って、なんてテキトーな解説。ラリやんのオルガンは、あまり「ぴゃー♪
」などという下品な音をたてないように注意している感じであります。全体をとおして
軽やかな感じですな。で、「いい娘を見つけた」はAABA形式のAの部がオルガン、
Bの部がテナーの受け持ちになっております。いい娘を発見したときのウキウキ感がよ
く現れておりますが、レスリーの口説き方はちょっぴりくど過ぎぃ。こんなんだから老
齢淫ちゃんしか“割り当て”がこないんでしょうな。前にも書きましたが、ここでのラ
リやんのプレイはかなりモーダルでございます。で、スイートな老齢淫ちゃんのほうは
、かなりアーシーなムードが漂っております。オルガンがリードするメロディをテナー
が引き継ぐ形なんですが、スケベったらしいレスリーの吹きっぷりに老齢淫、もうメロ
メロ。あ、原文ライナーを読んでたら「オールド・ロレイン」がどうのこうの、と書い
てありましたので、ホントに老齢なのかも知れません。レスリーに続いてラリやんも老
齢淫嬢を口説きにかかるわけですが、なんせラリラリで理性を失っちゃってるもんだか
ら、君のハートをゲットして、伊東あたりの温泉で淫蕩な夜を過ごしたいなっ♪とか、
バアさん相手にとんでもないことを言っちゃったりしてるわけです。
-  
- んなことで4曲目、「ゲッティン・淫蕩・伊東」。これは本アルバムの中でも最
もディープなナンバーですな。もう、深みにずっぽり♪って感じぃ?こんな濃い一夜を
過ごすためには、まずは老齢淫ちゃんのハートをゲットしなければならないんですが、
そのためには軽快洒脱なトークがモノをいうわけです。とはいっても、僕ってばシャイ
で無口な性格だしぃ。こういう場所ではいつも女の子に「こちら、お静かね。」とか言
われちゃうタイプだしぃ。しかし、淫蕩な夜を過ごすためにはここで頑張ってトークせ
ねば。なんの話題がいいカナ?ぼく得意な“ぢゃづ”の話なんかどうカナ?そうだ、ジ
ョン・コルトレーンの話題にしよう!ということで、5曲目は「トーキン・アバウト・
J.C.」。この曲はグラント栗委員の『トーキン・アバウト』というアルバムでも演
奏されていて、ラリー・ヤング生涯最高のソロというべく壮絶な演奏が栗広げられるわ
けですが、そのヴァージョンに比べると、こっちのほうは若干“おとなしめ”でござい
ます。が、トレーンを意識したのか、ビル・レスリーのソロがモーダルだったりしてと
っても楽しいのぉ♪ラリー・ヤングのソロもヤングらしい超若者感覚に溢れているのぉ
♪
- が、老齢の老齢淫ちゃんには今ひとつウケが悪くって、会話も一向に盛り上がらず
に、結局のところ「伊東の温泉行き」の話も言い出しかねているうちに“グルーブ・ス
トリート”の夜は更けていくのでありました。ということで、今日はもう「カンバン」
なのぉ♪
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