- 【アルバム名】
- JUNIOR’S COOKIN’ (JAZZLAND)
- 【リーダー名】
- JUNIOR COOK (1961/4/10,12/4)
- 【パーソネル】
- BLUE MITCHELL (tp) JUNIOR COOK (ts) RONNIE MATTHEWS (p) DOLO COKER (p)
- GENE TAYLOR (b) ROY BROOKS (ds)
- 【収 録 曲】
- MZAR / TURBO / EASY LIVING / BLUE FAROUQ / SWEET CAKES / FIELD DAY /
- PLEASURE BENT
- 【内 容】
- ひっぱってひっぱって「吉村家」のラーメンねたです。もぉ、ひっぱり過ぎて麺
がのびちゃったこと必至。さて、「曲暁明の店」で中華を堪能した爽やか青年・中年・
初老3人組は夜の山下公園を歩き、中華街を散策し、石川町で電車を待ちながら「新杉
田に着いたら吉村家でラーメン食べようねっ♪」と、明るく爽やかに頷きあっていたわ
けです。もぉ、私の胸は期待と不安でドッキドキ♪だって「吉村家のオヤジは恐いっ!
」って評判なんだモン♪ではここで、ネットで入手した吉村家についての情報を整理し
てみましょう。
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- 情報提供は
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- http://www.asahi-net.or.jp/~et7t-tum/iekei/ie-yoshimura.html
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- という家系ラーメンのサイトです。
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- ・横浜家系ラーメンの総本山。美味い。スープ、麺共に素晴らしい出来。チャーシ
ューもなかなか丁寧に作っている。使っている豚骨の量も莫大である。一度食べて損は
ない。オヤジがいつも怒っている。吉村のおやじさんにかかると店員は誰でも馬鹿扱い
されている。聞いていて少し不愉快になる。
-  
- ここですよねぇ、問題は。得てして「名店」と呼ばれる店のオヤジは職人肌で気難
しいと相場が決まっております。三重県の鈴鹿には「勝手な店主」なんて看板に書いて
ある店さえありました。こういう店へ行くと、「まことに勝手ながら本日は休ませてい
ただきます。」という張り紙があったりして、もぉ、勝手極まりないわけです。客のほ
うとしては「なんて勝手な店主や!」と文句のひとつも言いたくなりますが、「そうだ
よー。だって、勝手な店主なんだモン!」と開き直ったりして、ますます始末が悪いわ
けです。こういう店はいくらおいしくても、ワタクシ的にはパスですな。で、吉村家の
オヤジ。店員を馬鹿にするとは何ごとだっ!店員に向かって「それでよく月給50万貰
ってるな!」と罵倒したという噂もございます。あ〜ん、マスター、もっと叱ってぇ♪
という「言葉責め」に弱いタイプならいいかもしれませんね。叱ってもらえる上に、月
給50万も貰えてぇ。しかしわざわざ客の前で月給の話をするなど、このオヤジの「怒
鳴り」というのは一種のパフォーマンスに違いないわけです。さ、この恐いオヤジの正
体と、肝心のラーメンのお味のほうは???
-  
- 結論から申しましょう。閉まってました〜。後で調べたら、夜8時までだったん
ですねー。朝は5時からやってんのにねー。世間をなめてますねー。ラーメンなんての
はビールを飲んで豚の角煮などを食べ、水割りを嗜みつつカラオケで加山雄三などを熱
唱した後で「とどめ」として食べるものなのにねー。そんな生活してると痛風になりそ
うですけどねー。決して、早起きして朝の5時から食べるようなものではないわけです
。こんなところにもオヤジの屈折した美学が見え隠れするわけですが、とにかくまあ、
おじさん3人組は閉められた扉の前で腕組みして「うーん」と唸るハメになったわけな
んですが、イランの最高指導者はハメネイ師だねっ。で、未練たらしく店の前をうろう
ろしていると、店の左端のほうに2つの貼り紙があるのに気がつきました。1枚は新聞
記事のコピーで、このたび「吉村家」は地元に1000万円を寄付しちゃいました〜。
我ながらなんて偉いっ!というような内容でした。はあ、そうですかぁ。で、もうひと
つのほうが衝撃の大スクープ!なんと、「吉村家」が店じまい!?
-  
- よく見ると、それはこういう内容でございました。今年(平成11年)の9月を
持ってこの新杉田の店は閉めちゃうと。んでもって、西区のほうに新しい店を出すと。
で、杉田では今の店の反対側に私の弟子が店を出すと。うーむ。なくなっちゃうとなる
と食べておきたいっ!と思うのが人情というモノですよね。正確にはなくなっちゃうわ
けでなく移転するだけなんですが、「吉村家も移転してから味が落ちちゃってねぇ。」
なんて言われちゃうことは火を見るよりも明らかです。
- たとえ味が少しも変わってなくても、それどころか日々の精進のおかげで、おいし
さ30%アップ!(当社比)ということであっても「移転したら味が落ちた。」と言わ
れるのは名店の宿命であるわけです。しかも、噂によれば「新・吉村家」は7階建てく
らいのビルだというではありませんか。「吉村家のオヤジは魂を売った。」と言われて
その名声は地に落ち、空からは「つけめん大王」が降ってくるであろう。とノストラダ
ムスも予言しております。吉村家が「つけめん大王」に乗っ取られる前に、その幻のラ
ーメンをぜひ一度!明日の昼は絶対に吉村家のラーメンを食べるぞ!と心に誓った3人
組でありました。
-  
- 翌日の昼。ある程度の行列は覚悟していたのですが、その日の客は極めて少なく
て店の外には4、5人のみ。こういう場合、せっかくだからうーんと行列してもらって
ないと張り合いないぢゃないか!と少し心が荒みかけたんですが、すぐ後ろに女子高生
の3人組が並んだので、すぐに心がなごみました。しかしその女子高生3人組はすぐに
行列から離脱したので(気がかわったらしい)、私の心はまたしても少し荒みました。
待つこと10分。我々はついに店内に足を踏み入れることになりました。作業服に安全
靴、手にはヘルメットといういでたちだったので店のオヤジに「ドカタの来るところじ
ゃねーよ!」とドヤされるかと思いましたが、そういうこともなく無事カウンター席に
着席。粛粛と「ラーメンが出来上がるまで」を観察しておりました。罵声が聞こえるわ
けでもなく、調理場は極めて平静だったのでちょっぴり拍子抜け。もしかしてオヤジは
不在だったんでしょうか?「新・吉村家ビル」のほうが気になって、ラーメン作ってる
場合じゃないのかも知れません。で、問題の味のほうは???
-  
- 総合評価:辛い、くどい、口にあわん。
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- 話のタネにいっぺん食べたらええっちゅう感じやね。と言葉を交わしつつ、関西人
3名は店をあとにしたのでした。
-  
- @ はい、ジュニア・クック。あ、吉村家のラーメンは私のような淡泊好きは「
味薄め、脂少なめ」で頼んだほうがよかったのかも知れませんね。でもやっぱり個人的
には「すがきや」のラーメンのほうが好きっ♪(←オヤジに刺されること必至。)さ、
ジュニア・クックですな。クックと言えば何と言っても、ホレス・シルバー・クインテ
ットにおけるブルー・ミッチェルとのコンビネーションが有名です。ちょっとボケよう
かと思いましたが、やめました。もぉ、それどころじゃないくらいラーメンに字数を費
やしてしまっているのです。で、典型的なサイドマン・タイプであるジュニア・クック
が残したこの貴重なリーダー作『ジュニアズ・クッキン』にもブルー・ミッチェルが参
加しております。ジャケットに名前もクレジットされていますし、写真にも仲良く2人
で写っております。もぉ、あやしいくらいラブラブなのぉ♪お揃いのブラなんかも持っ
てるかも知れませんね。あら〜ん、ミッチェルったらブルーのブラが似合うのねっ♪と
か言ってる場合じゃなくて、曲解説ですね。
-  
- このアルバムは2つのセッションからなっていて、1〜3曲目と7曲目のピアノ
はロニー・マシューズとなっております。んで、1曲目の「ムザー」というのはローラ
ンド・アレキサンダーの曲ですな。日本語ライナーを執筆している小川隆夫クンは曲に
ついては何も触れておりません。いけません。面倒だからライナーを丸写ししようと思
っていたのに、けしからんことです。しかたないから原文ライナーを解読しましょう。
えーと、アイラのギトちゃんによれば「ムザー」はマイナーキーの曲であると。そんだ
けかいっ!補足すると、ちょっぴりホレス・シルバーの「ロッカス」(ルー・ドナルド
ソンの『カルテット・クインテット・セクステット』に収録)を思わせるイントロで始
まる、ちょっぴりラテン入ったマイナー調のファンキー・チューンでございます。日本
のハードバップ・ファンなら、きっと気に入ってもらえると思うナ♪という感じのメロ
ディですね。ソロ1番手はクック。ロリンズの影響を強く感じさせるその吹きっぷりは
、確かにサイドマンとして留めておくにはオシイ人材ですよね。性格的に前に出たがら
ない人だったみたいですが。続いてブルー・ミッチェルのソロ。ケニー・ドーハムに通
ずる「哀愁」を感じさせるトーンが非常によろしいですな。
- 私の場合、リバーサイドのトランペッターというと、真っ先にこのブルー・ミッチ
ェルの名前が思い浮かびます。続くロニー・マシューズのソロもいいし、切れ味鋭いロ
イ・ブルックスのドラミングも良好です。テナー、ドラムス、トランペットの8小節交
換に続いてブルックスのちょっとしたソロがあって、再びあの魅力的なテーマが戻って
きます。うーん、これぞハードバップ!って感じで、解説だってしごくマトモになっち
ゃってます。
-  
- はい、2曲目。チャールス・デイビスの「ターボ」という曲ですな。その昔、高
校の同級生に中沢文弘というのがいて、この少年は「ツインターボ」と書かれた筆箱を
所持していたため、クラスのみんなから「ターボ付き」と呼ばれておりました。そのま
んまですねー、高校生の発想って。で、この曲はどっかで聴いたことがありますなー。
どのアルバムに入っていたのか思い出せませんが。ちなみに「ターボ」というのは中沢
文弘くんとはあまり関係なくてブルックリンにあるジャズ・クラブにちなんで名付けら
れたそうです。なんか、客の回転が早そうですね、ジャズ・クラブ「ターボ」。油切れ
するとすぐに焼け付きそうですけど。油っ気の多い料理が多いのではないかと推測され
ます。ホウレンソウの油炒めとか、カツオのサラダ油漬けとか。そういえば、ごんあじ
ちゃんから貰った「カツヲ油漬け缶詰」、まだ食べてないっす。もうそろそろ食べ頃で
しょうかね?で、テーマ部でミッチェルはミュートを付けて吹いておりますが、ソロで
はオープンとなります。3曲目はスタンダードの「イージー・リビング」。せがれいじ
り、ビンビン、今日も元気だなっ♪とか、俳句に詠めそうな曲名ですね。なんとなく爽
やかさに欠けるきらいがあるので、発表するのは控えておこうと思いますが。ブルー・
ミッチェルが吹くイントロに続き、クックがおなじみのメロディを切々と歌いあげます
。ここでのクックは、特に第1コーラスにおいてワーデル・グレイに敬意を表している
ように思われる、なんてことが原文ライナーに書いてあります。買おう買おうと思って
、まだ踏ん切りがつかないんですよね、『ワーデル・グレイ・メモリアル・アルバム』
。やっぱり買っておいたほうがいいでしょうかね?
-  
- 4〜6曲目はピアノがドロ・コーカーに変わります。こっちのセッションはモノ
ラル録音となるんですが、ベースの響きはこっちのほうが数段よろしいですな。で、「
ブルー・ファローク」はチャーリー・ラウズの『テイキン・ケア・オブ・ビジネス』で
も演奏されていた曲。続く「スウィート・ケークス」はブルー・ミッチェルのリーダー
作で演奏されていた名曲でございます。ミッチェル盤のテナーはゴルソンでしたっけ?
ということは、収録アルバムは『アウト・オブ・ブルー』ですかね?そっちのほうと聴
き比べてみるのも一興でございましょう。ドロ・コーカーのピアノはロニー・マシュー
ズと比べるとちょっと泥臭い感じがしますが、ま、名前がドロだけにやむを得ないとこ
ろでしょう。いや、悪くはないっすよ。6曲目はそのドロちゃんのオリジナルで「フィ
ールド・デイ」という曲。これはデックスの『ザ・リサージェンス・オブ・デクスター
・ゴードン』というアルバムに入っております。このコーナーでもつい最近レビューし
ましたよね。我ながらなかなか渋いアルバムを取り上げているのであります。ラストは
またロニー・マシューズのほうのセッションに戻って、「プレジャー・ベント」という
曲。1曲目と同じくローランド・アレキサンダーの曲。ラストを飾るにふさわしいリラ
ックス・ムードの演奏でございます。以上。なんということのない演奏なんですが、そ
こがまたよし。そういえば昔、タケノコマヨシなんて名前の馬がいませんでしたっけ?
あと、ツインターボという馬も。明日をも知れぬ大逃げをうつ、実に印象深いうまだっ
たんですが、途中で壊滅することも多かったです。ターボの回しすぎに注意!というこ
とで、今週はおしまいっ。
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