【アルバム名】
BOOKER 'N’BRASS (PACIFIC JAZZ)
【リーダー名】
BOOKER ERVIN (1967/9/12~14)
【パーソネル】
BOOKER ERVIN (ts) KENNY BARRON (p) REGGIE JOHNSON (b)
LENNY McBROWNE (ds) FREDDIE HUBBARD (tp) RICHARD WILLIAMS (tp)
JOHNNY COLES (tp) GARNETT BROWN (tb) BENNIE GREEN (tb)
BENNY POWELL (b-tb) & others
【収 録 曲】
EAST DALLAS SPECIAL / SALT LAKE CITY /
DO YOU KNOW WHAT IT MEANS TO MISS NEW ORLEANS / L.A. AFTER DARK /
KANSAS CITY / BALTIMORE ORIOLE / HARLEM NOCTURNE /
I LEFT MY HEART IN SAN FRANCISCO / ST. LOUIS BLUES
【内   容】
 本日のテーマは「ツーカーの謎に迫る」です。私の携帯電話が“ツーカーセルラ ー東海”であることは、以前にもこのコーナーでもちょっと触れましたが、この会社の 名前の元になっている「ツーカー」というのはいったい何なのか。なぜ「ツー」と言え ば「カー」なのか。 この問題について今日こそは考えてみたいと思います。そしてそ こから「女子高生のパンツ」までもっていきます。「便器」は出ません。はたして「ツ ーカー」から「パンツ」にまでうまく話題を持っていくことが出来るのか。若干の危惧 を抱いている人がいるかも知れませんが、大丈夫です。勝算はあります。ではいってみ ましょう。
 
 そもそも日常の会話において「ツー」なんていう言葉を使うことはまずありませ んよね。強いて言えば「パン」と手を打って、「ツー」と2本指をたて、「まる」で指 で丸を作り、「見え」で小手をかざして遠くを見るようなそぶりをする、いわゆる「パ ンツ丸見え」の儀をとりおこなう時、その2番目に「ツー」という言葉が発せられる程 度です。いや、いきなり「ツー」から「パンツ丸見え」まで話題が発展しましたね。幸 先のよいスタートです。そんなわけで、全国的に見ると日常生活における会話において 「ツー」という言葉が発せられるのは「パンツ丸見え」の時だけであるという事実が判 明したわけですが、地方に目を転じて見ると、わりと頻繁に「ツー」という言葉が使わ れている地域があることが判明しました。三重県です。三重県では次のような会話が日 常茶飯的に使用されているということが明らかになりました。
 
「どこに住んどんのぉ?」
「津ぅ。」
「津ぅかぁ。」
 
おお、「ツー」だけじゃなく「カー」も出たぢゃん!つまり「ツーカーの仲」とい うのは三重県が起源だったんだねっ♪などと勝手に結論づけてよろこんでいる、そこの あなた。甘いです。もう一度よく、さっきの会話を見てみましょうね。
 
「ツー。」
「ツーカー。」
 
ほら。「ツーと言えばツーカー」であって、決して「ツーと言えばカー」ではない わけです。惜しいんだけど、ちょっと違うんだよねー。この極めて「惜しい」体験が私 を本気にさせました。こうなったら意地でも「ツーカーの仲」の語源を調べちゃる!そ ういう熱い思いで胸はずむ17歳、塩サバまりや(31歳)の闘志はたぎるのでした。 各種文献を読みあさること数ヶ月。ついに私は「ツーカーの仲」の謎を説き明かすこと に成功しました。結論から申し上げましょう。「ツーカーの仲」というのは中国語起源 でありました。
 
 紀元前3〜5世紀、戦国の動乱期に輩出し,思想の黄金時代を築きあげた人びと のことを諸子百家と言いますね。その諸子百家の中で孔子、墨子、孟子、老子、荘子な どと並んで称される思想家に韓非子がおります。その韓非子が遺した「韓非子・姦劫弑 臣篇」の中にこのような言葉があります。
 
  主曰、汝及我、良好的関係成通可之仲、不要言語
 
これは君主がその家臣に対して言っている言葉なんですが、お前と俺とは「不要言 語」、すなわち言葉を用いなくても「通可之仲」、すなわち「通じ合うことが可能な仲 」にならねばならん。とまあ、そういうことを言ってるわけです。目と目で通じ合う〜 、そういう仲になりたいのぉ♪と主は申しているわけでございますな。で、この「通可 之仲」というのが後に「ツーカーの仲」というふうになっていったわけです。「通」と 言えば「可」。いやあ、為になるなぁ。ちなみに韓非子は「通可之仲」の例として次の ような話を書いております。
 
  汝及我、乗車桑名駅前行三交乗合自動車
  次的停留所、乗車的女子高生、緩的靴下着用(白色)
  我欲、女子高生的下穿之色
  我不要言語、汝質問的女子高生「如何、下穿的色?」
 
バスにルーズソックス(白色)の女子高生が乗ってきたら、わしがなにも言わなく とも、きちんと「パンツの色は何色?」と質問しなさいね。主はそのように申されてい るわけでございます。ちなみにこの時の女子高生の答えは
 
  我、下穿也黒色(透透)♪」
 
だったようで、主は
 
  我思、女子高生的下穿限定白色、嗚呼!
 
と、大変お嘆きでございました。嗚呼!
 
 @ さ、ブッカー・アービンですな。あ、言うまでもなくこの「ツーカーの仲」 の話、全部デタラメですんで。ちょっとソレっぽい「通可之仲」も単なる私の思いつき でーす。しかしなんでもいいけど、ただ中国語にしただけで、あいかわらずの「ぱんつ 黒ぉ♪」ネタでしたね。たいがいにせえ!と、自分でも思います。さ、ブッカー・アー ビン。世の中には「くどめ」のテナーを吹く人というのはけっこうたくさんいますが、 その最右翼に位置するのがこのアービンでしょう。あ〜、ビンビン♪関係なかったです ね。で、どれくらい「くどい」かというとですね、すやすやと眠っている赤ちゃんの耳 元でアービンの渾身のソロを特大ボリュームで流したところ、約98.7パーセントの 赤ちゃんがひきつけを起こしたという実験結果が残されております。それほどアービン のプレイには人をひきつけるものがあるんですね。いいんだよなぁ、アービン♪そんな アービンのお薦めの1枚は『ラメント・フォー・ブッカー』ですな。これはベルリン・ ジャズ・フェスティバルでの模様をとらえたライブ盤なんですが、予定の時間を過ぎて もなお吹き続けようとするアービンと、それをやめさせようとする観客と、もっとやれ ー!という無責任な観客とのバトルが記録されたアルバムとして有名でございます。C Dで聴いているほうとしても、こりゃ、ヤメさせたほうが正解やったな。という感慨を 抱かせるに十分な、白熱した演奏が聴けるわけなんですが、今回紹介するのはもうちょ っとマシなのを。『ブッカー・ン・ブラス』。アービンがブラス・セクションをバック に演奏をくりひろげるという異色作でございます。これがまあ、お世辞にも「いい」と は言えないまでも、かなりマシなのではないかという気がします。んじゃまあ、とりあ えず聴いてみましょうかぁ。
 
 1曲目はアービンのオリジナルで「イースト・ダラス・スペシャル」という曲。 トランペットとトロンボーンからなるブラス・セクションのアレンジがなかなかイカし ているのであります。誰がアレンジしてるのかと思ったら、テディ・エドワーズなんで すね(指揮も)。いいぞぉ、エドちゃん♪アービンのソロはあいかわらず「くどくど」 なんですが、1曲の演奏時間が短めであるおかげでバックのアンサンブルに気をとられ ている隙に終わっていたりして、わりかし苦にならないのであります。1人で吹かせて いるとうるさいから、みんなで吹いて目立たなくしてやろう!という、プロデューサの 作戦勝ちと言えるでしょう。ちなみにプロデュースしたのはパシフィック・ジャズのリ チャード・ボック。アービンとパシ・ジャズの組み合わせというのも珍しいですな。で 、2曲目は「ソルト・レイク・シティ」という曲。英語の原文ライナーには「デューク ・エリントン」という単語が何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、し つこいっ!というくらい登場するんですが、確かにそんな感じのアレンジですな。いや 、よく数えたら2回くらいしか登場してなかったんですけどね、エリントン。アンサン ブルのバックでケニー・バロンのピアノが「かくし味」的ないい味を出しております。 ボントロのソロも聴けます。ちょっぴりノスタルジックなナンバーでございました。
 
 3曲目は「ミス・ニュー・オリンズというのはどういう意味か知ってるかい?」 というようなタイトルの曲。気づいた人もいるかと思いますが、このアルバムで演奏さ れているのはすべてアメリカの地名にちなんだ曲になっているんです。で、ミス・ニュ ー・オリンズ。しっとりしたバラード風のナンバーです。実を言うとアービンの吹くバ ラードというのは、なかなか悪くないんであります。もっともソロが長くなりすぎると 「くどく」なるという致命的な欠陥があるんですが。テーマだけ吹くアービンというの は、ホンマ、味わい深いものがあるのでございます。
ここでの演奏はくどくなる直前でブラス・アンサンブルのパートになって、実に都 合がいいのであります。短いトランペット・ソロはフレディ・ハバードでしょうかね? はい、4曲目。「L.A.アフター・ダーク」。これはアレンジあーんど指揮担当のテデ ィ・エドワーズの曲。エドちゃんってば、相変わらずイイ仕事してるのねっ♪ブラス・ セクションが「じゃじゃーん!」と盛り上がって、それにかぶさるようにアービンが登 場するあたり、なかなかドラマチックな演奏なのであります。ここでのアービンのソロ はいかにもアービンらしくって、「アビ中」の僕は涙が出るほど嬉しくなったことアル よ。ペットのソロはこれもフレディでしょうね。これもなかなかの出来栄えなのであり ます。私的にはこの演奏をこのアルバムのベストと認定いたします。ちなみにCDの最 後にはこの曲の別テイクが2つも入っているのでマニアの方はお楽しみあれ。
 
 6曲目「ボルチモア・オリオール」。ここでもアービン流のハードブロウが満喫 できます。キライな人だったら蕁麻疹が出ますな、こりゃ。そういう人はケニー・バロ ンのファンキーなピアノソロで痒みをとめてくださいね。7曲目「ハーレム・ノクター ン」。これはもう、テーマの吹きっぷりからアービンそのもので、せっかくおさまりか けた痒みが湿疹を併発して再発する思いでございます。こういうアーシーな曲を吹かせ るとドツボですな、こりゃ。8曲目の「我が心のサンフランシスコ」でリハビリに励み ましょう。あ、こりゃ演歌ですな。モロに「サンフランシスコ・ブルース」って感じぃ 。むせびなくムード歌謡の世界ですね。「我が心のサンフランシスコ」って、こんなベ タな曲だったっけ?と思ったら、1曲ズレてましたー。えーと、キライな人だったら蕁 麻疹が出るのが5曲目の「カンザス・シティ」という曲で、痒みが湿疹を併発して再発 するのが「ボルチモア・オリオール」で、むせびなくムード歌謡が「ハーレム・ノクタ ーン」でした。なるほどぉ、納得っ。で、「我が心のサンフランシスコ」は綺麗なバラ ードでした。で、最後が「セント・ルイス・ブルース」でした。これはもぉ、最初っか らコテコテの曲だからもぉ、お好きなように、どうにでもしてくださいねっ。
 
 ということで、いくらブラスでごまかしてみても、かなり「きっつい」ですね、 やっぱり。


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