【アルバム名】
TONY FRUSCELLA (ATLANTIC)
【リーダー名】
TONY FRUSCELLA (1955/3/29,4/1)
【パーソネル】
TONY FRUSCELLA (tp) CHAUNCEY WEISCH (tb) ALLEN EAGER (ts)
DANNY BANK (bs) BILL TRIGLIA (p) BILL ANTHONY (b) JOUNIOR BRADLEY (ds)
【収 録 曲】
I'LL BE SEEING YOU / MUY / METROPOLITAN BLUES / RAINTREE COUNTY / SALT /
HIS MASTER'S VOICE / OLD HAT / BLUE SERENADE / LET'S PLAY THE BLUES
【内   容】
 ここに「小説延髄」がございます。私が昔、ヒマにまかせてワープロ打ちした自 作の小説・エッセイ集ですね。最初のページを見ると「筆者挨拶」みたいなのがあり、 「平成5年6月6日」という日付が書いてあります。今から5年あまり前ですな。ここ にかかれている作品のいくつかは、この塩サバ通信でも「小説延髄」というコーナーで 紹介しているのですが、最近は「志摩子」シリーズになっちゃって、なかなか皆様に発 表する機会がございません。そういえば一度、苦しまぎれに「志摩子の延髄」なんて企 画もありましたが、1回でぽしゃっちゃいましたね。ということで今日は、この「小説 延髄」に書かれている作品を紹介してみようかと思っております。いや、ネタ切れとか そういうことではなくて・・・。
 
 タイトルは『激動の昭和史』でございます。まさか塩通の読者に平成うまれの人 がいるとは思いませんが、でもお年玉プレゼントの応募者には小学生もいたから、あり えない話じゃないですよねー。まさか「志摩子の秋」なんか読んで思わずコーフンして 、鼻血を出したりしてないでしょうな?「しないでするものな〜んだ?答えは放置プレ イ!」なんてなぞなぞを友達に出して、担任の若い女の先生をどぎまぎさせたりして。 いけません!よい子はおとなしく「アーネット昆布のヴァイブにおける3大テーゼ」で も読んで、「テーゼ3:ヴァイブで盛り上がるとウメキ声が出ちゃう〜♪」なんて爽や かな会話で女子児童と盛りあがっててくださいね。そんなわけで、塩通読者の大多数は 「昭和」という時代を生きてきたと言えるのではないかと思います。まさか「新しい元 号は“へーせー”です。」 と言ってたおっちゃんが総理大臣になろうとは夢にも思っ てみなかったに違いない人々であるはずです。今の天皇陛下をテレビとかで拝見すると 、思わず「あ、皇太子や!」と思ってしまう人も多いことでしょう。そんなわけでこの 『激動の昭和史』という読み物、おそらくは昭和と言う時代が終わった時に書かれたの だと思うのですが、要は極めてありがちな「昭和〇〇年、なんとかかんとかが起こる。 」といった年代期なんですけどね。
 
昭和元年(1926年)12月25日、大正天皇が崩御。新しい時代「昭和」が始 まる。
昭和2年(1927年)3月14日、金融恐慌勃発。
昭和3年(1928年)中国人の張作霖が爆死。
昭和4年(1929年)満州に「晴天白日旗」がひるがえる。
 
なんて、面白くもなんともないことがずらずらと書いてあるわけなんです。
 
昭和17年(1942年)6月5日、ミッドウェイ海戦で惨敗。天皇陛下は日本の 行く末を案じるが、案ずるより産むがやすし、と子供を産む。
昭和18年(1943年)ガダルカナル島玉砕。天皇陛下は日本の行く末を案じる が、案ずるより産むがやすし、と子供を産む。
昭和19年(1944年)サイパン島守備隊玉砕。天皇陛下は日本の行く末を案じ るが、案ずるより産むがやすし、と・・・。
 
日本、受難の時であります。天皇陛下もいろいろと大変だったんですねー。
 
昭和22年(1947年)日本国憲法施行。新憲法記念式典で、群衆が「天皇陛下 万歳!」と叫んだため、天皇陛下は1万歳の高齢になる。
昭和23年(1948年)天皇陛下、10001歳になる。
昭和24年(1949年)天皇陛下、10002歳になる。
 
天皇陛下もいろいろと大変なんですねー。
 
昭和28年(1953年)天皇陛下、八頭身美人になる。
昭和29年(1954年)第5福竜丸がビキニ島水爆実験で被曝。天皇陛下、ビキ ニの水着を着る。
昭和30年(1955年)天皇陛下、ここ数年、八頭身美人になったり、ビキニを 着たりして国民に不快感を与えたことを謝罪する。
昭和31年(1956年)天皇陛下、頭を慎太郎刈りにして太陽族となる。
昭和32年(1957年)なべ底不況。天皇陛下、なべの底になる。
昭和33年(1958年)天皇陛下、フラフープで遊ぶ。
昭和34年(1959年)天皇陛下、オートバイで暴走し、カミナリ族となる。
昭和35年(1960年)天皇陛下、全学連に入り、ヘルメットかぶってゲバ棒を ふりまわす。
昭和36年(1961年)天皇陛下、ここ数年、太陽族だったりカミナリ族だった り、全学連だったりしてグレちゃっていたことを反省、国民に謝罪する。
昭和37年(1962年)天皇陛下は気楽な稼業ときたもんだ〜♪と天皇陛下、無 責任になる。
昭和38年(1963年)天皇陛下、昨年、無責任だったことを反省、国民に・・ ・
 
という感じに天皇陛下の物語は続いていくわけです。その後の天皇陛下の行動を列 挙すると、
 
天皇陛下、銀座にたむろし、みゆき族となる。膝上10センチのミニスカートをは く。新宿でシンナー遊びにふけり、フーテン族となる。天皇陛下、月面に着陸。天皇陛 下、スプーンを曲げる・・・。天皇陛下、もうなんでもかってにしてくれ!
 
この後、この物語の「筆者」は右翼のお兄さんに捕まり、天誅され、リンチされ、 戸塚ヨットに送られてビシバシのぐさぐさのズタボロにされちゃうんですけどね。とい うことでちょっぴりデンジャラスだった今日のお話、これにておしまいっ。
 
 @ さて今日はトニー・フラッセラです。アトランティック盤の『トニー・フラ ッセラ』というアルバム。あまりにも能のないアルバム・タイトルなので、日本盤CD では『トランペットの詩人 トニー・フラッセラ』なんて邦題がつけられております。 フラッセラはあれですね。青森のねぶた祭り?それは「ラッセーラ」。いや、そういう 掛け声をかけるんですけどね、青森のねぶた祭り。サバの押し鮨はバッテラですが。長 島温泉では何故だかお盆になると「青森ねぶた祭り」という企画がございまして、アル バイト学生も屋台(というのかな?)をひっぱりまわす係として駆り出されるわけでご ざいます。で、「ラッセーラぁ、ラッセーラぁ!」と掛け声をかけて踊ったりするわけ です。ああいう祭りはただ見てるより、一緒になって踊ったほうが断然おもしろいです ね。観客席の女の子を強引にひっぱりこんで、いっしょになって騒ぐわけでございます な。「子供が、子供がぁ!」なんて言ってる人妻の手をひっぱって、むりやりに連れ出 したのも今となってはいい思い出でございます。そのトニー・フラッセラの『トニー・ フラッセラ』というアルバムなんですが、これはイリノイ鮭師匠に教えていただきまし た。白人バップ・テナーのアレン・イーガーが入っているから買い!だそうでして。も っともこのアルバムを買ったことを報告したら、「あれ、つまんなかったやろ!」なん て言っておられましたけどね。とにかくまあ、聴いてみましょうか。
 
 パーソネルを見るとトニ・フラのペット、アレン・イーガーのテナーのほか、バ リトンとボントロがクレジットされて4管編成となっております。リズムセクションを 含め、よく知らん人揃いでございますなぁ。いや、有名じゃないから駄目とかそういっ たことは全然ないんですが、あまり購買意欲をそそられないのも事実。買う気が起こら なかったんだけど、聴いてみたら悪くなかったというアルバムというのを紹介するのが このコーナーの眼目ですからね。がんもどきを食べるぅ?それはガンモ食う。グーグー ・ガンモなんてのもありましたね。1曲目の「アイル・ビー・シーイング・ユー」は小 粋な歌モノ。この曲だけペットのワンホーン・カルテットになるんですが、ミディアム で歌いあげるトニ・フラはチェット・ベイカーとケニー・ドーハムの中間的な味わいが あって、なかなか「詩人」なのであります。ビル・トリグリアのピアノも美しく、さり げない四畳半的ジャズに仕上がっております。2曲目の「ムイ」はいかにも日本人好み のマイナー・チューン。4管のハーモニーを生かしたアレンジもよろしいですな。悪く ないぢゃん、鮭師匠!イーガーのソロは確かに「そこそこ」ですけど。チョーンシー・ ウェルシュのボントロも調ン子ー、ぅわるくねーっしゅ。
 
 残りスペース些少につき、以下は走させていただきますが「メトロポリタン・ブ ルース」はスロー・ブルースっす。「レイントリー・カウンティ」は明快な曲。「ソル ト」は塩っす。4管編成をいかしたマイナー・ブルースですね。ここでのイーガーはな かなかです。チョーンシーの調子は相変わらず悪くないですね。
トニ・フラのソロはフレージング的にはブラウニーですな。「ヒズ・マスターズ・ ヴォイス」(ビクターの犬?)はMJQに捧げた曲らしいです。確かにMJQ的室内楽 風のアンサンブルが聴かれますな。歌心あふれるトニ・フラのペットがいい味出してま す。「オールド・ハット」はちょっぴりアラビアなムードをもった、なかなかの佳曲。 イーガーのテナーは、まあこんなもんなんでしょうかね?フラッセラのソロは悪くない です。「ブルー・セレナーデ」はブルーなセレナーデ。ラストの「ブルースを演奏しよ う」ではブルースを演奏しております。
 
 以上、全編「ふぁいとぉ!」とか「いっぱぁつ!」といったものとはまったく無 縁な演奏が繰り広げられますが、いい意味「オトナのジャズ」ですね。ま、たまにはこ んなのもいいのではないでしょうか。では。


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