- 【アルバム名】
- ROLLINS PLAYS FOR BIRD (PRESTIGE)
- 【リーダー名】
- SONNY ROLLINS (1956/10/5)
- 【パーソネル】
- KENNY DORHAM (ds) SONNY ROLLINS (ts) WADE LEGGE (p) GEORGE MORROW (b)
- MAX ROACH (ds)
- 【収 録 曲】
- I REMEMBER YOU ~ MY MELANCHOLY BABY ~ OLD FOLKS ~ THEY CAN'T TAKE THAT AWAY
- FROM ME ~ JUST FRIENDS ~ MY LITTLE SUEDE SHOES ~ STAR EYES / KIDS KNOW /
- I'VE GROWN ACCUSTOMED TO YOUR FACE / THE HOUSE I LIVE IN
- 【内 容】
- 昨日のマイ・コンピに続いて「打ち水の儀」についてなんだよね。はい、ここ(
↓)から。
-  
- 汚物を汲み取る前に便所にバケツ1杯程度の水を注ぐんだよねー。これは「便所
の神に禊ぎを捧げる」といった神道的な意味合いのほか、「濃縮された汚物を希釈還元
する」という実務的な役割もあるんだ。つまり、あまりコテコテだとホースで吸引しに
くいと。そういう事態に遭遇したバキュームカーの運転手は、その家の住人に重々しい
口調でこう述べるのであります。
- 「奥さん、水打ってくれへん?」
- この役割はもっぱらその家の主婦が担当することになっているんですが、運悪く家
の人がいなかった場合、その矛先は留守番していたコドモに向けられることになります
。
- 「僕ぅ、水打ってくれへん?」
- これがコドモ心にも嫌でしてねぇ。一人で留守番している時に遠くから「バキュー
ムカーの曲」が聞こえてくると、たいした用もないのに近所のスーパー一号館へ買い物
に行ったりして、「ちょっと買い物してる間にバキュームカーが行ってしもたー。」と
いう事態を意図的に引き起こすわけであります。これは叱られます。母親に叱られます
。
- 「今日はくみとりが来るから、ちゃんと留守番しとりぃて言うたやん!」
- なんて、ねちねちと叱られます。そこで2回に1回はちゃんと「打ち水」を実施す
ることになるんですが、したらしたで、また新たな問題が引き起こされることになるの
であります。バケツ1杯の水を注いだにもかかわらず、
- 「まだ固いなぁ。もう1杯打ってくれへん?」
- と言われることがあり、乞われるままに1杯、もう1杯と水を打っているうちに「
汲み取り料金水増し問題」が生ずるわけですね。
-  
- 汲み取り料金というのは汲み取った汚物の体積に比例するように設定されている
ので、何杯も打ち水を実施した時の料金は通常時より不当に高くなってしまうわけであ
ります。そんなことはコドモにはわからないので、帰ってきた親に「くみとり来たでぇ
♪」と誇らしげに報告して領収書を渡すわけなんですが、その領収金額をちらりと見た
母親は、
- 「子供やとおもて、ようけ水打たせてぇ。」
- なんて、途端に不機嫌になってしまうわけですね。ばっくれては叱られ、ちゃんと
打ち水しては母親に不機嫌になられ、かようにバキュームカーというのはコドモに余計
な気苦労を強いることになるんですよねー。
-  
- とまあ、そんなことはどうでもよく、うちの近所にあった「五月屋」という食堂
の話。普通、汲み取り口というのは「くみとり」が汲み取りやすいよう、道路に面した
「接近しやすい場所」に設けられるのが普通であります。ところがこの五月屋の場合、
どういう構造上の欠陥か、家の中を通らないと汲み取り口に接近出来ない仕組みになっ
ておりまして。ある日、ふと五月屋の前を通ったところ、客がそこで食事をとるであろ
うテーブルと椅子の横をバキュームカーのホースを抱えたおっちゃんがえっさほいさと
突入するのを目撃してしまい、二度とこの店でカレーを食うのはやめようと心に誓った
のでありました。
-  
- @ とまあ、そんなわけで本日はロリンズです。いや、実を言うとこの(↑)原
稿、最初は観光ガイドのコーナー用に書いたんですよね。小学生の頃の遠足とか修学旅
行の話を書こうと思って、なにげなく「五月ですねー。」という書き出しで始めたとこ
ろ「五月屋」が出てきて、そっから汲み取りの話になってしまったと。
- で、読み返してみると、あんまり「観光ガイド」とは関係ない内容だったので、こ
のジャズのコーナーに掲載してみたというわけです。いや、この話がジャズと何か関係
あるのか?と言われると若干の疑念を禁じ得ない点はあるんですけどね。ということで
、いきなりこのページにたどりついてしまった人は「マイ・コンピ」のコーナーのホエ
ール・ウォッチングまちこ先生うんぬん(その1)というページを先に読んでねっ♪と
いうことでロリンズ。私がこの「ジャズ・ジャイアント」を執筆しようと思いたった動
機のひとつに「ロリンズと言えば“サキ・コロ”が出てくるようなジャズ名盤ガイドは
もういらないっ!」というのがございました。あまり有名ではないけれど、聴いてみた
ら悪くないんだな、これが。というアルバムを紹介するコーナーにしよう!という立派
な行動目標があったわけです。それがいつの間にやら汲み取りの話のコーナーになって
しまったわけですが、ま、世の中そんなもんだよねー。で、今回、私が選んだロリンズ
の1枚はこれ。『ロリンズ・プレイズ・フォー・バード』。1956年10月という録
音日とパーソネルを見ていただければ明らかなように、これはクリフォード・ブラウン
の事故死の約3ヶ月後に吹き込まれた新生マックス・ローチ・クインテットによる1枚
なのであります。ブラウニーの後釜にドーハムが参加しているわけですね。で、内容の
ほうはというとバードことチャーリー・パーカーに捧げたものとなっております。んぢ
ゃ、1曲目から聴いてみようね。
-  
- 「プレイズ・フォー・バード」のバードに捧げる部分はこの1曲目に集約されて
いるといってもいいでしょう。パーカーゆかりのナンバーがメドレーでずらっと並んで
おりますね。演奏時間26分53秒というクソ長い、あら、言葉が下品になっちゃいま
した。ごめんなさいね、ほほほ。演奏時間26分53秒という便長い演奏はロリンズが
吹く「パーカーズ・ムード」のフレーズで幕を開けます。すぐにピアノが入ってロリン
ズが「アイ・リメンバー・ユー」のテーマを余裕たっぷりに吹き上げます。アドリブ・
パートに入るとテンポが速くなりますね。『サキ・コロ』から約3ヶ月後のロリンズは
絶好調と言っていいでしょう。ソロ後半のローチとのチェイスは三河屋さんの挨拶「ち
わーっす!」を思いおこさせ、良好です。続いてドーハムの吹く「マイ・メランコリー
・ベイビイ」。ここでもソロの後半にはローチとの4小節交換があって、交換マニアに
は嬉しい聴きものとなっております。続いてウエイド・レッグのピアノによる「オール
ド・フォークス」。ブラウン=ローチ・クインテットのレギュラー・ピアニストはリッ
チー・パウエルだったんですが、ブラウニーと一緒に死んじゃったのでこのよくわから
んおっさんになっちゃったのだと思われます。このウエイド・レッグという人のことは
まったくよく知らんかったので期待度ゼロだったわけなんですが、これが意外な「儲け
もの」でございました。リチャード・ワイアンズとか、ああいう系統のピアノですかね
。(←よくわからんからテキトー。)ハンク・ジョーンズみたいな端正なピアノを弾き
ます。あ、書き忘れましたがベースはジョージ・モロウです。
-  
- 見たくない 山本譲二 モロ画像
-  
- の人ですね。いや、個人的にはちょっぴり見てみたいような気もするんですが。ち
ょっとだけねっ♪ということで「ゼイ・キャントうんぬん」で再びロリンズ登場。ここ
でも縦横無尽、ラララむじんくんとばかりにテナーを吹きまくっております。気合入っ
てます。立派です。すごいです。えらいです。(←投げやりな解説。)「ただの友達で
いましょうね♪の歌」はドーハム、「僕の小さなスウェードの靴」はウエイド・レッグ
が担当、最後の「スター・アイズ」はクインテット全員の演奏となります。この「スタ
ー・アイズ」が熱演でありまして、メンバー全員が熱く燃えて、たぎっております。立
派です。すごいです。えらいです。以上、長尺のメドレー演奏なんですが構成がしっか
りしていて飽きさせないつくりとなっております。立派です。
-  
- 2曲目以降はほとんどオマケのようなものなんですが、一応簡単に触れておきま
しょう。「キッズ・ノウ」はロリンズの曲。ワルツ・タイムの流れるようなメロディが
印象的ですね。ロリンズの余裕溢れるプレイが「オトナ」を感じさせます。
- ローチのドラミングもさすがですね。「あなたの顔に馴れてきた」はご存じ「マイ
・フェア・レディ」のナンバー。それにしてもあまりにも失礼なタイトルですよね。こ
こではドーハムはお休み。ロリンズの悠然たるバラード・プレイが満喫できます。ラス
トの「私の住んでる家」はCDおまけ曲。『ソニー・ボーイ』というアルバムに入って
いたらしいです。ロリンズの歌心あふれる吹きっぷりがいいです。以上、テキトーでし
たね。でもライナーノートなんて、たいていこの程度ですよねー。ということでロリン
ズでしたぁ。実は私はジャズ初心者だった頃に『サキ・コロ』聴いてぜんぜんわからん
かったので「ロリンズ、たいしたことないっ!」なんて思っておりました。3年ほどそ
う思っていました。でも最近になって『サキ・コロ』やこの『プレイズ・フォー・バー
ド』を聴き直してみて、やっぱり凄いかもしんない。などと再認識している次第であり
ます。ということで、ぢゃ、またね。
-
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