【アルバム名】
THE JAZZ WE HEARD LAST SUMMER (SAVOY)
【リーダー名】
SAHIB SHIHAB / HERBIE MANN (1957/6/6,5/2)
【パーソネル】
JOHN JENKINS (as) CLIFFORD JORDAN (ts) SAHIB SHIHAB (bs) HANK JONES (p)
ADDISON FARMER (b) DANNY RICHMOND (ds)
PHIL WOODS (as) HERBIE MANN (ts,fl) EDDIE COSTA (p,vib) JOE PUMA (g)
WILBUR WARE (b) JERRY SEGAL (ds)
【収 録 曲】
S.M.T.W.T.F.S.S.BLUES / ROCKAWAY / THE THINGS WE DID LAST SUMMER /
GREEN STAMP MONSTA / WORLD WIDE BOOTS
【内   容】
 「気まスタ」の原稿をメールで送信して、ほっと一息をついた水曜日の午後11 時過ぎのこと。突然、携帯電話が暴れはじめました。私の携帯はヴァイブと着メロの併 用に設定してあるんですが、着信音のほうは「だんだんトーン」にしてあるため、音が 聞こえてくる前にまず「ぶるぶる」のほうで電話がかかってきたことがわかります。肌 身離さず着用しているときには「ぶるぶる」っときて、あ〜ん、電話なのぉ♪というこ とがわかるし、机とか床の上に置いてある場合には板の上で「ぶるぶる」と悶えはじめ るので、そのかすかな唸り声とガタガタガタという気配で気がつきます。その携帯が夜 の11時過ぎにガタガタっときたもんだから、私はギクッ!っとしました。これはもう 、ロクな電話でないに違いないのです。何かの間違いであろうと自分に言い聞かせ、し ばらく放置しておいたんですが、そのうちに紛れもない「いそしぎ」のメロディが聞こ えてまいりました。前にもちょっと書きましたが、着メロとして自分で入力した「いそ しぎ」と、あらあじめセットされていた「ラヴィン・ユー」を使い分けているのであり ます。かけてきた相手が携帯だった場合は「いそしぎ」、イスラエルの元首相だった場 合には「ラヴィン・ユー」というふうにグループ分けしているわけでございます。しか しこの時と場所を選ばぬ携帯攻撃、なんとかならんもんですかねぇ。気の休まるときが ありまへんがな。と思っていたら、通信販売にとってもいい商品がございました。名付 けて「だまっTEL」。ひとたびこの「だまっTEL」のスイッチをONにすれば、微 弱な妨害電波のおかげで半径7〜8メートルの範囲にある携帯電話はすべて「圏外」に 。さあ、これで君も栄光への脱出(BGM「ええクソ出す」)だいっ!いや、携帯の電 源を切っておけばそれですむ話なんですけどね。
 
 この「だまっTEL」というの、正しくは他人の通信を妨害するときに用いる器 具でございまして、たとえば映画館。仕事が思ったよりも早く終わって、かと言って「 行先ボード」の帰社予定時刻欄には直退を示す「−」と書いてきたから会社に帰るわけ にもいかないし、時間潰しに映画でも見っかぁ。ということになって入った、地方のう らびれた映画館。こういうところではもはや「すけべ映画」しか上映されておりません 。その成人指定映画が佳境に入り、さあ、いよいよ!というとき、後ろのほうに座って いたオッサンの携帯が。着メロが「与作」だったりして気分がすっかりヘイヘイホーに なっているところへ、「あ、今ぁ?映画見とんの。うん。悶える若妻、もぉダエダエ♪ って・・・」なんて会話をされると、すっかり気分がブルーになってしまいます。こう いうとき、「圏外にしたろかいっ!」という気持ちになったとしても、誰がこの僕を責 めることができるでしょう。あ〜ん、責めるならせめてロウソクにしてぇ♪はい、続い ては電車の中。車内で他人の迷惑顧みず、でかい声で電話しているやつに遭遇すると、 ホント「首しめたろかい!」と思いますね。しかも、そういうやつに限ってロクな会話 をしておりません。たとえばこの前の軽井沢からの帰り。篠ノ井(ちょっとだけイリノ イに似てる)から「ワイドビューしなの」に乗り、名古屋で関西線の亀山行き普通に乗 り換えたんですが、妙に声のでかい兄ちゃんと乗り合わせてしまいまして。ヘッドホン で音楽を聞いていて自分の声が聞こえないもんだから、妙にでっかい声でしゃべってい るやつ?それを、とびっきりうるさくしたような感じでしゃべりまくっているわけなん です。こちらからは姿が見えなかったんですが、ちょっぴり頭の弱い兄ちゃんがひとり 言をいっている感じでもありました。で、その兄ちゃんが今度は携帯で話し始めたわけ です。
 
「あ、父ちゃん?俺、俺、俺ぇ!」
“ウイ・アー・ザ・チャンプ”じゃねえ!オレ、オレうるさいっ!
「今日のおかず何ぃ?え、カラアゲぇ?うん、カラアゲならエエわ。自分、カラア ゲ、むっちゃ好きや。他には?え、カラアゲだけぇ?うん、ええわ、ええわ。カラアゲ だけでええわ。自分、カラアゲ好きなんや。ご飯はあるんやろ?うんうん。」
そして電話を切ると、今度は
「カマドヤのカラアゲ、むっちゃうまいんや!」
どうやらひとり言ではなく、誰か「ツレ」がいるようなんですが、だったらちゃん と注意しろよ、このデカい声!しかしなんですなぁ。パパの2人でホカ弁のカラアゲで すか。ちょっぴり頭の弱い息子とギャンブル好きの夫に嫌気がさし、若いオトコを作っ て逃げた妻タエ子、といったストーリーがふと頭によぎり(の渡し、とか言わない)、 ちょっぴり切ない気持ちになりました。切ない気持ちにはなりましたが、うるさいのは うるさいっ!こんなとき、「黙っとれ!」とばかりに「だまっTEL」のスイッチを入 れて「圏外」にしてやりたい気持ちは痛いほどわかります。もっともこの兄ちゃんの場 合、
「あれー、圏外になったー。なんでや、なんでや、なんでやー!」
と騒ぎまくり、かえってうっとぉしいだけのような気もしますが。
 
 さて、11時にかかってきた電話。ディスプレイには携帯の番号が表示されてお ります。うっとぉしいから無視しちゃおうかと思いましたが、「ここで逃げると、あと が余計にうっとおしい。」という“中軽井沢駅の教訓”を思い出して電話に出ると、
「12月4日、新大久保で鮭ライブ!来てねっ♪」
というイリノイ鮭師匠からのラブコールでございました。せっかくのお誘いですん で、誰かご一緒してくれる人がいれば行ってみようかなー?と思っております。「圏内 」で参加希望の人がおられましたら sabapyon@mb.infoweb.ne.jp までメール頂戴♪
 
 @ さ、去年の夏子ですな。その前に、本日ワタクシは「振動オモチャ」を買っ てまいりました。電池を入れてスイッチをONすると、ぶるぶるって振動するのぉ♪ぼ りゅーむで「ぶるぶる」の強さを調節できて、とってもイイのぉ♪ちょっぴり高かった けど(5800円くらい)、みんなも是非一度、試してみてねっ♪ベースのビートに合 わせて振動する感じですねぇ、バイブレーション機能付きヘッドホン。さて『ザ・ジャ ズ・ウイ・ハード・ラスト・サマー』。サヴォイ盤ってばアルバムタイトルが適当で、 ジャケットも投げやりなことで知られているんですが、このタイトルはいいですねぇ。 どう考えても、これからホテルで休憩しようねっ♪と言ってるようにしか見えない「怪 しいカップル」のジャケはどうか?っていう感じですが。内容のほうは、いかにもサヴ ォイらしい寄せ集めモノでありまして、A面がサヒブ・シハブ、B面がハービー・マン のセッションとなっております。2つのセッションは録音日がわりと近いという以外、 なんの関連性もございません。ではまず、サヒブ・シハブのほうから聴いてみましょう 。
 
 サヒブ・シハブ。なんだか韻を踏んでいて、いいお名前ですな。おそらくムスリ ム名ではないかと思われます。んで、このセッションはサイドマンがたまらん。クリフ ォード・ジョーダンにジョン・ジェンキンスときましたかぁ。マニアですなぁ。リズム 隊はサヴォイらしいハンク・ジョーンズのピアノに、アート・ファーマーの双子の兄弟 、アディソン・ファーマーのベース。で、タイコがダニー・リッチモンドというのがち ょっとめずらしいですね。では1曲目。サヒ・シバのオリジナルで「S.M.T.W.T.F .S.S.ブルース」という曲。最初の「S.M.」はサド・マゾの略だと思いますが、残 りの「T.W.T.F.S.S.」は何の略なんでしょうね?曲自体は12小節のトラディシ ョナルなブルースでございます。リズムはワルツですな。ソロ先発はジェンキンス。マ クリーン・ライクなプレイは、どなたさまにもきっとご満足いただけるのではないかと 思います。続く栗婦ジョーダンはロリっぽいフレージングを聴かせてくださいます。ロ リ好きさんにはたまんないっす。いいっすよねぇ、ロリンズ。ハンクの端正なソロに続 いてサヒ・シハのバリトン・サックス。マルチ・リード奏者としてマルチまがい商法の 一翼を担うサヒ・シバでありますが、本アルバムではバリサク1本で通しております。
鈍重な楽器を巧みに操るなかなかのテクニシャンなんですが、マリガンやペッパー ・アダムスと違い、黒人ということもあってアーシーなプレイを得意としております。 立派です。はい、次。2曲目の「ロッカウェイ」はジェンキンスの曲。バピッシュな曲 なんですが、ちょっぴりファンキーな感じもございます。ソロ先発はジェンキンス。こ れがもう、実に「らしく」ってイイわけなんっす。マクリーンのトーンでパーカー・フ レーズを吹いているだけなんですが、そこがまたイイわけなんっす。続くジョーダンの ソロもよく歌っております。サヒ・シバ、ハンクとソロが続いて、4バースがあって、 テーマをみんなで合奏して、おしまい。ま、この曲はこんなもんでいいでしょう。さ、 いよいよ本アルバムのハイライト「去年の夏」であります。私はこの「高原の湖でボー トに乗ったねっ♪突然の夏の雨に驚いたねっ♪」という歌が大好きなんですが、なかで もこのヴァージョンが最高のデキであると思っております。ハンクのイントロに続き、 ジェンキンスがしみじみと美しいメロディを綴ってまいります。バックではフロントの 残り約2名がひかえめなハーモニーをつけておりますな。ソロパートはジョーダン、シ ハブ、ハンクの順。装飾音少なめでモダンなバラードを聴かせるジョーダンに対し、シ ハブはビ・バップ的なアプローチで勝負しとります。ハンクの上品しみじみソロはさす がですな。そして再びジェンキンスが戻ってきて短めのソロをとって、そのまま後テー マに突入してエンディング。完璧っす。来年の夏こそレ〇ン湖でボートに乗ろう!そう 誓わずにはいられない極め付けの名演でございます。
 
 はい、続いてハービー・マンのセッション。こっちのメンバーもなかなかよくっ て、フィル・ウッズのアルトにエディ・コスタがピアノとヴァイブで参加。ジョー・ピ ューマというギターも入ってます。1曲目はマンの曲で「グリーン・ストンプ・モンス タ」というタイトルですな。ええで、いい♪こすった♪のヴァイブを「ばいぶ・へっど ほん」で聴くとどんな感じカナ?っていうのが興味あったんだけどぉ、ヴァイブよりも ウィルバー・ウェアのベースのほうが断然「びんびん♪」だったのぉ。で、演奏のほう はって言うとぉ、私、ハビ・マンのフルートってあんまりタイプじゃなくってぇ、むし ろフィル・渦のアルトがいかにも鳴門の渦潮っ!ってカンジでヨカッタのぉ♪さすが「 後家殺し」ってカンジよねぇ。だてに喪服フェチやってるわけじゃないって感心しちゃ ったぁ。あ、曲のほうは「明るいハードバップ」って感じよぉ。ラストの「ワールド・ ワイド・ブーツ」はフィル・渦の曲。ファンキーなムードのあるイイ曲ですな。マンは フルートではなくてテナーを吹いております。「真面目にやってない」印象の強いハー ビー・マンなんですが、ここで聴かれるテナー・ソロはオーソドックスでなかなかのモ ノです。ジョー・ピューマのかなり長めのギター・ソロに続いてフィル・渦登場。この 渦のソロも悪くないんですが、ここでのイチバンの聴き物はエディ・コスタのピアノ・ ソロですね。『ハウス・オブ・ブルー・ライツ』のソロを思わせるパーカッシブな奏法 がステキっ♪んなことで、あまり期待していなかった「マン・セッション」のほうもな かなかなのでありました。んじゃ、また来週!


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