【アルバム名】
ENCOUNTER! (PRESTIGE)
【リーダー名】
PEPPER ADAMS (1968/12/11,12)
【パーソネル】
ZOOT SIMS (ts) PEPPER ADAMS (bs) TOMMY FLANAGAN (p) RON CARTER (b)
ELVIN JONES (ds)
【収 録 曲】
INANOUT / STAR-CROSSED LOVERS / CINDY'S TUNE / SERENITY / ELUSIVE /
I'VE JUST SEEN HER / PUNJAB / VERDANDI
【内   容】
 今日の僕ってば、ちょっぴりご機嫌ナナメなのぉ。だって、某・ア〇タ北方店の おっさんにネチネチと文句を言われたんだモン♪「エンジンがすぐ壊れるっ!」とか、 「対応が遅いっ!」とかぁ。コトの発端は9月23日なのでございます。相模原での「 よく壊れるM菱重工製エンジン」の研修を終え、その日はただ帰るだけというスケジュ ールになっておりました。真っすぐ帰れば昼頃にはおうちに着けるわけなんですが、本 日はお日柄もよろしく、前日までの雨もあがって、すっきりとよく晴れた「秋分の日」 。そのまま帰るにはもったいないっ。そんな私の心には、秘められた3つのプランがご ざいました。
 
1.新宿でCDをあさる。
2.上野動物園でカバを見る。
3.国立科学博物館で干し首を見る。
 
どれも魅力的ではございますが、CDをあさるにはフトコロ具合がちょっと寂しい 。(←グリーン車に乗ったツケ。)かといってカバと干し首は今年の3月に見たばかり で、それから半年たって干し首は髪の毛がのびて、ちょっぴりオトナになったねっ♪カ バはしばらくみないうちに、すっかりバカになったねっ♪などということもなく、きっ と変わりばえしないに違いなく、今ひとつソソられるものがないわけであります。もと もと、そんなに見て面白いものでもないしぃ。国立科学博物館としても展示物に変化を つけるため、「今月は干し首を水で戻してキクラゲいっしょに酢で和えてみたのぉ♪」 というような工夫が求められる次第でございます。さて、とりあえず東京駅まで出てき た私に、あるひとつのプランが浮かび上がりました。新幹線以外の在来線を使って帰っ てみるというのはどうか?例えば東海道線の普通電車で行けるところまで行って、乗り 継ぎ、乗り換えで名古屋までたどりついてみるとか。これだったら基本的にはただ座っ ているだけで楽だし、適度に時間も潰れるし、お金もかからないしぃ。研修のため、資 料だとか作業服だとか安全靴だとかパンツなどが詰め込まれた鞄はきわめてバカでかく 、とてもじゃないけど重いカバンをかかえてカバを見る気分じゃなかったわけです。そ こで、何かいい列車はないかと東京駅を散策しているうちに、ふと「長野新幹線に乗っ て見よう!」という思いがムラムラと沸き上がってきたわけです。長野新幹線に乗って 軽井沢へ行こう!古くは皇太子殿下と美智子さまのロマンス、近くは昆布くんとさみを さまのロマンス、そして「くりジャム」。そんな、ロマンとマロンに溢れた町、軽井沢 。いいではないか!私はさっそく長野新幹線の自由席特急券を手に、ホームへと向かっ たのでした。
 
 さて、長野新幹線。時刻表を持ってなかったので、果たして軽井沢からどのよう にして名古屋まで帰ればいいのか皆目見当がつきませんでしたが、とにかく長野新幹線 。ちょうど長野行きの「あさま号」がすぐにホームにやってくるというタイミングでし たが、自由席は長蛇の列。とてもじゃないけど座れそうもないので、1本見送ることに しました。で、次の「あさま」は長野まで直行の便。結局、1時間ほど待ってようやく 座席にありつけたのでありました。出発してしまえば約1時間で軽井沢に到着。あっけ なくて風情もなんにもありませんな。「峠の釜飯」を食おうという気にもなりません。 「しなの鉄道」というローカル線に乗り換えて、隣の中軽井沢で降りて、ちょっとだけ 付近を散策してまいりました。なーんもなかったっすけどね。で、「しなの鉄道」で篠 ノ井という、ちょっぴりタマノイのパーポーに似ている名前の駅まで行けば、あとは松 本までJR線が走っているようです。松本までたどり着ければ、あとは「特急しなの」 が名古屋まで運んでくれます。なんとか家に帰れるめどがたってほっとしながら、いつ 来るとも知れぬ列車を待っているとき、携帯の着メロが鳴りました。嫌ァな予感がして 画面を見ると、お仕事関係の名前が表示されております。 
これはロクでもない電話に違いないので、見なかったことにして切れるのをじっと 待ち、またかかってくるといけないので、そっと携帯の電源をオフにしたのでありまし た。さあ、これで自由の身だいっ!
 
 30分ほどして、ようやく列車が到着。まずまずの乗車率でありまして、4人掛 けボックスシートの一画に座っていると、向こうから「軽井沢ぎゃる」2名がやってま いりまして、「すいませーん♪」と挨拶して私の隣と右斜め前の席に座ったのでありま す。うふふ、むふふ〜♪こういう時はカバンの中から「冷凍みかん」を取り出し、「お ひとつどうですかぁ?」とコミュニケーションを計るというのがローカル線の旅の鉄則 なんですが、あいにく冷凍みかんはないし、チョコバナナもないしぃ。だいたいシャイ で無口な僕ってば、こういう情況はあまり得意じゃないしぃ、なにより相手のぎゃる2 人にぜんぜん「その気」がなさそうだしぃ。などと考え、悶々としているうちに小諸に 到着し、そこがこの列車の終点なのでありました。軽井沢ぎゃるに心の中で「あばよ! 」と別れを告げ、長野行きの普通列車に乗り換えです。この普通列車の車掌というのが 若いぎゃるでございまして、「切符を拝見しまーす♪」「はい、どうぞぉ♪」「ありが とうございまーす♪」と、必要充分なコミュニケーションを計ることが出来て、とって も満足しているうちに篠ノ井駅に到着。ここで一度改札を出て外へ出てみましたが、実 にまあ、何にもないトコロでした。あ、向こうから、クラブの試合でもあったのか、体 操服に身をつつんだ女子中学生が歩いてきますな。「長野ナントカ中」という字が見え ます。その女子中学生の軍団と並んで歩いていると、しきりに「クリちゃん」という単 語が聞こえてくるので気になってちらっとそっちを見てみると、体操服の上着に「栗田 」というゼッケンがありました。いやあ、このあたりの女子中学生というのは純朴そう でイイですな。きっと高校生になったら、ひかえめなミニスカートなんかをはくんでし ょうな。パンツは白っ!決まりです。さて、幸いにもこの篠ノ井駅には「特急しなの」 が停まるということが判明し、切符を買って名古屋行きのホームに立っていると、反対 側のホームでクリちゃんを始めとする女子中学生の集団がしきりに私のほうに向かって 「ばいばーい♪」と手を振っているのでございます。え?誰ぇ?俺ぇ?こっちのホーム には私の他にオッサンが一人いるだけで、もし私に向かって別れを告げているのだとし たら、やはり明るく手を振って「ばいばーい♪」と応えてあげるべきだろうか?でもも し自分と違ったら、むっちゃカッコ悪いしなぁ。。。などと思い悩みつつ、曖昧な笑顔 で応えるシャイな塩サバくん(31歳)なのでありました。やがて向かいのホームに長 野行きの普通列車が到着し、彼女たちは再び大きな声で「ばいばーい♪」と手を振ると 、賑やかに列車に乗り込んでいくのでありました。
 
 結局、名古屋までは約11時間、金額的にも新幹線のグリーン車と同じくらいか かってしまったわけなんですが、私が篠ノ井駅で女子中学生に気をとられていたころ、 ア〇タ北方店ではエンジンがハンチングを起こし、連絡がとれない某・塩サバ物産の社 員にいらだちをつのらせていたわけでございますな。ということで、小さな秋のローカ ル線のお話、これでおしまいっ。
 
 @ さ、今日も無意味に長い前半部分でしたね。スペースが残りわずかになって しまいましたが、ペッパー・アダムス、頑張ってまいりましょう。『エンカウンター』 。辞書で意味を調べてみると「偶然に会う」というような意味でございました。という ことは、このペッパー・アダムス、ズート・シムズ、トミ・フラ、ロン・カーター、エ ルヴィンというメンバーはレギュラーなものではなく、偶発的に組まれたセッションな のであるよ。ということをこのタイトルが物語っているのではないでしょうか。どらど ら。プレスティッジの輸入盤CDはケースの裏のところに簡単な解説みたいなものが書 いてありますので、そこのところを買い得、ダイエー優勝バーゲン、とってもお買い得 なのぉ♪違います。そこのところを解読してみようと思います。たぶん、この偉大なデ トロイト出身のジャズマン達の再会は、このセッションのために特別に結成されたもの だと思われます。ほら、やっぱり思ったとおりですな。
ちなみにズートの除く4人がデトロイト出身で、ズートはカリフォルニアのネイ恥 部、いや〜ん、無理のある誤変換♪カリフォルニアのネイティブなんだそうです。デト ロイトというのはシカゴやフィラデルフィアと並んで数多くのジャズマンを輩出してい る街でございますな。この、一見するとスタイルに統一性のない人々がどのような演奏 を繰り広げているのか、非常に興味の持たれるところですが、とりあえず1曲目から聞 いてみましょう。冒頭「い〜ん・あ〜ん・あうと♪」というのはアダムスのオリジナル でございます。いきなり無伴奏のバリサクで幕を開け、すぐにリズムが入ってきて、ズ ート、トミ・フラ、アダムスの3人が短い小節でチェイスを繰り広げます。いずれもフ レーズ後半ではストップタイムが用いられ、いわゆる「ハードバップ」の範疇にはまら ないアレンジがなされております。演奏の後半ではエルヴィンのタイコもビシビシと絡 んできます。かなり斬新な演奏ですな。ま、あまり深く追及しないで2曲目へいきまし ょう。「スター・クロスド・ラバーズ」。エリントンとストレイホーンのペンによる、 しみじみとしたバラードです。1曲目が今ひとつ捕えどころのない演奏だったため、ス トレートな吹きっぷりがココロにしみます。アダムスとズートが醸し出すハーモニーが 絶妙なテーマ部に続き、アダムスとトミ・フラが素晴らしいソロをとります。いいです なあ、これ。はい、3曲目。アダムスのオリジナル「シンディズ・チューン」はアップ ・テンポの複雑なメロディを持った曲であります。テーマに続いてロン・カーターがか なり前衛風のベース・ソロをかましております。トミ・フラ、ズート、アダムスと続く ソロのバックでも、かなりロンのピチカートが目立って聞こえてまいります。盆栽が趣 味らしいですけどね、ロン・カーター。1曲目同様、ちょっとハードバップの範疇から ハズれた感じの演奏でございます。はい、4曲目。「セレニティ」はジョー・ヘンダー ソンのオリジナル。哀愁を帯びた、なかなかの名曲でございます。ジョー・ヘンのオリ ジナルはどのアルバムに入ってましたっけ?調べましょう。ありました。『い〜ん・ん 〜・あうと♪』ですね。1曲目に同じようなタイトルの曲がありましたが、このアルバ ムから来ているんでしょうか?ジョー・ヘン版に比べるとアダムス版はゆったりしたテ ンポ設定となっております。直情径行的なジョー・ヘンに対し、えらく思索的な演奏に なっているのは白人フロント2人組のなせる技ですが、アスワンハイダムを作ったのは エジプトのナセル大統領だねっ♪アドリブ・パートになるとアダムスはけっこう感情入 ってますが、ズートとトミ・フラはかなりクールに決めております。ピアノ・ソロから そのままトリオによるテーマの演奏となって、今度はフロントの2人がを加えて再びテ ーマの演奏。このあたりのアレンジは洒落ておりますな。
 
 5曲目の「エルシブ」はサド・ジョーンズの曲。サドが上手らしいですけどね、 サド・ジョーンズ、って、そのまんまやん。急速調のあんまりよくわからん曲でありま す。各人のソロはかなり気合入ってます。はい、6曲目。バラードの「愛撫ジャスト・ シーン・ハー」。イスニミミカラミ、いや〜ん、仮名入力モード。アダムスはこの曲の エリントン楽団におけるポール・ゴンザルヴェスの解釈を耳にしてノックアウトされた のだった。というようなことが原文ライナーに書いてあります。んで、彼自身のバージ ョンも貴方がかつて聴いたなかでもっとも美しいサキソフォンのソロのうちのひとつで あろう。というようなことも書いてあります。ちなみにこれはアダムスをフィーチャー した演奏でありまして、ズートはずーっとお休みです、たぶん。はい、7曲目。「パン ジャブ」は再びジョー・ヘンの『イン・ン・アウト』からのナンバー。やはりジョー・ ヘン版よりかなりテンポを落として演奏されます。ゆっくりになったおかげで、曲の持 つ哀感がよりいっそうクリアになった感じがします。ラストはトミ・フラの曲で「婆男 児」というようなタイトルがついております。ファンキーなムードのなかなかの佳曲で ありまして、急速調で演奏されております。エルヴィンの活躍も光りますなぁ。ジャズ のドラマーと肛門括約筋には、いつも活躍して欲しいと願ってやみません。でないと締 まりがなくってタレ流しになっちゃうのぉ♪
その点、エルヴィンなら大丈夫。フロント陣を強力にプッシュG軟膏してくれるの でありました。以上、白人ながらアドリブ一発勝負に賭けるフロント2人と、ドライヴ ィングなリズムセクションとの「偶然の出会い」が好結果をもたらした1枚でございま した。以上、後半あんまり「ボケなし」で、すまんこってす。んじゃ。


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