【アルバム名】
ONE FOR FUN (ATLANTIC)
【リーダー名】
BILLY TAYLOR (1959/6/24)
【パーソネル】
BILLY TAYLOR (p) EARL MAY (b) KENNY DENNIS (ds)
【収 録 曲】
SUMMERTIME / ONE FOR FUN / THAT'S FOR SURE /
A LITTLE SOUTHSIDE SOUL / BLUE MOON / MAKIN' WHOOPEE /
POINCIANA / AT LONG LAST LOVE / WHEN LIGHTS ARE LOW
【内   容】
 塩サバ掲示板にも書かれていた、ごんあじ様情報提供の「サバくさらかし岩」( 長崎県在住)の話。要約すると、秋鯖がいっぱいとれたので長崎へ売りに行こうした漁 師がこの岩のそばを通りかかったと。大きな岩の上にもうひとつ岩が乗っかっていて、 いまにも落ちそうだったと。で、「いま落ちるか、いま落ちるか。」と気になって、ず っと見ているうちに日が暮れてしまい、サバはみんな腐ったと。こういう話でしたね。 我々はこの寓意に満ちた話から何を学び取るべきでしょうか。
 
教訓1:サバは足がはやい。
サバの足のはやさは陸上界でも有名で、カール・ルイスと競争したらどっちが速い かとよく議論の的になるところです。ドーピングしとんのとちゃうか?といった黒い噂 もあとをたちません。「さばの生き腐れ」なんていう言葉もありますよね。生きたまま 腐っちゃうという。関サバ師匠ピーンチ、広島のピッチャーはミンチー!その点、塩サ バは大丈夫です。しっかり塩ふってあるから日もちするはずです。そこからこの漁師の 軽率さが浮かびあがってきますね。
 
教訓2:この漁師、アホちゃうか?
この漁師はサバの足のはやさ、すなわち腐りやすさを考慮に入れ、捕れた秋鯖をす ぐに塩サバ、もしくはサバ節にするべきでした。もうひとつ、岩がいつ落ちるかという どーでもいいことに執着してしまった点、心の未熟さが感じられます。山にこもって修 業してこーい!と言いたい。以上、この2点より、作者が訴えたかったことは次の一言 に尽きると言えるでしょう。
 
結論:鯖はサバ節に、漁師は山伏に。
 
 @ さて、本日はビリー・テイラー。ビリー・テイラーって、日本ではわりと名 前は知られているんだけど、そのわりにはほとんど聴かれていない、って感じですよね 。「これ1枚」ちゅうのがないのがアカンのかも知れん。かくいう私もビリ・テラのリ ーダー作はプレスティッジの『ザ・ビリー・テイラー・トリオ・ウィズ・キャンディド 』というのを1枚持ってるだけでした。その作品はコンガ入りということもあってそれ ほど感銘も受けず、今後ビリ・テラとはそれほど深い「おつきあい」をするまでもねー な。という判断を下され、そのままCD収納棚に放りこまれておりました。ところがこ の度のアトランティック50周年(だったっけ?)記念CD化シリーズでは、ジャック ・ウィルソン(昨日のですね)とジョン・ルイスの『アフタヌーン・イン・パリ』(こ れは明日です)、それにビリー・テイラーは押さえておくべきである。というようなご 教示を関サバ師匠からいただいた、ような覚えがあるので騙されたと思って、いやいや 、師匠の言うことに間違いはないと確信して買ってきましたです。その結果、やっぱり 師匠は正しかった。腐っても関サバ、いやいや、さばの生き腐れもなんのその、痛風に もメゲず今日も師匠は頑張っております。
 
 ビリー・テイラー、アール・メイ、ケニー・デニスというメンバーは、はっきり 言って期待度ゼロ。(ゴメンね、あんまりよく知らんもんだから・・・。)アール・メ イのベースでは期待できるわけがあーるめい、なんて失礼な(しかも、つまらん)こと を考えておりました。ところが1曲目の「サマータイム」を聴いてびっくり。ベースが いい!専門家が聴いたら全然ちゃうのかも知れんけど、私は『アス・スリー』のジョー ジ・タッカーみたいやん、と思いました。とにかく音が太くて唸ってます。ビリ・テラ のピアノも意外に黒っぽくてファンキーな味があります。そしてここから3曲続くビリ ・テラのオリジナルがどれも素晴らしい。2曲目の「ワン・フォー・ファン」はアルバ ムタイトルにもなったマイナー調の曲。テラのピアノは1曲目に比べると「小粋」な感 じ。ここらあたりがテラの持ち味でしょう。「ザッツ・フォー・シュアー」はさりげな い小品。「ア・リトル・サウス・サイドソウル」はタイトルどおりのソウルフルなナン バー。いやあ、いい感じです。以上3曲、解説は手抜きながら演奏は素晴らしいもので ございます。
 LPでいうB面はすべてスタンダードお呼び、いやこの漢字変換は違うな。これ は「女王様とお呼び!」という時に使う単語ですね。スタンダード及びそれに類する曲 ばかりを集めております。このへんの選曲もなかなかツボを押さえております。「ブル ームーン」のイントロは、「これ絶対ブルームーンのイントロちゃうやろ。」と思って しまうほど黒っぽくってファンキー。アール・メイのベースが素晴らしいです。絶対ブ ルームーンのイントロちゃうやろと思っても、やっぱりこの曲はブルームーンでした。 ただしイントロの黒いムードは引き継いでおります。続いて「メイキン・ウーピー」。 このタイトルを見ると、どうしても「ウーピー」の部分で「ウーパー・ルーパー」を思 い出してしまうなぁ。と感じているのは私だけでしょうか。この手の曲はテラにお似合 いですよね。脳天気な感じのケニー・デニスのドラムもいいです。
 
 「ポインシアーナ」は小さなコドモを連れた関西地方の若いお母さんを連想させ ます。
 
   落ちたアメ 拾ったらあかん、「ぽいっ」しやなあかんって
 
それだけの理由で。曲名俳句の前に論理なし。「アット・ロング・ラスト・ラブ」 はあまり知られてないコール・ポーターの曲。でもなかなかいい曲。ここでのテラの「 転がるような」タッチはちょっとケリーやガーランドを思わせますね。寺島のヤッくん は「演奏のほうは普通のプレイ」と書いてますが、こういう普通のプレイにこそ耳を傾 けるべきではないか、とヤッくんに叛旗を翻す塩サバ。ゴメンねナマ言って。(←ただ し小心モノ。)最後の「ホエン・ライツ・アー・ロウ」は、まあ普通のプレイです。で も全体的に見て、やっぱりイイです。ビリー・テイラーぁ?別にこれといってなぁ・・ ・。と思っている人、まずこのアルバムを聴きましょう。寺島のヤッくんも褒めてます 。
 
今週の結論:ヤッくんの言ってることに間違いなし。


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