【アルバム名】
THE GREEN LEAVES OF SUMMER (CONTEMPORARY)
【リーダー名】
HAMPTON HAWES (1964/2/17)
【パーソネル】
HAMPTON HAWES (p) MONK MONTGOMERY (b) STEVE ELLINGTON (ds)
【収 録 曲】
VIERD BLUES / THE GREEN LEAVES OF SUMMER / ILL WIND / ST.THOMAS /
SECRET LOVE / BLUE SKIES / THE MORE I SEE YOU / G.K.BLUES
【内   容】
 君はシンナーを吸ったことがあるかい?僕はない。今日、ワケあって「シンナー 中毒」を検索していたところ、こんな記事がありました。
 
> さらに夢想(Phantasis)が起こり、いわゆる夢を見ているような感じで、空想 する情景が現実に目の前に出てきて、その中に自分が入っている体験が起こります。
> まわりの景色にとてもきれいな色がパーッとついて、その百花繚乱の夢幻の世界 に向かって走っていく体験が起こります。
 
いいなぁ、楽しそうで。健全な青少年も思わず、
「先生、オレ明日からシンナー吸うよ!」
と言ってしまいます。いいなぁ、百花繚乱。一面のお花畑ですね。思わず歌を歌っ てしまいます。
 
  お花畑はカエルの子〜♪
 
ラリって思わずヘンな歌を歌ってしまう西脇拓也(仮名・17歳)。一学期までは 真面目な生徒だったのに。夏休み、彼に何が起きたのか?今日はこの「拓也問題」につ いて考えてみたいと思います。
 
 夏休みが終わったら、いきなりケバくなっていた女子学生とかいますよね。こう いう生徒のこともひっくるめて、教育業界では「拓也問題」と呼んでおります。根拠は ないが、そんな気がします。ケバい女子生徒のほうはむしろ「祥子問題」と呼ぶべきで はないか?という意見も出ておりますが、「いや、拓也でいい!」と長老筋が頑迷に反 対しているそうです。教育界全体の趨勢としては「そんなこたぁ、どーでもええ。」と いう空気が濃厚なようですが。で、拓也。彼はなぜシンナーを吸うに至ったのか。その 経緯に関して、次のような動機が考えられます。
 
1.好奇心。友達に勧められた。
2.ペンキを塗っている時、なにげなく缶ジュースを飲んだら中身がシンナーだっ た。
3.八百屋のおばちゃんに「おばちゃん、あんパンちょうだい。」と言ったらシン ナーをくれた。
 
2の事例はよくありますね。大きな缶でシンナーを買った場合、小分けするのにジ ュースの缶に入れたりして。で、それをすっかり忘れて、「あ、ジュースあるやん。」 とか思って飲んじゃったりして。シンナー飲んできちんとラリれるのかどうか、試した ことないので知りませんが。で、この場合、拓也くんに罪はありませんね。あまりにも 迂闊だけど。となると問題は3だな。
 
この夏の責任者:罪深きは八百屋のおばちゃん。
 
 @ さて、ハンプトン・ホーズ。なんでもいいけどパーソネルのところの(ds)と いう文字、いちいち入力するのが面倒なので「ど」で単語登録してあるんですが、同じ 読みで新たに登録した「都都逸」が最初に出るようになってしまったではないか。ま、 読者の皆様の知ったこっちゃないでしょうが。ホーズと言えば「ザ・トリオ」3部作に 尽きる。というのが世の中の趨勢だと思います。あと、「オールナイト・セッション」 とか。しかしあえて60年代ホーズで勝負してみようと思います。『ザ・グリーン・リ ーブス・オブ・サマー』。最近アルバム名や曲名、人名を見ると、とりあえず俳句にな らんかと考えてみるんですが、これは難関ですね。
 
  ふさぐ倫理 ブスを無様に 馬鹿にしちゃいかん
 
ブスを馬鹿にすることは倫理に悖ることなので、やめましょう。(b)がモンクモン ゴメリー、都都逸、いや、(ds)がスティーブ・エリントンというトリオ。ま、とりあえ ず聴いてみましょう。1曲目、「ヴァイアード・ブルース」はマイルスの曲。えーと確 か「ジョン・ポール・ジョーンズ」と異名同曲だと思います。曲としてはどーでもいい ような曲なんですが、アドリブに入ると大いに盛り上がりますね。やっぱ、ジャズって 曲じゃなくってアドリブじゃん。今日の僕ってちょっぴりヨコハマ人。三河人も使うけ どね、「じゃん」。三ヶ日人はどうか知りませんが。ホーズと言えばブルースの名手と して知られておりますが、この演奏には50年代ホーズの「らしさ」が残っています。 ぱきぱきしたタッチも健在です。アドリブで聴け、という1曲目でした。
 
 2曲目、タイトル曲の「ザ・グリーン・リーブス・オブ・サマー」。ブルースの 名手という評価と裏腹に、あまり評判がよくないのがホーズのバラード。私は嫌いじゃ ないけどね。好き嫌いすると大きくなれないしぃ。無伴奏ソロで始まるこの演奏、知的 なムードがあってなかなかイイ感じです。50年代ホーズには聴かれなかった「内面」 がカイメンで、もうイエメンって感じ。英語の原文ライナーを解読したところによると 、映画「オン・ジ・アラモ」を見ていっぺんにこの曲が好きになったんだ。それですぐ に演奏を始めたんだ。ということのようです。だいたいこんな感じだよな、英文ライナ ーの日本語訳って。「オン・ジ・アラモ」というと、関サバ師匠の句を思い出しますな あ。
 
  医者の恩 痔、あらもう 治ったわ
 
途中からベースとドラムスが入るとテンポが速くなって、もう一度テーマが呈示さ れます。エバンスとかドン・フリードマンあたりが愛奏しそうな曲調ですね。ワルツだ し。ホーズはクールな中にもブルースを感じさせる演奏でこの美しい曲を見事に自分流 に料理している。この曲は彼にとってコルトレーンにおける「マイ・フェイバリット・ シングス」のような存在になった。いいなあ、ライナーっぽい解説。やっぱ、アルバム タイトル曲だけあって一番の聴きものとなっています。3曲目の「イル・ウインド」も 2曲目と同じく無伴奏ソロで始まります。途中からベースとドラムスも入ります。やっ ぱりエバンスっぽいなあ。60年代のホーズはビル・エバンスの影響を感じさせるスタ イルに変貌した。ホントか?4曲目は一転して脳天気な「セント・トーマス」。この秋 はロリンズ来日ということでテレビでも盛んにこのメロディが流れていますね。40年 たってもやっぱり「さあキスを、不穏 殺す刺す」。5曲目「シークレット・ラブ」。 歌モノっぽい曲ですね。ここではかなり、昔ながらの「ホーズ節」が復活しております 。モン・モンゴメのベース・ソロも聴かれます。6曲目、「ブルースかい?」。いや、 ブルースじゃないな。「ブルー・スカイ」ですね。これも無伴奏ソロで始まりますが、 これはエバンスでなくてパウエル。イン・テンポになってからの流れるようなメロディ がいいですね。いやいや、このソロは素晴らしいっす。ピアノとベースとドラムスの一 体感もいいですね。存在感の薄い人ぉ?それは「いたんかい。」
 
 7曲目の「ザ・モア・アイ・シー・ユー」も無伴奏で始まります。この日のホー ズ、今日の僕、このパターンに決めちゃったんだもんね。という心境だったのかも知れ ません。ちょっと「ゼア・ウィル・ネバー・ビー・アナザー・ユー」に似た感じの曲を ホーズは快調です。ちょっぴり日本語が変。もうすぐ終わりだ、頑張ろう。ラストは自 作のブルース。そうだよ。ホーズはブルースでなきゃいかんのだよ。というファンの期 待に応えてくださったものでしょう。気ぃ遣わせて悪かったな、ホーズ。「G.K.ブ ルース」。何の略だ。「後家ブルース」。違うか。
 
はい、本日はこれで終了です。


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