【アルバム名】
ELDER DON (BLUE NOTE)
【リーダー名】
DON WILKERSON (1962/5/3)
【パーソネル】
DON WILKERSON (ts) GRANT GREEN (g) JOHNNY ACEA (p) LLOYD TROTMAN (b)
WILLIE BOBO (ds)
【収 録 曲】
SENORITA EULA / SAN ANTONIO ROSE / SCRAPPY / LONE STAR SHUFFLE /
DRAWIN' A TIP / POOR BUTTERFLY
【内   容】
 前回は「夏の終わりを感じさせるもの」というテーマでお届けしました。その結 論を「マイ・フェイバリット・シングス」風に書いてみると
 
  夏休みの終わりに、2学期の始業式
  高校野球の決勝戦に、ツクツクボーシの声
  土用波の海水浴場に、おしよせるクラゲ
  夏の終わりを感じさせるもの〜♪
 
といった感じでしょうか。そういった話題より女子高生ネタに多くの行数を費やし てしまったのではないかという反省点がなきにしもあらずですが、おい、そこのオッサ ン、携帯の着メロに「宇宙戦艦ヤマト」はやめなさいね。いや、いま会社でこれを書い ているわけなんですが、あのメロディが聞こえてくると思わず「さらば〜、地球よ〜♪ 」と歌いたくなってしまいます。ま、それはいいんですが、興がのってきて「旅立つ船 は〜、宇宙戦艦ヤ〜マ〜トぉ♪」と歌い続けようとすると、たいてい「旅立つふ・・・ 」くらいで「はい、ニシジマです。」ということになってしまい、思わずコケそうにな ってしまいます。せめて1コーラス終わるまで電話に出るのはやめてねっ♪それはそう と「マイ・フェイバリット・シングス」の
 
  バラの花びらの上の雨つぶに、子猫のひげ
  ピカピカの銅のやかんに、暖かいウールの手袋
  茶色の紙包みで、ひもがかけてあるやつ
  それが私の好きなもの〜♪
 
って、ヘンなものが好きなオンナですなぁ。この中で唯一共鳴できるのは「暖かい ウールの手袋」くらいで、これはまあ、炊事に使うゴム手袋よりはマシかなぁという気 がしないでもないですが、ゴム手袋はゴム手袋で独特のヨロコビがありますよね。ゴム の感触がたまんないのぉ♪そもそも炊事用ゴム手袋というのは手あれを防ぐために使う のだと思いますが、あ〜ん、ママレモンで手があれちゃったのぉ♪という女子高生とい うのも悪くないですな。
 
  ・ケーキを焦がす女子高生
  ・凍結した道路でコケかける女子高生
  ・マフラーしてる「けった通学」の女子高生
  ・甲子園で自分の学校が負けて泣いている女子高生
 
と共に「マイ・フェイバリット・女子高生」に追加したいと思います。で、いった いなんなんだよ、「茶色の紙包みで、ひもがかけてあるやつ」って!これはもう、フロ イト的に解釈すれば、「あなたはコドモの頃、スカートをまくりあげて頭の上でひもで 縛る“茶巾寿司ごっこ”が好きだったのではありませんか?」などと診察されてしまう ヘンな女にほぼ間違いありません。でなきゃ、「茶色の紙包みで、ひもがかけてあるや つ」というようなワケのわからん物を好きになるはずがありません。マニア、もしくは フェチ系の女であると断定して間違いないでしょう。この女の変態性は最後の部分の歌 詞にも如実にあらわれております。
 
  犬に噛まれた時や、蜂にさされた時や、悲しい気分の時は
  私の好きなものをなんとなく思い浮かべるの
  するとどう!ちっともいやな気分じゃなくなるの
 
ま、「悲しい気分の時」はよしとしましょう。悲しい気分のときにピカピカの銅の やかんを思い浮かべ、それで本人がいやな気分じゃなくなるというのなら他人がとやか く文句を言う筋合いではございません。問題は「犬に噛まれた時や、蜂にさされた時」 、なかんずく「犬に噛まれた時」ですな。
 
今週の忠告:病院いけってば!
 
やかんを思い浮かべている場合ではございません。ということで、夏の終わりを感 じさせる「クラゲ」については、また次回。
 
 @ 本日はドン・ウィルカーソンです。“くらぶ”の“でぃーじぇー”には“で む・たんばりんず”でおなじみなのぉ♪それだけ。他に書くことありません。このドン ・ウィルカーソンという人はブルーノートに3枚のアルバムを残しているんですが、「 デム・タンバリンズ」が入っているのは『プリーチ・ブラザー』、略して「ぷりぶら」 なのぉ♪というアルバムでありまして、これは以前このコーナーでレビューしておりま すので、残すところあと2枚ということになります。プレスティッジとかにもアルバム を残していそうな感じですが、私は持っておりません。となると『エルダー・ドン』か 『シャウティン』か。2つに1つということになりますな。で、どちらを選ぶか悩む必 要はございません。だって『シャウティン』のジャケットってば、書くのがむっちゃ面 倒なんだも〜ん♪で、サイドマンに目を転じてみると「ぷりぶら」にはグラント栗委員 さんのギターが入っていて、リズム隊はソニー・クラーク、ブッチ・ウォーレン、ビリ ー・ヒギンズという面々。これはBN4000番台の準ハウス・リズムセクションとい った感じのメンバーでありまして、ソウル派の印象の強いウィルカーソンのアルバムに しては、ずいぶんハード・バップ系のサイドマンですな。一方、『シャウティン』のほ うは同じくグラント栗委員が入って、ジョン・パットンのオルガンにベン・ディクソン のドラムという、こちらは典型的なソウル・ジャズのフォーマットとなっております。 で、今回レビューする巨泉のクイズダービー@『エルダー・ドン』、さらに倍!という アルバムは、フォーマット的にはピアノ・トリオたすギターたすテナーという形になっ ております。メンバーが地味ですな。ピアノがジョニー・エイシアで、ベースがロイド ・トロットマンだって。唯一、ドラムスがウィリー・ボボなのが九州の純情系ぎゃるに 喜ばれるのではないかと思われる程度です。あ、このアルバムにも栗委員ちゃんは参加 しておりまして、これは一般ファンにも嬉しいトコロですね。で、リーダーのドンちゃ んのスタイルってば、ジーン・アモンズやアーネット昆布、イリノイ鮭あたりを敬愛し ておる(本人談)というわりにはトーンもへろへろで、いかにも根性なさそう。「根性 焼き」やらせたら真っ先に音を上げそうな、パシリ以外には何の使い道もないどうしよ うもないヤツ。といった役回りでありましょう。んなわけで、まあ、1曲目から聴いて やってください。
 
 「セニョリータ・オーラ」はドンちゃんのオリジナル。セニョールが「ミスター 」で、セニョリータが「ミス」でしたっけ?「トムとジェリー」の「スペインへようこ そ」という巻きでスペインの猫どもが盛んに「せにょりーたー」を連発していたような 記憶がございます。どーってことないノー天気なメロディの曲ですな。ちょっぴりスペ イン風なトコロがなきにしもあらずですが。ソロ先発はドン兄ぃ。ちなみにアルバム・ タイトルについている「ELDER」というのは年上の人とか長老といった意味ですな 。「OLD」の比較級であるわけです。で、ドン兄ぃのソロは可も不可もなく優と良ば っかりといった感じなんですが、あ、それでは成績優秀になっちゃいますな。で、続く グラント栗委員のソロがなかなかなんですぅ。クリちゃん好きのヒトなら、きっと気に 入ってもらえると思うナ♪2曲目の「サン・アントニオ・ローズ」はカントリー&ウエ スタンの有名曲。とことんノー天気です。カントリーでウエスタンな雰囲気がとっても キリシタンなのぉ♪と、スペイン出身のエウヘニオ・モンレアル元海星高校長も申して おりました。イラオラ神父は安全運転のことを「運全安転」って言ってましたけどね。 おまけに英語はスペイン語訛りで発音が聞き取りにくく、日本人に英語を教えるには極 めて適任じゃないぞ、スペイン人!で、3曲目〜5曲目までドン・ウィルカーソンのオ リジナルが続くんですが、「ドロウイン・ア・チップ」が良で、「スクラッピー」と「 ローン・スター・シャッフル」が可といったところですね。「デム・タンバリンズ」み たいな「この1曲で決まりっ!」といった目玉がないのが、このアルバムの全体的な印 象を緩慢にしておりますな。
緩マンだって、いや〜ん♪と、ここでひとつサービスフレーズを入れておいて、で 、個人的お薦めはラストの「プア・バタフライ」ですな。このアルバムで唯一のバラー ド・ナンバーなんですが、下品なイメージが横溢しているドン・ウィルカーソンとはと ても思えないほど、切なく美しい演奏なのでございます。テーマの吹きっぷりは、ベツ レヘム盤でこの曲を吹いているブッカー・アービンにちょびっとだけ似た感じがありま すね。アドリブ・パートに入るとちょっとテンポが速くなってミディアム・スローにな るんですが、ドンちゃんの豊かな歌心は引き続き健在です。ボボちゃんのサトルなステ ィックさばきにも注目。ジョニー・エイシアのレッド・ガーランドを彷彿させるピアノ も絶品であります。以上、ラスト1曲がよかったので、ずいぶん救われた気分になれた 1枚でありました。


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